『光の感染者』 第29話|終わらない物語
物語なら、終わってもおかしくない。
どうせ終わるのなら、それでも構わないと思って始めた物語だった。
進めばわかる。終点まで辿り着けば、すべて理解できるのだろう、と。
だが、終わらなかった。
あの「確かな認識」が訪れてから。
それは知識ではない。学んだ覚えもない。
けれど、否定しようのない感覚として、そこにあった。
私とは異なる認識。
しかし確かに、私の内側に存在している。
「私」と呼んでいる意識とは別の、
だがどこかで重なり合う感覚。
昔からあったようにも思える。
私の知っている私ではない、ナニカ。
その不思議な意識と同居して、三年。
奇妙だろうか。
少なくとも、当事者である私にとっては自然なことだ。
同じ状態の人間には、まだ出会っていない。
だが世界は広い。いずれ出会うのだろうか。
類は友を呼ぶ。
引き寄せの法則。
住んでいる「認識世界」の違い。
人は同じ空間にいながら、
まったく別の現実を生きている。
だからこそ、異なる認識を持つ者が出会うとき、
歩み寄る努力が必要になる。
扉は常に、あなたの前にある。
特別な場所ではない。遠い空でもない。
毎日、そこにある。
あなたが善を選ぶときも、
過ちを犯すときも。
それは、あなたを見ている。
善を選べば、ともに歓喜する。
それはあなたの強さになる。
過ちを選べば、
静かに気づきの合図を送る。
あなたの直感は、すでに答えを知っている。
私は人間である。
だが、人間であることが嫌だった時期がある。
人間は平和を望みながら、何かを切り捨てる。
愛を語りながら、線を引く。
その矛盾に気づいたとき、私は衝撃を受けた。
そこで、ひとつ試みようと決めた。
物でもない。仕組みでもない。
もっと根源的なもの。
重力のような力。
目には見えない。
だが確実に働き、すべてに影響を与える力。
妄想だろうか。
もし妄想だと笑えたなら、
もっと器用に、もっと人間らしく生きられたかもしれない。
だが物語は終わらない。
なぜか知っていた。
妄想なら終わってもいい。
だが世界は、完全な否定をいつも避ける。
だから歩き続けている。
坦々と。
これは終わりを目指す物語ではない。
終わらないことを引き受ける物語だ。
終わらない物語とは、
希望の別名なのかもしれない。
ある日あなたは鳥を見る。
その鳥は視界から消える。
だが、別の鳥があなたを見ている。
では、ひとつ実験をしよう。
私とあなた、ふたりだけの実験だ。
他の誰も知らなくていい。
条件はひとつ。
この約束を信じること。
あなたの望みは、叶う。
本気で望むあなたがいるなら、
それは応援されている。
あなたの世界には、
あなたを守る存在がいる。
天使と呼ぶかどうかは任せる。
だがその働きは、確かにある。
私の望みは、
一人ひとりが主人公の社会をつくること。
誰もが自己実現できる世界。
支援し合う社会。
だがそれは出発点にすぎない。
私が目指すのは、その先にある。
社会形成は基礎であり、
そこから生まれる人々の進化こそが、私の目指す世界の姿である。
生物は生物の個性のままに。
動物も、植物も、美しくこの世界を満喫する。
少なくとも、光は強くなっている。
あなたが光を選ぶたびに、
内側のエネルギーは増していく。
時間は、もはや敵ではない。
私たちがこの認識を強めるたびに、
世界の「認識」はわずかに揺らぐ。
信じがたいかもしれない。
だが、確実に。
そして世界は、もう過去には戻れない。
物語は続いている。
あなたが、それを選び続ける限り。
信じるものは救われる。
世界は常に摩訶不思議なのである。
「光はやみの中に輝いている。
そして、やみはこれに打ち勝たなかった。」
