勤怠・有給管理はExcelのままでいい?システム化を判断する5つのライン
「勤怠も有給もExcelで管理しているけど、正直そろそろキツい」
「システムを入れた方がいいと言われるけど、うちの規模で必要なのか分からない」
小さな会社の労務担当者から、いちばん多い悩みです。
この記事では、Excelで続けていい会社と、そろそろ限界の会社を分ける5つのラインを整理します。営業目的で「システムを入れましょう」と言うつもりはありません。むしろ、Excelで十分なケースを先に書きます。
先に結論:Excelで十分な会社の条件
次のすべてに当てはまるなら、**Excelで問題ありません。**無理にシステムを入れる必要はないです。
・従業員が10人以下
・勤務形態がほぼ全員同じ(フルタイム中心、変形労働時間制なし)
・有給を取りやすい雰囲気があり、年5日は自然に消化できている
・給与計算を自社でやっており、転記の手間が苦にならない
・直行直帰・在宅・複数拠点がない
このタイプの会社では、システムの月額費用のほうが、削減できる時間より高くつくことがよくあります。**この記事の下のほうで、無料のExcelテンプレを紹介しています。**まずはそれで十分です。
では、どこからが「限界」なのか。
ライン① 従業員が10人を超えた
Excelの限界は、**人数そのものより「例外の数」**で来ます。
人が増えると、時短勤務・パート・シフト制・中途入社が混ざります。すると1つの表で処理できなくなり、人によってシートを分ける → 集計できない → 手作業で合算という悪循環が始まります。
目安として、従業員10人・雇用形態3種類を超えたあたりから、Excelの管理コストが急に跳ね上がります。
ライン② 年5日の有給取得義務を、確実に追えていない
ここは法的リスクなので、他と重みが違います。
2019年4月から、年10日以上の有給が付与される労働者には、年5日を確実に取得させることが、すべての企業に義務付けられました(労働基準法第39条第7項)。
そして違反した場合、30万円以下の罰金が科されます(同法第120条)。
さらに重要なのは、この違反は「労働者ごとに」成立すると考えられていることです。つまり対象者が10人いて全員未達なら、理屈のうえでは罰金が10人分積み上がる計算になります。
Excelでも管理はできます。ただし、
・入社日ごとに基準日がバラバラ
・途中入社・パートからの切り替えで付与日数が変わる
・「今、あと何日取らせる必要があるか」が一目で出ない
この状態だと、気づいたときには期限が過ぎているという事故が起きます。残日数と期限が自動で出ない管理をしているなら、ここは早めに手を打つべきです。
※制度の詳細は厚生労働省の資料および社会保険労務士にご確認ください。
ライン③ 打刻が自己申告になっている
タイムカードやExcelへの自己申告は、**「あとから書ける」**という弱点があります。
労働時間は客観的に把握することが求められており、残業代の未払いを争われたとき、自己申告ベースの記録は会社側の証拠として弱くなりがちです。
・直行直帰がある
・在宅勤務がある
・残業が常態化している
このいずれかがあるなら、打刻の客観性は優先度の高い課題です。
ライン④ 法改正のたびに、表を作り直している
労務のルールは変わります。有給の義務化、割増率の変更、保存期間の変更。そのたびにExcelの数式を直しているなら、その改修時間そのものがコストです。
そして怖いのは、改正に気づかないまま古い数式で計算し続けることです。Excelは、間違っていても何も言ってくれません。
ライン⑤ 勤怠 → 給与で、同じ数字を二度入力している
いちばん見落とされがちで、いちばん時間を食っているのがこれです。
勤怠表で集計した残業時間を、給与ソフトに手入力し直していませんか。この二度手間は、毎月必ず発生し、しかも転記ミスが給与の誤りに直結します。
月に2〜3時間かかっているなら、年間で24〜36時間。ここが、システム化の費用対効果がいちばん出やすいポイントです。
判断のしかた:時間をお金に換算する
「システムは高い」と感じるときは、今かかっている時間を時給換算してみてください。
毎月の勤怠・有給の作業時間 × 担当者の時給 = 今払っている見えないコスト
例えば毎月5時間・時給2,000円なら、月1万円を人件費として払っていることになります。これがシステムの月額を上回るなら、入れたほうが安い。下回るなら、Excelのままでいい。
「なんとなく高そう」ではなく、この計算で決めてください。
それでも、まずはExcelを整えるのが先です
システムの検討をする場合でも、**今の管理がぐちゃぐちゃなままだと、移行そのものが失敗します。**まずは手元の管理を、計算が自動で出る状態にしておくのが順序です。
凪では、入力するだけで自動計算されるExcelテンプレをすべて無料で配布しています。有給の付与日数・残日数・年5日の取得義務の達成状況も自動で出ます。
https://note.com/nagi_0606/n/nda3704ed5b93
まずはここを整えて、それでも回らなくなったときが、システムを検討するタイミングです。
まとめ:5つのラインのうち、いくつ当てはまりましたか
□ ① 従業員10人・雇用形態3種類を超えた
□ ② 年5日の有給取得義務を確実に追えていない
□ ③ 打刻が自己申告になっている
□ ④ 法改正のたびに表を作り直している
□ ⑤ 勤怠から給与へ二度入力している
0〜1個 … Excelで十分です。上の無料テンプレをどうぞ。
2〜3個 … 危険信号。まず②(法的リスク)から手を当ててください。
4個以上 … Excelの限界です。システム化の検討を強くおすすめします。
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