ロバ耳おじと公園集会 こどもの情事は甘酸っぱ
少女A:「わ〜可愛い!お花の形のチョコ!」
少女B:「え〜オレンジピールを使ったの?手作り⁉︎」
少女C:「チョコに大さじ1の牛乳を入れてチンしたんだ。」
数m程離れた隣のベンチから、うら若き少女たちのキャピキャピした声がする。つい気になってしまい、おじさまの左耳はロバの耳になっていた。
今度は妄想ではなく、本当に聞こえている。
ただのロバ耳の野次馬野郎だ。
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よく晴れた穏やかな陽射しの休日に、子供達を放牧させるべく公園にやってきた。ブランコ、大型の滑り台、ジャングルジムの様な遊具と砂場がある。広場を挟む道には、屋根付きのテーブルとベンチが2セット並ぶ。少し広めの公園だ。
ゆるりとベンチの背にもたれ、屋根からこぼれる陽射しで日向ぼっこしながら、放牧中の子供達を眺めてひと休み。
隣のベンチには、ポツリと1人、女の子が大きめの荷物を抱えてベンチに腰掛けていた。1人でどうしたのだろうかと少し心配の念を抱いた。
どうだろう、小学……5年前後の高学年に見える。
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子供達に視線を戻す。
追いかけっこして遊ぶ子供達。
「ついてこないで!」と叫び逃げ走る姉。嬉しそうにバタバタ走り、いつまでもつきまとう弟。
……これでいいのだろうか……
と静かに見守る。
そうこうしている間に隣のベンチに1人増え、また1人増えと続々と女子達が集結してきた。男の子も1人いる。選ばれし男子だろうか。ややぽっちゃりしている。きっとクラスの人気者なのだろう。
すると冒頭の女子達の、チョコトークに花が咲いていた。
何やらウキウキした声色で楽しそうだ。しかし小学生がオレンジピールを使うとはねと感心する。
しばらくして、自転車に乗った男子が颯爽とやって来た。
この子はスポーティでシュッとしている。きっと誰かの推しメンだ。
続いてメンズが2人歩いてやって来た。
ほうほう、13時に全員集合ってわけだ。
女子6、男子4人、わらわらとテーブルに荷物を乗せ集め、皆でごそごそし出した。そして各々チョコなどのお菓子の手渡し会だか交換会が始まった。
少女D「え〜すごい!ぜんぶ手作り?!ハチワレ可愛い〜」
私(え〜ハチワレ?すげぇ見た〜い!)
そうか、学校には持っていけないから、こうして公園でバレンタイン集会が開催されているのかと合点がいった。
皆スマホを持ち、LINEかインスタでやりとりしているらしい。うーむ、今時だ。
それにしても小学生が作るハチワレが気になる。アイシングしたのだろうか。どうにかナチュラルに覗き見れないだろうかと思案する。
①長男に先行させる→コントロール不可→カオス→却下
②さりげなく通り過ぎて目撃する→不審者→通報→お縄
③堂々と「見せて」と話しかける→変なおじさん→不審者→お縄
よし、今回は若い子達の話を聞けただけでヨシとしよう。
でも男子達のちょっとモジモジした感じとか……
なんというか、
甘酸っぺぇ。

自分が小中学生の頃の数少ないバレンタインの思い出を、記憶の重箱の隅からなんとかほじくり出して当時を懐かしむ………
……反省しかない。
良い思い出が、ひとつでもあれば強く生きていけるものなのだよ。と自分に言い聞かせる。
こどもの情事であるこの行事を、自分の子供に置き換えてみたらどうだろうか。
息子編
息子がバレンタイン前後の休日に公園に呼び出されたとあれば、パパはニマニマが止まらないだろう。鼻息荒く「チョコなどを貰ったらすぐさま踵を返してお返しをしてはどうか、お返しの品はどうするのだね、貰った後の決め台詞5パターンを共に考えようではないか」などと、余計なおせっかいニマニマをしてしまう。こんな父の圧に付き合ってくれる息子に育てられるだろうか。
娘編
娘が同休日に公園になど行こうとしようものならば、「なんだね君は、せっかくのお休みだというのにただの公園になんぞ行ってくるだなんて、その荷物はなんだねちみは、昨日パパと一緒に作ったチョコクッキーではないか、パパはどこの坊やに塩を送ってしまったと言うのかい?一体誰が来るというのだね」なんて質問攻めにしている途中、妻から「くどい」と言葉の張り手をもらってしまうことだろう。
あぁ、どうしてこうも違うのだろう。
これが男親の宿命なのか。
いずれにしてもウザたらしい。
子供の成長をそっと寄り添い見つめていたいだけなのに。
これでは見つめて痛い人になってしまう。
はたして自重できるだろうか。
心穏やかに見守り、見送れるパパになれるのだろうか。
子育てはいつだって、期待と不安と隣り合わせだ。
ではまた、お会いしましょう。
妄想と現実の間↓
