実質400円で韓国へ GW明け、広島空港から飛んだ片道5690円のチェジュ航空搭乗記
タイ行きを変更、韓国へ向かう
白紙に戻したGW後半の旅程
GW後半、韓国・ソウルに滞在していた。
今年は曜日の並びが良く、うまく調整すれば長期休暇を取りやすい年だった。自分も10日まで休みを確保していたのだが、もともとの目的地は韓国ではない。
最初はタイへ6日から10日まで行くつもりだった。仁川からバンコクはFSCでも往復で6万円を切る運賃があり、韓国に立ち寄ると思えば安い。もちろん、ANA修行の一環、韓国発券のついでなので日本と韓国の間の旅費はそれほど気にしていない。
ただ、「予定が崩れた」という表現は少し違う。
正確には、自分で白紙に戻した。
羽田から金浦へ向かうANA便は、ソウル発券の最後の一区間として押さえていたものを別日に変更。さらにソウルからバンコクへ向かうアシアナ航空運航便は時間変更が発生し、結果として手数料なしでキャンセルできる条件が整った。
ならば、一度全部組み直そう。
そう考えて、自分で旅程を崩したのである。
結果として残ったのは、5月10日の金浦→関空便だけだった。日曜午後発という悪くない時間帯にもかかわらず、運賃は16000円程度。GW終盤としては十分安い。
つまり必要なのは、「韓国へ行く片道」だけになった。
GW中とは思えない5690円
そこで、いつものように航空券比較サイトを眺め始める。
関空は高い。羽田も高い。福岡もそれなり。
昨年のGW頃なら、LCCで1万円を切る韓国行きを時々見かけた。しかし今年は状況が違った。円安、燃油、国際情勢、インバウンド需要――様々な条件が重なり、GWの大型連休中に1.5万円を切る航空券自体がかなり少ない。
しかも、安い便には理由がある。
朝5時台出発、深夜到着、空港アクセスが厳しい時間帯。いわゆる「安いけれど使い勝手が悪い便」が大半だった。
そんな中、妙な航空券が目に入った。
5月8日、広島空港発、仁川行きのチェジュ航空。
運賃は5690円。
しかも時間が良い。
14時40分発、16時20分着。
朝早すぎない。深夜でもない。到着後、そのままソウル市内へ移動して夕食へ行ける時間帯だ。
LCC特有の「安いけど無茶な時間」がない。
むしろ、かなり使いやすい。
さらに、この価格帯になると心理的ハードルも変わってくる。
もちろん5690円の航空券は、キャンセルしても全額戻ってくるわけではない。LCCなので、払い戻し不可部分や各種手数料もある。
だが逆に言えば、
「最悪、捨ててもまぁ痛くない」
という感覚で押さえられる価格でもあった。これが3万円、4万円の航空券だとそうはいかない。予定変更が発生した瞬間に、“どう損切りするか”を考え始める。
しかし5690円なら、とりあえず席を確保しておく判断ができる。
特に今回のように、
タイ行きを白紙化
ANA便振替
アシアナ便キャンセル
ソウル再構築
と、旅程が流動的な状態では、この“気軽に押さえられる価格”はかなり大きかった。ということで即予約していた。
実質400円だった航空運賃
国際線は“税金の乗り物”でもある
今回の広島発仁川行きのような国際線航空券は、実際にはかなり細かい費用の積み上げで構成されている。
航空運賃本体。
燃油サーチャージ。
国際観光旅客税。
韓国側諸税。
空港施設使用料。
保安料。
などだ。
特に広島空港では、国際線利用時に旅客保安サービス料が徴収されている。さらに、日本から海外へ出国する際には、いわゆる「出国税」である国際観光旅客税1000円も自動的に加算される。
加えて、韓国側でも仁川空港利用に伴う各種税金や空港関連費用が発生する。
普段は総額しか見ないことが多いが、内訳を見ると実に細かい。
そして今回の航空券は、その構造が極端だった。
航空券料金は2400円。
そこへ2000円のキャッシュバック。
つまり、実質の航空運賃は400円だった。
残りは、
国内空港使用料
国際観光旅客税
韓国側諸税
その他諸費用
で構成されている。
5690円のうち、大半は税金と空港関連費用だったのである。

LCCでは、検索結果で最安値を取るために、航空会社本体の運賃を極端に下げることがある。一方で、税金や空港使用料は簡単には下げられない。つまり固定費である。
その結果、「飛行機代より税金の方が高い航空券」が出来上がる。
今回の便は、まさにそれだった。
10kg制限の二泊三日
もちろん、この価格には条件がある。
預け手荷物は含まれない。
チェジュ航空のLCC運賃なので、機内持ち込み荷物と身の回り品を合わせて10kg制限だ。
つまり、普段の海外旅行の感覚でスーツケースを持っていけば追加料金が発生する。
だから今回は、最初から「二泊三日・機内持ち込みのみ」で旅程を組んだ。
衣類は最小限。
充電器やモバイルバッテリーも厳選。
PCを持つかどうかまで考える。
だが、不思議と荷物を減らすと旅は軽くなる。
空港で荷物を預けなくていい。
到着後にターンテーブルを待たなくていい。
そのまま鉄道へ乗れる。
LCCは制約が多い。
だが、その制約に合わせて旅を最適化していく感覚は嫌いではない。

