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ELDEN RING TRPGリプレイ⑭

こんにちは。平田です。

こちらは私のnoteで掲載している、ぶんきちさんのTRPGシステムを元にした「大記憶超汎用型AITRPG」システムを使用したTRPGのリプレイです。

前書き


本編開始

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第1ターン】

【ユーザーの入力】 (セッション開始:導入)

【AIの出力】 ゴオォォォン、と。 巨大な重力機関の唸りが、足元の石造りの甲板を微かに震わせていた。

見上げれば、空はもはや空ではない。
毒々しいまでに深く、おぞましい朱色。世界を覆い尽くしていた黄金の光は、シルヴィアたちが放った『対黄金樹・星律超新星着火主砲』の神涜的な熱量に食い破られ、無残に炭化していく黒い脈へと姿を変えていた。
ジュッ……と、シルヴィアの頬に何かが触れて消える。
それは雪ではない。空からとめどなく降り注ぐのは、黄金と灰が混ざり合った、巨大な燃え殻だ。肺を焼くような乾いた熱気と、神の木が燃え落ちる甘ったるい死の匂いが、風に乗って軌道要塞の甲板を吹き抜けていく。

「……」

シルヴィアの右手を、冷たい手が、すがるように強く握りしめていた。 メリナだ。
本来ならば自らの身を火の釜に投げ打ち、黄金樹を焼くための「薪」として消え去るはずだった少女。しかし今、彼女は確かに生きた肉体のまま甲板に立ち、燃え落ちる神の木を呆然と見上げていた。その瞳からは、止めどなく大粒の涙が溢れ、シルヴィアの手の甲を濡らしている。
運命を強引に奪われた喪失感か、それとも、生きたまま王道を見届けることができる救済の涙か。彼女はただ、震える声で小さく息を吐いた。

「……私の、ただ一人の王……」

その横で、背後からシルヴィアの腰に、しなやかな腕が回される。
魔女セレンだ。彼女の豊かな胸が背中に押し付けられ、耳元で甘く、狂おしいほど熱を帯びた吐息が囁かれた。

「あぁ……なんという、途方もない大逆か。……お前という奴は、本当に、度し難いほどの強欲だよ、私の伴侶。神の理すらもへし折り、誰一人失わずに、この炎を上げるなどと……」

セレンの声は、冷徹な魔女のそれではない。シルヴィアへの絶対的な信頼と、極上の歓喜に完全に理性を溶かされた響きだった。
懐の中では、小さなラニの人形が「……まったく、そなたのその宿命を縛る不条理なエゴ、本当に退屈しないな」と、呆れたような、しかしどこか安堵したような声で呟く。

頭上では、自動採集人形兵『レアルカリアの惑星』が、異常な熱源に反応してピピピと忙しなく明滅していた。
巨大な操舵輪の前に立つバルトが、降り注ぐ灰を大盾で払いながら、鉄兜の奥から熱い鼻息を噴き出す。

「がははは! ボス! これで道は開いたんだな!? 次はどこへ向かう! 黄金樹の根元か!?」

眼下の雲海の向こうには、かつて美しかった王都ローデイルが、降り積もる灰によって一面の死の世界——『灰都』へと変貌しつつあるのが見下ろせる。あの中に、エルデの玉座へ至る道があるはずだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第2ターン】

【ユーザーの入力】
(う...うわぁ..!やば...。これ、絶対やばいやつ...。こんな威力があるなんて...!正直、私が全力を出してもここまでは遠く及ばないわ...!)
『呆然と王都を見つめて、自分が作り出してしまった兵器に身震いするが、自分でも怖いと言える雰囲気ではないので、自重する』
「メリナ。あんたの使命は、ここに果たされたわ...。もう、死ぬ理由はないわよね。これからは、自由に生きなさい。私たちは準備を整えたら、全てのケリをつけに、黄金樹に行くわ。行く当てがないなら、一緒に来る?とりあえずは黄金樹の根元に何があるかの情報収集と、私たちの戦力強化のために動くけど...」

【AIの出力】 眼下に広がる、すべてを灰に沈めていく終末の光景。 シルヴィアは呆然と王都を見つめ、微かに身震いした。
(うわぁ……やば……。こんな威力があるなんて……!
私が全力を出してもここまでは遠く及ばないわ……!)
内心では自作兵器のデタラメな破壊力に本気でドン引きしていたが、周囲の熱気と崇拝の眼差しを前に「怖い」と言える空気では到底ない。彼女は必死に威厳を取り繕い、冷徹な仮面を貼り直した。
……傍から見れば、それは「自らの手で神の理を破壊した覇王の、静かな武者震い」にしか見えなかった。

その横顔を見つめながら、メリナはシルヴィアの手を、そっと両手で包み込むように握り直す。

「メリナ。あんたの使命は、ここに果たされたわ……もう、死ぬ理由はないわよね」

シルヴィアの言葉に、彼女の肩が小さく跳ねた。

「これからは、自由に生きなさい。私たちは準備を整えたら、全てのケリをつけに、黄金樹に行くわ。行く当てがないなら、一緒に来る?」

その不器用で、ひどく強引な優しさに。 メリナは、初めて少女らしい、本当に柔らかで人間くさい微笑みを浮かべた。
彼女は濡れた瞳を伏せ、シルヴィアに向けて、騎士が主君に仕えるように深く頭を下げる。

「……ええ。行かせてください、シルヴィア」

メリナの平坦だった声には、確かな熱と、強い意志が宿っていた。

「私の使命は、確かに終わった。……だからこれからは、私自身の意志で。貴方が古い神を討ち、新しい星の世紀の王となる……その最後の瞬間を、一番近くで見届けたい。……私の、ただ一人の王として」

メリナの誓いを聞き届けたように、懐の中で小さなラニの人形が「……ふん、随分と忠実な娘を拾ったものだな」と、小さく鼻を鳴らす。

背後からシルヴィアを抱きしめているセレンは、冷たい頬を首筋にすり寄せながら、クスクスと妖艶に笑った。

「本当に、お前という奴は。……死にゆく定めの娘まで強引に手駒に加え、すべての運命を己の箱庭に囲い込もうとする。……それでいて、『情報収集と戦力強化』などと、小賢しく足場を固めることも忘れない」

セレンはシルヴィアの耳を軽く甘噛みし、嬉しそうに囁く。

「いいだろう、私の大軍師殿。神を殺すため、さらなる準備を整えようじゃないか。お前の知略の赴くままに」

その言葉に反応したように、巨大な操舵輪を握るバルトが豪快に笑い声を上げた。

「戦力強化だな、ボス! 情報収集ってことは、またどこかのバカでかい化け物のねぐらでも漁りに行くのか!?
それとも、あの気取った『円卓』の連中に、もう一度挨拶でもしに行くか!?」

頭上で『レアルカリアの惑星』がピピピと明滅し、次の命令を待っている。 要塞は、シルヴィアの指示一つでどこへでも飛翔できる状態だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第3ターン】

【ユーザーの入力】 「んっ...♡セレン!そういうのは二人きりの時だけにしなさい!」
『セレンに耳を甘噛みされて、体を震わせるが、気を取り直してメリナに宣言する』
「決まりね!これからはまたあんた私のルーンを力に変えなさい。自分でやるとなんか落ち着かなくて困ってたのよ。とりあえず、この近辺で未探索の場所を回って、ルーンを荒稼ぎして、遺物を手に入れるわよ!あとは、リムグレイブ、リエーニエ、ケイリッドを回ってみんなに心構えをしてもらいましょう。いきなり律が塗り替わることで、混乱する人もいるでしょうからね」
『周囲の未探索の地域へと要塞を出発させる』 【ルーンでCONを上げます】
「バルト...。あんた、好戦的すぎるわよ!戦っていいのは明らかに話の通じないやつか、攻撃してきたやつだけよ!まずは私が話してみるから、あんたはおとなしくしてなさい」
『甲板から老将に呼びかける』 「あなたー!ここらへんでお宝がある場所知ってる?知ってたら教えてほしいんだけどー!」

【AIの出力】 「んっ……♡ セレン! そういうのは二人きりの時だけにしなさい!」

シルヴィアが肩を震わせて抗議すると、セレンは「ふふっ……承知したよ、私の王」と妖艶に笑い、名残惜しそうに唇を離して一歩下がった。

気を取り直したシルヴィアが振り返ると、メリナが静かに控えている。 「決まりね!
これからはまたあんた、私のルーンを力に変えなさい。自分でやるとなんか落ち着かなくて困ってたのよ」
そのいささか強引で不器用な頼み方に、メリナは口元を柔らかく綻ばせた。

「……はい、我が王。貴方のルーンを、私の手で力に変えましょう」

メリナの冷たく透き通るような手がシルヴィアの手に重なる。蓄積されていた35,000のルーンが血肉へと還元され、身体の芯に確かな熱が宿った。筋繊維と骨格が極限まで引き締められ、並大抵の物理打撃ではびくともしない、強靭な肉体へと再構成されていく。

「とりあえず、この近辺で未探索の場所を回ってルーンを荒稼ぎして、遺物を手に入れるわよ!
あとは、リムグレイブ、リエーニエ、ケイリッドを回ってみんなに心構えをしてもらいましょう。いきなり律が塗り替わることで、混乱する人もいるでしょうからね」

「がははは! 了解だぜ、ボス!」

バルトが操舵輪を回し、軌道要塞は熱波の渦巻く火の釜から離脱。猛吹雪の吹き荒れる『巨人の山嶺』北部へと飛翔した。

やがて眼下の雪原に、冷たい氷に閉ざされた巨大な城塞——『ソールの城砦』が見えてくる。
頭上のセンサーが屋上の広間をロックオンし、そこに陣取る老将——『宿将ニアール』と二体の失地騎士の霊体を映し出した。
お宝センサーが、ニアールの背後に極めて強力な遺物(『聖樹の秘割符』)の反応を捉える。

「バルト……。あんた、好戦的すぎるわよ! 戦っていいのは明らかに話の通じないやつか、攻撃してきたやつだけよ!
まずは私が話してみるから、あんたはおとなしくしてなさい」

シルヴィアは甲板の縁まで進み出ると、眼下の屋上に向けてメガホンのように叫んだ。

「あなたー! ここらへんでお宝がある場所知ってる? 知ってたら教えてほしいんだけどー!」

猛吹雪を切り裂く能天気な声に、屋上で迎撃態勢をとっていたニアールと失地騎士たちは、文字通り硬直した。
神話的魔術の雨を覚悟していたところに、まさか空飛ぶ城から小娘がピクニック気分で声をかけてくるとは、歴戦の老将の経験則でも全く想定外の事態だった。

ニアールは困惑しながらも、義足の踵を石畳に打ち鳴らし、雷を纏った大矛を天へと突きつけた。

「……空を統べる覇王よ! 戯れ言を! 我らはソールの宿将ニアール! 主の魂なき遺骸と……この城に隠された『聖樹の秘割符』を死守する者!
欲しくば、我らを灰にしてから行くがいい!」

言葉は勇ましいが、攻撃は一切飛んでこない。 頭上を覆う要塞の質量と、シルヴィアの放つ覇王の威光に気圧され、問答無用に仕掛けることを躊躇っているのは明らかだった。

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【第4ターン】

【ユーザーの入力】
「え?いや...割符ってあれでしょ?昇降機を起動するやつでしょ。それしかないなら別にいらないわ。私たち飛べるし、聖樹にも用はないから!ありがとう!じゃあねー!」
『要塞を動かして、手を振ってその場から去る』

【AIの出力】 「え? いや……割符ってあれでしょ? 昇降機を起動するやつでしょ。それしかないなら別にいらないわ」

シルヴィアのその言葉に、眼下で雷の大矛を構えていたニアールと、背後の失地騎士たちの動きがピタリと止まった。

「私たち飛べるし、聖樹にも用はないから! ありがとう! じゃあねー!」

甲板から大きく手を振るシルヴィア。 ニアールは構えていた大矛をズルズルと力なく下げた。
兜の奥の老将の顔が、「えっ……いらんのか……?」と激しく困惑しているのが、上空からでも手に取るようにわかる。
彼らは死を覚悟してこの場を守っていた。だが、「自分たちは空を飛べるから、昇降機の起動キーなんぞ要らない」という身も蓋もない物理的理由によって、彼らの防衛の大義は空から一瞥で無効化されてしまったのだ。

「ぼ、ボス……行っちまうのか!?」 「当たり前よ! 用もないのにあんな雷オヤジと戦うメリットがないわ! 舵を切りなさい!」 「お、おう! 了解だぜ!」

ゴォォォォンッ! バルトが操舵輪を回すと、軌道要塞はソールの城砦に一切の爆撃を加えることなく、あっさりと機首を反転させた。
見下ろせば、雪原に取り残された老将ニアールが、何か言いたげに手を伸ばしかけ——やがて、深くため息をつくように大矛を地に突き立て、静かに天を仰ぐ姿が小さくなって消えていった。

「ふふっ……あはははは!」

背後で、セレンがついに堪えきれなくなったように妖艶な笑い声を上げた。

「神の遺物を『昇降機の鍵』と呼び捨てにし、飛べるから不要と素通りする。……お前という奴は、大いなる意志が定めたこの世界のルールを、一体どこまでコケにすれば気が済むのだ。……ああ、本当に痛快だよ、私の王」

ラニの人形もまた、「……防衛の騎士たちも哀れだな。そなたのような者に、大義を肩透かしにされるとはな」と、呆れ混じりの声を漏らす。

猛吹雪の『巨人の山嶺』を後にし、要塞は再び空の旅路へ戻った。 遥か遠く、黄金樹は未だに黒々とした煙を上げ、空を朱色に焦がし続けている。

「さて、ボス! さっき言ってた『みんなに心構えをさせる』ってのはどこから行くんだ!?」

バルトが操舵輪を握りながら尋ねてきた。

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【第5ターン】

【ユーザーの入力】
「んー...。まずはリムグレイブから行って、カーレに商人のネットワークを使って情報を広めてもらうわ。でも、まずはこの近くの探索を終えてからよ。焦ることはないからね。黄金樹の根元から何かが這い出して来るっていうんなら別だけど、そんな気配もないし」
『セレンの腕に抱き着いて外を眺めながら、探索を続行する』

【AIの出力】
「んー……。まずはリムグレイブから行って、カーレに商人のネットワークを使って情報を広めてもらうわ。でも、まずはこの近くの探索を終えてからよ。焦ることはないからね。黄金樹の根元から何かが這い出して来るっていうんなら別だけど、そんな気配もないし」

シルヴィアはセレンの腕に甘えるように抱きつき、外の銀世界を眺めながらそう告げた。

「がははは! 了解だぜ、ボス! それじゃあ、まずはこの辺りのお宝探しだな!」

バルトが操舵輪を回し、軌道要塞は『ソールの城砦』を後にして、夜の闇に包まれた巨人の山嶺の雪原をゆっくりと滑るように飛翔し始める。

『星見の廃墟』と呼ばれる切り立った崖の上空に差し掛かった時だった。

ピピピッ、ピピピピピピピッ!!!
頭上の『レアルカリアの惑星』が激しく明滅し、シルヴィアの研ぎ澄まされたお宝センサーが、眼下の雪原から立ち上る「莫大な富と未知の遺物」の匂いを強烈に嗅ぎ取った。

「……見つけたわね」

甲板から見下ろすと、夜の猛吹雪の中、不気味な青白い『霊炎』を撒き散らしながら徘徊する巨大な異形がいた。
神鳥の頭蓋骨を持ち、枯れ木のような貧相な胴体に不釣り合いな巨翼を生やしたアンデッドの怪鳥——『死儀礼の鳥』だ。
こいつの放つ魔力波長は凄まじい。倒せば77,000ルーンという桁違いの富と、あいつが握りしめている強力な遺物(死かき棒)が手に入るはずだった。

「おっ! ボス!」 それを見たバルトが、大剣を握りしめて兜の奥で目を輝かせる。 「あいつ、どう見ても『話の通じないやつ』だろ!? ぶっ飛ばしていいんだよな!?」

彼らは空飛ぶ要塞の存在にまだ気づいていない。
本来ならば雪原を歩く者を空から強襲してくる恐るべきハンターだが、この状況では、シルヴィアたちが完全な先制攻撃権を握っていた。

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【第6ターン】

【ユーザーの入力】 「そうよ!偉いわバルト!あれこそ話が通じない、ルーンにしていい敵よ!さぁ、突撃しなさい!」
『あえて甲板からバルトとともに飛び降りて、死儀礼の鳥にシルヴィアの輝石流星を放つ』
「この近くでまともに戦ったのが竜しかいないからね、ここの生き物がどれくらいの強さなのかの試金石にしてあげるわ!」

【AIの出力】 「そうよ! 偉いわバルト! あれこそ話が通じない、ルーンにしていい敵よ! さぁ、突撃しなさい!」

シルヴィアが甲板の縁に立って指を差すと、バルトは「がははは! 任せなボス!
俺が一番槍をもらうぜ!!」と大歓喜の雄叫びを上げ、分厚い装甲に身を包んだまま夜空へとダイブした。

「この近くでまともに戦ったのが竜しかいないからね、ここの生き物がどれくらいの強さなのかの試金石にしてあげるわ!」

シルヴィアも続いて身を投じる。
激しい風切り音が耳元を叩くが、即座に『星律飛翔』の術式を編み、自らの質量を相殺。空気を階段のように蹴りながら、バルトの真上を滑空する陣形を構築した。

眼下の雪原では、『死儀礼の鳥』が首を振っていた。
通常であれば空から獲物を強襲するハンターだが、遥か頭上から、神話級の質量と極限の魔力弾が一直線に降下してきていることにはまだ気づいていない。

「ハァァァァッ!!」

バルトが大剣を上段に構え、全体重と位置エネルギーを乗せた落下攻撃の態勢に入る。

同時に、シルヴィアは空を滑空しながら杖を振るった。
杖の先端から放たれた三つの『輝石流星』が、夜の闇に青い尾を引きながら、死儀礼の鳥の頭蓋骨へと吸い込まれるように加速していく。

完全に虚を突かれた怪鳥へ向けた、上空からの無慈悲な先制十字砲火だった。

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【第7ターン】

【ユーザーの入力】 判定1:10 判定2:53

【AIの出力】 闇を切り裂いて放たれた三つの『輝石流星』は、意思を持つ生き物のように急旋回すると、猛吹雪を加熱しながら集束した。

眼下で頭上を仰ぎ見ようとした死儀礼の鳥——その神鳥の頭蓋骨へ、過充填された魔力弾が寸分違わず直撃する。

ドォォォォンッ!

