ぶっちゃけExcel最強?DXコンサルが言いにくいExcel脱却は本当に必要か
Excel脱却は本当に必要か?DXコンサルが現場で見た「Excel管理の限界」と正しい判断基準
DXのコンサルとして現場に入っていると、かなり高い確率で聞く言葉があります。
「結局、Excelから抜け出せないんです」
数百人から数千人規模の企業でも同じで「やっぱりExcelですね」という言葉。
受注管理もExcel。
売上管理もExcel。
在庫管理もExcel。
案件管理もExcel。
請求前の確認もExcel。
現場の日報もExcel。
経営者や現場責任者の方からすると、
「いつまでもExcel管理のままでいいのだろうか」
「そろそろシステム化しないとまずいのではないか」
と感じることもあると思います。
私のようなシステム開発やAIテックの会社の役員をしている人間は本当にありがたい『相場』とも言える状態です。
一方で、他の企業で数千万円規模で新しいシステムを導入しても、
「結局、Excelに戻ってしまった」
「システムに入れたあと、またExcelで加工している」
「入力する場所が増えただけで、仕事は減っていない」
この状況を見るたびに、私は思います。
むしろExcelは、今でも最強クラスの業務ツールです。
本当に考えるべきなのは、
「Excelを使うべき業務」と「Excelから抜け出すべき業務」の境界線です。
私は少なくともDXとは、Excelを否定することではないと考えています。
業務に合った道具を選び、現場の負担を減らすことです。
Excelは古いツールではない、今でも最強クラスの業務基盤
まず前提として、Excelは決してダメなツールではありません。
むしろ、多くの中小企業にとって、Excelは最も現実的で、最も使い勝手のよい業務ツールです。
理由は明確です。
ほとんどの人が使ったことがある。
すぐに開ける。
自由に表を作れる。
数式で計算できる。
フィルターや並べ替えが簡単にできる。
グラフも作れる。
マクロを使えば自動化もできる。
Power Queryでデータの整形もできる。
Power PivotやPower BIとつなげれば分析にも使える。
最近では、AIやPythonとの連携も進んでいます。
ここまでできるツールは、実はそれほど多くありません。
Excelは「昔からある古いソフト」ではなく、長年現場で使われ続け、今も進化している成熟したプラットフォームです。
特に中小企業では、Excelがあるからこそ業務が回っているケースが多くあります。
現場の担当者が自分たちで表を作り、計算式を入れ、必要に応じて修正しながら日々の仕事を支えている。
これは悪いことではありません。
むしろ、現場が自分たちで業務を組み立てられるという意味では、非常に強い状態です。
だから私は、安易に「Excelをやめましょう」とは言いません。
Excelで十分な業務まで無理にシステム化すると、かえって現場の負担が増えることがあるからです。
認知負荷理論(Cognitive Load Theory)にて説明をすることができます。
→詳しくhttps://note.com/murosakikeita/n/n0f65c6f0a2bb
では、なぜExcel管理は限界を迎えるのか
では、Excelが優秀なら、なぜ多くの会社で「Excel管理が限界」と言われるのでしょうか。ここを間違えると、DXは失敗します。
Excelの問題ではなく、Excelで管理している業務の性質が変わっていることが問題です。
たとえば、最初は1人の担当者が月に数回更新するだけだった管理表が、いつの間にか複数部署で使われるようになる。
最初は確認用の表だったものが、いつの間にか経営判断の資料になる。
最初は手元のメモだったものが、いつの間にか正式な業務台帳になる。
こうなると、Excelの自由度が逆にリスクになります。
誰が更新したのか分からない。
どれが最新版か分からない。
数式が壊れていても気づけない。
同じ情報を別のファイルにも入力している。
担当者しか意味が分からない列がある。
ファイル名が「最新版」「最終版」「最終版2」だらけになる。
退職や異動で誰もメンテナンスできなくなる。
こうした状態は、Excelが悪いのではありません。
業務が「個人の工夫」から「組織の仕組み」に変わるタイミングを過ぎているのに、管理方法だけが個人作業のまま残っていることが問題です。
