んの魔法 | 長編小説 | 第3章 スポンのルール(第5話)
これは、言葉と記憶と心をつなぐ、僕の再生の物語。
始めから読む方はこちら → 序章 海辺のバス停(第1話)
前回のお話はこちら → 第3章 スポンのルール(第4話)
本編はここから
「この本は、別名「スポンの本」というのじゃ。」
「本に物がスポンと入る!すると、持ち主の気分が楽になる。
心の整理整頓が、できるんじゃ!
今のお前さんには必要なことだと思うんじゃがね。」
ンタンタンは、本を指さして、そう言った。
「心の整理整頓?」
「ただの遊びじゃよ。魔法ごっこじゃ。もし怖くなったら、ページを閉じればよいだけじゃ。」
「まあ、言うより見た方が早いじゃろう?ちょっと失礼するよ。」と、
ンタンタンはそう言って、本をパラパラめくって、白いページを開く。
僕の心の本なのだけど、触られても、見られても、何にも感じないので、ちょっとほっとした。
「だいぶ、ページがたまっとるな。マフや、さっきのスプーンを取っておくれ。」
カウンターの上に置き去りにしてきたスプーンを指して、ンタンタンが言った。
「お師匠。スポンは危険ニャよ~」
マフはいやいやながらも、ンタンタンにスプーンを渡す。
「わかっとるわい。じゃが、この子には、今はこの本が必要じゃ。
要は使い方なんじゃ。」
「僕に?この本が?」
「まあ、見とれ。」
ンタンタンは、そう言ってスプーンを本の上にかざした。
すると、本の上にくっきりと青い光の文字で書かれた輪が浮かび上がった。ンタンタンはスプーンをその輪の真ん中に入れて、何やら変てこな呪文を唱えた。
「エッヘン、オッホン、スッポンポン!」
は?すっぽんぽん?
それ、呪文なの?
僕は口をぽかんと開けて、その様子をじっと見ている。
ンタンタンが呪文をとなえた途端、魔法円から光の文字が飛び出して、スプーンのまわりをくるくる回りはじめ、大きく円を描いて輝きだし、まぶしいほどの明るい青い光を放ちはじめた。
本の上にかざしたスプーンが、光につつまれると、ンタンタンの手から離れてゆっくりと浮遊し始める。
魔法だ!スプーンが浮かんでいる!と、その瞬間、
“ヒュ~~ストン!!!”
という音がして、“スポン!”と、スプーンが光と一緒に、本に吸い込まれたのだった。
スプーンが消えた。

※登場人物「んたんたん」の表記を「ンタンタン」に変更しました。物語の世界観により沿うための調整です。過去話も順次修正しております。
次は、第3章 スポンのルール(第6話)につづきます。
「ん」の魔法 ~深淵の本と心の夜明け~ の固定ページはこちら → いらっしゃいませ!お茶ですか?それともお話ですか?
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