凄まじい青白い閃光が夜空を照らし出した。 頭部を直接爆破された怪鳥は、悲鳴を上げる隙すら与えられず、巨体を不格好に折り曲げて雪原へと叩きつけられる。

「死ねやぁぁぁッ!!」

そこへ、空中で彗星と化したバルトが、重装甲の全体重と位置エネルギーの全てを大剣に乗せて叩き落とされた。

バキガァァァンッ!!

打撃に脆い古びた骨の胴体に、数百キロの質量が叩きつけられる。
激しい物理衝撃波が雪原を円状に吹き飛ばし、死儀礼の鳥の肋骨がメリメリと派手に砕け散る重苦しい音が響き渡った。

「グガァァァァァッ……!?」

死の霊炎を撒き散らす間もなく、頭部を爆破され、胴体を叩き潰された怪鳥は、雪の中に深く沈み込んで身悶えした。
神鳥の頭蓋骨からは青い煙が立ち昇り、くの字に折れ曲がった巨体は完全に体勢を崩して大ダウンを晒している。

シルヴィアは『星律飛翔』の重力制御を用いて、舞い散る雪の中に優雅に着地した。足元に広がるのは、手も足も出ずに悶絶する強敵の姿だ。

「がははは! 聴いたかボス! メキメキって骨の砕けるいい音がしたぜ!」

バルトが大剣を死儀礼の鳥の首筋に突き立てたまま、兜の奥でニヤリと笑う。
山嶺の夜を支配していたトラウマ級の怪異は、一滴の血も流さぬ神速の連携により、指一本動かせぬまま、トドメの一撃を待つだけの的と化していた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第8ターン】

【ユーザーの入力】 「流石ね!そのまま抑えてなさい!」 『さらにもう一発、輝石縫針を詠唱し、致命傷を狙う』

【AIの出力】 「流石ね! そのまま抑えてなさい!」

「おうよボス! 逃がさねえぜ、こいつは俺ががっちりホールドしてるからな!」

バルトが大剣を怪鳥の翼の付け根へ深く突き立て、その頑強な足で神鳥の頭蓋骨を雪原へと力任せに踏みつけた。 「ギギィ、グガァァッ……!」
死儀礼の鳥は絶望的な身悶えを見せるが、金剛不壊の盾戦士の剛力を前に、その細い骨の身体は完全に雪の中に固定され、ピクリとも動くことができない。

シルヴィアは静かに、しかし流麗に杖を構えた。

杖の先端の輝石が、キィィィィン……という耳鳴りのような高周波の駆動音を奏でる。
シルヴィアの知力と精密な制御によって、魔力は極限まで細く、まるで金糸の縫針のように圧縮されていく。後方に充填された魔力推進薬が、爆発的な斥力を放とうと火花を散らした。

照準は、バルトの足元でひび割れ、無防備に晒された怪鳥の眉間。

「さあ……おとなしくルーンになりなさい」

空を焦がす黄金樹の赤い光の下、超長距離狙撃魔術『輝石縫針』が、至近距離からその脳天を貫こうと解き放たれる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第9ターン】

【ユーザーの入力】 判定1:54

【AIの出力】 キィィィィン……と、極限まで張り詰めた駆動音が臨界に達した瞬間。

杖の先から、音速を遥かに超越した極細の魔力の光糸——『輝石縫針』が撃ち出された。

寸分違わぬ精密さで、バルトの足元に抑え込まれた怪鳥の眉間、ひび割れた骸骨の中心へと光が突き刺さる。

シュンッ……!

あまりの速度ゆえに、着弾の物理的な爆発音すらなかった。 だが、脳天を完全に射抜かれた死儀礼の鳥の巨体が、その直後、ビクリと不自然に硬直した。
眉間に穿たれた極小の穴から、青白い星律の魔力が急速に逆流し、怪鳥の内部で超重力爆縮を引き起こす。

バキバキ、バキバキバキバキッ!!!

一滴の血すら流すことなく、死儀礼の鳥の強靭な巨躯は、内側へと歪にねじ切れ、ひしゃげていく。
次の瞬間、夜の吹雪を吸い込むように怪鳥の全身が弾け飛び、それは不気味な骨の残骸ではなく、眩いばかりの黄金の粒子——77,000ルーンという凄まじい富の奔流となって、シルヴィアの身体へと一気に吸い込まれていった。

「う、うおぉ……! すげえ、すげえぜボス! あんなデカい化け物が、文字通り塵になっちまいやがった!!」

バルトが大剣を構え直しながら、興奮の声を上げる。
吹雪が吹き荒れる雪原の上。怪鳥が消え去ったその足元に、一本の不気味な、ひしゃげた大鉄剣が突き刺さって残されていた。

独特な鉤爪の先端を持つ、錆びついた大剣——『死かき棒』だ。
鳥たちは墓所の火守りであり、霊炎の内から遺体の灰を掻き出すという。その鉤棒には、触れる者すべてを凍りつかせる霊炎の不吉な残滓が微かに揺らめいていた。

「お見事でした、シルヴィア」

いつの間にか、メリナが隣に静かに着地していた。

「これほどのルーン……貴方の肉体は、さらに強固なものとなるでしょう。……さあ、ルーンを力に。今度はどこを鍛えますか?」

手元に残された『死かき棒』と、懐に宿した77,000もの莫大なルーン。
巨人の山嶺の危険な怪異をノーダメージの秒殺で完封したシルヴィアは、さらなる力を手に入れる準備を整えていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第10ターン】

【ユーザーの入力】 「...ふう。ありがとう。今度もCONを強化するわ。一発攻撃を食らったら戦線離脱っていうのは卒業したいの」
『インベントリに死かき棒を入れて、更に近辺の探索を続ける』

【AIの出力】 「……ふう。ありがとう。今度もCONを強化するわ。一発攻撃を食らったら戦線離脱っていうのは卒業したいの」

シルヴィアの言葉に、メリナは深く頷き、その手をもう一度胸元へと当てた。
77,000のルーンの奔流が全身の筋肉、皮膚、骨の芯へと吸い込まれ、極限の頑強さへと再構成されていく。
お腹周りや二の腕に触れてみれば、まるで見えない鋼鉄のインナーを着込んだかのようにカチカチに引き締まっている。これならば、デミゴッドの直撃を食らおうとも平気な顔で立ち上がることができるだろう。

「ふふ、これでもう、私が前に出ても一撃で消し飛ぶようなことはないわね!」

満足そうにふんぞり返るシルヴィアに、バルトが「うおぉ!
ボス、鋼鉄のゴーレムみたいだ!」と絶賛を送り、セレンも「その引き締まった身体も、実によく似合っているよ」と腰のラインに細い指先を滑らせて微笑んだ。

死かき棒をインベントリへ収容し、要塞を前進させて『星見の廃墟』の上空へ。 雪を踏みしめながら廃墟の瓦礫の間を探索していると——。

ピピピッ、ピピピ……。 頭上の人形兵が、中央にある固く閉ざされた地下室の入り口の前で優しく点滅した。
そこには、ポツンと寂しそうに浮遊する一匹の小さな青い『霊クラゲ』がいた。

『……お姉ちゃん、どこにいっちゃったの……?』 『私、お姉ちゃんと約束したのに……。14歳になったら、一緒にお星様を見るって……』
『冷たいよ……お姉ちゃん……どこにいるの……?』

その言葉を聞いた瞬間、シルヴィアの懐にある『霊クラゲの遺灰(クララ+1)』が温かく明滅し始めた。

「クララ、もしかして……あんたの妹?」

胸元から青白い霊光が溢れ出し、温かい光を宿したクララが実体化した。 クララは目の前の小さなクラゲを見た瞬間、嬉しそうに触手を大きく揺らす。

『クラリス……! クラリス、私だよ! やっと会えた……!』 『お姉ちゃん……! お姉ちゃんなの!? 私、ずっとここで待ってたんだよ……!』

二匹の霊クラゲは身体を擦り寄せ、嬉しそうに夜の雪空を舞い始めた。
かつて命を落とし、別々の霊体となって彷徨っていた姉妹が、数百年という時を経て、シルヴィアの過保護な愛着によって奇跡の再会を果たしたのだ。

二匹はしばらく宙を舞った後、シルヴィアの前へと降りてきた。 お姉ちゃんクララが、愛らしくお辞儀をするように触手を揺らす。

『ありがとう、優しいお星様のご主人様。……私、もう寂しくないよ。クラリスと一緒に、お星様のところへ行くね』

二匹のクラゲは寄り添い合い、夜の星空へと吸い込まれるように美しく昇天していった。 同時に、地下室の入り口に張られていた青い魔力結界が砕け散る。
階段を降りて宝箱を開けると、そこには血濡れた古い一振りの輝石の刃——『原輝石の刃』が納められていた。

「ふむ……。これは、古き魔術師の源流の刃だね」

セレンがその刃を覗き込んで囁く。

「装備すれば、魔術と祈祷の消費魔力が劇的に減少する。引き換えに心臓を僅かに締め付ける呪いを持つが……極限まで鍛え上げられたお前の頑強な肉体なら、深呼吸一つでやり過ごせる程度の違和感にすぎないね」

「ふふ、これで私の魔術は、さらにデタラメに連射できるようになるわね!」

「さて、我が王。この冷たい山嶺でのお宝探しも満喫したようだね」 セレンがシルヴィアの腕に優しくしなだれかかる。
「そろそろ、最初の『心構え』をさせる挨拶回りの地……お前の大切な商人がいる、あの『リムグレイブ』へと要塞を進発させようじゃないか」

「ええ。行きましょう、シルヴィア」 メリナもまた、旅路を共に歩む決意を静かに示していた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第11ターン】

【ユーザーの入力】 (クララの人格は...遺灰にはいなくなってしまったのかしら。いえ、家族のもとにいけたなら、それが一番ね。ローデリカにも伝えないと...)
「行きましょうか。...しかし、まだまだ見つけていないお宝がたくさんあるんでしょうね。律を塗り替えたら、ゆっくり、根こそぎ私のものにしてあげなきゃ!」
『見渡せないほど広大な狭間の地を眺めながら、エレの教会に移動する』

【AIの出力】
「行きましょうか。……しかし、まだまだ見つけていないお宝がたくさんあるんでしょうね。律を塗り替えたら、ゆっくり、根こそぎ私のものにしてあげなきゃ!」

要塞の甲板から、猛吹雪の向こうに広がる広大な狭間の地を見下ろし、シルヴィアは高らかに強欲な宣言を放った。

「ふふっ……あははは! いいね、最高だよシルヴィア。新しき星の王は、世界中の遺物を我が物とする史上最大の略奪者でもあるわけだ」
セレンが背中にぴったりと寄り添い、その生気に満ちた野心を大絶賛して首筋に口付ける。
懐の中のラニも、「……全く。星の理を統べようというのに、その強欲さは一向に底が見えんな。……だが、黄金律の冷たい永遠よりは、余程退屈しなさそうだ」と、どこか楽しげに、深く安堵したような声を漏らした。

『原輝石の刃』を身につけると、呪われた刃の冷気が心臓を微かに締め付けたが、極限まで鍛え上げられた頑強な肉体にとっては、深呼吸一つでやり過ごせる程度の違和感にすぎない。むしろ、魔力の巡りが劇的に澄み渡る恩恵の方が遥かに大きかった。

「がははは! お宝探しの前に、まずはリムグレイブだな! しっかり掴まってなボス、全速前進だ!」

バルトの操舵により、軌道要塞は空を大きく旋回し、南の大地へ向けて一直線に飛翔を開始した。

眼下に流れる、広大な狭間の地。 アルター高原の黄金の台地を越え、霧の立ち込める湖のリエーニエを飛び越える。
拒絶の刺が根こそぎ焼き払われた影響で、ネットワークの源たる神の木は黒々と炭化し、空全体が毒々しい朱色に染まり切っていた。どこを飛んでいても、空からは終末の雪のように、黄金と灰が混ざった燃え殻が静かに降り注いでいる。

やがて要塞は、旅が始まった始まりの地——『リムグレイブ』の森の上空へと到達した。
森を巡回する兵士たちの頭には、しっかりと『星鏡の特製フード』が被せられている。彼らは空の異変に怯えながらも、精神干渉による発狂を免れ、ハイト砦を中心とした『シルヴィア派の陣地』を強固に守り抜いていた。

要塞は森を抜け、廃墟となった小さな教会——『エレの教会』の上空でピタリと停止した。
シルヴィアは『星律飛翔』を用いて、セレンたちと共に教会の石畳へとふわりと舞い降りる。

「……やれやれ。空が真っ赤に燃え上がり、灰が降ってきたと思えば……今度は空飛ぶ城のお出ましとはな」

教会の崩れた屋根の下。 焚き火の前に座る放浪商人カーレが、怯えるロバの首を撫でながら、呆れたような、しかしどこか嬉しそうな顔で出迎えた。
彼はシルヴィアが渡した特製フードを深く被っており、狂い火の宿命からも、黄金樹炎上によるパニックからも完全に保護されている。

「お嬢さん。……いや、もう『王』と呼ぶべきか? とんでもないことをやってのけたな。リムグレイブ中の放浪の民が、あの燃える大樹を見て腰を抜かしているよ」
カーレは立ち上がり、一族の代表として深く頭を下げた。

「だが、約束通り、俺のネットワークはすべてお前さんのために動いたぜ。……ほら、頼まれていた『10万ルーン分の極上品』だ。一族総出で、狭間の地の各地から集めてきた」

カーレが焚き火の奥から引っ張り出してきたのは、いくつもの重厚な木箱だった。
中には、最高純度の製法書、希少なクラフト素材の山、香辛料、保存食、さらには魔力を帯びた美しい『星雫の糸』の予備など、これからの旅とお宝探しを快適にする至高の物資がぎっしりと詰まっていた。

頭上の『レアルカリアの惑星』が、莫大な物資に反応してピピピピピ!と狂喜の明滅を繰り返す。

「これでお前さんは、名実ともに俺たちの一族の『最大の同盟者』だ。……で、これからどうするんだい?
律が塗り替わるってことは、この世界もただじゃ済まないんだろう?」

カーレが朱色に染まった空を見上げながら問いかけてきた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第12ターン】

