小説と対を成すもの【あくたん著_小説『蒸留』感想文】
いつも拙作を御覧頂きありがとうございます。夏目ジウです。
一昨日、長澤沙也加さんの作品をご紹介させて頂いて、皆さまのお陰によって沢山の反響を頂くことが出来た。
実際には、わたくしの拙い紹介記事を読んで記事を購入頂いた方もいて、大変恐縮の思いをしている。
感想を書いて良かったという思い。
でも、まだまだ沢山の方々に推薦した小説を読んで欲しいという想い。
おもいは凄く重いし、熱い。夏は暑いし、圧は懐い。
あまり他人様の作品を紹介することは、普段無いけど(自分だって書き手だと思ってるから)少なくとも、もっと沢山の方々に知って欲しいという願いがあるのだ。
あと、作品に対して純粋な「憧れ」、文学的には「憧憬」の念を込めて。
タイトルにある、あくたんさんは出版レーベル「汀心出版」代表を務めていらっしゃる方。
「汀心」は文芸界隈の方ならご存知の方も多いと思うが先の長澤沙也加さんや、にゃんしーさんや、清繭子さんが著者として登場したハイブリッド文芸集だ。全員が全員、ファンを抱えていらっしゃる精鋭集団。掲載されること自体に価値がある文芸集。
前置きが少しあったが、その精鋭の方々の作品を纏めていらっしゃるのが、あくたんさん。
実際にあくたん代表に許可を頂いた上で佳作『蒸留』をご紹介させて頂くこととなった。
有料記事なので極力ネタバレの無きよう述べさせて頂く。
まず、冒頭部分の記述に一気に引き込まれた。いや、かなりなんていう引力ではない。たぶん、この冒頭は近年読んだ中で5本の指に入るぐらい。言いすぎ?いや、凄味を見せつけられた。えっ、いやいや何が始まるの?って。映画館で昔、波が大きく立って『松竹』という画面。あの迫力に似ていた。本編よりも、目立ってますよって。奥さん、いや皆さん、これ知らないと絶対に時流に乗り遅れますよって...閑話休題。
社内ホームページのど真ん中、掲示板のトップを飾る「社員家族死亡通知」をクリックすると、知らない社員の「ご尊父」が「ご逝去」されたと記されている。
(※本文より儘掲載)
主人公と上司とのやりとりが始まるのだが、関西弁口調の上司が好きだった。映像がありありと浮かんだ。たぶん、あくたんさんは映像化を望んで書かれたのかな?と思うぐらい、何かが見えた。まるで、活字の中に映像が刷り込まれていた。
途中、精子というフレーズが出てきてから少し何となく意図されている事が理解出来て、更に物語に惹きつけられた。魅力が形になって虜になる時は、素晴らしい作品に巡り会えた時。
あと、原稿用紙30枚の御話なんだけど、なんかもっと長く感じた。奥行きがあり、濃度が高い。濃いか薄いか、と言われれば「濃い!」と即答する。久しぶりに、短編だけど「この人、中編(小説)以降も書くんだろうな」と興味をそそられる人に出逢えた。
物語の最後部も、冒頭のくだりの記述があった。私は、このラストに感動した。素晴らしかったし、心の中で拍手を送った。
素晴らしい作品には感動が生まれる。生死を深く考えさせられる時は、実際に人が亡くなった時では無い。人間が感動出来るのも、生きていればこそ。
亡くなった方々の分まで、俺は生きるー
そんな強い決意をあくたんさんから感じた。
最後に、あくたんさんとの遣り取りで最も印象的だった一言を記述させて頂き、本稿を締めさせて頂きたい。
「いろいろなことを深く思いながら書いた作品」(あくたんさん談)
願いは重い。あくたんさんみたいな、慈悲深い人にこそ、素晴らしい小説を描くことが出来るのだと思った次第である。
【了】
