Excelで資金繰り表を作る方法|月別の収入・支出から繰越残高を自動計算し資金ショートを防ぐ無料テンプレ付き
「来月お金が回るか読めない」「気づいたら口座が危ない」——フリーランス・個人事業・ひとり社長でいちばん怖いのが資金繰りです。この記事では、Excelの標準機能(関数)だけで、月別に収入・支出を入れるだけで、収支・翌月への繰越残高を自動で出し、残高がマイナスになる月を先に警告する資金繰り表を、コピペで使える数式付きで解説します。専用ソフトは要りません。

この記事でできるようになること
月ごとの「収支(収入−支出)」を自動で出す
前月の残高を引き継いで「翌月繰越(残高)」を自動で出す
残高がマイナスになる月に「⚠資金ショート」と先に警告する
そもそも資金繰り表とは(利益とは別物)
資金繰り表は「実際に手元のお金がいくら残るか」を月ごとに追う表です。売上(利益)が出ていても、入金が遅れて支払いが先に来ると、手元の現金が尽きる——これが「黒字倒産」です。利益ではなく現金の動きを先読みするのが資金繰り表の役割です。
ステップ1:収支(収入−支出)を出す
その月の収入から支出を引きます。空欄を0として扱うために `N()` を使います。
収支 :=N(収入)-N(支出)`N()` は「数値ならその値、空欄なら0」を返す関数です。まだ入れていない月でもエラーになりません。
ステップ2:翌月繰越(残高)を出す
「前月から繰り越したお金 + その月の収支」が、翌月に繰り越す残高です。
翌月繰越 :=N(前月繰越)+N(収支)ステップ3:前月繰越を自動で引き継ぐ
ここがポイントです。その月の「前月繰越」は、前の月の「翌月繰越」と同じ。だから前月のセルを参照するだけで、残高が自動でつながっていきます。
1月の前月繰越 :=期首残高(いま手元にある現預金)
2月の前月繰越 :=1月の翌月繰越
3月の前月繰越 :=2月の翌月繰越
(以降おなじ)これで、1か所直すと下の月まで残高が全部つながって計算し直されます。
ステップ4:資金ショートを先に警告する(IF)
翌月繰越(残高)がマイナスになる月を、自動で目立たせます。
=IF(翌月繰越<0,"⚠資金ショート","")「残高がマイナスなら『⚠資金ショート』」という意味です。見込みの数字を先に入れておけば、何か月も前に"危ない月"が分かるので、入金を早める・支払いを遅らせる・借入を準備する、といった手が打てます。
作る時間が惜しい人へ
ここまでの数式を全部組み込んだ完成テンプレートを用意しました。期首残高を入れ、各月の収入・支出(見込み/実績)を入れるだけで、収支・繰越残高・資金ショート警告まで自動で出ます。
収支・翌月繰越(残高)を自動計算、前月からの繰越も自動で連動
残高がマイナスになる月に「⚠資金ショート」を自動アラート
年間の収入・支出・収支も自動集計
「使い方」シート付き/数式は検証済みでエラーゼロ
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🛡 返金可:ダウンロードして合わなければ返金できます(noteの返金機能)。安心してお試しください。
※将来の数字は見込みです。実績が出たら上書きして、こまめに更新すると精度が上がります。
👉 テンプレはこの下のダウンロードから(このページの解説はすべて無料です)。
■ 資金繰り表は「利益の表」ではありません
損益計算書は「儲かったか」を見る表です。資金繰り表は「お金が足りるか」を見る表です。
この2つは、まったく別の動きをします。
たとえば3月に100万円の仕事を納品して、入金が5月末だとします。
利益の上では3月に100万円の売上が立ちます。しかし手元のお金は3月も4月も1円も増えません。その間にも家賃と給料は出ていきます。
「黒字なのにお金が無い」は、この時間差から生まれます。
■ 見るのは「月末残高」の一行だけです
資金繰り表には、たくさんの行が並びます。しかし判断に使う行はひとつです。
前月末の残高 + その月の入金 − その月の支払 = 月末残高
この行が、どの月でマイナスに近づくかだけを見ます。
金額の精度は後回しでかまいません。「何月が細くなるか」が分かれば、その2か月前から手を打てます。
■ 事故は「毎月ではない支出」で起きます
家賃・給料・仕入のように毎月出ていくものは、忘れません。
資金繰りが詰まるのは、たいてい次のような支出です。
・賞与
・税金の納付
・社会保険料の年度更新
・年払いの保険料・リース料・システム利用料
・車検、機械の入れ替え
これらは金額が大きいわりに、月次の感覚から抜け落ちます。
先に年間のカレンダーへ置いてから、毎月の出入りを埋めてください。順番が逆だと、大きい支出のほうが必ず後回しになります。
■ 入金と支払の「サイト」を書き出す
取引先ごとに、次の2つを一度だけ調べて、表に書き込んでください。
・入金サイト … 締め日と、入金される日(例:月末締め・翌々月10日)
・支払サイト … 締め日と、支払う日(例:20日締め・翌月末)
入金より支払が先に来る取引が多いほど、手元のお金は薄くなります。
売上が増えるほど苦しくなるのは、この形になっているときです。増えた売上の分だけ、先に仕入れの支払が出ていくからです。
■ 3か月先まで入れれば十分です
半年、1年と伸ばしても、精度が落ちて更新が止まります。
3か月先までを、月に1回だけ更新するのが、いちばん続きます。
・今月 … 実績を入れる
・翌月 … 確定している入金と支払を入れる
・翌々月 … 見込みでよい
■ この表で何が決められるか
月末残高が細くなる月が先に見えると、打てる手が変わります。
・借入の相談を、資金が減る前に持ち込める(減ってからでは条件が悪くなります)
・大きい買い物を、1か月ずらせる
・入金の早い仕事を、先に取りにいける
数字が出てから動くのではなく、数字が出る前に動くための表です。
■ この表があると、何が変わるか
いまは、こう判断していないでしょうか。
・口座の残高を見て、なんとなく「まだ大丈夫」と思っている
・支払いが重なった月に、そうなってから気づく
・借入の相談は、資金が細くなってから行く
この表を1回作ると、判断の順番が入れ替わります。
・3か月先の月末残高が、数字で出る
・いちばん細くなる月が、その2か月前に分かる
・「大きい買い物を1か月ずらす」「入金の早い仕事を先に取る」「借入を早めに相談する」が、まだ選べるうちに決められる
資金繰りで詰まるのは、お金が無いからではありません。無くなることに気づくのが遅いからです。
この表が変えるのは、金額そのものではなく、気づく時期です。
■ 残高が細くなる月が見えたら、次にやること
資金繰り表は「何月が細くなるか」を出す表です。見えたあとの打ち手は、2つに分かれます。
ひとつは、借りるかどうかの判断です。
Excelで借入返済計画表を作る方法(税込¥300)
https://note.com/nagi_0606/n/n6ecceb797f43
元金と利息の内訳、据置期間が明けたときの段差まで並べます。返済のうち経費になるのは利息だけなので、元金は税引後の利益から出ていきます。
もうひとつは、そもそもいくら売れば足りるのかです。
Excelで損益分岐点を計算する方法(税込¥300)
https://note.com/nagi_0606/n/na95004272e84
固定費と変動費率から、黒字になる売上高が出ます。人を1人増やしたときに、あといくら売ればいいかも計算できます。
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