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40代、ゆるく海に浮かぶ

私の故郷は、都会でもなく田舎でもない海のある町だ。

実家から海までは少し距離がある。歩くには遠いけれど、自転車なら20分くらいでたどり着ける。

学生の頃は、休日になると友人と海を見に行ったりしていた。


地元の海水浴場は、瀬戸内海らしい穏やかな海だった。

水はそこそこ綺麗。でも、ビーチは小さな貝殻や砂利が多くて、裸足で歩くと結構痛い。

ビーチサンダル必須。


母は泳げない人だったし、父は海外へ単身赴任していることが多かった。

だから私は、親戚の叔父や従兄弟、友人のお父さんなんかに海へ連れて行ってもらっていた。

いろんな人にお世話になりながら海で遊んで育ったから、私は昔から海が大好きだ。



20代前半、1年間オーストラリアで暮らしていた時期がある。

せっかくだし、とサーフィンに挑戦してみた。
しかし、これが想像以上にハードだった。

パドリングがしんどい。

波も高い!

「これは私には無理だ」

と悟った。


その後は、オーストラリアといえば……ということでスキューバダイビングにも挑戦。

こちらはかなり楽しかった。

私はそのままどっぷりハマり、勢いでレスキューダイバーのライセンスまで取得した。

「このままダイブマスターまでいっちゃう?」

そんな流れになりかけたのだが、残念ながら途中でお金が尽きた。


帰国後、ダイビングショップの面接まで受け、採用もいただいたのだが、なぜか私は断ってしまった。

今思えば、

「海の中で人の命を預かる」

ということが急に怖くなったのだと思う。

結婚して今は海からかなり遠い場所に住んでいるが、それでも私は年に数回は海へ行く。

そんな私の趣味。

それがSUPだ。

最近はかなり知名度も上がったので、説明しなくても伝わるようになったSUP。

でも、私が始めた7年くらい前は、まだそこまで一般的ではなかった気がする。


きっかけはInstagramだった。

沖縄の離島。

透き通った海。

綺麗な景色の中で、ボードの上に立つ女性。


「なんだこれ?」

それが私とSUPの最初の出会いだった。


調べてみると、兵庫県でも体験できるらしい。

やってみたい!!

そう思った。

でも、ひとりで行く勇気はちょっとなかった。


そこで当時、小学6年生だった次男を誘ってみた。

「学校の代休、SUP行かへん?」

運動好き男子は当然食いついた。

こうして、小6男子と母による初SUP体験が決まった。


優しいインストラクターのお姉さんに教えてもらいながら、恐る恐る海へ。

すると、次男も私も意外と普通に乗れた。

その日は海のコンディションも穏やかで、風もほとんどなかったからかもしれないが。


でも、その「乗れた」という成功体験が大きかった。

しかも簡単に!ここ大事。

私は一気にSUPにハマった。

それからは長男を誘ったり、夫を誘ったりしながら海へ通うようになった。

とはいえ、子どもたちはサッカーで忙しい。

夫は海にそこまで強い情熱があるタイプではないので、来てはくれるが積極的ではない。


「SUP仲間がいたらなあ」


そんなことを思っていた時、海で同じような女性・Mさんと出会った。

なんという偶然。神様ありがとう!!


お互いにSUPしたいけれど仲間がいなかった私たちはすぐに意気投合した。

以来、一緒にSUPを漕いだり、SUPヨガをしたりしながら海時間を楽しんでいる。

たまに夫を誘うこともあるが……。

たまに。


SUPにはレースなんてものもある。

私たちも最初の頃は誘われたりもした。
でも、私は昔から競争にまったく興味がない。
しんどいことを頑張れないタイプだし。

Mさんもレースにはあまり興味がないらしい。


私たちは、

「海の上でゆっくりしたい」

派なのだ。


少し漕いで、ぷかぷか浮かんで、だらーっとする。

太陽の光。
潮風の匂い。

それだけでなんだか癒される。
日焼けには厳重注意だが。

SUPは海だけではなく、湖や川でも楽しめる。
だから最近は、

「ここでSUPしたら気持ちよさそう」

そんな景色を探しては、ふたりでワクワクしている。

40代後半。

若い頃みたいな底なしの体力はもうない。
海に浮かびながら、ぼーっと風を感じる。
今の私が海でできる最高の贅沢だ。  

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