第4話:休むこととサボること ― 甘え?守る?それともごまかす?
「がんばるのがあたりまえ」「さぼっちゃだめ」――
そんな思い込みを、つい大事に握りしめてしまう、わたしの中の「きまじめさん」。
でもこれまでの経験と、島での暮らしが教えてくれたことがあります。
今日は「休む」と「サボる」の違いを見つめながら、わたしなりの気づきをお話しします。
「眠気」と一緒にやってきた、大切なサイン
利尻島での生活は、普段の生活との「時差」があるリズムでした。
わたしは早くそのリズムに馴染もうとして、眠くなっても「時差ボケだから早く慣れなきゃ」と、仮眠をとらずに過ごしていました。
でもある日、意識が飛びそうになるほどの眠気に襲われました。
運転中じゃなかったのが本当に幸いで、思い返してもひやっとします。
そのときようやく、「このままじゃリズムを整える前に、体調を崩す」と気づいたのです。
さらに、一緒に働いていた仲間がよく仮眠をとっているのを見て、正直なところ「よく寝るなぁ」と心の中でジャッジしていた自分にもハッとしました。だから、わたし自身もなんとなく仮眠を取りにくかったのだと思います。
後から考えると、彼女はちゃんと自分の身体の声を聴いてたんだな、あんな初期段階ですごいな、と思いました。
本当に大事なのは「寝るか寝ないか」ではなく、「今、自分がどんな状態にあるのか」をちゃんと見てあげること。
「きまじめさん」が発動すると、目的を見失って無理を重ねる「本末転倒」が起きやすいんだなって思います。
「休む」という選択は、自分を守る大事な一歩なのだと、あらためて実感しました。
「サボる」は自分との信頼を裏切ること
休むとサボるって、行動だけ見れば似ています。けれど意味合いは、まったく違うもの。
島での生活のなかで「サボった」と思うことは一度もありませんでした。
毎日が全力で、むしろ必死だったからです。
一方で、日常生活では「あ、サボってるな…」と思う瞬間は、正直あります(汗)
たとえば、やればすぐ終わるのにやらないときや、なんとなく先延ばしにしているとき。
そのときに感じる、ちくりとした後ろめたさ。
あれはつまり、「できるのにやらない自分」を、自分自身がちゃんと見ているから生まれる感覚です。
言い換えればーサボることは「自己欺瞞(じこぎまん)」。自分で自分をだますことです。だからこそ後味が悪いし、結局あとで「付け」を払う羽目になることも多いのだと思います。
そして何より残念なのは、「できるのにやらなかった自分」を責めること。
それが自己否定につながり、行動するためのエネルギーを無駄遣いすることで、結果としてやりたいことや目標から少しずつ遠ざかってしまう。
一方で、「休む」こと、「休息をとる」ことは、ちゃんと自分を見て大切にしてあげる行為。
まるで正反対の意味を持つ行動なのだと、改めて思います。
心と身体の声を素直に感じるようになれたかも
今回、利尻で過ごした1ヶ月の疲れは、帰ってきてからじわじわと感じました。
変則的な生活時間、非日常の連続、慣れない肉体労働、他人との共同生活、そして東京と利尻の気候差。いろんな要素が折り重なって、気づかないうちに相当疲労が積み重なってたみたい。
わたしはもともと「休み下手」。行動すればなんとかできちゃうから、『まだいける』『大丈夫』って思い込んで走り続けちゃう。まさに休み下手の典型です。
その結果が、2023年の適応障害で、発症してからの休養期間はとてもしんどい思いをしました。
でもあの経験があったからこそ、今回の疲れには冷静に対応できた気がします。
「この疲れは、休まなきゃいけないやつだ」って、 自分を丁寧に観察できていると感じました。無駄な経験なんてないっていうやつですよね。
この利尻生活での体調が回復するまでには1ヶ月もかかりましたが、それも無理のないことだと、今では思えます。
「あれだけ必死に駆け抜けたのだから、それくらいかかって当然だよね。」そんなふうに自分をねぎらえるようになったことが、嬉しい。
今のわたしの、ちいさな成長です。
「休んでもいい」と、自分に許可を出す
わたしたちは「まじめで勤勉」が美徳とされてきた文化のなかで育ってきました。
特に、わたしと同じ昭和世代は「休むこと=悪いこと」「甘え」と感じやすいかもしれません。子どものころから「みんな頑張ってるんだから、自分も我慢しなきゃ」と思ってきた人も多いのではないでしょうか。
でも、今、わたしは思います。
自分の状態をいちばんリアルに感じ取れるのは、自分だけ。
だから、休むべきときにちゃんと休むのは、自分を大切にする選択なんだと捉えたいのです。
そして、もし「サボる」ことがあったなら…それは自分への小さなごまかしだと気づけばいい。
大切なのは、その時々の自分の状態を見て判断する力。
休むときはしっかり休む。遊ぶときは思いきり遊ぶ。そんなふうに「意図して過ごす」メリハリのある暮らしは、きっと自分を楽にしてくれる暮らしでもあると思います。よく観察して、ちゃんと自分の味方でいてあげたいですよね。
しつもん
あなたは最近、「これはちゃんと休んでいいやつだ」と思えるような疲れ、ありましたか?それに、ちゃんと気づいて、休んであげられましたか?
次回は「人とのつながり」についてお届けする予定です。
どうぞお楽しみに!
🌿 このエッセイは、連載「島で働き、暮らした1ヶ月 利尻島がくれた12のこと」の一編です。
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