絶景と"昭和の遺物"がここに!須磨浦山上遊園と明石城へ行ってきた話
今回は令和8年5月24日に行われた蓮ノ空6thライブ兵庫公演のために神戸を訪れ一泊することになり、ついでに神戸市内と明石を観光したときの話だ。
訪れたのは神戸市須磨区にある須磨浦山上遊園と明石市にある明石城という定番の観光地だったが、これがどちらもなかなか濃い場所だった。

夜明け
メインイベントであるライブ参加を終え、二日目のメインは完全に観光だ。
ホテルを出て神戸市内を西へと進み、この日の目的地である須磨浦へと向かった。
須磨浦の最寄りICは阪神高速3号神戸線の若宮ICであり、分かりやすさと速達性を重視して当初は阪神高速を使うつもりでいた。
しかし、なんと若宮ICはちょうどこの時期に工事のため封鎖されてしまっていた。
これに伴い阪神高速のみならず阪神高速の高架下を走る国道2号も渋滞しており、須磨方面へと向かう最も分かりやすい二つのルートはいずれも渋滞に巻き込まれることが確定していたのだ。
こんな渋滞に自分から突っ込みに行くのは愚の骨頂であるため、即座に迂回を検討した。
そこで迂回路として採用したのが、沿岸部を走る朱線で示したルートだ。

国道2号西出町交差点から分岐し、通称高松線と呼ばれる神戸市道(主要地方道西出高松前池線)で海沿いを蛇行しながら若宮ICのある国道2号までを結ぶというもの。
まさに私が回避したかった渋滞区間を完全に回避しているのだ。
このルートの長所は「国道2号から分岐して再び合流するまで一本道である」という分かりやすさに加え、全線が四車線で作られている交通容量の高さにある。
実際に走行してみて全く渋滞しなかったので、神戸市内における渋滞回避の有力な選択肢と言っていいだろう。


山頂付近に白い建物があり、そのやや下にも構造物が見える。
この白い建物こそが目的地である須磨浦山上遊園の展望台だ。
下に見える構造物は、おそらく同園のカーレーターと呼ばれる昇降用設備だろう。
カーレーターについては後述する。
須磨浦山上遊園

須磨浦山上遊園へと到着した。
駐車場は園内に整備されているので安心だ。
平面駐車場の台数はそこそこだが、立体駐車場も併設されているので平日なら余裕で駐車可能だろう。




ここからはロープウェイとカーレーターの二段階で山頂へと上がることになる。
山頂には回転展望台のほか、小さな子供向け遊園地へとアクセスするためのリフトもある。
ロープウェイとカーレーターがセットになったチケットの他、これに加えてリフトにも乗ることが出来るチケットなど、どこまで行くかによってチケットを選ぶことが出来るようになっていた。
なお、文明の利器を用いず自らの足で歩くという選択肢もあるが、登山が好きな人や修行したい人以外はオススメしない。
楽してロープウェイからの絶景を楽しんだ方が絶対に良いぞ。

ちなみに須磨浦山上遊園は山陽電鉄が保有しており須磨浦公園駅と一体化していることから、鉄道によるアクセスも容易だ。



カーレーター

あっという間にロープウェイで中腹まで到達した。
ここからはカーレーターという昇降用設備で山頂へと登っていく。
カーレーターというのは耳馴染みがない人が多いと思うが、これは簡単に言えば人員輸送用のベルトコンベアだ。


人間を台車ごとベルトコンベアで運ぶというユニークな設備で、世界でもここにしかない唯一無二の設備でもある。
しかし、これが非常に乗り心地が悪い。
昇り降りしている最中にも時々揺れるが、一番酷いのは登り始めと降りてくる時の振動だ。
これは誇張抜きで尋常ではない揺れ方をする。
注意書きがされているほどだった。