【ユーザーの入力】
「え...ええ...?あいつら、自分のために使わなかったの...?まぁいいわ。ありがとう。カーレ。あと、律を塗り替えるのはラニだから、ラニが王よ!私が王ってことにされても面倒だから、それは徹底的に周知して。これから、死が正しく巡る世界がやってくるわ。正直、私もどうなるか完全に理解してるわけじゃない。でも、少なくとも今よりいい世界にはなるから、安心しなさい。ただ、混乱が起きることは必定よ。そのためには優れた情報網が必要!あんたたちのこと、頼りにしてるからね!」
『うきうきとした気分で10万ルーン分の物資を検分しながら、ご機嫌にカーレに話しかける』

【AIの出力】 「え……ええ……? あいつら、自分のために使わなかったの……? まぁいいわ。ありがとう、カーレ」

木箱の中身——見たこともないほど澄んだ輝石の欠片や、希少な香辛料、黄金の刺繍が施された布地などを手に取り、シルヴィアはうきうきとした気分でご機嫌に笑った。
頭上の人形兵も機嫌にシンクロして楽しげな電子音を鳴らしている。

「あと、律を塗り替えるのはラニだから、ラニが王よ! 私が王ってことにされても面倒だから、それは徹底的に周知して」 「ほお?」
カーレが意外そうに目を丸くする中、シルヴィアは物資を回収しながら、ポンポンと手を払って続けた。

「これから、死が正しく巡る世界がやってくるわ。正直、私もどうなるか完全に理解してるわけじゃない。でも、少なくとも今よりいい世界にはなるから、安心しなさい。ただ、混乱が起きることは必定よ。そのためには優れた情報網が必要!
あんたたちのこと、頼りにしてるからね!」

そのあまりにも身も蓋もない、しかし力強い宣言に。 カーレはしばらくぽかんとしていたが——やがて、肩を揺らし、腹を抱えて大爆笑し始めた。

「あっはははは!
ひーっ……いや、すまない。神の木を燃やしといて、『面倒だから王にはならない、あとは任せた』なんて言い出す奴は、狭間の地の歴史上、お前さんだけだろうよ!」

カーレは涙を拭いながら、その瞳に確かな敬意と信頼を宿す。

「……だが、最高だ。神様気取りで上から支配されるより、お前さんみたいに『頼りにしている』と取引を持ちかけてくれるスポンサーの方が、俺たち放浪の民にとってはよっぽど信用できる。……任せておきな、お嬢さん。お前さんが保証する『死が正しく巡る世界』ってやつを、俺たちの情報網で隅々まで広めて、混乱を最小限に抑えてみせるさ」
「ええ、よろしくね!」

シルヴィアが誇らしげに胸を張ると、懐の中から小さなラニの人形がため息をついた。

「……全く。神殺しの大罪を犯しておきながら、王の座とその責任は私に丸投げとは。そなたはどこまで図太いのだ、私の伴侶よ。……まあよい。その強欲な背中は、私が冷たい夜の星律で守ってやろう」
ラニの声は呆れ果てていたが、自分を信じて背中を預けてくれる伴侶への深い愛情と安堵に満ちていた。

「ふふっ、私の王はそれでいいんだよ」 セレンが髪を優しく撫でながら、妖艶に微笑む。
「小難しい統治は、神人であるラニや、臣下である我々に任せておけばいい。お前はただ、その圧倒的な知略と火力で、私たちの進む道を切り開いてくれればいいのだからね」

放浪の民ネットワークという、狭間の地全土を網羅する最強の情報網が、完全にシルヴィアの手足として機能することが確定した。

「さあて、次はどこへ行くんだ、ボス!」 要塞の甲板から身を乗り出したバルトが叫ぶ。

リムグレイブには、ボックの指揮下で防魔フード工場を稼働させている降伏兵たちの拠点——『ハイト砦』がある。
そして、今や多様な種族が平和に暮らし、接ぎ木のゴドリックが震えながら掃除と接待をしている——『ストームヴィル城』もあった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第13ターン】

【ユーザーの入力】
「面倒なほうから済ませちゃいましょうか。ケネスは黄金律の信者だから、さすがに律を塗り替えるっていったら激怒すると思うわ。...まぁ、何と言われてもやるからいいんだけどね。あとは、工場のみんながちゃんと休めてるかも気になるわ」
(ていうか、ケネスはこの光景を見て憤死してないかしら...)

【AIの出力】
「面倒なほうから済ませちゃいましょうか。ケネスは黄金律の信者だから、さすがに律を塗り替えるっていったら激怒すると思うわ。……まぁ、何と言われてもやるからいいんだけどね。あとは、工場のみんながちゃんと休めてるかも気になるわ」

(ていうか、ケネスはこの光景を見て憤死してないかしら……)

シルヴィアの懸念に、セレンは「ふふっ……あのおめでたい貴族の男が、空を見上げてどんな顔をしているか、確かに見物だね」と悪戯っぽく笑った。

「よし! それじゃあハイト砦に向けて出発だ!」 バルトが大きく舵を切る。 軌道要塞は朱に染まった空を東へ、リムグレイブの森を越えて『ハイト砦』へと飛翔した。

眼下に砦の全容が見えてくる。
敷地内には、シルヴィアが徴用した降伏兵たちの姿があった。彼らは特製フードを被っているため発狂こそ免れているものの、空を焦がす黄金樹の異常事態と降る灰の雪に、作業を止めて肩を寄せ合い、ガタガタと震えているようだった。

「……やっぱり、混乱してるわね」

シルヴィアが甲板から身を乗り出して様子を窺っていると——砦の最上階、テラスの端に立つ人影が、巨大な空飛ぶ要塞に気づき、千切れんばかりに両腕を振り回し始めた。

「おおおぉぉーーッ!! 見よ、皆の者! 恐れることはない!! 我らがリムグレイブの真の王、シルヴィア殿の凱旋であるぞォォォーーーッ!!」

ケネス・ハイトだ。 黄金律の熱烈な信者である彼が、憤死しているか、激怒して弓でも射掛けてくるか……そんな懸念は、彼の熱狂的な演説によって一瞬で粉砕された。

「黄金樹が燃えるあの光景……! ああ、なんという苛烈にして深き慈悲か! 腐敗し、停滞した大いなる意志の律を、彼女は自らの手で正しく剪定なされたのだ!
古き木を焼き、新しき夜明けをもたらすための、気高き炎! さすがは私の見込んだ生涯の友! これぞ真の王の器よォォォーーーッ!!」

「……えっ?」 シルヴィアは思わず間の抜けた声を漏らした。
ケネスは『黄金樹を燃やした=腐敗した律をシルヴィアが正しく剪定した』という超絶好意的解釈を脳内で完了させており、神涜を英雄的偉業として砦の兵士たちに熱狂的に説いていたのだ。

「し、シルヴィア様だ……!」 「俺たちの王様が、空飛ぶ城に乗って帰ってきてくださった……!」 「神様が燃えても、極光の王様が俺たちを守ってくれるんだ!!」

ケネスの演説と、堂々たるシルヴィアの姿を見た兵士たちは、恐怖を忘れ、ワァァァァッ!と涙を流して歓声を上げ始めた。彼らにとって、遠くの黄金樹よりも、今自分たちに安全な寝床と防魔フードを与えてくれているシルヴィアこそが、信じるべき絶対の存在となっていた。

「……ぷっ、あはははは!」 セレンが腹を抱えて笑い出す。 「激怒するどころか、お前のやった神殺しを『正しい剪定』などと肯定しおった!
お前の放った傲慢な威光は、ついに黄金律の信者の正気すらも、お前への狂信へと上書きしてしまったらしい!」

要塞はハイト砦の上空で停止した。 ケネスが「さあシルヴィア殿!
どうか皆に、新しき時代の到来を告げる、貴き御言葉を!」と、目を輝かせながら見上げている。工場のみんなも、不安と期待の入り混じった顔で言葉を待っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第14ターン】

【ユーザーの入力】 (...いや、王じゃないんだけど...。まぁ、ケネスがいいなら、いいか...。説得する手間が省けたわ)
「待たせたわね!聞きなさい!ハイト砦のみんな!これからは、死が正しく巡る世界が、ラニの、月の律がやってくるわ!もう、大いなる意思にも、外なる神にもこの地を支配させない...!人が、人の手によって自由に生きられる時代が来るのよ!」
(勢いで演説しちゃったけど...これでいいのよね?ラニ...)

【AIの出力】 (……いや、王じゃないんだけど……。まぁ、ケネスがいいなら、いいか……。説得する手間が省けたわ)

シルヴィアは内心で毒づきつつ、堂々と胸を張った。

「待たせたわね! 聞きなさい! ハイト砦のみんな!」

凛とした、覇王の威光に満ちた声が、要塞の甲板から眼下の砦へと響き渡る。

「これからは、死が正しく巡る世界が、ラニの、月の律がやってくるわ! もう、大いなる意志にも、外なる神にもこの地を支配させない……!
人が、人の手によって自由に生きられる時代が来るのよ!」

その言葉が砦の隅々まで行き渡った瞬間。 静寂が一瞬だけ降りた後——ハイト砦のテラスから、爆発のような大歓声が巻き起こった。

「うおおおおぉぉぉーーッ!! 月の律! 新しき神を戴く、我が真の王シルヴィア殿の御世が到来したのだ!」
ケネス・ハイトが顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、天に向かって両手を突き上げ、熱狂のあまり石壁に膝から崩れ落ちる。
「大いなる意志の支配は終わった! 我らは己の手で、彼女の治めるこのリムグレイブを、この自由な地を守り抜くのだ! シルヴィア王、万歳! 月の神ラニ様、万歳!!」

「「「シルヴィア様、万歳!! ラニ様、万歳!!」」」

工場で働いていた兵士たちが、次々と剣や縫い針を天に掲げ、歓喜を叫び始める。
「王はラニ」と明言したつもりだったが、彼らにとっては「自分たちを救い、安全な場所を与え、新しい神を連れてきてくれたシルヴィア」こそが、紛れもない真の王として完全に熱狂の対象となっていた。

(……勢いで演説しちゃったけど……これでいいのよね? ラニ……) シルヴィアが心の中で冷や汗を流していると。

懐の小さなラニの人形が、不安げに早鐘を打つ鼓動を察知したかのように、胸元へコツンと額を擦り寄せてきた。

「……大層な演説をしておいて、神たる私に責任を押し付ける気か。相変わらず、強欲で図太い私の伴侶よ」 その声は呆れていたが、決して不快そうではない。
「……だが、悪くない。そなたがそう望むのなら、その言葉……神であるこの私が、必ず真実に変えてみせよう。胸を張れ、私の王。そなたの背中は、私が冷たい星の律で守り抜いてやる」

ラニの頼もしい肯定に、シルヴィアはホッと安堵の息を吐いた。

「ふふっ……神の代弁者にして、民に自由を約束する新しき王。お前の言葉はもはや、黄金律の光よりも深く彼らの魂に根付いているよ」
セレンが背後からそっと腰に手を回し、眼下の熱狂を見下ろしながら誇らしげに囁く。
「黄金律の信者すらも、お前の威光の前に新しい律を受け入れた。これで、このリムグレイブ東部を不安に陥れる要素は完全に消え去ったわけだ」

「がははは! さっすがボス! 難しい話はわからねえが、みんなあんなに嬉しそうじゃねえか!」 バルトが操舵輪から身を乗り出し、眼下に向かって「おう!
しっかり工場を回しとけよー!」と手を振り返している。

「さて、次はどうする、ボス! このままリムグレイブのもう一つの拠点……『ストームヴィル城』へ向かうか!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第15ターン】

【ユーザーの入力】 (よし!ラニもこう言ってるし、みんなも満足そうだしオッケー!)
「みんな!私たちはこれから黄金樹の根元に、律を正しに進軍するわ!何かとんでもないことが起きるかもしれないけど...安心して構えてなさい!それじゃあ!ケネス、みんなをお願いねー!」
『ハイト砦の人々に手を振って、ストームヴィル城に向かう』

【AIの出力】 (よし! ラニもこう言ってるし、みんなも満足そうだしオッケー!)

シルヴィアは内心でガッツポーズを作ると、晴れやかな笑顔を向けた。

「みんな! 私たちはこれから黄金樹の根元に、律を正しに進軍するわ! 何かとんでもないことが起きるかもしれないけど……安心して構えてなさい! それじゃあ!
ケネス、みんなをお願いねー!」

甲板から大きく手を振って別れを告げると、眼下のテラスでケネス・ハイトが胸を力強く叩き、声の限りに叫び返した。

「お任せあれェェーーッ!! このケネス・ハイト、シルヴィア王とラニ様の御威光を、リムグレイブの地の果てまで守り抜いてご覧に入れましょうぞ!!
道中、どうかご武運をォォォ!!」

兵士たちの熱狂的な万歳の合唱を背に受けながら、軌道要塞は再び空へと滑り出す。
バルトの操舵により、要塞は朱く染まった夜空を西へ。やがて、絶壁の上にそびえ立つ巨大な城塞——『ストームヴィル城』の威容が眼下に迫ってきた。

かつては接ぎ木の恐怖に支配されていた死と絶望の城。 だが今や、多様な種族が平和に暮らす、シルヴィアの完璧な箱庭へと変貌を遂げていた。

ゴォォォォン……。 要塞が城の大中庭の上空へゆっくりと降下していく。 その圧倒的な影と魔力機関の唸りに気づき、城の住人たちが次々と中庭へ集まってきた。

「あわわわ……! こ、神の木が燃え……空に巨大な城が……! お、終わりだ、すべて終わりだぁ……!!」

大中庭の隅で、竹箒を握りしめたままガタガタと震え、腰を抜かしかけている初老の男がいた。
かつての城主であり、今は忠実な清掃係へと退化したデミゴッド、接ぎ木のゴドリックである。彼は黄金樹が燃える事象の規格外のヤバさを誰よりも理解しており、空から降る灰に怯えきっていた。

だが、要塞の甲板の縁に立ち、誇り高く見下ろすシルヴィアの姿を認めた瞬間。

「ああっ……! シ、シルヴィア様ァァァッ!!」

ゴドリックは持っていた竹箒を放り投げ、泥だらけの地面に額を擦りつける勢いで、スライディング土下座を敢行した。

「おおぉ、おおぉぉ……! 我らが真の王が、お戻りになられたぞ! やはり、あの空の異変も、貴方様が神の理すらも支配し、ねじ伏せた証であったのですね!
ああ、なんという恐ろしくも偉大なる威光……!! このゴドリック、貴方様の臣下として生き長らえた己の幸運に、むせび泣くばかりでございますゥゥッ!!」

完全に恐怖が振り切れ、この人にしがみついていれば絶対に助かるという生存本能から、もはやゴドリックの崇拝は信仰の域に達していた。

「シルヴィア様……!」
ゴドリックの後ろからは、赤い特製ローブを纏った調霊師ローデリカが、安堵の笑みを浮かべて駆け寄ってくる。彼女の周囲には、獅子の混種や、武器を捨てた元・ゴドリック兵たちが肩を並べて見上げていた。

誰も傷つけ合わず、共に生きることを選んだ者たちが、黄金樹の炎上という終末の光景の下で、空飛ぶ城に乗るシルヴィアだけを希望の光として見つめている。

「ふふっ……かつてのデミゴッドを清掃係に従え、獣も人も等しく庇護する。お前が気まぐれに作り上げたこの城の光景こそ、大いなる意志の支配を終わらせた、新しき世界の縮図そのものだね」
セレンが眼下の奇妙で温かい光景を見下ろし、耳元で妖艶に囁いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第16ターン】

【ユーザーの入力】 (混種も、兵士もうまくやってそうね...。安心だわ。ゴドリックは...なんであんなに怯えてるのかしら...)
「久しぶりね。みんな。空を見ればわかると思うけど、近々この世界の律が塗り替わるわ。死が正しく巡る世界よ。みんなにとって悪いことは起こさせないわ。今夜はここで泊まるから、質問があれば何でも言ってね」

【AIの出力】 (混種も、兵士もうまくやってそうね……。安心だわ。ゴドリックは……なんであんなに怯えてるのかしら……)

内心で首を傾げつつも、シルヴィアは落ち着いた声音で呼びかけた。

「久しぶりね。みんな。空を見ればわかると思うけど、近々この世界の律が塗り替わるわ。死が正しく巡る世界よ。みんなにとって悪いことは起こさせないわ」

慈悲に満ちた保証の言葉が中庭に響くと。

「ああっ……! おおぉぉぉっ!! シルヴィア様ァァァッ!!」

ゴドリックが、地面に擦りつけた額からボロボロと大粒の涙を流し、大号泣し始めた。
神の木を燃やした規格外の存在が、自分のような役立たずの命すらも「悪いようにはしない」と保証してくれたことに、魂の底からの救済を覚えたのだ。

