【学校では教わらない #12】「言えない子」には、ちゃんと理由がある。
こんにちは。ピアノ講師・メンタルコーチの One Heart です。
隔週木曜日にお届けしている“生きスキ”マガジン。
「学校では教わらない、生きるスキル。」
今日は12回めです。
子どものころ、授業で「どう思う?」と聞かれると、
胸のあたりがぎゅっとして、声が出なくなることがありました。
頭の中ではちゃんと考えている。
言いたいことも、一応ある。
なのに・・・口を開こうとすると、
すっとその言葉が引っ込んでしまう。
気がつけば、わたしはいつも
“おとなしい子”、“静かな子”として扱われていました。
でも、本当は・・・
言いたくなかったわけじゃないんですよね。
ただ、どうしても言えなかっただけ。
あの沈黙は、いったい何だったんだろう・・・。
最近ふと、そんなことを考えるようになりました。
✧✧✧
“話せない子”って、性格じゃなくてちょっとしたクセ。
大人になってあらためて思うんですが、“話せない子”、“意見が言えない子”って、もともとの性格ではないことがほとんどです。
環境の中で、“話さないほうがうまくいく”
“黙っていれば波風が立たない”と学んだだけ。
つまり、身につけた“生き方のスキル”なんです。
これは消極性でも弱さでもなくて、むしろ「周りをよく見て、調和を保とうとする力」。
小さなわたしが、自分を守るために選んだ、いちばん安全な方法だったんですよね。
だから今、言えるようになった自分を責める必要もないし、
言えなかった過去を否定する必要もない。
どちらも、わたし。
✧✧✧
静かだったあの頃は、“空気に合わせる”のが安心だった。
当時の学校には、
はっきり言わなくても伝わっていた“空気”がありました。
✦「間違えちゃいけない」というプレッシャー
発言=正解を言うこと。
そんな思い込みが、いつの間にか刷り込まれていく。
間違えたら恥ずかしい。みんなに笑われるかもしれない。
だったら・・・
「言わないほうが安全」
そう判断するのは、ごく自然なこと。
✦「出しゃばらないほうがいい」という雰囲気
みんなと同じように、静かに、淡々と、空気を乱さないように。
そんな“暗黙のルール”の中で育つと、言葉は少しずつ小さくなっていきます。
✦静かにしている子=いい子
静かにしていれば、先生も安心する。
余計なトラブルも起こらない。
だから自然と、
“沈黙は正解”
というパターンができあがるんです。
そういえば、小学生の頃の通知表には
「おとなしい」「消極的」と書かれていたこともありました。
もちろん、先生を責めたいわけではありません。
当時の学校には、“積極的に手を挙げる子がいい”という評価軸があったんだ、そう今なら思えるんです。
でも今ふり返ると、静かだったわたしはただ、
“じっくり受け取る子”だっただけ。
世界をていねいに感じていて、
言葉が追いつくまでに少し時間が必要だったんですよね。
・・・あの頃は、それでよかったんですよね。
✧✧✧
“言えなかったわたし”は、空気を読むのが上手すぎただけ。
大人になった今だからわかることがあるんです。
子どもの頃のわたしは、
人よりも早く“場の空気の揺れ”を感じ取っていました。
誰かがイライラしている気配、
教室全体のざわめき、
先生の表情の小さな変化。
そういうものを、
自然と細やかにキャッチしてしまうところがあったんです。
そしてこの“空気を読みすぎる力”は、
ときに生きづらさにもつながります。
相手の気持ちを読みすぎてしまう
「いま言わないほうがいい」と瞬時に判断してしまう
ほんとうは話したいのに、場を乱したくなくて黙ってしまう
これって性格ではなく、
環境の中で身についた「生存戦略」 なんですよね。
だから、
「早く言いなさい」と急かされれば急かされるほど、
そのセンサーがさらに敏感に働き、言葉は奥に引っこんでしまう。
いま思えばわたしは、
“言えなかった”のではなく、
“自分のペースで世界を受け取る子”だったからこそ、
安全なタイミングをじっと待っていたんだと思います。
この視点に気づくと、
子どもの頃の自分への「ダメだった」という感覚が
少しずつほどけていくような気がします。
✧✧✧
“言えなかったわたし”には、ちゃんと“いいところ”があったんだ。
そしてもうひとつ・・・
あの頃のわたしには“たしかな力”もちゃんと育っていた、と気づいたんです。
たとえば・・・
✦言葉をていねいに選ぶ“慎重さ”
パッと口にせず、いったん心の中で味わってから言葉にしたいタイプだったのかもしれません。
✦相手の表情や空気をよく読む“観察力”
言葉がつまるのは、まわりの変化を敏感に受け取っていた証拠でもある。
✦自分の中の世界を大切にしたい“内側の豊かさ”
静かに考える時間は、その子にとっての大事なプロセス。
✦話すより“感じる力”が育っていたこと
音、空気、雰囲気、まなざし。
言葉にならない情報をたっぷり受け取っていた時期。
こうした力は、大人になった今のわたしを支えてくれている“土台”です。
だから、
「話せなかった=弱さ」ではなくて・・・
“その子なりのペースで、自分の世界を育てていた”だけ。
そう思えると、
あの頃の自分にも、
そして目の前にいる子どもにも、
少しやさしいまなざしを向けられる気がします。
✧✧✧
大人になるにつれ、少しずつ声が育ってきた。
今は、あの頃とは違って、言いたいことを言葉にできるようになりました。
その変化は、突然起きたわけではなくて・・・
少しずつ、少しずつ・・・
自分の世界が広がっていったからだと思います。
間違えても、大丈夫だと知った
正解よりも“自分の気持ち”を大切にするようになった
「どう見られるか」より「どうありたいか」に意識が向くようになった
自分の心にやさしく耳を傾ける習慣ができた
そうやって・・・
“言ってもいい世界”を自分の中につくっていったからなんですよね。
あの頃のわたしにはなかった安心感が、今はちゃんとある。
だから、声が戻ってきたんだと思う。
✧✧✧
まとめ。言えなかった自分も、今の自分もそのままでいい。
“言えなかったわたし”も、“言えるようになったわたし”も、そのままでいい
振り返ってみると、あの頃の沈黙は「弱さ」じゃなくて、
わたしを守るための小さな知恵だったんだと思います。
そして今、言葉を選べるわたしがいるのは、その時のわたしが頑張って静かに生きてくれたから。
どちらも正しくて、どちらも愛おしい。
“言えなかったわたし”を責める必要も、“今のわたし”を無理に変える必要もない。
ただ、あの頃の沈黙を、そっと受け止めてあげればいい。
そして今日、言いたい言葉がひとつでもあれば、その小さな一歩だけで十分です。
今日のあなたが、
昨日より少しだけ自分の味方になれますように。
✧✧✧
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