世界でここにしか現存しない理由は、乗り心地が劣悪であるという理由以外にもあった。
これについてはウィキペディアの記事が分かりやすいので引用させてもらおう。
従来のベルトコンベアやエスカレーターと違い、途中で速度の変化する、ベルトコンベアによる人の輸送方法として、1960年頃にベルトコンベア製造会社である日本コンベヤにより開発された。その後、このシステムはびわ湖バレイ(当時はサンケイバレイ)や須磨浦山上遊園に導入され、多くの人を運んだ。
しかし、このシステムは設備が大がかりな割には輸送能力がリフトとあまり変わらない、乗り心地が悪いなど、様々な問題があり普及せず、導入したのは日本どころか、世界でもこの2か所だけであった。さらに、その設備の大がかりさゆえに、老朽化するのが早く、維持費がかさむこともあって、1975年10月、びわ湖バレイのカーレーターが廃止され、現在残っているのは須磨浦山上遊園の1か所だけである。
※太字は筆者が施したもの
一言で言えば、
「整備性が悪く高コストで乗り心地が悪いにもかかわらず、輸送能力もリフト並」
というメリット皆無の昇降用設備だったのだ。
当然だが、宙吊りであるリフトの方が振動は少なく乗り心地も良い。
それでもこの場所で60年も維持されているのは、かえってこれが珍しいという一面もあるようだ。
レトロで乗り心地の悪い昭和の遺物に物珍しさを感じるのだろう。
こんなデメリットを逆手にとって広報や宣伝に利用するというのが実に商魂たくましい。関西らしさを感じてしまう。



せっかくなので、公式の動画リンクを貼っておこう。
回転展望台

カーレーターを降りると、国道2号から見えた回転展望台が姿を表す。
回転展望台とは床が回転する円形の展望台のことをいい、床が360度回転することによって座りながら全方位の眺望を堪能することが出来るというもの。
カーレーターほどではないが、これも昭和の遺物だ。
昭和の頃に全国各地で建設されたが、高コストであることや整備性の悪さから現代に残る回転展望台は非常に少ない。
既に回転することをやめてしまった展望台も多いそうだが、ここ須磨浦山上遊園のものは現役で回っており、そういう意味でも貴重なものだ。
なお、回転するのは3階の床だけであり、それ以外の階では回転する仕掛けはない。





いくつもある筐体の中で最も目を引いたのは、このカニカニパニックだ。
穴から出てくるワニを叩くワニワニパニックというゲームの派生機で、平成3年に稼働を開始したという。
マイナーなゲームである上に、世に出て既に30年以上が経過していることから現存するものは少ないらしい。
レトロゲームマニアではない私は、ここに来るまでその存在すら知らなかった。

一応稼働しており遊べるが、電光表示板が壊れているためスコアを読み取ることはできない。
ついでに金沢へ行った時にワニワニパニックを見つけた話を貼っておこう。

3階の回転展望台へと上がる。
喫茶店も設けられているので、座って休憩しながら360度全方位の景色を楽しめるのがウリだ。
しかし、立って歩いていると動いている実感は全く感じられない。
もっとも、体感出来るくらいのスピードで回転していたら危険だろうから、これくらいのスピードがちょうどよいのだろう。

ガラス越し まずは笑顔のオーディション




屋上展望台まで上がってみる。
3階の展望台もいいが、やはりガラス越しよりも肉眼で見る景色のほうがよい。
柱のような遮蔽物がないので写真が撮りやすいのも利点だが、直射日光で全身を焼かれるため真夏は覚悟がいるだろう。








見えているのは須磨浦山上遊園だ。
展望台の向かいにある小さな山の山頂にある小さな遊園地で、子供向けのミニカー(ゴーカートのようなもの)やサイクルモノレールが設置されている。
展望台からはリフトで接続されており、景色を見ながらのんびりと向かうことが可能だ。

高低差はそれなりにあるので高所が苦手な人にとっては怖いのではないかと思えるが、乗ってみると意外とそうでもないので安心してほしい。
地上から2メートル程度の高さでゆっくり動いているため、見かけほど恐怖感は感じない。
ここで一番怖いのはリフトから自分が落ちることではなく、リフトから物を落としてしまうことだ。
落とした物によっては網をすり抜けて谷底へと落下してしまい回収不能となる恐れもある。
ネックストラップ等の落下防止策を取っていなければ、乗車中にスマホなどの操作はしない方がいい。

サイクルモノレール

山上遊園は子供向けではあるが、このサイクルモノレールは大人でも楽しめるのでオススメだ。
その名のとおり動力は人力で、自転車のようにペダルを漕いで進んでいく。
前のモノレールが遅いからといってカマを掘ることがないように気をつけよう。

レールの地面からの高さはそれほどではなく、一見するとただの子供向け遊具かと思えるかもしれない。
しかし、実はこのレールは公園からせり出して斜面にも設置されている区間が半分以上ある。
そこから見える景色は遮るものがなく、展望台などとはまた違った形で風景を楽しむことが出来るのだ。