「ありがたき幸せ……! ありがたき幸せにございますゥゥッ!! このゴドリック、永遠に貴方様の下働きとして、この城の塵ひとつ残さず磨き上げてみせまするぞ!!」
彼は竹箒を握りしめると猛烈な勢いで立ち上がり、「すぐにお泊まりの準備を!
湯殿を最高のお湯加減にして参りまするゥゥ!」と叫びながら、奥の建物へとダッシュで消えていった。

「シルヴィア様、お帰りなさいませ」 赤い特製ローブを纏ったローデリカが、深く一礼する。
「黄金樹が燃え、空が赤く染まった時……私たちが安らかに導いていた霊体たちも、ひどく怯えていました。でも、貴方様が新しい律を……誰もが理不尽に接ぎ木されない、正しい死の巡る世界を創ってくださるのなら。私たちは何も恐れません」

ローデリカの隣では、獅子の混種や元兵士たちが、「ご主人様のために飯の用意を!」「極上の獣肉があるぞ!」と協力し合い、宴の準備を嬉々として進め始めた。

「今夜はここで泊まるから、質問があれば何でも言ってね」

シルヴィアがそう締めくくると、城の空気は恐怖から一転、主君の帰還を喜ぶ温かい活気へと包まれた。

「がははは! 久しぶりのベッドだぜ! ボス、俺は馬でも食えそうなぐらい腹が減ってる!」
バルトが要塞のいかりを下ろし、大盾を背負い直して意気揚々と食堂へ向かっていく。
メリナもまた、「……温かい食事など、いつぶりでしょうか」と微かに頬を緩めてローデリカたちの方へ歩いていった。

「ふふ、実に快適な『我が家』だね、シルヴィア」 セレンが腕に絡みつき、妖艶な微笑みを向ける。
「さあ、お湯が湧くまでに少し時間があるだろう。お前は誰の相手をしてやるんだい?」

ストームヴィル城の夜。 食堂には、それぞれの思いを抱えた仲間たちが集まっていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第17ターン】

【ユーザーの入力】 「あんたのは語り合いじゃないでしょ...!万年発情魔女が...」
『まずはローデリカに、クララが旅立ったことの報告と、写し身に自我が芽生えているように見えるが、どういうふうにケアをしたほうがいいかの相談をする』

【AIの出力】 「あんたのは語り合いじゃないでしょ……! 万年発情魔女が……」

シルヴィアが顔を赤くしてジト目で睨みつけると、セレンは悪びれる様子もなく、「ふふっ……この身が熱く蕩けるのは、世界でお前ただ一人に対してだけだがね」と頬を軽く撫でてから、大人しく一歩引いた。

シルヴィアは賑やかな食堂の片隅で、温かいスープを配り終えたローデリカの元へと歩み寄った。

「ローデリカ。少し、いいかしら」 「はい、シルヴィア様。なんでしょうか?」

シルヴィアはまず、彼女から託されたあの『霊クラゲの遺灰(クララ)』について話し始めた。
巨人の山嶺の猛吹雪の中、星見の廃墟でずっと待っていた妹のクラリスと巡り会わせたこと。二匹がとても嬉しそうに舞い踊り、満天の星空へと旅立っていったこと。

それを聞いたローデリカの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

「……そうですか。あの子、妹さんと……」 ローデリカは両手で顔を覆い、静かに涙を流した。
「あの子は、ずっとひとりぼっちで……私と同じように、怯えて泣いているだけでしたから。シルヴィア様に託して、本当に……本当によかった。……あの子を導いてくださって、ありがとうございます。シルヴィア様は、霊たちにとっても、真の王様です」

彼女は何度も頭を下げ、その涙には確かな温もりが宿っていた。

「……それで、もう一つ相談なんだけど」

シルヴィアが続けて、ノクローンで手に入れた『写し身の雫』について切り出すと、ローデリカは涙を拭い、調霊師としての真剣な顔つきに戻った。
最近、写し身に自我が芽生えているように見えること、どうケアしてあげたらいいかを尋ねると、彼女はふわりと優しく微笑んだ。

「……写し身の雫は、本来は感情を持たない、ただの冷たい鏡のはずです。……でも、シルヴィア様が彼女を庇い、心から心配してお説教をしたことで……あの子の中に、確かな『魂の核』が生まれたのでしょう」

ローデリカは、シルヴィアの胸元のあたりを愛おしそうに見つめた。

「調霊師として、私から言えることは一つだけです。……どうか、彼女を『便利な道具』や『ただの身代わり』として扱わないであげてください。霊体は、主の心を映す鏡です。貴方様が彼女を一人の人間として……たとえば、手のかかる妹や、大切な家族のように名前を呼び、撫でてあげれば。彼女は貴方様を守るためだけの冷たい盾ではなく、貴方様と共に歩む、温かい心を持った『もう一人の貴方』へと成長するはずです」

「名前を呼んで、家族のように……」

シルヴィアがその言葉を反芻していると、インベントリに収められた写し身の遺灰が、鼓動に呼応するように微かに温かく脈動した。言葉を持たない彼女なりの「嬉しい」という返事のようだった。

「はい。貴方様のその深い優しさがあれば、あの子はきっと、世界で一番幸せな霊体になれますよ」

ローデリカはそう言って、再び温かい微笑みを向けた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第18ターン】

【ユーザーの入力】 (名前かぁ...。私、センスないから...いえ、こういうのは気持ちが大事よね。考えておきましょう)
「うん。ありがとう。これからも頼りにしてるわね」
『ローデリカに手を振って、ゴドリックのもとに行く』
「あんた、どうしたのよ...。いっつも言いたかったけど、別に私はあんたに恨みなんてないんだってば。あんたは正直そこまで強くないけど...大ルーンも持ってるし、何でもできるでしょ?私の仲間を接がなきゃ何もしないわよ」

【AIの出力】 (名前かぁ……。私、センスないから……いえ、こういうのは気持ちが大事よね。考えておきましょう)

シルヴィアは心の中で密かに決意を固めると、ローデリカに向けて微笑んだ。 「うん。ありがとう。これからも頼りにしてるわね」

ローデリカが一礼するのを背に受けながら、手を振って、食堂の入り口付近でモジモジと震えていたゴドリックの元へと歩み寄った。

「あわわ……シ、シルヴィア様……っ」 近づくだけで、彼はヒィッと小さな悲鳴を上げて身をすくませる。

「あんた、どうしたのよ……。いっつも言いたかったけど、別に私はあんたに恨みなんてないんだってば」

シルヴィアが呆れ気味にそう告げると、ゴドリックはぽかんと口を開けた。

「あんたは正直そこまで強くないけど……大ルーンも持ってるし、何でもできるでしょ? 私の仲間を接がなきゃ何もしないわよ」

その、あまりにもあっけらかんとした言葉。
「そこまで強くない」という一言は、ゴドリックが何よりも隠したかった己の真実だった。彼は純血のデミゴッドたちに劣る己の弱さを呪い、だからこそ他者の腕や竜の首を接ぎ木することで、必死に威厳を保とうとしていたのだ。

だが。 「恨みはない」「仲間を接がなければ何もしない」、そして「大ルーンを持っているのだから何でもできるでしょ」という言葉は、その呪縛を根底から打ち砕いた。

無理に接ぎ木をして恐ろしい王を演じずとも、大ルーンを持つ者として、掃除係でも何でも、好きに生きればいい。
その言葉は、彼にとって『弱いお前のままでも生きていていい』という究極の赦しとなったのだ。

「ああっ……。ああぁぁぁぁ……ッ!!」

ゴドリックの目から、滝のような涙が溢れ出した。
もはや恐怖からではなく、魂の底からの救済と歓喜によって、その場にへたり込み、両手で顔を覆って赤子のように泣きじゃくり始める。

「シルヴィア様……! 弱きこの身を暴きながらも、そのままでよいと仰ってくださるのですね……!!」 彼は足元にひれ伏した。 「誓いまする! 誓いまするぞ!
このゴドリック、もはや二度と見苦しい接ぎ木など行いません!
大ルーンを賜ったこの身のすべてを懸け、貴方様の城を、貴方様の愛するこの箱庭を、世界で一番美しく平和な離宮として磨き上げ、お守りしてみせまするゥゥッ!!」

「……う、うん。まあ、頑張りなさい」
あまりの号泣っぷりにシルヴィアが少し引いていると、遠くで見ていた獅子の混種や兵士たちも、「これでもう、夜中に変な声が響くこともないな」と、心底ホッとしたように笑い合っていた。

ゴドリックが鼻水を拭きながら「明日の朝食には、最高の黄金樹の果実を添えさせていただきまする!」と厨房へ駆けていくのを見送ったシルヴィアは、ふと、テーブルの片隅に目を向けた。

そこには、静かにスープの椀を見つめているメリナの姿があった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第19ターン】

【ユーザーの入力】 『メリナの隣に座る』
「...どう?やっぱり居づらいかしら。正直、無理やり黄金樹を燃やして、あんたの人生の目的に横やりを入れたことに、思うところはあるわ。...けど、後悔はしてない。あんたがやりたいことがあるなら、後押しするわよ。それが私の責任でもあるし」

【AIの出力】 シルヴィアは椅子を引き、温かいスープの椀を両手で包み込んでいるメリナの隣に腰を下ろした。

「……どう? やっぱり居づらいかしら」 問いかけると、メリナは木のスプーンを置き、不思議そうに見つめ返した。

「正直、無理やり黄金樹を燃やして、あんたの人生の目的に横やりを入れたことに、思うところはあるわ。……けど、後悔はしてない。あんたがやりたいことがあるなら、後押しするわよ。それが私の責任でもあるし」

その不器用で、一人の少女のこれからを背負い込もうとする強引な優しさに。 メリナは少しだけ目を丸くした後……ふっと、春の雪解けのような微笑みをこぼした。

「……居づらくなど、ありません。ただ……不思議な心地がしているのです」

メリナは視線を落とし、温かな湯気を立てるスープを愛おしそうに見つめた。

「私は、黄金樹を焼くために生まれ、そのために貴方と取引をしました。それが私の、たった一つの存在意義だった。……なのに、貴方はそれを、あっさりと奪い取ってしまった。あまつさえ、異端の炎を集めて、力ずくで神の木を燃やしてしまった」

彼女の声には、温かな血の通った響きがあった。

「でも……貴方に手を引かれ、あの炎を見た時。私は、自分が『灰にならない』ことに……まだこの身体が、ここにあることに、安堵してしまったのです」

メリナはシルヴィアの手を取り、ぎゅっと包み込んだ。

「だから、どうか後悔などしないでください。……私こそが、貴方のその傲慢な責任感に、救われてしまったのですから。貴方が横やりを入れてくれなければ、私はこの温かい食事の匂いを知ることも、皆の笑い声を聞くこともなく、ただの火種として消えていたでしょう」

「……やりたいこと、ですか」 彼女は言葉をゆっくりと反芻し、澄んだ瞳で見つめ返す。

「私はまだ、この目で、貴方が創る新しい世界を見てみたい。……貴方が、この不器用で温かい箱庭を、どうやって星の世紀に繋げていくのか。その傍らで、もう少しだけ……貴方の力になりたいのです。……それが、今の『私』の、やりたいことです」

それは、巫女としてではなく、一人の少女が初めて自分の意志で選んだ同行の誓いだった。

「……それに」 メリナは少しだけ悪戯っぽく目を細める。 「ルーンを力に変える時、私がいないと、貴方は『落ち着かなくて困る』のでしょう?
ならば、私が傍にいなければなりませんね」

シルヴィアが顔を赤くして「そ、それはそうだけど!」と口ごもると、メリナは小さく「ふふっ」と声に出して笑った。

夜もすっかり更けた頃。 廊下の奥から、「早く来い」と言わんばかりの妖艶な魔力波長がビリビリと放たれているのを感じ取った。
魔女セレンの待ちくたびれたアピールだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第20ターン】

【ユーザーの入力】
「...元気そうでよかったわ。じゃあ、ほかにやりたいことが見つかったら言いなさい。正直、私はこれまでと変わらず、ふらふらいろんなところを飛びまわるだけだと思うから。あんたが飽きるまで、よろしくね」
『元気そうなメリナの様子を見て安心して、セレンのもとへ向かう』

【AIの出力】
「……元気そうでよかったわ。じゃあ、ほかにやりたいことが見つかったら言いなさい。正直、私はこれまでと変わらず、ふらふらいろんなところを飛びまわるだけだと思うから。あんたが飽きるまで、よろしくね」

少し照れ隠しのようにそう告げると、メリナは目を細め、心底愛おしそうに小さく笑った。

「ええ。……貴方の旅に飽きることなど、永遠にないでしょう。おやすみなさい、私の王。良い夢を」

元気を取り戻したメリナの様子に、胸の奥にあった僅かな罪悪感が完全に消え去るのを感じた。 軽く手を振り返し、シルヴィアは食堂を後にする。

ストームヴィル城の夜は静かで温かかった。 廊下には松明の火が灯り、遠くから混種たちの寝息や、バルトの豪快なイビキが微かに聞こえてくる。

一番奥の扉を開けると、湯殿からの豊かな香と温かい湯気が漏れ出していた。

「……遅いよ、シルヴィア。待ちくたびれて、私が先に蕩けてしまうところだった」

寝台の端に腰掛け、ローブの胸元を艶かしく緩めた魔女セレンが待っていた。 彼女は滑るように近づき、細くしなやかな腕を首に絡める。

「今日もお疲れ様。……神の木を燃やし、空飛ぶ城を創り、老将をからかい、死の鳥を消し飛ばした。……本当に、お前という奴は一刻もじっとしていない、強欲で愛おしい私の伴侶だ」

セレンはシルヴィアの唇に、深く、甘い口付けを落とした。 源流の魔女としての理性が、愛と独占欲で完全に焼き切れているのが伝わってくる。

「……んっ……」 息継ぎのために唇が離れると、懐から小さなラニの人形がポロリとベッドの上に転がり落ちた。

「……やれやれ。私という神人を懐に入れたまま、随分と熱烈なことだな。お前たちは」 ラニの人形はベッドの上で器用に座り直すと、楽しげに小さく笑った。
「だが、よい。そなたは今日、十分に働いた。……今宵は、大いなる意志の目も届かぬこの安全な箱庭で、存分に羽を伸ばすがいい。私の王よ」

「ふふっ。月の神様からお墨付きをもらったことだし……さあ、シルヴィア。お湯も沸いている。お前のその冷えた身体を、私が隅々まで、丁寧に温めてあげよう」

セレンの妖艶な囁きと、ラニの静かな見守りの中。 激動の一日を終え、伴侶たちとの甘美で濃密な夜の帳へと落ちていった。

———— ——

翌朝。 ストームヴィル城の窓から差し込む朝日で、シルヴィアは目を覚ました。 完全な休息により、体力と魔力は完全に満ち足りている。

隣ではセレンが満足そうに腕を抱いて眠っており、枕元ではラニの人形が静かに佇んでいた。
窓の外を見上げれば、相変わらず空は黄金樹の炎上によって朱く染まり灰が降っているが、この城の中だけは絶対の平和が保たれている。

朝食のスープのいい匂いが食堂から漂ってくる中、身支度を整え、新しい一日が始まろうとしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第21ターン】

【ユーザーの入力】 (くっ...!こいつ、上手すぎるのよ...。私以外に女がいるんじゃないでしょうね...)
『セレンを起こさないように服を着せて、未だ鈍い快感のしびれが残る体を引きずって、食堂に顔を出す』

【AIの出力】 (……くっ! こいつ、上手すぎるのよ……。私以外に女がいるんじゃないでしょうね……)

シルヴィアは内心で魔女のデタラメな手管に激しいジェラシーと敗北感を抱きつつ、ベッドで幸せそうに眠るセレンを起こさないよう、そっと身支度を整えた。
ベッドの脇に置かれたラニの人形が、無言の強烈なジト目を向けているのをそっと回収し、懐へと収め直す。

