大学教員の面接。部屋に入ったら、面接官が8人いた。
大学教員の公募に3校応募して、書類選考を通過したのは1校だけでした。
ある日、その大学から電話がかかってきます。
「書類審査を通過しました。1週間後のこの日に面接ですが、来られますか?」
え、1週間後?
大学教員の面接なんて、もちろん初めてです。
どんなことを聞かれるのか。
何を準備すればいいのか。
よく分からないまま、とにかく急いで準備を始めました。
面接室に入ったら、8人いた
当日。
面接室に入って、まず驚きました。
面接官が8人いました。
多い。
前のほうには、見るからに大学の偉い人。
その後ろには、学部長、学科長、教員、事務局の責任者。
初めて大学教員の面接を受ける私には、なかなかの光景です。
最初の自己紹介では、自分でも分かるくらい声が震えていました。
面接は1時間。しかも模擬授業がある
面接時間は約1時間でした。
最初の15分ほどが自己紹介と模擬授業。
そのあと約45分が質疑応答です。
会社員の転職面接と大きく違ったのは、やはり模擬授業でした。
考えてみれば、大学教員を採用するのですから、「実際に授業ができるのか」を確認するのは当然です。
ただし、相手は学生ではありません。
面接官8人の前で授業をします。
しかも全員、大学関係者。
学生相手とは別の意味で、かなりやりにくい15分でした。
「事業計画の授業を、どう教えますか?」
質疑応答では、志望動機や実務経験、担当予定の授業などについて聞かれました。
その中で覚えているのが、
「事業計画の授業を担当する予定ですが、どのように教えますか?」
という質問です。
私は、学生には「数字を分解して考えること」を伝えたい、と答えました。
たとえば、
「売上を上げましょう」
だけではなく、
売上=客数×客単価
と分けて考える。
客数を増やすには何をするのか。
客単価を上げるには何をするのか。
数字を分解して、それぞれに対する施策を考える。
そんな授業をしたい、と説明しました。
もう一つ伝えたのが、
学生の理解度に合わせて教えることが大切だと思っている
ということです。
専門知識をたくさん話すよりも、学生が理解できる形にして伝える。
これは実際に大学教員になった今でも、かなり意識しています。
大学で教えた経験はなかった
ただ、当時の私には大学で教えた経験がありませんでした。
そこで面接で話したのが、会社員時代の人材育成の経験です。
管理職になると、自分の仕事だけをしていればいいわけではありません。
部下に仕事を教える。
できるようになるまでフォローする。
相手によって説明の仕方を変える。
教育そのものを仕事にしてきたわけではないけれど、人に教えたり、人を育てたりする経験はしてきた。
そこを大学教育につながる経験として説明しました。
もちろん、
「管理職をやっていたから、大学でも教えられる」
という単純な話ではありません。
ただ、大学での教育経験がなかった私の場合、それまでの会社員経験と大学教育をどうつなげて説明するかは、かなり重要だったと思います。
面接対策は、かなり真面目にやった
面接前には、その大学についてかなり調べました。
大学の沿革。
学園の歴史。
教育方針。
どんな学生を育てようとしているのか。
大学のトップがどんな考えを持っているのか。
ホームページなどを読み込んで、聞かれそうな質問には答えられるようにしていました。
なので質疑応答では、それなりに**「面接用の模範解答」**ができていたと思います。
ところが、最後に想定外の展開になりました。
なぜか最後に、投資の話を5分くらい熱弁した
当時の私は、仕事をかなりセーブしている時期でした。
そのあたりの話から、なぜか投資の話になりました。
ここまでは、
「大学教員の面接なら、こう答えるのがいいだろう」
と考えながら話していました。
ところが投資の話になった瞬間、普段自分が考えていることをそのまま話し始めてしまいました。
気づけば、
自分の投資観を5分くらい熱弁していました。
今考えると、結構リスキーです。
せっかくここまで無難に答えてきたのに、最後になって急に素の自分が出ています。
でも話を聞いた大学側の方から、
「そういう話をすると、学生はとても喜ぶと思う」
という趣旨の言葉をもらいました。
結果論ですが、ここはむしろプラスに働いたのかもしれません。
準備してきたきれいな回答よりも、
「この人が実際に学生の前で何を話すのか」
が伝わった気がします。
「これは受かった」と思った。でも連絡が来ない
面接が終わったとき、私はかなり手応えを感じていました。
「これは受かったんじゃないか」
と思っていました。
さらに帰り際には、
「今日中には連絡できると思います」
という話までありました。
ところが。
その日、連絡なし。
翌日もなし。
数日経ってもなし。
そして、1週間近く経ちました。
あれ? 落ちた?
面接直後にあった自信は、すっかりなくなっていました。
そんなころ、大学から電話がかかってきます。
「内定のお知らせです」
ようやく、大学教員になることが現実味を帯びてきました。
振り返ってみると、面接前に一生懸命準備したことはもちろん大切だったと思います。
ただ、採用につながった理由の一つは、最後に思わず話してしまった投資の話だったのかもしれません。
用意してきた答えより、その人が実際に学生の前で何を話せるのか。
大学教員の面接では、そんなところも見られていたのかな、と今になって思います。
大学教員の求人をどこで見つけたのかについては、こちらの記事に書いています。
会社員から大学教員になって気づいたことや、授業・学生・研究室での日常を「なりたて目線」で書いています。
興味を持っていただけたら、フォローしてもらえるとうれしいです。