須磨浦を訪れた際は、子供向けだろうと侮ることなく是非このサイクルモノレールにも乗ってみてほしい。
思っていたよりも断然楽しめることだろう。

一通り須磨浦を堪能し、帰りのロープウェイへ向かった。
この時は偶然他に誰も乗客がおらず、期せずして完全に貸切状態で乗車することが出来た。
こうなると写真も動画も遠慮なく撮り放題なので、大変気が楽だった。





ちょうど電車も止まっており、ここが鉄道駅と一体化していることがよく分かる一枚となった。
明石城
須磨浦山上遊園を出て、国道2号を明石方面へと向かった。
次なる目的地は明石城だ。
ルート自体はとても分かりやすく、国道2号をひたすら姫路方面へと走り明石の市街地で右折するだけ。
しかし、この国道2号が厄介でもあった。
明石市街地の国道2号は多大な交通量に比してわずか二車線しかなく、非常に流れが悪いのだ。

今思えば、須磨ICから第二神明道路(国道2号のバイパス・有料の高速道路)を利用して大回りしたほうが早かったのかもしれない。

渋滞する国道2号を抜け、ようやく明石城へ到着した。
交差点で信号待ちをしている段階から三重櫓がよく見える。
私が明石城へ来た目的は、この現存する三階櫓を見るためだったのだ。


明石城は明石城公園として管理されており、城内には駐車場も設けられていることから車でのアクセスもしやすい。
入口は南西の端にある枡形門の跡地にある。


枡形門から城内へ入ってすぐの場所にも駐車場はあるが、さらに奥へ進むと城の中心部により近い場所にも駐車場があるため、そちらに駐車した。

これが明石城の全景だ。
左が坤櫓、右が巽櫓といい、いずれも数少ない現存する三階櫓であり重要文化財に指定されている。
ただし、2つの櫓を結ぶ土塀は復元されたものだ。



坤櫓(重要文化財)

明石城には築城当初から天守が存在せず、天守台のみが現存している。
最大規模の坤櫓が天守の代用だったという。
「なんだ天守がない城か」とガッカリすることなかれ。
明石城の代用天守である坤櫓は大変美しく、鉄筋コンクリートで外観復元された城にも決して見劣りしない魅力がある。






これが先ほどまで見ていた坤櫓だ。
内側から見ると石垣の高さによるかさ増しがないため、外から見た時ほどは大きく感じない。

櫓の内部が公開される際に使うと思しき受付用のプレハブの中に、なぜか石碑が保管されていた。
それとも今は単なる保管庫なのだろうか。


この坤櫓は3月から5月までの土日に公開されている。
しかし、残念ながら訪れた日は5月の月曜日だったため、内部を見ることは出来なかった。





巽櫓

お次はもう一つの三階櫓である巽櫓へ。
先述した坤櫓よりも小さいらしいが、大きく差があるわけではないため見ても全く分からない。





こうして両櫓を見ると、坤櫓は内側にも軒唐破風を設けている点で巽櫓よりもやや派手な意匠であるように感じられる。




こうして遠目で見ると巽櫓も相当立派であり、こちらも代用天守として足りうると思う。
そう思いながら高さを調べてみたところ、なんと約12.5メートルもあるそうだ。
兵庫県には約31.5メートルという最大の現存天守を有する姫路城があるためショボく感じるかもしれないが、この高さは約11メートルの現存天守である備中松山城を上回り、同じく現存天守である丸岡城とほぼ同じ高さでもある。
外側だけ見たら天守に見えるのも、何ら不思議なことではないのだ。



さいごに
一泊二日の二日目という短い時間だったが、どちらも思っていた以上に楽しむことが出来た。
まさか須磨浦山上遊園があれほど昭和の遺物あふれるレトロスポットだとは思わなかった。
あまり細かい下調べをしなかったおかげで、いい意味で驚きや発見を得られたように思う。
明石城についても同様だ。
当初は現存する三階櫓だから見ておこうという程度の関心だったが、いざ行ってみるとその美しさや迫力に圧倒された。
百聞は一見に如かずだって、はっきりわかんだね。
この翌週には、同じく蓮ノ空6thライブの神奈川公演で神奈川県に足を運んでいるので、次の記事では神奈川へ行ってきたことを書くこととしたい。

(令和8年8月4日追記)
この前日に神戸市内を観光した記事が出来たので、よかったらどうぞ。
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