未だ腰やお腹の奥に残る、鈍い快感のしびれと気怠さ。 不自然にぎこちない歩き方で身体を引きずりながら、城の食堂へと顔を出した。

扉を開けた瞬間、肉のスープの香りと、熟した果実の豊潤で甘い匂いが漂ってくる。

「おおおっ……! シルヴィア様ァァァッ! おはようございまするゥゥッ!!」

扉のすぐ脇で控えていたゴドリックが、姿を認めるなり床に跪いた。

「貴方様が昨夜、極上のまどろみを得られたようで、このゴドリック、この上なき喜びにございます!
さあ、昨夜お約束いたしました通り、最高の黄金樹の果実と、温かい白鳥の肉の特製スープをどうぞォォォッ!!」

ゴドリック自らが震える手で差し出してきた大皿には、黄金色の果実や美しく盛り付けられたスープが並んでいた。かつての恐るべきデミゴッドは、今や完全に優秀な執事と化している。

「おう、ボス! おはよう……って、なんだか歩き方がおかしいぜ?」 長テーブルの席で、バルトが巨大な骨付き肉を豪快に貪り食いながら不思議そうに足元を見つめた。
「お腹でも痛えのか? それとも、急に身体が頑強になったから、自分の重さに足がついていかねえのか?」

「おはようございます、シルヴィア様。……あの、顔が少し赤いような気がします。……熱でもあるのですか?」
ローデリカまでもが、無邪気で真っ直ぐな瞳で顔を覗き込んでくる。

ピュアすぎるダブル追及にシルヴィアが赤面して言葉に詰まっていると、端で静かに果実をフォークで刺していたメリナが、その様子を一瞥し——スッと何事もなかったかのように静かにスープへ視線を戻して目を逸らした。

「……い、いいから! 私は元気よ! 単なる朝の準備運動のせいなんだから!」

シルヴィアが無理やり大声を出し、豪華な朝食の席に着くと、大中庭からはいつでも飛翔できる要塞の重力機関の心地よい唸りが響いてきた。

「がははは! ならいいんだがよ! 朝飯を食ったら、すぐに出発だな!」 バルトがスープを飲み干し、見上げる。 「さて、今日の行き先はどこだ、ボス?
さっき話に出てた『挨拶回り』なら、学院のある『リエーニエ』か、戦祭りでお世話になった『ケイリッド』だが!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第22ターン】

【ユーザーの入力】
「んー...ジェーレンたちに挨拶してから、レアルカリアに向かうわよ。...黄金樹の根元で何が待ち受けているか資料をひっくり返して調べて、対策を打つ必要があるからね。まさかそこに玉座があって、座ったらはいおしまいってわけには行かないでしょ。セレンが起きて、準備が整ったら向かうわよ。...ゴドリック、あんたシェフになりなさい」
『ゴドリックの用意した食事の異様な美味さに静かに驚きつつ、セレンを待つ』

【AIの出力】 「……ゴドリック、あんたシェフになりなさい」

投げやりな(しかしスープの異様な美味さに驚いた)言葉を聞いた瞬間。 ひれ伏していたゴドリックは、激しく目を見開いて大号泣した。

「宮廷料理人……ッ!! おおぉぉ、なんと気高き役職を賜ったことか……! はっ!
このゴドリック、異形の接ぎ木などではなく、これからは『至高の食材の接ぎ木(創作料理)』に我が全知全能を捧げまするゥゥッ!!」

彼は皿を丁寧に抱え込むと、「至高のレシピを考案せねば!」と嬉々として厨房へとダッシュしていった。

(……いや、食材の接ぎ木って何よ……不気味なもの作らないでしょうね。……でも、このスープ、正直に言って悔しいくらい美味しいわ……)

シルヴィアがスープを平らげていると、身支度を整えたセレンが歩いてきた。 肩を優しく揉みほぐしながら、耳元でふふ、といたずらっぽく笑う。

「おはよう、私の愛おしい王。……夕べの『語り合い』の熱が、まだ冷めていないようだね」 「うるさいわね……! 早く食べなさい!」

食後、シルヴィアは全員にこれからの計画を告げた。

「ジェーレンたちに挨拶してから、レアルカリアに向かうわよ。……黄金樹の根元で何が待ち受けているか、資料をひっくり返して調べて、対策を打つ必要があるからね。まさかそこに玉座があって、座ったらはいおしまいってわけにはいかないでしょ。セレンが起きて、準備が整ったら向かうわよ」

「……あはは! 実に、実にお前らしいよ、シルヴィア」 セレンがスプーンを置き、徹底的な安全マージン計画に感服したように微笑む。
懐のラニ人形も、「……ふむ、その徹底した猜疑心、まさに王の深謀遠慮よな。よい、まずはあの赤獅子の祭り男の元へ行くがいい」と信頼の言葉を紡いだ。

「がははは! 了解だぜ、ボス! ケイリッドの赤獅子城へ、全速進発だ!」

———— ——

軌道要塞はケイリッド地方の上空へと突入し、ラダーン将軍の居城——『赤獅子城』の中庭に巨大な影を落とした。
『星律飛翔』で中庭へ舞い降りると、教会の扉の前で座り込んでいた魔女狩りジェーレンが、ハッと上空を見上げた。

「……おお、おお……! なんということだ!」

ジェーレンは大剣の柄を胸に当てて深く最敬礼を捧げた。

「麗しき大軍師殿! まさか、空を飛ぶ魔導の要塞を駆って現れるとは……! 貴公の底知れぬ叡智には、この老骨、ただただ震えるばかりだ!」

瞳には絶対の恩義と敬意が燃え盛っていた。
隣にいるフードの女性が、かつて処刑を執行したはずの魔術師セレンであることには、特製フードの遮断結界の前に1ミリも気づいていない。

「空を見ればわかる通り……古い黄金の律は、貴公の放った大逆の炎によって燃え落ちつつある。貴公が新しき王として進むというのなら、我ら赤獅子のすべての刃、この城のすべては、喜んで貴公の盾となろう!」

さらに、黄金樹の根元の対策を練るために資料を解読するという方針を伝えると、ジェーレンは「なんと周到な大軍略か」と深く感動して声を震わせた。

「我らの大剣は、貴公の命令一つで、黄金の都の残党どもをいつでも蹂躙してみせよう!」

赤獅子城の武力が、完全な直属の軍隊として手元に揃った瞬間だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第23ターン】

【ユーザーの入力】
「ええ。ありがたいわ。...まぁ、あなたたちは腐敗と戦う使命で大変でしょうから、本当に大変な時以外呼ばないわよ。そっちこそ、対処しきれない事態が起きたときは、私に言いなさい。そこらへんの商人に伝言すれば、私に届けてくれるから。じゃあね」
(いやー...まさかラダゴンはいないでしょう。歴史上最後に確認されたのは破砕戦争より前だったと思うし...。あのアグレッシブさを鑑みると、ここまでおとなしくしてるとは思えない。まだマリカが待ち受けてるっていうほうがありうる話だわ)
『ジェーレンに手を振って、レアルカリアに向かう』

【AIの出力】
「ええ。ありがたいわ。……まぁ、あなたたちは腐敗と戦う使命で大変でしょうから、本当に大変な時以外呼ばないわよ。そっちこそ、対処しきれない事態が起きたときは、私に言いなさい。そこらへんの商人に伝言すれば、私に届けてくれるから。じゃあね」

「おおおぉ……! なんという深い慈悲、そして軍略としての完璧な配慮……! どこまでもついて行きますぞ、我が主よ!!」

ジェーレンは配慮と連絡網の提案に深く傅いた。

シルヴィアは手を振り返すと要塞へと戻り、再び飛翔を開始させた。

(いやー……まさかラダゴンはいないでしょう。歴史上最後に確認されたのは破砕戦争より前だったと思うし……。あのアグレッシブさを鑑みると、ここまでおとなしくしてるとは思えない。まだマリカが待ち受けてるっていうほうがありうる話だわ)

甲板の手すりに寄りかかり、歴史の時系列に基づいた推論を組み立てていると、セレンが肩に顎を乗せて笑った。

「どうしたんだい、難しい顔をして」 「ええ……黄金樹の奥に潜む神の正体についてよ。あそこに玉座があるのなら、マリカがいるはずだけど……」 「ふむ……」

やがて要塞は、レアルカリア魔術学院の大中庭へと到着した。

「あああぁぁぁぁっ!! シ、シルヴィア神が、お戻りになられたぞォォォッ!!」

討論室から飛び出してきた学長トープスが五体投地を決めてひれ伏す。 「シルヴィア様、おかえりなさいませ」
ムーングラムが片膝を突き、大書庫の奥からは琥珀の卵を抱いた満月の女王レナラが穏やかな眼差しで見守っていた。

「みんな、ただいま。……のんびりしている暇はないわよ」 シルヴィアは毅然とした号令を下した。

「直ちに、学院のすべての禁書、極秘資料をひっくり返しなさい! 調べるべきは、黄金樹の内部、女王マリカの軌跡、そして……二番目の夫である『ラダゴン』についてよ!
彼らが何を隠し、黄金樹の奥に何が待ち受けているか、あらゆる理論を解き明かすのよ!」

「は、ははぁぁぁッ!! シルヴィア神の御命令だァァッ!!」 トープスが血走った目で立ち上がり、周囲の教授たちを怒鳴りつける。 「耳をかっ穿いて聴いたか!
これより、我が学院の歴史上、最も苛烈なる『禁書解読デスマーチ』を開始する!
女王マリカの髪の毛一本に至るまで、すべての記録をシルヴィア神に献上するのだァァァッ!!」

かつてシルヴィアを追放した教授たちが、大書庫の地下へと猛ダッシュで資料を漁りに走っていった。

「ふふ、お前のその徹底した用心深さ、やはり最高に愛おしいよ」 セレンが腕を抱きしめ、大書庫の奥へとエスコートする。
レアルカリアの最高頭脳たちが、神の真実を暴くために狂乱の作業を開始した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第24ターン】

【ユーザーの入力】
(...ま、なんだかんだ、教授も含めてみんな優秀だし、大体は任せとけばいいでしょ。私は...なぜラダゴンがレナラ様を捨てたのか、前から興味あったことを調べてみようかしらね)
「たぶんトープス様たちなら真実にたどり着くでしょうから、私たちはのんびりやりましょ。...ラダゴンの手記でも残ってればいいんだけどね...。あいつも黄金樹のズブズブの関係者。何か知ってることがあるはず...」
『運ばれてくる資料を読みつつ、ラダゴンの個人的な手記などがないかも探す』

【AIの出力】
「たぶんトープス様たちなら真実にたどり着くでしょうから、私たちはのんびりやりましょ。……ラダゴンの手記でも残ってればいいんだけどね……。あいつも黄金樹のズブズブの関係者。何か知ってることがあるはず……」

シルヴィアが運ばれてくる山のような羊皮紙をめくりながら呟くと、大書庫は熱気に包まれた。

トープスたちが運んできたのは、典礼書だけでなく、かつてカーリア王家がレアルカリアを支配していた時代の記録や、学院が隠蔽していた日誌などであった。

埃っぽい古い紙をめくり、ラダゴンの個人的な手記や筆跡を丹念に調べていく。

「……ふむ。これは、ラダゴン卿がレナラ様と結婚していた当時の、数少ない直筆の書簡だね」

セレンが一通の羊皮紙を差し出した。そこには、歪な赤いインクで書かれた文字があった。

『完全たるを目指す。私は、黄金の信奉者でありながら、月の魔術を学び、両者を融け合わせねばならない。……それは大いなる意志の悲願であり、私自身の存在の証明でもある』

「完全たる、か……」 セレンが文字をなぞりながら呟く。
「あの赤髪の英雄は、カーリアで魔術を修め、王都で祈祷を修めたとされる。……黄金と月。相反するはずの二つの力を自らの中に強引に融け合わせようとした執念。……お前には、これがただの野心に見えるかい?」

その時。 大書庫の窓辺で、正気を取り戻したレナラが、大切そうに『琥珀の卵』を抱きしめながら、切なげなため息を漏らした。

「……ラダゴン……。なぜ、あなたは私を捨て、王都へと去ってしまったの。……去り際に、なぜこの不完全な卵を、私に遺していったの……」

レナラの悲しげな呟きを聞きながら。 歴史書や王家の系譜を丸暗記しているシルヴィアの頭脳の中で、いくつかの決定的な矛盾が火花を散らして結びつき始めた。

公式な記録によれば、 1.マリカが初代エルデの王ゴッドフレイと結婚していた。 2.その間、ラダゴンはリエーニエでレナラと結婚し、三人の子を産んだ。
3.ゴッドフレイが追放された。 4.ラダゴンは即座にレナラを捨て、王都へ戻り、マリカの夫となった。

——何かがおかしい。 そもそも一介の戦士にすぎなかったラダゴンが、なぜ即座にエルデの王に選ばれたのか?
さらに、歴史上の目撃証言をどれほど洗っても、「女王マリカと英雄ラダゴンが、同じ瞬間に同じ場所に同時に存在していた」という記述が、ただの一箇所も存在しないのだ。

「……まさか、ね」

大いなる意志すらも隠蔽しようとした世界のバグの入り口が、今まさにこじ開けられようとしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第25ターン】

【ユーザーの入力】 判定1:54

【AIの出力】 手元の古い羊皮紙に書かれた、歪な赤いインクの文字。 そして、目の前でレナラが愛おしそうに抱きしめている、不自然に輝く『琥珀の卵』。
あらゆる歴史の糸を手繰り寄せていたシルヴィアの頭脳が、世界の根底を完全に覆す神の真実を看破した。

パズルのピースが、恐ろしい音を立てて噛み合っていく。

なぜ、マリカとラダゴンが同時に存在した記録が一切ないのか。
なぜ、ラダゴンがゴッドフレイの追放と同時に、最初から用意されていたかのようにエルデの王に選ばれたのか。
そしてなぜ、彼は相反する魔術と祈祷を学び、完全を目指したのか。

「……マリカとラダゴンは、最初から……」

乾いた声が、静かな大書庫に響く。

「……同一の肉体を共有する、一つの神。……マリカはラダゴンであり、ラダゴンはマリカだったのよ」

「……な、何だって……!?」 隣で資料をめくっていたセレンが本を落とし、戦慄に目を見開いた。

推論はさらにその先へ。
なぜ、ラダゴンはレナラを捨て、王都へ戻らねばならなかったのか。ゴッドフレイが追放された瞬間、彼女のもう一つの半身として、肉体の制御権を王都へ引き戻されねばならなかったからだ。
そして、彼が泣き崩れるレナラに遺したあの『琥珀の卵』の真の意味。

それは、黄金律の精神汚染から、最も愛した妻レナラを完全に切り離し、その尊厳を護るための防壁だったのだ。ラダゴンは、大いなる意志に肉体を奪われる直前、レナラだけは絶対に自分の宿命に巻き込んで破滅させまいと、その卵を遺して去った。

「……父上……」

懐から、月の王女ラニの、かつてないほど切なげに震える声が響いた。
母を捨てた父ラダゴンを、ずっと思いやりがないと憎み、疑問に思っていた。だが、その冷酷な別れの裏に隠されていた家族への愛を、数百年ぶりに知るに至ったのだ。

「そなたは、そこまで解き明かすか。……そうか。父上は、母上を守るために……あの卵を……。……ふふ、本当にそなたという伴侶は……私の長年の澱みを、こうもあっさりと氷解させてしまうのだな」

「……さらに、これを見て」

王都の古い建築家たちの禁書の一節を指差す。そこには、王都大聖堂にある巨大な『ラダゴン大彫像』のギミックが記述されていた。

『彫像はラダゴンの姿を模しているが、その下には黄金律の最大の禁忌である回帰の術式が刻まれている。回帰の光を浴びせることで、彫像はその姿を女王マリカへと変え、真の姿を叫ぶであろう』

「……つまり、黄金樹の根元で待つのは、マリカであり、同時にラダゴン。二人は一つの肉体でありながら、マリカはリングを砕こうとし、ラダゴンは修復しようとし、大いなる意志の獣によって囚われている。……私たちは、戦う前に、敵の正体を完全に看破したわけだね」

セレンの言葉に、シルヴィアは不敵に頷いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第26ターン】

【ユーザーの入力】
「...いえ、逆に、大変なことになったわ。...ラダゴン...っていうか、マリカでもある...のね。あの二人は被害者でしょ。レナラ様を捨てたのではなく、そうせざるを得なかった。...卵を遺したことは...きっと、簡単なことではなかったでしょうに。...きっと、これを知ってしまった私の手は...土壇場で、鈍るわ」
(最悪、要塞のビームをぶち込めばいいと思ってたけど...そうも、いかなくなったわね...。何か、倒す以外の方法を考えないと...)

