仁川空港第2ターミナルで入国しないトランジットをした話。
2026年5月、バンコクから仁川空港を経由して新千歳空港へ向かった。
以前、仁川空港第1ターミナルで韓国に入国しないトランジットをした話を書いた。今回はその第2ターミナル版である。
バンコクから仁川までは、アシアナ航空OZ742便。機材はAirbus A350-941、いわゆるA350-900だった。バンコク・スワンナプーム空港の搭乗口はサテライト側のS112。深夜のバンコクを出て、朝の仁川へ向かう便である。
そこから先は、仁川発新千歳行きのOZ174便に乗り継ぐ。
航空券としては、仁川―バンコクの往復と、仁川―新千歳を別々に持っている形だった。
普通に考えれば、仁川で一度韓国に入国し、再度チェックインして出国する流れも想定しておく必要がある。だが今回は、仁川空港第2ターミナル内で韓国に入国することなく、そのまま乗り継ぐことができた。

紙の搭乗券を持って、深夜のバンコクを出る
OZ742からOZ174へ
今回の流れは、OZ742でバンコクから仁川へ入り、OZ174で仁川から新千歳へ向かうというものだった。
OZ742はバンコク01時20分発、仁川08時45分着。
OZ174は仁川10時15分発、新千歳13時00分着。
時刻表上の乗り継ぎ時間は90分である。
90分という数字だけ見れば、同一ターミナル内の乗り継ぎとしては極端に短いわけではない。ただし、別々に航空券を持っている行程で、もし入国が必要になれば話は変わる。
入国審査、手荷物受け取り、再チェックイン、出国審査、保安検査。
これをすべてやり直すなら、90分ではかなり厳しい。
今回かなり大きかったのは、バンコク出発時点で新千歳までの紙の搭乗券を出してもらっていたことだった。
手元には、OZ742のバンコク―仁川と、OZ174の仁川―新千歳の2区間分の搭乗券がある。搭乗券には、OZ742の搭乗開始が00時50分、ゲートはS112。OZ174の搭乗開始が09時50分、ゲートは288番と印字されていた。
仁川に着いてから次の搭乗券を出してもらう必要がない。
この安心感はかなり大きい。

Flightradar24を見ると、この日のOZ742は機体記号HL8078のAirbus A350-941で運航されていた。バンコクを出たA350は、タイからベトナム方面、南シナ海、台湾付近、東シナ海を経て仁川へ向かっている。
深夜便なので、機内では寝ている時間が長い。
目が覚めると、もう朝の仁川が近づいていた。
仁川第2ターミナルでTransferの表示を追う
降機から搭乗開始まで約55分
OZ742の定刻到着は仁川08時45分だった。
ただ、写真データのタイムスタンプを見ると、実際に機外へ出たのは08時55分頃だったようだ。次のOZ174の搭乗開始は09時50分。つまり、降機してから搭乗開始までの時間は、およそ55分しかなかったことになる。
時刻表上は90分乗り継ぎでも、実際に使える時間は90分まるまるではない。
ここは、実際に歩いてみて改めて感じたところだった。
仁川空港第2ターミナルに到着すると、まずは到着階を進む。ここで入国審査の方向へ流れたくなるが、今回は韓国へ入国しない。
見るべき表示は、緑色のTransferである。
到着ゲートを出たら、人の流れにそのまま乗り切らず、Transferの表示を探す。仁川空港第2ターミナルは広いが、案内自体は分かりやすい。緑色の表示に従って進めば、乗り継ぎ用の保安検査場へ向かうことができる。

今回のOZ174は288番搭乗口だった。
表示上もTerminal 2の208〜291番ゲート範囲に含まれている。つまり、T2側のゲート方面へ進めばよい。
ただし、第2ターミナルはやはり広い。到着ゲートから保安検査場まで、そして保安検査を抜けてから搭乗口まで、徒歩移動はそれなりにある。空港慣れしている人なら問題ないレベルだと思うが、「90分あるから余裕」と油断するほどではない。
乗り継ぎ保安検査場は東西2か所
仁川空港公式HP上では、第2ターミナルの乗り継ぎ保安検査場は2階に東側・西側の2か所として案内されている。T2からT2への乗り継ぎ導線も、到着ゲートから保安検査場へ進み、保安検査を通過して出発ゲートへ向かう流れになっている。
実際の動きも、その案内どおりだった。
到着階から乗り継ぎ用の保安検査場へ向かい、そこで再度手荷物検査を受ける。検査を抜けると、エスカレーターで上の階へ上がる。そこはもう出発ロビーである。
今回通過した朝の時間帯では、乗り継ぎ客はかなり少なかった。
並んでいたのは数人程度で、保安検査そのものは拍子抜けするほどスムーズだった。

