【HUNTER×HUNTER】100%の「あなたのために」|“シャウアプフ”徹底解剖
※本記事は『HUNTER×HUNTER』キメラアント編の重大なネタバレが炸裂。
未読の方はご注意を。
「すべてはあなたのために」
それを正義と信じて疑わない人っていると思う。
本人にとっては善意であるからこそタチが悪い。
そんな『善意の塊』を完璧に描き切っているキャラクター。
それが、HUNTER×HUNTERの“シャウアプフ”。
キメラアント編に登場する王直属の護衛軍の3人のうちの1人。
私は“ユピー”と“ピトー”は好きだけど、プフがどうも好きになれない。
漠然とプフに感じているモヤッとを、徹底解剖していきたい。
ユピーとピトーに共通するもの『誠実さ』
ユピーとピトーに共通する最大の特徴は『誠実さ』が生まれたこと。
彼らは基本的に、王への忠誠心と本能で動く。
ユピーは『敵を排除する』
ピトーは『王を守る』
これによって、彼らがどう動くかを直感的に理解できる。
冷血、無慈悲な『絶対的な人類の敵』として、完璧に描かれている。
だからこそ『他者の気持ちを汲んだ誠実さ』を見せたとき、鮮烈なギャップを生み出した。
【ユピーの場合】
ユピーは戦いを通じて『怒り』という感情を知った。
『敵は排除する』という本能だけじゃなくなった瞬間だ。
そうして感情の『揺らぎ』が生まれる。
そのため、揺らぐ前のユピーであれば絶対になかった『対話』と『取引』という選択肢が使えた。
ユピーは人間に『誠実』に応えたのだ。
戦闘狂が戦いを通じて人間に近づいていく。
当初のユピーからは想像もつかない変化をとげた。
【ピトーの場合】
ピトーは『王を守るために存在する』という、本能に近い忠誠心を持っている。
ゴンをあれほどまでに絶望させたのも、すべてはその一点から。
コムギとの軍儀を通じて王に『何か(感情)』が芽生えていることを、ピトーは敏感に察知していた。
そして好意的に受け入れている。
ピトーはコムギを診ながらゴンを刺激しないよう、「コムギの治療が終わるまで待ってほしい」と、ゴンを説得した。
カイトは好きだから、ゴンの気持ちも理解はできる。
それでもコムギを救うために頭を下げるピトーには、人間らしい『誠実さ』を感じた。
『王を守る』という本能から、逆説的に生まれた人間性の欠片。
「王が大切にしているものは自分も大切にしなければならない」
王にコムギの治療を頼まれたことに、ピトーは『誠実』に応えた。
プフの『愛の質』と『共感の拒否』
ではなぜ、プフはあまり好きじゃないのか。
プフの行動原理はシンプルに見える。
『王を愛している』
でも、その『愛の質』が問題なのだ。
【プフの愛は『コントロール』に近い】
プフは王を愛しているが、それは純粋な忠誠とは少し違う。
プフは、王が『自分の想定する王』であることを望んでいる。
コムギに心を奪われた王を見て、プフは強い不満と嫉妬を抱いた。
ユピーとピトーは王がどう変わっても、『不満』と『嫉妬』を抱くことはない。
でもプフは、王が『自分の期待する王』でなくなったとき、ひどく揺らぐ。
これは『愛』ではなく、『執着』や『理想の押しつけ』に近い。
プフの感情は王のためではなく、『プフ自身が描く理想のメルエム像』のためのもの。
【プフの行動は『姑息』に見える】
ユピーもピトーも真っ向から力をぶつける。
でも、プフは鱗粉で精神を操り、情報を集め、画策するのが基本。
王の記憶が戻らないよう、細工(隠蔽と洗脳)して騙す。
“自分に”都合の悪いコムギの痕跡を完璧に消し去ろうとする。
すべて、王に気付かれないように。
『自分が描く理想の王』を守るため、これが正義だと信じて疑わない。
「あなたのため」
そう言いながらも、密かに選択肢を潰している。
王の気持ちを汲むならそんなことはしないはず。
自分の理想へ誘導しようとする『不誠実さ』が、私は受け付けられない。
【感情移入の入り口がない】
ユピーには『戦う』という純粋な欲求がある。
ピトーには『守りたい』という本能的な衝動がある。
どちらも人間として理解しやすい感情である。
でも、
『支配したい』
『理想通りでいてほしい』
というプフの感情は共感しにくい。
理解はできても、「そうだよな」とはなりにくい。
感情移入の入り口がない。
誰よりも『キメラアント』だった
皮肉なことにプフは、ユピーやピトー、王、だれよりも『キメラアント』である。
だからこそ、嫉妬、不満、執着などの“人間らしい感情”を強く見せる存在でもあるのだと思う。
プフの行動はすべて『キメラアントの繁栄と至高の王』のため。
裏を返せば、これはプフなりの100%の善意。
だからそれを妨げるコムギを消そうとするし、嘘をついて至高の王へと導こうとする。
この善意が1ミリもブレないからこそ、『押しつけ』に見えて『嫌悪』してしまう。
対して、ユピーやピトーには『誠実さ』がある。
だからこそ羨望や敬意を込めて『好き』になれる。
プフは種としての曲げられない信念が強すぎて、『自分の理想』のための言動にしか見えない。
だから共感ではなく『嫌悪』が生まれる。
三人は『人間性』の鏡だった
キメラアント編のテーマのひとつは『人間性』。
ユピーは感情を知ることで人間に近づく。
ピトーは愛を知ることで人間に近づく。
プフは最初から人間の『業』を持っている。
ユピーとピトーが『人間性を獲得していく』のに対して、プフは『最初から人間の業を持っている』。
私がプフを『好きじゃない』のはもしかしたら、『行き過ぎた善意の怖さ』を、プフという鏡を通して無意識に突きつけられているから。
…なのかもしれない。
▼キメラアント編のキャラクター観察

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