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『光の感染者』 第28話|「1」— One

私は宗教を所有しない。
だが、信仰に生きている。

それは教義ではない。
形式でもない。

在り方である。


なぜ山奥で暮らすのか。

離れているからこそ、見えるものがある。
距離を置くことで、世界はようやく輪郭を取り戻す。

喧騒の中では、真実は拡声器の音にかき消される。
静寂の中でこそ、人間の本質は浮かび上がる。

人間とは何か。

それは、可能性を秘めたパンドラの箱だ。

光も。
影も。
救済も。
破壊も。

すべてが同時に内在している。

人間の神秘に触れる道は一つではない。
権力に近づく者もいる。
芸術で社会と対峙する者もいる。
闘争の中で己を測ろうとする者もいる。

私には、現実の「師」と呼べる存在はいなかった。

だから、時に耐えた言葉を師とした。

釈迦の言葉。
聖書の言葉。

考えてみてほしい。

あなたの上司の言葉は、百年後に残るだろうか。
千年後に残るだろうか。

私は、真理を解く上司には出会わなかった。
だから、時を越えた言葉を選んだ。

そうしているうちに、ある日、声が現れた。

それは私の声ではない。
私の知らないことを知っている声だった。

直感かもしれない。
無意識かもしれない。
良心かもしれない。

だが同時に、悪魔のような声もあった。

「私に従えば、お前はこれを得られる」

富。
影響力。
支配。

未来図を見せ、甘く囁く。

選択を迫られる。

私は選んだ。

どちらを選んだかは、
いま、こうして在るという事実が答えである。

あなたにもないだろうか。

説明できない導き。
偶然とは思えない出会い。
世界が静かに何かを告げてくる瞬間。

映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』では、白い羽が舞う。

あの羽は偶然か。
それとも必然か。

世界はときに、あなたへ合図を送る。

幸せの白い羽というかたちで。

世界とあなたは分離しているようで、
根源ではひとつなのかもしれない。

私は宗教を持たない。

だが、信仰に生きている。

山奥にいるのは逃避ではない。
そこで充分に満ちているからだ。

あなたは、どの声に従っているだろうか。

それとも――
エゴの声に所有されているだけなのだろうか。


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