この保安検査では、外国人と韓国人で動線が分かれているように見えた。少し気になったのは、SeSを持っている場合の扱いである。今回見た範囲では、SeS所持者は韓国人と同じ側のゲートへ進むようになっていた。
これが常時同じ運用なのかは分からない。
ただ、少なくとも今回の朝の時間帯では、確認の流れはかなりスムーズだった。SeSを持っていると、場合によっては時間短縮につながるかもしれない。
もちろん、これは今回の体験に基づく印象である。空港運用や混雑状況は時間帯によって変わるので、制度として断定する話ではない。
保安検査を抜けると、あとは288番搭乗口へ向かうだけだった。

ラウンジに寄れる程度の余裕はあった
公式MCTと実際の体感
あとでアシアナ航空公式サイトを確認すると、仁川空港での国際線同士の最低乗り継ぎ時間は、第2ターミナル同士で70分、アシアナ航空同士で60分と案内されていた。
今回の時刻表上の接続は、OZ742が仁川08時45分着、OZ174が10時15分発。乗り継ぎ時間は90分だった。
つまり、公式の最低乗り継ぎ時間から見ても、今回の接続は成立する時間だったことになる。
ただし、実際の体感としては「かなり余裕がある」というより、「条件がそろっていたのでスムーズだった」という方が近い。
今回の条件はこうだった。
・同じ仁川空港第2ターミナル内の乗り継ぎ
・バンコク出発時点でOZ174の搭乗券を所持
・仁川で預け手荷物の受け取りが不要
・乗り継ぎ保安検査場が空いていた
・Transfer表示を見落とさずに進めた
この条件がそろっていたから、降機から搭乗開始まで約55分でも慌ただしさは少なかった。
逆に言えば、到着便が遅れたり、次区間の搭乗券を持っていなかったり、預け手荷物の受け取りが必要だったりすれば、話は変わる。初めてこの乗り継ぎをするなら、もう少し余裕を持たせた方が安心だと思う。
出発ロビーへ上がると、まだ少し時間が残っていた。そこで大韓航空のラウンジへ向かった。
アシアナ航空はスターアライアンス、大韓航空はスカイチームなので、通常のアライアンス資格だけで大韓航空ラウンジを使えるとは考えにくい。だが今回は搭乗券にラウンジインビテーションが付いており、それで入室することができた。
入口は航空券をかざして入る改札方式だった。
中では、パンとコーヒーを取り、PCを開いて少しだけ作業した。
90分乗り継ぎと聞くと慌ただしく感じるが、入国せずに制限区域内で完結できたことで、短いながらもひと息つく時間が残った。食事をしっかり取るほどではない。ただ、コーヒーを飲み、パンを食べ、少し作業するには十分だった。
仁川空港第2ターミナルを歩いていると、大韓航空とアシアナ航空の存在感がかなり大きいと感じる。もちろん、実際の発着便全体を細かく見たわけではない。あくまで利用者として歩いた印象である。
それでも、アシアナ航空が第2ターミナルへ移ったことで、大韓航空との距離は一気に近くなった。12月の合併を意識した振り分けなのだろうか、と空港を歩きながら思った。これも断定する話ではないが、ターミナルの空気としては、すでに少し先の姿を見せられているようでもあった。

仁川から新千歳へ向かうOZ174は、機体記号HL8398のAirbus A321-251NXだった。仁川を出たA321neoは日本海を越え、北海道へ向かう。
バンコクから仁川まではA350。
仁川から新千歳まではA321neo。
地図で見ると、ただの乗り継ぎではなく、東南アジアから北海道までをアシアナ航空でつないだ移動だったことがよく分かる。
今回の乗り継ぎは、派手な出来事があったわけではない。
OZ742で仁川に到着する。
Transferの矢印に従う。
乗り継ぎ用の保安検査を受ける。
上の階の出発ロビーへ出る。
そして288番搭乗口からOZ174で新千歳へ向かう。
ただそれだけである。
けれど、入国せずに乗り継げるかどうかは、旅程を組むうえではかなり重要な情報になる。特に仁川を経由地として使う場合、日本各地への便と東南アジア方面の便を組み合わせる機会は少なくない。
今回の条件では、仁川空港第2ターミナルの90分乗り継ぎは成立した。
ただし、誰にでも同じように勧められるわけではない。搭乗券、手荷物、到着遅延、保安検査の混雑によって余裕は変わる。
それでも、条件がそろえば、仁川第2ターミナルはかなり使いやすい。
韓国に入国しないまま、バンコクから新千歳へ。
ラウンジでコーヒーを飲みながら、そのスムーズさを少し意外に感じていた。
第1ターミナルに続き、第2ターミナルでも入国しないトランジットはできた。
仁川空港を経由地として使う選択肢が、また少し広がったように思う。