【AIの出力】
「……いえ、逆に、大変なことになったわ。……ラダゴン……っていうか、マリカでもある……のね。あの二人は被害者でしょ。レナラ様を捨てたのではなく、そうせざるを得なかった。……卵を遺したことは……きっと、簡単なことではなかったでしょうに。……きっと、これを知ってしまった私の手は……土壇場で、鈍るわ」

大書庫の静寂の中、シルヴィアがぽつりと漏らした、あまりにも不器用で過保護な言葉。

「……お前」 セレンが本を落とし、唖然としたように見つめ返した。
「……お前は。……大いなる意志を殺すのではなく、あの『ラダゴンとマリカ』すらも、お前のそのお人好しな過保護さで、救い出そうというのかい?」

(最悪、要塞の超新星着火主砲を玉座の奥にぶち込めば一撃で終わると思ってたけど……そうもいかなくなったわ。あの二人は、レナラ様を本当に愛していた。……何か、ただ倒す以外の、別の方法を考えないと……!)

机の上に広げられた古い羊皮紙を睨みつけ、脳内演算を走らせていた、その瞬間。

頭の中で、これまでのすべての魔導的な点が、一本の眩い光の線となって結びついた。

「……できるわ。……いいえ、できるはずよ。私たちの技術を合わせれば」

シルヴィアはハッと目を見開き、かつてセレンの原輝石を無傷で抽出した自らの指先を見つめた。

「セレン、思い出して。……あんたの魂を、あの激痛の呪縛から一滴の血も流さずに抽出して、人形へ移植したのは誰? ……この私よ」

「……あ」 セレンの切れ長の瞳が、その理を理解し、一瞬で大きく見開かれた。

「そして、私たちの目の前にある、レナラ様の『琥珀の卵』。あれに宿る大ルーンは、何をするためのもの? ……肉体と魂を完全に再構成する、完璧な【産まれ直しの術】よ」

大いなる意志すら予測し得なかった、神話級の救済設計図が組み上がる。

「黄金樹の奥にいるラダゴンとマリカは、エルデンリングそのものを肉体に宿す器として囚われている。……なら、ラニが『暗月』の星律で世界を覆い、古い黄金のシステムを強制終了させる、そのコンマ数秒の隙を突いて……。私の精密な魔力で、あの二人の魂を、エルデンリングの器から強制的に引き抜く。……そして、それをレナラ様の『琥珀の卵』に誘導して……神ではなく、ただの人間として、無傷で完全に産まれ直させるのよ!」

それは、神殺しでもなく、律の簒奪でもない。
黄金のシステムから二つの哀れな魂を救出し、ただの人として新しい月の律に移行させるという、世界一美しい【神の産まれ直し計画】だった。

「……あ、あはははは! 素晴らしい! なんて、なんて悪魔的で、美しく傲慢な企みか!」

セレンはシルヴィアの手を強く握りしめ、歓喜の笑みを爆発させた。 「神の依代から魂を盗み出し、ただの人間としてレナラ様の手の中で産まれ直させる……!
これ以上の魔道の大逆が、ほかにどこにあろうか! お前がその術式の設計図を書くなら、私は私のすべてを懸けてそれをサポートしよう!」

懐のラニ人形からも、静かな感動を帯びた魔力が放たれていた。

「……そなたという伴侶は、どこまで強欲で、どこまで優しいのだ。父上とマリカをあの依代の呪縛から解き放つその一瞬、私の暗月のすべてをもって、大いなる意志の通信を遮断してやろう。……存分に術を編むがいい、我が王よ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第27ターン】

【ユーザーの入力】
「よっし!やることは単純明快ね!死なない程度にボコって、律の移行の隙を縫って生まれなおしよ!...でも、まだ確かめなきゃならないことがあるわ」
『レナラのもとに跪き、問いかける』
「レナラ様。...レナラ様の力が、ラダゴンを助けるのに必要です。もしレナラ様が協力してくださるなら、私たちはこれから、準備を行います。...いかがでしょうか」

【AIの出力】 「よっし! やることは単純明快ね! 死なない程度にボコって、律の移行の隙を縫って生まれなおしよ!
……でも、まだ確かめなきゃならないことがあるわ」

シルヴィアが宣言すると、セレンは「ふふっ……神を死なない程度にボコるなどと言い放つ王は、世界広しと言えどお前だけだよ」と愛おしそうに目を細めた。

シルヴィアは長いローブの裾を揺らしながら、窓辺で穏やかに佇む満月の女王のもとへと進み、その前に静かに跪いた。

「レナラ様。……レナラ様の力が、ラダゴンを助けるのに必要です。もしレナラ様が協力してくださるなら、私たちはこれから、準備を行います。……いかがでしょうか」

真摯に満ちた問いかけに。 琥珀の卵を抱いたレナラは、ゆっくりと、穏やかな瞳で見つめ返した。

「……ラダゴン……」

レナラは卵を強く、愛おしそうに抱きしめた。 その目から、温かい涙が零れ落ちる。それは数百年の狂気と孤独の痛みをすべて洗い流すような、深い救済の涙だった。

「そう……あの人は、私を黄金の檻から救うために、この卵を遺していったのですね。……私はただ、失った愛に壊れ、ただ産まれ直しを求めて彷徨うばかりだった……」

レナラはシルヴィアの頭に、優しく細い手を乗せた。

「我が愛しい娘、ラニ。そして……新しい月の王、シルヴィア。……よろしい、この卵の力、そのすべてを貴方たちに預けましょう。……あの人を、黄金の檻から引き剥がし……再び、一人の男として、私の元へと還してください」

彼女が微笑むと、抱かれた『琥珀の卵』から、まばゆい黄金色と、それを包み込む月の青い魔力光が溢れ出した。

その瞬間、懐のラニ人形から放たれた『星の世紀』の魔力と、レナラが差し出した『産まれ直し』の大ルーン、そしてシルヴィアの知性が、大書庫の中で完璧な三位一体となって同調し始める。

神をただの人間として完全に救出し産まれ直させるための絶対的な術式——【月の産まれ直しハック】が完成を告げた。

「がははは! 了解だぜ、ボス! 待たせちまったな! 灰都ローデイルへ向けて、進発だァァァッ!!」

バルトが操舵輪を思い切り回し、要塞の重力推進機関が極大の唸りを上げる。
レアルカリア魔術学院の生徒たちや教授陣が「シルヴィア神、万歳!!」と大合唱で見送る中、要塞は大空へと舞い上がった。

灰の雪が降る、崩壊した王都の真上へと到達する。 眼下に広がるのは、すべてが灰に埋もれ、ただ黄金の木が赤々と燃える死の都。
そして、あの玉座へと続く階段の前に、一人の男が杖を構えて待ち受けているのがセンサーに映し出された。

「……来たな、法則外のバケモノめ……。人が、神を、殺すなど……あってはならんのだ……!!」

百智卿ギデオン・オーフニール。 全知のプライドを粉砕され、大いなる意志の停滞の番人へと成り下がった男が、階段の上で立ち塞がっていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第28ターン】

【ユーザーの入力】 「...あんた、何してるの?私たちはラダゴンを助けに来たんだけど...」
(...なに、こいつ...。まさか、ゴドリックにも勝てなかったのに私たちと戦おうとしているの?)
『ギデオンが立ちふさがっている現状に、困惑する。真意をはかりかねて、要塞の上から声をかける』

【AIの出力】 「……あんた、何してるの? 私たちはラダゴンを助けに来たんだけど……」

要塞の甲板から、シルヴィアの困惑しきった声が灰の降り積もる階段へと響き渡った。

「…………は?」

杖を格好よく構え、悲壮な決意に満ちていたギデオン・オーフニールは、その言葉を聞いた瞬間、脳の処理限界を超えて完全にフリーズした。

「……たす、助ける……だと?」 ギデオンは杖を握る手をガタガタと震わせた。

「ふ、ふざけるな……! 貴公、大いなる意志を、黄金樹の理を何だと思っているのだ!
あの玉座の奥で待つのは、我ら褪せ人の知性の及ばぬ、大いなる獣、そしてマリカの終わりなき停滞だ! 人にできることなど、何もない!
女王マリカは、我らにただ足掻き、永遠に苦しみ続けることを望まれたのだ!」

ギデオンは絶望と、自らの全知が目の前の小娘によって1ミリも理解されていないという怒りから、真っ赤な顔をして叫び声を上げた。

「それを……助けるだと!? そんな欺瞞が、あってたまるか! 知っているぞ! 私は、百の知を得、そして知ったのだ! 人は、エルデの王にはなれぬ!
褪せ人が、神を殺すことも、救うこともできぬのだ! 貴公らは、ただの法則外のバケモノにすぎんのだァァァッ!!」

ギデオンは狂ったように杖を振り回し、魔術をチャージし始めた。 ……だが。
空に浮かぶ軌道要塞の巨大な主砲の銃口が、ギデオンの頭上へ向けて、静かにガシャリと照準を合わせた。

「……ボス。あのおっさん、円卓で本ばかり読んでて、エンシャに後ろから襲わせるような姑息な奴だろ?」
バルトが、重さ数百キロの大剣を肩に担ぎながら、眼下のギデオンをひどく呆れたような目で見下ろした。
「あいつ、本気で俺たち全員と、この空飛ぶ城を相手に、一人で戦うつもりなのか? ……デコピン一発で、灰の塵になりそうだが」

「ふふっ……百智を騙りながら、目の前にある絶対的な力量差すら計算できないとはね。……哀れな、ただの本の虫の極みだよ。シルヴィア、お前の髪の毛一本触れさせる価値もないね」
セレンがカーリアの王笏を弄びながら、冷酷に一瞥した。

「……百智。己の知り得ぬ領域を『不可能』と定義し、絶望に縋って立ち塞がる、ただの臆病者だな。我が王よ、一瞬で片付けよう」 懐のラニも冷たく言い放つ。

かつては円卓の指導者として恐れられた百智卿。 だが今のシルヴィア陣営の前では、彼はただの「イキっている読書オヤジ」にすぎなかった。

「……う、うおおおッ! 二本指の、マリカの意志に仇なすバケモノめッ!!」

ギデオンが悲壮な雄叫びを上げている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第29ターン】

【ユーザーの入力】 『重力魔術で、ギデオンの体を動けない程度に重くする』 判定1:67

【AIの出力】 「……あ、あ、足掻き……続けよ……」

ギデオン・オーフニールは、激しく口を戦慄かせながら、悲壮に杖を掲げた。

「私は、識っているのだ! 褪せ人は王とはなれぬ! 人は、神を殺せぬ! たとえ君であっても、マリカの望む絶望からは——」

「……うっとうしいわね。バルト、あんたは下がってなさい。……えい」

シルヴィアが、灰の雪が降る空から、軽く杖を眼下の階段に向けてひと振りした。

ドォォォォンッ!!!

白王の重力波を応用した重力制御が、階段の上に立つギデオンの肉体へとジャストミートした。

大気が紫黒い重力波によって激しく歪み、ギデオンの自重が一瞬にして数百倍、数千倍へと跳ね上がる。

「な、なにいィィィッ!? ぐ、グシャッ……!?」

ギデオンは、自らの悲壮な口上の途中で、突如として天から降ってきた目に見えない鉄の山に押し潰されるように、階段の大理石の床へと真っ平らにプレスされた。

メキメキメキッ!!!

灰の降り積もる大理石に凄まじい蜘蛛の巣状の亀裂が走り、ギデオンは押し花のように、床に完全に張り付いて指一本動かせなくなった。
重鎧も、百智の杖も、すべてが大理石と同化するように固定され、彼は「うぐぐ、う、うおぉ……!
な、何だこの不条理な重力は……私の百智が……ッ!」と、地面に顔を擦り付けたまま身悶えするしかない。

(……なに、こいつ……。まさか、ゴドリックにも勝てなかったのに私たちと戦おうとしているの?) シルヴィアが冷ややかなジト目を向けていると、バルトが「がははは!
名乗りの途中で潰されちまいやがった!!」と腹を抱えて大爆笑した。

「ふふ、実に合理的で美しいお仕置きだね、シルヴィア」 セレンが腰を抱き寄せ、床のシミと化したギデオンを見下ろして笑う。
「己の知り得ぬ重力の計算式の前に、ただ大理石の模様にされるとは。……これぞまさしく、本物の『全知』に対する教育だよ」

「……哀れな男だ」 懐のラニも鼻で笑った。

「よし、あのおっさんはそのままにしよう! ほら、ボス、みんな、降りるぜ!」

バルトが階段へと降り立つ。
シルヴィアたちは、お尻を突き出したままピクリとも動けない百智卿ギデオンを、まるで邪魔な小石でも避けるように跨ぎ、玉座へと続く階段をのんびりと登っていった。

———— ——

灰が降る。 黄金の木が、赤々と静かに燃え、空を朱色に染めていた。

階段を登りきり、崩壊した『エルデの王座』の広間へと足を踏み入れた瞬間。 ひとつの巨大な影が立ちはだかった。

そこに佇んでいたのは、かつて黄金律の全盛期を築き、追放された最初のエルデの王。

「……久しぶりだな、褪せ人よ」

凄まじいプレッシャー。 黄金の獅子セローシュを背に宿し、巨大な大斧を構えた本物の戦士——『最初の王、ゴッドフレイ』が、朱い灰の雪の中で真っ直ぐに見据えていた。

彼は、幻影ではない。 再び王座を取り戻すために帰還した、生きた伝説そのもの。
ゴッドフレイは、シルヴィアの放つ圧倒的な威光と背後の仲間たち、そして空の要塞を見つめ、不敵に唇を釣り上げた。

「……よもや、大いなる意志のシステムを無視し、これほどの軍勢を率いて王座へ至る英傑が現れるとはな。……その意気やよし。いざ尋常に、勝負と行こうではないか。新しい王の候補よ!」

大斧を構え、いつでもその武力で粉砕する構えを見せていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第30ターン】

【ユーザーの入力】 (こいつ、あのときのヤバいやつの...本体ね。ギデオンみたいに、手加減してたらこっちがやられる...)
「あんた、死にたくなかったらそこをどきなさい。正直、手加減できそうにないわよ」
『写し身を呼び出して、油断なく杖を向ける』

【AIの出力】 「あんた、死にたくなかったらそこをどきなさい。正直、手加減できそうにないわよ」

灰の降る崩壊したエルデの王座。 シルヴィアの決死の緊張を帯びた言葉が、最初の王の鼓膜へと届く。

「……ははっ、手加減できそうにない、か! ……よくぞ言った、褪せ人よ!」

ゴッドフレイは、その巨大な大斧を肩に担ぎ直し、地響きのように重く豪快な大笑いを響かせた。
その瞳に宿るのは、目の前の王候補であるシルヴィアに対する、最高の戦士としての昂る闘志。

「神の座を望む者、やはりそれほどの気概がなくてはな! なれば余も、一切の手加減を捨て、全霊を以てそなたの前に立ち塞がろう!」

ゴッドフレイが巨大な片脚を静かに持ち上げる。 中庭に降り積もる灰の雪が、その予備動作だけで爆風に煽られるように激しく渦巻き始めた。

シルヴィアは、すぐさま懐の遺灰へと魔力を注ぎ込んだ。

光の粒子が収束し、滑らかに立ち上がったのは——シルヴィアと寸分違わぬ美しい金糸の髪、そして特製ローブを纏った銀髪の美少女。
最大強化を施された最高の相棒、**『写し身の雫』**だ。

実体化した写し身は、先の落下危機でのお説教、そして過保護な愛着をその魂に深く刻み込んでいた。
彼女は言葉を発しない。しかし、大斧を構えるゴッドフレイを前にして、無言でシルヴィアの左手をそっと握りしめてきた。
冷たい銀の肌の感触。だが、その掌からは、完全にシンクロした極限の魔力回路が熱い波動となって直接脳髄へと流れ込んでくる。

写し身は右手に全く同じ杖を構え、力強くコクンと深く頷いてみせた。二重星律、および二重極大魔術の完全な同調態勢。

「がははは! ボス! あのおっさんの踏みつけが来るぞ! 俺が盾になるか、それともお前の一撃で吹き飛ばすか!?」 バルトが大剣と白銀の盾を構え、前に割り込む。

ゴッドフレイが地を踏み下ろし、数万トンの大質量による物理衝撃波が中庭を割って爆進してくる。

激突の瞬間だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第31ターン】

【ユーザーの入力】 プランA 判定1 [DEX]: 96 判定2 [INT]: 34

【AIの出力】 シルヴィアが「手加減できそうにないわよ」と言い放ち、写し身がその冷たくも温かい銀の手で左手をそっと握りしめた、そのコンマ数秒の瞬間。

ゴッドフレイが、大地を砕かんと巨大な片脚を力強く踏み下ろした。
シルヴィアの極限の反射神経は、ゴッドフレイの足の裏が石畳に触れる、そのわずか数ミリ手前の隙を捉えていた。

「いけぇぇぇーーーッ!!」

シルヴィアと写し身の、全く同一の、美しく重なる詠唱の声。
掲げられた二本の杖から放たれた極大魔力は、ゴッドフレイの足元の空間へと収束した瞬間、物理法則を書き換えるように、凄まじい熱量と指向性を伴う物理的斥力エネルギーへと急速相転移を遂げた。

ドォォォォォォォンッ!!!