そして今回、もうひとつ大きかったのがSeS登録だった。
韓国入国をスムーズにする「SeS(Smart Entry Service)」の活用
韓国旅行をより快適にする手段として、自動出入国審査サービス「SeS」の登録が推奨されます。一度登録を行うことで、入国時の利便性が飛躍的に向上します。
SeSを登録する3つの大きなメリット
出入国審査の待ち時間を大幅に短縮
混雑する有人カウンターを避け、専用の自動ゲートを利用することでスムーズな入国が可能となります。特に到着便が重なる時間帯には有人レーンで30分以上の待ち時間が発生することもありますが、SeS登録者はこうした行列をスルーして時間を有効に活用できます。
(韓国からの出国に関しては、17歳以上であれば事前登録なしで自動ゲートを利用することが可能です。)
入国申告書類の作成が不要に
SeSへの登録を済ませると、機内で配布される紙の「入国申告書」や、オンラインでの「e-Arrival Card」の準備が一切不要になります。パスポートと指紋、顔認証のみで審査が完了するため、旅行中の事務的な手間を省くことができます。
即日完了する簡単な登録手続き
登録に要する時間はわずか3分程度です。手続きが完了した瞬間からサービスが有効になるため、仁川国際空港に到着した際、その場で登録してそのまま自動ゲートへ直行することも可能です。
昨年末から日本人旅行者にも適応が広がり、ブログなどでも便利という声があった。
最近は、日本人旅行者をSeS側へ誘導するケースが増えているようで、「逆に登録待ちの列ができて時間がかかる」という投稿もかなり見かけていた。
だから正直、今回もある程度時間を取られると思っていた。
だが、実際はまったく違った。
入国審査場付近で係員に日本人か確認され、そのままSeS側へ案内される。
すると、そこには待っている旅行者の姿がなかった。
係員がその場ですぐ登録を進め、SeSシールを貼り、そのまま横の自動化ゲートへ誘導。指紋と顔認証を済ませ、ほぼ流れるように入国完了となった。
かなり拍子抜けするほど速かった。

むしろ危なかったのは、その直前だった。
実は最初、普通の有人入国列へ並びかけていたのである。
SeS登録導線は、飛行機を降りて進んだ先、入国審査エリアのかなり奥側にあり、普通の入国列と動線が近い。知らないと、そのまま一般列へ吸い込まれやすい構造に見えた。
もしそのまま一般列へ並んでいたら、おそらく20分程度は入国に時間がかかっていただろう。
しかも、一度一般列へ入ってしまうと、その流れの中でSeS登録へ戻るのはかなり難しい。
結果的に、
21分早着
預け荷物なし
SeS即登録
イミグレ先頭通過
が全て噛み合った。

16:36入国完了。
16:51 AREX一般列車乗車。
サテライト到着だったのだが、かなり素早く仁川空港を抜けている。
広島空港は遠いイメージが強いが・・・。
岡山から2590円で空港へ
しかも今回面白かったのは、「広島空港発」という点だった。
岡山県南から見ると、広島空港は一見遠そうに感じる。
だが実際に計算すると、案外そうでもない。まず、岡山から福山まではJR山陽本線の在来線で990円。そこから福山駅前発の広島空港リムジンバスへ乗り継ぐ。こちらは1600円。
つまり、
岡山→福山 在来線 990円
福山→広島空港 リムジンバス 1600円
合計2590円で広島空港へ到達できる。
しかも今回は14時40分発。
朝早く家を出る必要もない。始発を気にする必要もない。LCCでありがちな「空港にたどり着けない時間」ではない。
普通に昼前後から動けば間に合う。

これはかなり大きい。
“価格の歪み”が出る地方空港LCC
近年、LCCで「安い韓国行き」は確かに存在する。
ただ、その多くは、
朝5時台出発
深夜到着
前泊・後泊前提
空港アクセスが厳しい
といった、“時間で代償を払う航空券”だった。
しかし今回のチェジュ航空は違った。
14時40分に広島を出て、16時20分には仁川到着。
しかも実際には15時59分着陸。
今回はGeminiにいかに早く、目的地に付けるかをチャットしながら移動していた。AREX一般列車から金浦空港駅で5号線へ乗り換えた頃には、Geminiが地下鉄混雑状況をリアルタイム解析し始める。
当初、Geminiは金曜夕方のソウル、両親の日、イミグレーション混雑、永登浦周辺渋滞などを踏まえ、ホテル到着を19:15〜19:40頃と見込んでいた。
だが実際には、飛行機の早着、預け荷物なし、SeS即登録、そして金浦空港での乗り換え成功が重なった。
5号線は金浦空港駅の時点ではまだ座席に余裕があった。
しかし麻谷駅で座席が埋まると、Geminiは、
「LGなど大企業オフィスが集積するマゴク地区からの帰宅ラッシュ」
と説明していた。
単なる路線案内ではなく、都市構造込みで地下鉄混雑を解析している。少し未来っぽい移動だった。
そして最終的に、東横INNソウル永登浦到着は18:05。

Geminiが当初予測していた19時半前後より、1時間以上早い。18時台前半にはホテルへ荷物を置き、そのまま永登浦ロッテ百貨店へ向かう。
まだ空は明るかった。
地方空港発LCCは、ときどきこういう“価格の歪み”を見せる。特にGW明けのような需給の谷間では、それが極端な形で現れることがある。
今回の航空券は、まさにそんな一枚だった。