つまり、Excel管理の限界とは、表計算ソフトの限界ではなく、業務を人の記憶と個人の工夫で回し続ける限界なのです。
Excelで十分な業務と、Excel脱却すべき業務の判断材料
では、どこからがExcelで十分で、どこからがExcel脱却を考えるべきなのでしょうか。ここは非常に重要です。
Excelで十分な業務には、ある程度共通点があります。
担当者が1〜3人程度。
更新頻度が少ない。
月に数回の集計で足りる。
同時編集がほとんどない。
承認フローが不要。
履歴を細かく残す必要がない。
アクセス権限を厳密に分けなくてよい。
データ件数がそこまで多くない。
外部システムと連携しない。
担当者が中身を理解できている。
こうした業務であれば、無理にシステム化しなくてもよい場合があります。
むしろ、Excelの設計を整えたり、入力ルールを作ったり、Power Queryやマクロで一部を自動化したりする方が、費用対効果が高いこともあります。
→これらをシステム開発会社やDXコンサルはあまりやりたがらない・・・
一方で、次のような条件が増えてきたら、Excel脱却を考えるタイミングです。
複数部署で同じデータを使っている。
複数人が同時に更新する。
承認や差し戻しが必要。
誰がいつ何を変更したか残す必要がある。
閲覧できる人、編集できる人を分けたい。
スマホや外出先から使いたい。
他システムと連携したい。
リアルタイムで状況を見たい。
データ件数が増えすぎて動作が重い。
担当者しか運用できない。
AI分析や自動判定に使いたい。
この段階まで来ると、Excelで頑張り続けるほど、現場の負担が増えていきます。
特に危険なのは、Excelの中に会社の重要な判断材料が詰まっているのに、その構造を一部の担当者しか理解していない状態です。
この場合、単なるExcel管理の問題ではなく、経営リスクになっています。
「Excelをやめること」がDXではない
ここで注意したいのは、Excel脱却そのものがDXではないということです。
Excelをクラウドツールに置き換えた。
専用システムを導入した。
入力画面を新しくした。
ダッシュボードを作った。
これだけでは、DXとは言えません。
なぜなら、現場の仕事が軽くなっていなければ意味がないからです。
よくある失敗が、「Excelでやっていた業務を、そのままシステムに移す」ことです。
入力項目もそのまま。
確認作業もそのまま。
二重入力もそのまま。
承認の曖昧さもそのまま。
責任の所在もそのまま。
これでは、見た目が変わっただけです。
むしろ、システムの制約が増えたことで、Excelより使いづらくなることすらあります。
現場からすると、「前の方が早かった」となります。
DXで本当にやるべきなのは、業務の流れを整理することです。
どの情報を、誰が、いつ入力するのか。
その情報は何に使われるのか。
本当に入力が必要なのか。
同じ情報を別の場所にも入力していないか。
確認や承認はなぜ必要なのか。
自動化できる作業はどこか。
人が判断すべき部分はどこか。
この整理をしないままシステム化すると、非効率がそのままデジタル化されます。それはDXではなく、単なる作業場所の引っ越しです。
AI時代にExcelの価値は残り続ける
最近は、AI活用の相談も増えています。
ここでも私は、Excelの価値はむしろ上がっていると感じています。
これまでExcelは、主に「入力するツール」「集計するツール」として使われてきました。
しかしAI時代において、ExcelはAIに渡すデータの置き場になります。
たとえば、売上データがExcelに整理されていれば、AIに分析させることができます。
どの商品が伸びているのか。
どの顧客の購入頻度が落ちているのか。
利益率が悪化している案件はどれか。
季節ごとの売上傾向はどうか。
異常値や入力ミスの可能性はないか。
来月以降の売上はどうなりそうか。
改善すべきポイントはどこか。
これまでは、担当者が目で見て、経験で判断していたことです。
AIに任せればすべて正しくなるわけではありません。
データの中身が汚ければ、AIの答えも曖昧になります。
入力ルールがバラバラであれば、分析結果も信用しづらくなります。
だからこそ、まずはExcelの中にあるデータを整えることが重要です。
AI活用の第一歩は、高価なAIシステムを導入することではありません。
