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暁美ほむらはなぜあそこまでクールで強くなれたのか——内向型という性質から考える彼女の変化

先日公開された劇場版〈ワルプルギスの廻天〉をきっかけに、テレビシリーズを久しぶりに見返した。

リアタイしていた当時は、自分の精神的未熟さも相まって、暁美ほむらというキャラクターを「クールでかっこいい転校生」くらいの感覚で見ていたように思う。

だが今回見返してみて、印象がずいぶん変わった。


過去の同じ場面を、頭の中で何度も再生してしまうことがある。
あの時ああ言えばよかった、あの選択をしなければよかった。
何度も思い出しているうちに、最初は苦しかったはずのその記憶が、いつの間にか感情を伴わずに再生できるようになっていることに気づいたことはないだろうか。

暁美ほむらは、この感覚を極限まで押し進めた人物だと感じている。
同じ時間を何度も繰り返しながら、最初は震えていた少女から、誰も寄せつけないほど強くクールな人物へと変わっていった。
今回は、内向型という視点から、彼女の変化を性格分析として読み解いていく。

ループ前の暁美ほむら

まず押さえておきたいのは、暁美ほむらが最初からクールで強い人物だったわけではないということだ。

作中の設定では、彼女はもともと体が弱く、人と関わることが得意ではない少女として描かれている。転校先の学校にもうまくなじめず、心を閉ざしていた時期があったとされている。

つまり彼女の出発点は、人付き合いに疲れやすく、集団の中で居場所を見つけにくいタイプの人物だったであろうということだ。

ここに、内向型の人にとって覚えのある感覚が重なる。人と一緒にいること自体が負担になり、うまく振る舞えない自分を責めてしまう感覚だ。

10話の印象的な部分であったが、久々に見た時は、すでに強くなった後のほむらしかほぼ印象に残っていなかった気がする。

見返してようやく、彼女の出発点がどれほど弱かったかについて思いを巡らすに至った。

ループが彼女に与えたもの

物語の中で彼女は、同じ期間を何十回、何百回と繰り返すことになる。目的はただひとつ、大切な人を守ることだ。

コントロールされたストレスに繰り返しさらされることで対処能力が高まっていく、という考え方がある。
ストレス免疫理論と呼ばれる枠組みで、少しずつ負荷に慣らしていくことで、本番の場面でも冷静さを保ちやすくなるとされている。
ほむらが繰り返した時間は、これを極端な形でなぞっているように見える。正確な回数は作中で明言されているわけではないが、相当な回数であることは間違いなさそうだ。

そして、このループは、失敗するたびに大切な人を失うという過酷な繰り返しだった。

だからこそ彼女は、単に慣れただけでなく、感情の使い方そのものを変えていくことになったのだと思う。

クールさの正体

繰り返しの中で、彼女は次第に感情を表に出さなくなっていく。
作中の考察でもよく語られているのが、目的をひとつに絞り込んだ結果、それ以外の関係を切り捨てるようになったという見方だ。
他の魔法少女に対して距離を置き、時には突き放すような態度を取るようになる。

つらい出来事を繰り返し経験すると、感情の反応そのものが鈍くなっていく現象が知られている。
加えて、出来事を一歩引いた視点で捉え直す認知的な距離の取り方も、感情のコントロールに役立つことが示されている。
ほむらのクールさは、感情がなくなったというより、感情の出し方を意図的に制限するようになった結果だと捉えることができる。

ただ、今回見返して気づいたことがもうひとつある。
彼女が姿がドジな少女から優等生、さらに悪魔へと変わっても、人との距離の取り方の不器用さだけは最後まで変わらなかったのではないだろうか。

壁を作り、言葉が足りず、周囲から誤解される。

この部分は、クールになった後もずっと残り続けていたと感じる。

彼女の変化は、性格そのものの入れ替えというより、もともと持っていた不器用さの上に、クールに振る舞うための鎧を重ねていっただけだったのではないかと思う。

内向型の話に戻すと、内向型の人は関心やエネルギーを広く浅く使うより、少数の対象に深く注ぐ傾向があるとされている。

ほむらが最終的にひとつの目的だけにすべてを注ぐようになった流れは、この傾向が極端な形で表れたものとして読むこともできる。

「やり直せる」という前提の光と影

ほむらの世界には、失敗してもやり直せるという前提がある。
この前提が、彼女から失敗への恐れを取り除いていったと考えられる。

実際、失敗が取り返しのつかないものではないと感じられる状況は、挑戦への心理的な負担を軽くすることが知られている。安心して試行錯誤できる環境は、成長や学習にとって重要な条件のひとつだ。

ただ、現実の私たちには、時間を巻き戻す力はない。

ほむらの強さを支えたリセットという仕組みは、フィクションだからこそ成立する条件であることは、きちんと押さえておきたい。

その代わりに私たちの手元にあるのは、同じ場面を頭の中で何度も再生してしまう反すう思考だと思う。ほむらのループが物語の中で果たした役割を、私たちは頭の中だけで繰り返している、と言い換えてもいいかもしれない。

内向型が反芻思考とどう付き合うか

ただし、この頭の中のループは、やり直しにはならず、消耗を重ねるだけになってしまうことも少なくない。考え続けること自体を止めようとするより、考える時間と範囲を区切るほうが効果的だとされている。具体的には、次のような方法が紹介されている。

  • 考える時間をあらかじめ決めておき、それ以外の時間に思い出しても後回しにする

  • 頭の中だけで再生するのではなく、紙やメモアプリに書き出して外に出す

  • 同じ出来事を、感情の面からではなく状況の経緯として淡々と書き直してみる

  • 繰り返し思い出してしまう場面について、次にどう動くかをあらかじめひとつだけ決めておく

ほむらが目的をひとつに絞ることで感情の消耗を抑えていったように、反すう思考も、扱う範囲を絞ることで消耗を減らせる可能性がある。

すべてを断ち切る必要はなく、範囲を決めるだけでも、頭の中で再生する回数は変わってくるのではないだろうか。

まとめ

暁美ほむらの強さは、生まれ持った性格ではなく、繰り返しの中で作られていったものだった。

もともと人付き合いが得意ではなかった少女が、目的をひとつに絞り込み、感情の出し方をコントロールできるようになっていく過程は、内向型が負荷の多い環境の中で身につけていく適応の仕方と、どこか重なる部分があるように感じている。

見返す前と後で、ほむらに対する印象はずいぶん変わった。

強くなったように見えても、根っこの不器用さは変わっていない。
繰り返し思い出してしまう自分を責める前に、その癖をどう扱うかを一度考えてみるのも良いかもしれない。


内向型・繊細な気質を持つ人が消耗しすぎずに生き延びるための情報を、当事者目線で発信しています。社労士(有資格者)・キャリアコンサルタントとしての知見も交えながら書いています。
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