世界の音が、一瞬にして消え去る。 視界のすべてが純白の閃光によって染め上げられた。
ゴッドフレイが地を踏み抜こうとした足元で、圧縮された真空が大爆発を起こしたのだ。彼の踏みつけの凄まじい破壊エネルギーが、新星爆発の生み出した極大の斥力衝撃波によって、完全に上空への破壊的な推進力へと反転させられる。

「ぐ、おおおおおぉぉぉッ!?!?!?」

あの金剛不壊を誇る最初の王が、背後に宿した黄金の獅子セローシュごと、強風に煽られた木の葉のように、はるか上空へと真っ逆さまに吹き飛ばされた。

ゴッドフレイの巨体は、そのままエルデの王座へと激突。
地鳴りのような爆音とともに、数百年もの間そこに佇んでいた重厚な石の玉座が、彼の背中で木端微塵に砕け散る。崩壊した瓦礫と激しい灰の雪が、爆風によって中庭の隅々まで吹き荒れた。

「はぁ、はぁ……っ」

二重の新星爆発に全魔力を注ぎ込んだ結果、内側の魔力は完全に空になり、心地よい脱力感が全身を駆け抜けた。隣の写し身もまた、魔力を使い果たして少し息を乱しながらも、左手をしっかりと握りしめたまま、どこか誇らしげに胸を張っている。

「う、うおぉぉぉッ!! すげえええ! あの最初のおっさんが、王座ごと木端微塵になっちまったぞォォォッ!!」

バルトが白銀の盾を構え、大中庭に渦巻く激しい爆風と飛び散る大理石の破片を完全に防ぎ切りながら絶叫した。

「……あはは! まさに神話の崩壊だね、シルヴィア!」 セレンが王笏を構え、いつでも追撃を放てる姿勢で背後を固める。

「グハァッ……! ははっ……見事、見事だ、褪せ人よ……!!」

崩壊した石の玉座の瓦礫の底から、ゴッドフレイが、大斧を杖代わりにして、ゆっくりとその巨体を揺らしながら立ち上がろうとしていた。
彼の鋼鉄の肉体には無数の傷が刻まれ、その背に宿した獅子セローシュもまた激しく身悶えしている。
彼は強靭度を完全に超過され、膝を突きかけ、防衛行動すら取れない完全な大ダウンの隙を晒していた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第32ターン】

【ユーザーの入力】 (こいつ...人型の、生身で新星爆発を受けて、まだ生きてるの...!?化け物ね...!) 『青雫の聖杯瓶を呷り、写し身を遺灰に戻す』
「もう一度言うわ。そこをどきなさい。5秒以内に返事をしなかったら、同じものをぶち込むわよ」

【AIの出力】 (こいつ……人型の、生身で新星爆発を受けて、まだ生きてるの……!? 化け物ね……!)

シルヴィアは心の奥底でその規格外の生命力に冷や汗を流しながらも、一切の動揺を見せずに青雫の聖杯瓶を一気に呷った。

冷たい魔力液が喉を通り抜けた瞬間、空っぽだった魔力回路が瞬時に再起動し、再び極限の魔力が満ち溢れる。
隣にいた写し身は、魔力が全快したのを確認すると、安心したように無言で一礼し、銀の光の粒子となって懐へと還っていった。

「もう一度言うわ。そこをどきなさい。5秒以内に返事をしなかったら、同じものをぶち込むわよ」

杖の先端をピタリと彼の眉間に突きつけ、冷酷なカウントダウンの姿勢を取ると。

瓦礫の中で満身創痍の身体を揺らしていたゴッドフレイは、その言葉を、そして魔力回路が瞬時に完全回復した異次元の光景をその瞳に映し——。
やがて、その赤く汚れた顔に、戦士としての獰猛な歓喜の笑みを浮かべた。

「……ハハッ。脅しか! 素晴らしい、素晴らしいぞ、褪せ人よ!!」

ゴッドフレイは、大斧を床へと惜しげもなく放り投げた。
重苦しい音を立てて大斧が転がる中、彼は自らの背中に手を伸ばす。そこには、彼の野生を抑えるために大いなる意志が与えた知性の枷——黄金の獅子セローシュが、激しく身悶えしていた。

「……もう、よい。ずっと、世話をかけたな、セローシュよ」

ゴッドフレイの太い指先が、セローシュの首をがっちりと掴み、力任せにへし折る。 肉の裂ける凄まじい音と、セローシュの悲痛な断末魔の叫び。

「……行儀のよい振りは、もうやめだ」

吹き出す黄金の血と霧を全身に浴びながら、ゴッドフレイは自らの手で宰相の獣を引き裂き、消滅させた。
彼が纏っていた王としての鎧がメリメリと内側から引き裂かれ、血と灰に濡れた筋骨隆々の巨大な生身の肉体が剥き出しになる。

「今より、俺はホーラ・ルー! 戦士よ!!」

「ウオオオオオオォォォォッッ!!!!」

空間そのものを震わせる、獣のような野生の咆哮。
最初の王としての礼儀を自ら引き裂いて捨て去り、彼はかつて蛮地を血に染めた殺戮者——**『戦士、ホーラ・ルー』**へと完全に覚醒した。

大斧を捨て、素手となった彼の身体からは、先ほどまでとは比較にならない、獣のような敏捷さと圧倒的なプレッシャーが立ち上っている。

「さあ、始めようではないか、シルヴィア!! 俺のこの拳が砕けるか、お前のその恐るべき魔力が俺を消し去るか、死闘の極致をなァァァッ!!」

ホーラ・ルーは獰猛に牙を剥き、雪原を踏み締め、ブレるような神速のステップで距離を詰めてきた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第33ターン】

【ユーザーの入力】 (あくまで、私狙い...!セレンを狙われるより数段マシだけど、やりづらいわね...!) 「バルト!その場で耐えなさい!」
『バルトを耐えることに専念させ、後ろから創世雨を放つ』

【AIの出力】 (あくまで、私狙い……! セレンを狙われるより数段マシだけど、やりづらいわね……!)

シルヴィアは瞬時に状況を判断し、叫んだ。

「バルト! その場で耐えなさい!」

「おうよボス!! どいてたまるかよォォォッ!!」

鋭い号令に、バルトは鉄兜の奥でニィッと笑い、自らの不沈の『白銀の盾』を大地へと力強く突き刺した。
彼は、ホーラ・ルーの突進が後ろのシルヴィアだけをピンポイントで狙っていることを看破していた。だからこそ、己の身体を盾とし、一歩も退かずにその場に踏みとどまる覚悟を決めたのだ。

シルヴィアは星空の特製ローブを翻し、バルトの背後へと滑るように後退する。

天に向けて突き出された杖。 シルヴィアの知力が、おぞましい星の深淵の記憶を呼び覚ます。
上空に、見る者の正気を奪うような暗黒の暗雲が急速に渦巻き始めた。伝説の極大魔術『創星雨』だ。

「お前の後ろは、私が絶対に護るよ。……存分に、深淵を呼びなさい!」

セレンが背後にピタリと寄り添い、二人の魔力を完全に同調させて詠唱の障壁を形成する。

「ウオオオオオオォォォォッ!!」

素手となった戦士ホーラ・ルーが、爆発的なステップで距離を詰め、バルトへと掴みかかった。
その巨大な両腕が、バルトの盾を強引に引き剥がし、彼の頑強な身体ごと大地へと叩きつけようと牙を剥く。

「がははは! 痛くも痒くもねえぜ! 踏ん張れ、俺の身体ァァァッ!!」

バルトは輝石鎧の結晶を全身に輝かせ、白銀の盾を構えたまま、ホーラ・ルーの暴力に対し、その金剛不壊の肉体のすべてを以て正面から耐えるために踏みとどまった。

頭上から降り注ごうとする星の豪雨。 そして、眼前で激突する最初の王と、最強の防盾。

決戦の火花が散った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第34ターン】

【ユーザーの入力】 判定1:80 判定2:19

【AIの出力】 「オオオオオオォォォッ!!」

戦士ホーラ・ルーの巨大な両腕が、バルトの『白銀の盾』を強引に掴み、引き裂こうと凄まじい力が加わった。

「ぬ、ぬうぅぅんッ! どいてたまるかよ! ボスが後ろで大魔術を詠唱してんだァァァッ!!」

バルトは全身に力を込め、大盾を踏み締め、大地を抉るようなホーラ・ルーの掴み投げに真っ向から耐え切ってみせた。結晶鎧が起爆し、飛び散る火花が彼の身体を護る。
ゴッドフレイは、己の剛力を力技で受け止めた重装の盾騎士に、一瞬だけ驚愕に目を見開いた。

その、完璧に作り出された数秒の隙の、頭上。

杖の先端から、一筋の細い青い光が渦巻く暗雲へと突き抜けた、その瞬間。

ピキ、ピキピキ、ピキィィィィンッ!!!

天を覆う暗黒の雲が激しく裂け、そこから、尋常ではない極太の魔力光の杭——『創星雨』の奔流が、滝のように降り注いだ。

星の始まりの深淵の光が、無数の超音速のレーザーとなって、ホーラ・ルーの脳天へと寸分違わず多段直撃する。

ドォォォォォォォンッ!!!

「グガァァァァァァァッッ!?!?!?」

凄まじい閃光と、空気が焦げるオゾンの匂い。
数千、数万の星の豪雨に頭上から定点で叩き潰されたホーラ・ルーの巨体は、バルトを掴んでいた手を強制的に引き剥がされ、その場に叩きつけられる。
彼の鋼鉄の肉体がみるみる傷つき、その血が中庭の灰を朱く染めていく。

激しい光の雨が止み、立ち上る煙が晴れた時。

「ハァ……ハァ……っ」

最初の王、戦士ホーラ・ルーは。 大斧を失い、全身から血を流しながら、シルヴィアの足元で、静かに、穏やかにその場に膝を突いていた。

一切の反撃を許さず、伝説の戦王を初手から一歩も動かさずに叩き潰した、完璧な連携。

ホーラ・ルーは、深く息を吐くと、最期に戦士としての、そしてかつての王としての、穏やかで誇らしげな笑みを向けた。

「……見事、見事だ、褪せ人の英傑よ……」

彼は、自らの敗北を何の悔いもなく受け入れていた。 傷だらけの右手をゆっくりと差し出し、自らの宿命を託すように深く頭を下げる。

「……そなたも、戦士であった。……エルデの王、シルヴィアよ」

ゴッドフレイの巨体は、そう告げると同時に、穏やかな黄金の光を帯びた灰の粒子となって、夜の吹雪と灰の雪の中に静かに溶け込むように消滅していった。

【最初の王ゴッドフレイ、完全無血撃破】。

「……はぁ。終わったわね」 シルヴィアが杖を下ろすと、バルトが「う、うおおおッ! ボス!
俺、あの最初のおっさんの攻撃を耐え切ったぞ!」と大はしゃぎし、セレンも「実に見事だったよ」と肩を優しく抱き寄せた。

ゴッドフレイが消え去ったその奥。 大いなる意志の結界が主砲によって撃ち抜かれ、赤々と燃える黄金樹の内部へと至る、神木への入り口が、完全に無防備に開かれていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第35ターン】

【ユーザーの入力】 (たぶん、ラダゴンも、マリカもこいつより強い...祈祷も使ってくる。殺さずに無力化できるかどうか...)
「ええ。お疲れ様。一旦祝福で休んで、輝石鎧をかけなおすわよ」
『祝福での休息と、伝承から予想される攻防のシミュレーションと、計画策定を行う』

【AIの出力】 (たぶん、ラダゴンも、マリカもこいつより強い……祈祷も使ってくる。殺さずに無力化できるかどうか……)

シルヴィアは内心で引き締まった警戒を抱きつつ、仲間たちへ声をかけた。

「ええ。お疲れ様。一旦祝福で休んで、輝石鎧をかけなおすわよ」

現れた最後の祝福に触れると、温かい黄金の導きが全身を駆け抜け、失われていた体力と魔力、そして聖杯瓶が完全に最大値まで回復した。

さらに立ち上がり、全員に向けて杖を掲げる。
『使い捨ての輝石鎧』を詠唱し、全員に一撃死を無効化する結晶コーティングを施した後、再び祝福に触れて魔力を満タンまで再充填する。

全員が無敵の結晶鎧を纏い、リソースも完全全快。 この万全すぎる状態の上で、シルヴィアは大書庫の資料を思い出しながら、最終決戦のシミュレーションを最終策定した。

「……いい、みんな。やることは単純明快、でも、一瞬の狂いも許されないわ」

1.【前衛による制圧】
ラダゴンは物理と炎に弱いが、デバフは一切効かない。バルトが白銀の盾と輝石鎧でヘイトを固定し、後方から魔術で叩きのめして、動けない程度の瀕死状態へと追い詰める。

2.【月の律によるシステム遮断】
ラダゴンの肉体が崩壊しかけ、エルデの獣が具現化しようとするコンマ数秒の隙。ラニが『ラニの暗月』を展開し、大いなる意志からの通信を遮断してシステムをフリーズさせる。

3.【魂のハック抽出】
システムがフリーズした一瞬の隙に、シルヴィアとセレンがラダゴンとマリカの魂を依代から強制抽出。メリナがその二つの魂をレナラの『琥珀の卵』へと完全に誘導する。

4.【エルデの獣の完全抹殺】 魂を救出・避難させた後は、ただの抜け殻となり暴走する大いなる意志の残滓(エルデの獣)を、最大火力で跡形もなく消滅させる。

「……完璧な計画だね」 セレンが妖艶に微笑む。
「お前のその精密な指先と私の源流の知識があれば、神の魂を盗み出すことなど容易い。……存分に、その手を汚しに行こうじゃないか」

「うむ。父上を、必ずあの黄金の檻から救い出そう」 懐のラニ人形も確固たる決意の光を宿して頷いた。

「……私の魔力、すべてを貴方に預けます。シルヴィア」 メリナが手を重ねる。

「がははは! 準備はいつでもできてるぜ!」 バルトが白銀の盾を構え、燃える黄金樹の幹を見上げた。

そこには、巨大でまばゆい神木の裂け目が、口を開けて待っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第36ターン】

【ユーザーの入力】
「...行きましょう。みんな。写し身は、攻撃には参加しなくていいわ。みんなを力場で守ってあげて。...もし、私が倒れたら、あなたが撤退を指揮してね」
(この戦いが終わったら...名前を付けてあげないと。...ああ、こんなときに考えることじゃないわね) 『写し身を呼び出して、裂け目に突入する』

【AIの出力】 「……行きましょう。みんな。写し身は、攻撃には参加しなくていいわ。みんなを力場で守ってあげて。……もし、私が倒れたら、あなたが撤退を指揮してね」

指先から編み出された光の粒子から、再び『写し身の雫』が滑らかに実体化した。

シルヴィアと全く同じ特製ローブを纏った銀髪の少女。
彼女は、自らを使い捨ての囮にするのではなく、もしオリジナルが倒れた際は仲間たちを守り、その引き際を完璧に指揮しろという、命の鍵すらも委ねる最高位の信頼を託されたことを、深く魂に刻み込んだ。

言葉を持たない彼女は。 ただ、その美しい銀の瞳を潤むように見開いた後、静かに対等な相棒としての敬礼を捧げた。
そして、シルヴィアの左手を温かく、強く握りしめ、力強くコクンと頷いてみせた。

(この戦いが終わったら……名前を付けてあげないと。……あいつに似合う、最高に愛らしくて、私の傍にふさわしい名前を。……ああ、こんなときに考えることじゃないわね)

不器用な愛着の動揺を大軍師の仮面で無理やり押さえ込むと、杖を固く握り直した。

「いくわよ……!」

一歩、踏み出す。 燃え盛る黄金樹の幹の裂け目の奥へと足を踏み入れた瞬間、世界の物理法則は完全に別の次元へと塗り替えられた。

そこは、鏡のように澄み切った浅い水面がどこまでも広がる異界。 見上げれば、暗い夜空の彼方から黄金の光を帯びた世界樹の巨根が立ち並んでいた。

そして、その中央。

空中に、歪な黄金のルーンによって磔のように吊るされている女王マリカの半壊した身体があった。
歩み寄ると、彼女を貫くルーンが激しく脈動し、マリカの肉体が水面へと落下する。

ピシャァァン……。

水面に落ちた瞬間、金髪は血を吸い込むように燃え盛るような赤髪へと染まり変わっていった。
水面から立ち上がったのは、大いなる意志の信奉を瞳に宿した、赤髪の英雄——『ラダゴン』。

身体の半分は石のように砕けて崩れ去り、その中には黄金のエルデンリングが剥き出しになって輝いている。
ラダゴンは無言のまま黒い『マリカの槌』を拾い上げ、天へと掲げた。

ドゴォォォォンッ!!!