今あるExcelを、AIが読み取りやすい形に整えることです。
AIをExcelでコントロールするという選択肢
AIを使うというと、難しい開発や大規模なシステム導入を想像する方も多いと思います。
しかし、中小企業の現場では、もっと現実的な始め方があります。
私、室崎敬太はExcelやCSV、PDF出力などあえて実装することも多いです。
それはDXを段階的に実施する際の現場のハレーションを防ぐ効果があるためです。
他にも、
ExcelをAIに読ませる。
Excelのデータをもとに分析させる。
Excelの表を整理させる。
Excelの内容から改善案を出させる。
Excelのデータをもとにレポートを作らせる。
これだけでも、十分に業務改善につながる場合があります。
たとえば、
問い合わせ一覧をAIに渡して、よくある問い合わせを分類する。
営業案件の一覧から、失注理由の傾向を整理する。
勤怠データから、残業が増えている部署を見つける。
在庫表から、滞留している商品を洗い出す。
売上表から、粗利が下がっている取引を抽出する。
こうした使い方であれば、いきなり大きなシステムを作らなくても始められます。
もちろん、注意点もあります。
個人情報や機密情報をそのまま外部AIに入れない。
AIの回答を鵜呑みにしない。
Excelの列名や入力ルールを整える。
分析したい目的を先に決める。
人が確認すべき部分を残す。
AIは魔法ではありません。
しかし、Excelにたまっているデータをうまく使えば、現場の判断を助ける強力な道具になります。
「ExcelをやめてAIにする」のではなく、「Excelを整えてAIを使いやすくする」という選択肢もあるのです。
これも立派なDXです。
DXコンサルやITコンサルが言いづらい本音
ここで、少しぶっちゃけた話をします。
DXコンサルやITコンサル、ITベンダーのビジネスモデルは、多くの場合、新しいシステムやツールを導入することで成り立っています。
もちろん、すべての会社がそうだという話ではありません。
誠実に業務を見て、必要なものだけを提案する会社もあります。
実際に、システム化しなければ解決できない課題もたくさんあります。
ただ、構造としては、新しいツールを入れる方が提案として成立しやすいのも事実です。
Excelを少し整えましょう。
今ある業務フローを見直しましょう。
新しいシステムはまだ不要です。
まずは入力ルールと管理方法を変えましょう。
こうした提案は、本当は現場にとって有効な場合があります。
しかし、ITベンダー側からすると、大きな売上にはなりにくい。
だから、Excelで十分解決できる課題に対しても、新しいシステム導入が前提になってしまうことがあります。
その結果、現場ではこういうことが起きます。
システムは増えた。
ログイン画面も増えた。
入力項目も増えた。
操作を覚える負担も増えた。
結局、最後はExcelに戻して集計している。
なのに、仕事は減っていない。これは本当に多いです。
現場の人がITに弱いから失敗しているわけではありません。
現場の業務構造を整理しないまま、道具だけを増やしているから失敗しているのです。
DXの目的は、システムを増やすことではありません。
現場の認知負荷を減らすことです。
確認、転記、探し物、二重入力、属人化を減らすことです。
働く人が、もっと気持ちよく本来の仕事に向き合える状態を作ることです。
その結果としてExcelが最適なら、Excelを使い続ければいいのです。
逆に、Excelでは限界が来ているなら、そこはきちんと脱却すべきです。
大切なのは、どちらが正しいかではなく、自社の業務にとってどちらが適切かを見極めることです。
室崎敬太が考えるExcel脱却の前に見るべきポイント
Excelから抜け出すべきかどうかを考えるとき、まず見るべきポイントがあります。
それは、今のExcelが「個人の道具」なのか「会社の基盤」なのかです。
個人の道具であれば、Excelは非常に優秀です。
担当者が自分で管理し、自分で集計し、自分の判断材料として使うなら、Excelは十分に機能します。
しかし、それが会社全体の基盤になっているなら話は変わります。
複数部署が見る。
経営会議で使う。
請求や発注に関わる。
顧客対応に使う。
売上予測に使う。
人事評価や勤怠管理に関わる。
こうなると、個人の工夫だけで支えるには限界があります。