空間全体に重厚な黄金律の旋律が響き渡る。 ラダゴンは冷たく見据え、槌を黄金に輝かせながら地を激しく叩きつけた。
黄金の格子状の衝撃波が、水面を割って爆進してくる。

「ボス!! 来るぜっ!!」

神のシステムをハッキングし、魂を救い出すための運命の幕が開いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第37ターン】

【ユーザーの入力】 判定1:81 判定2:4

【AIの出力】 ラダゴンが放った黄金の格子状の衝撃波が、水面を割って爆進する。

隣で杖を掲げた写し身は、一歩も退かずに『星律力場』を展開した。 美しい月の真円を描く絶対バリア。
黄金の地撃は力場に激突した瞬間、まるで水面に投げられた石が波紋を立てるように、その表面を滑るようにして左右へと完全に偏向・相殺された。バルトが白銀の盾を構えて仁王立ちし、「へっ、神様の最初の一撃も、俺たちのバリアには傷一つつけられねえぜ!」と不敵に笑う。

その、完全に無傷に守られたバリアの真後ろから。

シルヴィアが杖を天へ掲げた瞬間、空間全体が一瞬にして冷たい月の暗闇によって塗りつぶされた。
極限の知性とセレンの魔導同調によって具現化したのは、夜空に浮かぶ本物の月のごとき、巨大で冷たく美しい『ラニの暗月』。

その暗月は、水面を滑るように飛翔しながら、ラダゴンの槌から漏れ出る黄金の残光をすべて呑み込むように吸収・相殺し、さらに巨大な冷気となって彼の胸部を直撃した。

魔術を反射するプログラムすら暗月の魔力吸収によって強制シャットダウンされ、ラダゴンは無防備にその一撃をその身に受けた。

パリィィィィィィンッ!!!

水面全体に凍てつく薄氷が一瞬にして張り詰める。 大ルーンが脈動するラダゴンの胸へと直撃した暗月は、絶対零度の冷気爆発を巻き起こした。
石の肉体が内側からカチカチに凍りつき、凄まじいダメージが彼の骨格をきしませる。

「グォ、ォォォッ……!?」

魔力・聖耐性は完全に紙くず同然に低下。
さらに絶対の冷気によって全身の関節を凍結されたラダゴンは、激しくのけぞり、水面に膝を突き、そのまま身動きが取れない完全な大ダウン状態へと追い込まれた。

「……見事な暗月だ、シルヴィア」 懐から、ラニの誇らしげで温かい声が響く。
「かつて王家を捨てて去った父上の黄金を……今、私の冷たい月が、そなたの手によって完全に塗りつぶした。……あのおいたわしい身体を、早くあの檻から救い出そう」

「さあ、シルヴィア! お前の最高のエレガントを見せておくれ!」 セレンが背後から杖を構え、追撃の姿勢を整える。 「魔力耐性は完全に底をついている!
一気にボコって、あの男の魂を引き摺り出す臨界点まで追い詰めておしまい!」

「おうよ! ボス、おっさんカチカチで動けねえ! 俺の大剣をぶち込んでいいか!?」

絶好の追撃の好機だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第38ターン】

【ユーザーの入力】 「攻撃しなさい!手加減するのよ!」 プランB 判定1 [INT]: 30 判定2 [STR]:58

【AIの出力】 「攻撃しなさい! 手加減するのよ!」

戦場においてあまりにも無茶で、しかし誰よりも優しい寸止めの突撃命令。

「がははは! 了解だぜ、ボス! 手加減して、寸止めでボコるんだな! 任せな!!」
バルトが大盾を構えて一歩前へと踏み出し、重力波を宿した大剣を水面へと突き立てた。

ドゴォォォォンッ!!!

放たれた三連続の重力波動——戦技『暗黒波』が、凍りついたラダゴンの足元を直撃。
暗月によって凍りついていたラダゴンの身体は、重力の大質量衝撃によって完全にその場に叩き伏せられ、一歩も身動きが取れなくなる。

「ふふ、お前のその無茶な号令……嫌いじゃないよ、シルヴィア!」 セレンが王笏を構え、『創星雨』と魔力を完全にシンクロさせた。

杖を振るうと、頭上に渦巻く暗雲から滝のように星の雨が降り注ぐ。
緻密な魔導同調により、星の雨は信じられないほどの精密さでラダゴンの肉体の臨界強度だけを正確に削るように、パチパチと多段ヒットを刻み込んだ。

ラダゴンの半壊した肉体が細かく削られていく。 そして。 肉体が崩壊するギリギリの臨界点、一筋の命の糸だけを残した絶妙な寸止めで、魔力の雨がピタリと静止した。

「……今よ! シルヴィア!!」

セレンが鋭く叫ぶ。 ラダゴンの胸の奥で防衛プログラムが異変を察知し、彼を消滅させて逃れようとする、そのコンマ数秒の隙。

【月の産まれ直しハック】——完全、起動。

懐のラニ人形から冷たい暗月の魔力が空間全域に極大展開される。 大いなる意志とラダゴンの肉体の通信が完全に遮断され、黄金の律がフリーズした。

「……魂を、抜き取るよ! シルヴィア、手を重ねて!」

セレンが左手に自らの手を重ねる。 神速の指先が、激しく脈動するラダゴンの胸の空洞へと突き出された。
放たれた極限の魔力光が、ラダゴンとマリカの魂の接続をコンマ数秒で完全に切断。

石の肉体から、深く静かな黄金色のマリカの魂と、燃え盛るように熱い赤金色のラダゴンの魂が、一滴の血も流さずに手の中へと完全に抽出された。

「……黄金の光よ。……お母様の元へ、還りなさい」

メリナが火の導きを灯し、二つの神の魂を優しく包み込み、レアルカリア大書庫の『琥珀の卵』へと転送を完了させた。

(※大書庫では、レナラの抱く琥珀の卵が二つの光を優しく受け入れ、祝福の光で満たしています。マリカとラダゴンは呪縛から解き放たれ、人間として産まれ直すための避難を完全無傷で完了しました!)

「……やった……! やったわね……!」

安堵の息を吐いた瞬間。 魂を失い、ただの抜け殻となったラダゴンの肉体が水面へと崩れ落ち、漆黒の液体となって消滅した。

そして、その漆黒の液体が足元の浅い水面を一瞬にして呑み込んでいく。 水面が底知れぬ漆黒の星空——宇宙の深淵へと完全に相転移を遂げた。

漆黒の宇宙の海から、巨大な光の発光生命体が立ち上がる。 大いなる意志の具現、エルデンリングそのものの化身——**『エルデの獣』**だ。

神の肉体を事前にすべて盗み出された宇宙の獣は、マリカの体を武器にすることすらできず、激怒の咆哮を上げた。

「がははは! ボス! あのデカいトカゲ、獲物を奪われて怒り狂ってやがるぜ!」 バルトが白銀の盾を構えて前に立ち塞がる。

「魂はすべて、レナラ様の卵へと避難させた。……さあ、シルヴィア」 セレンが美しい魔女の笑みを浮かべて杖を構える。
「あとに残されたのは、ただの黄金のバグだけだ。……木端微塵にデリートしておしまい!」

「……うん、行くわよ。……神様、お宝は根こそぎ私がもらうって言ったでしょ」

最大値まで満ちた魔力を宿し、シルヴィアは不敵に宇宙の獣を見据えた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第39ターン】

【ユーザーの入力】 「全員!無事に帰るわよ!」 『飛翔し、カーリアの貫きを詠唱しながら、最高速度でエルデの獣に突っ込む』

【AIの出力】 「全員! 無事に帰るわよ!」

かつて、崖の上で野ネズミに驚いて足をもつれさせ、あっけなく野垂れ死んだ没落令嬢。
わけも分からぬまま接ぎ木の貴公子に惨殺され、死の恐怖に涙を流していたひ弱な小娘。
……その彼女が、いま。
強固に鍛え上げられた肉体に、神の想定すら超える大知性を宿し、誰よりも誇らしげな真の王として、大切な身内たちのために自ら先頭に立って大剣を構え、神の獣へと突っ込んでいく。

その気高い叫びに、仲間たちの魂が熱く共鳴した。

「おうよ、ボス!! 俺のこの白銀の盾は、お前を絶対に無傷で家に帰すためにあるんだァァァッ!!」

バルトが白銀の盾を構え、全身の筋肉を爆発させて突進。エルデの獣が放った無数の黄金の追尾光弾を、戦技『踏み込み』の質量防御によって一枚残らず木端微塵に弾き散らし、目の前に完璧な無欠の突撃路をこじ開けた。

「いっておいで、シルヴィア。お前の背中には、私が一生、この魔道の翼を添えてやろう!」

セレンが王笏を掲げ、星空の特製ローブの背中へと、ほうき星の如き青白い魔力の巨翼を具現化させた。
ラニの月の律がその翼を重力から解放し、メリナの温かい黄金の光が、進む先をただ一人無傷で往く王の道として眩しく照らし出す。

「ウオオオオオオォォォォッッ!!!!」

マリカの肉体を武器にすることすらできず、不完全な光の巨獣として怒り狂うエルデの獣が、最後の絶対的な光の防壁を張ろうと咆哮を上げる。

だが、シルヴィアの飛翔速度は、すでに雷をも置き去りにする神速の領域に達していた。

「カーリアの……!」

宇宙を滑空しながら掲げた杖の先端から。
ボックが仕立ててくれた星空の金糸の如き魔力繊維が、数百万本と編み合わされ、天を突くほどの巨視的な魔力の大剣へと具現化していく。

「……貫きッ!!!」

手加減など、もう必要ない。 大切な者をすべて守り抜き、この呪われた古い停滞の世界を終わらせるための、極大過充填の一撃。
光の巨獣の胸部、その赤々と点滅するエルデンリングの根幹コアに向けて、魔力の大剣を構え、最高速度で真っ直ぐに突っ込んでいった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【第40ターン】

【ユーザーの入力】 判定1:71 判定2:76

【AIの出力】 「全員! 無事に帰るわよ!」

その気高い号令は、神の理すらをも完全にへし折る、史上最大の奇跡の鐘の音となった。

「おおおぉぉぉッ!! いけェェェーーーッ、ボスッ!!!」

バルトが白銀の盾を構えて突進し、エルデの獣が放った黄金の流星群を一枚残らず弾き散らして突撃路を切り開く。
セレンとラニが添えた青白い魔力の巨翼が、最高速度の『星律飛翔』をさらに加速させた。
光の弾幕を、研ぎ澄まされた敏捷さですべて紙一重でスルーしていく。

そして。 むき出しになったエルデの獣の胸の根幹コアの、目の前。

「これで……おしまいよッ!!!」

杖から具現化した巨視的な魔力の大剣『カーリアの貫き』。
全身に宿した強靭な肉体と、全員の意志を背負った王としての誇りを乗せ、コアへとその刃を深く、深く、真っ直ぐに突き立てた。

——ズガァァァァァァァァンッッッ!!!

突き刺さった魔力剣から星律魔力が根幹システムへと一気に逆流し、過負荷を引き起こす。

ピシ、ピキピキ、パリィィィィィィンッ!!!

世界のシステムそのものであった宇宙の神獣の身体に無数の亀裂が走り、次の瞬間、それはガラスが割れるように眩い星屑となって静かに霧散していった。

【ELDE BEAST SLAIN(エルデの獣、完全消滅)】

大いなる意志の支配は、ここに完全に終わりを迎えた。

荒れ狂っていた宇宙の海が、しめやかに、冷たく美しいラニの『暗月の夜空』へと塗り替えられていく。 空に輝くのは、死を正しく流転させる、静かな新しき月の光だった。

———— ——

その瞬間。 レアルカリア魔術学院の大書庫では。
満月の女王レナラが抱く『琥珀の卵』が、転送されてきた赤と黄金の二つの光を優しく包み込み、穏やかな生命の息吹を刻み始めていた。
マリカとラダゴンの魂は完全に無傷で救済され、大いなる意志の呪縛から解き放たれ、ただの人間として産まれ直す時を静かに待っている。レナラの壊れた心も、完全に救われたのだ。

「……やったぜ、ボス! 俺たち、本当に全員無傷で勝っちまいやがった!!」

バルトが大剣を突き立て、鉄兜を放り投げて大はしゃぎする。 メリナも自らの手を見つめ、生きたまま新しい世界を迎えた奇跡に涙を流して深々と一礼を捧げた。

「あはは……! 実に見事だったよ、シルヴィア」 セレンが駆け寄り、抱きしめ、熱い口付けを何度も落とす。

そして、懐の人形が青い冷たい霧となって実体化した。 現れたのは、四つの腕を持ち、冷たい月の美しさを湛えた、新しき律の神——月の王女ラニの、真の麗しき姿だった。

ラニはシルヴィアの前に立ち、四つの手を愛おしそうに頬と小さな手へと重ねた。

「……よくやったな、シルヴィア。……我が王よ」

「古い停滞の夜は去り、これからは私たちの敷く『星の世紀』だ。……さあ、そなたの望む通り、一人は寂しいからな。……全員を連れて、この星の旅路へと共に歩み出そうではないか」

ラニが手を優しく引き、シルヴィアはその手をしっかりと握り返した。

「……あの、シルヴィア様」

背後で、銀髪の美少女——『写し身の雫』がローブをそっと引いた。 無事に手が届く場所に戻ってきたことを、嬉しそうに見つめている。

「ああ、そうね」 シルヴィアは微笑んで、その頭を優しく撫でてあげた。

「約束通り、無事に帰れたわ。……これからは、あんたを道具なんて呼ばせない。……あんたの名前は、**『ステラ』**よ。……私の大切な、世界一優秀な、もう一人の私なんだからね」

その名前を授けられた瞬間。 ステラは銀の瞳を最高の喜びで満たし、胸に抱きついて何度も頷いた。

———— ——

キャンペーン開始から、ちょうど100日目の朝。

ハイト砦のケネスが演説し、ゴドリックが特製の朝食を作って待つストームヴィル城の上空。
お針子ボックが仕立てた特製ローブをはためかせ、人形兵をホバリングさせたシルヴィアは。

新しき神ラニ、伴侶セレン、忠犬バルト、巫女メリナ、そして妹ステラと共に、軌道要塞の甲板から、静かな月の光に照らされたリムグレイブの緑の森を見下ろしていた。

かつて崖から落ちて死にかけた没落令嬢は。
誰も死なせないハッピーエンドを知略で掴み取り、根こそぎお宝を手に入れた、狭間の地の歴史上、**【最も強欲で、最も愛おしい、真の王】**として、新しい星の世紀の旅路へ向けて、完璧なドヤ顔で一歩を踏み出すのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

総括

全体を通して

本編終了です。このあとのDLC編をプレイしてる最中に、無性にエルデンリングがプレイしたくなって、シャドウオブエルデツリーを購入しました。

特に良かった点

①ステラの名前
→これはAIのアドリブです。しかし私も同じ名前を考えていたので驚きました。どこかで入力していないかと見直しましたくらいです。

②エモさ
→本編の最後だからか、エモい演出が多用されていました。エルデの獣戦で翼が生えるのは完全に想定外です。
ちなみに判定式がありませんが、目標値170パーセントくらいでした。

粗が目立つ点

①ゲーム的な表現
リプレイ化に際して削りましたが、「タイトル画面のあのオープニング曲が流れてきた!」というような表現がありました。
確かに本編をプレイしていると興奮するポイントですが、その表現はやめてほしかったです。

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