この段階では、Excelを完全にやめるかどうかではなく、業務の中でどこまでをExcelに任せ、どこからを仕組み化するかを考える必要があります。
たとえば、入力はExcelで続けるが、集計は自動化する。
現場の作業表はExcelで残し、正式なデータベースには自動連携する。
分析用のExcelは残し、承認や履歴管理はシステム側で行う。
まずはExcelの設計を標準化し、その後に必要な部分だけシステム化する。
このように、いきなり全部を変える必要はありません。
むしろ、中小企業のDXでは、小さく始める方がうまくいきます。
本当に必要なのは「脱Excel」ではなく「適材適所」です
Excelを使い続けることが悪いわけではありません。
Excelから抜け出すことが正解とも限りません。
本当に必要なのは、適材適所です。
自由に考えたい業務。
少人数で回せる業務。
試行錯誤が多い業務。
一時的な管理で済む業務。
こうしたものはExcelに向いています。
一方で、
正確性が必要な業務。
複数人で同時に扱う業務。
履歴や承認が必要な業務。
権限管理が必要な業務。
外部連携やAI活用が前提になる業務。
こうしたものは、Excelだけで抱え込むべきではありません。
「Excelをやめるかどうか」ではなく、「Excelに任せてよい範囲はどこまでか」を決めること。これが、DXで失敗しないための考え方だと私は考えています。
Excel管理に限界を感じたら、まず業務構造を整理。
もし今、社内で次のような状態が起きているなら、Excel脱却を検討するタイミングかもしれません。
最新版が分からない。
同じ情報を何度も入力している。
担当者しか中身が分からない。
確認作業に時間がかかっている。
数式やマクロがブラックボックス化している。
システムを入れたのに結局Excelで再集計している。
AIを使いたいが、データが整理されていない。
ただし、いきなりシステムを入れる必要はありません。
まずやるべきことは、業務の棚卸しです。
どのExcelが、何のために使われているのか。
誰が入力し、誰が見ているのか。
どの判断に使われているのか。
どこでミスが起きているのか。
どこに二重入力があるのか。
どこまでExcelで十分なのか。
どこから仕組み化すべきなのか。
ここを整理するだけでも、見える景色は大きく変わります。
私が大切にしているのは、「何を導入するか」よりも、「何を残し、何を手放すか」です。
人を増やす前に、構造を見直す。
システムを増やす前に、業務を整える。
AIを使う前に、データの流れを確認する。
この順番を間違えなければ、DXはもっと現実的に進められます。
Excel管理に限界を感じている。
でも、何をシステム化すべきか分からない。
AIを使いたいが、自社のデータで何ができるのか整理できていない。
そう感じている場合は、まずは小さな相談からで構いません。
Excelをやめることが目的ではありません。
貴社の業務が本当に軽くなる形を、一緒に見つけていきます。
私個人でもいいですし、馬車馬テクノロジーズの問い合わせからご連絡いただければ無料で30分『馬車馬壁打ち』ができます。
室﨑 敬太 【Linkedin】【E-mail】
馬車馬テクノロジーズ 業務執行社員/Chief Strategy Officer
その他DX関連の顧問を複数社請け負わせていただいております。
17歳で学生起業家として活動を開始し、事業の立ち上げと運営を経験。その後、ファーストリテイリンググループに入社。 三井住友海上火災保険株式会社にて法人営業やリスクマネジメントに従事し、金融・保険分野における専門性を確立。 独立後は室﨑総合保険/MKエージェンシーを創業。不動産会社との業務提携を経て役員に就任。 コロナ渦以降にAIやDX、プログラミングを学び現在は企業のDXおよびAX戦略の立案から実行までをリード。AI・LLMを活用した業務改革や新規事業開発を中心に、複数の企業において顧問として参画している。 国内上場企業から外資系企業まで、繊維、小売、自動車、金融、不動産、建設、サービスなど多岐にわたる業界での実務経験を有し、業界横断的な知見と実行力を兼ね備えたDXに強みを持つ。
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現在進行中の「気持ち良いDX」及び
就労支援プロジェクト、精神疾患罹患後の社会復帰事業に充てさせていただきます。