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古希なんだもの 第29回

明日から師走、とテレビの気ぜわしげなアナウンサーの声をききながら、千佳はいちにのさんグループLINEへの新しい参加者の通知に気づいて、あ、と小さく声を上げた。ディスプレイ上には気がかりだったクラスメートの名前があった。

十月に発動したクラス会プロジェクトは、十月下旬にアンケートハガキの発送を終え、十一月に入ると続々とグループLINEへのアクセスが始まった。
千佳が密かに再会を望んでいる広沢真佐美からの賛成表明は早々にあり、クラス会ではぜひジュリーのことをしゃべろうと、千佳は楽しみにしている。真佐美はそんな千佳の思惑など全く知らないまま、クラス会までに三キロ減量を目指して目下ダイエットに励んだり、エステに通ったりで忙しく過ごしている。

グループLINE「いちにのさん投票箱」へは続々と回答が届いていた。
驚いたことに、ほとんどが「賛成」だった。
熱烈賛成!とか首を長くして待ってたよ~、開催を強く望みますというメッセージが続いた。
LINEへのアクセスは孫の手を借りたという人が複数いて、千佳は改めて自分たちの年齢を実感させられた。インフォメーションテクノロジーの進歩の尻尾になんとか食らいついているクラスメートたちの奮闘を頼もしくも愛おしくも思った。
そして、十一月の最後の日になって春川菜津美からのグループLINE参加の着信を受け取ったのだ。
クラス会、賛成です。という回答だった。
その直後に、グループLINEへの参加は済ませていたものの、賛否については考え中と保留状態だった竹田正江からも、クラス会賛成の回答が来た。

千佳は前回のクラス会で、会場の片隅にいた二人の姿を思い出し、あのときの二人組が続けざまに賛成を表明して来た、その偶然に思わずにんまりした。
千佳に小さな気がかりを持たせていたことなど二人は知らない。
そのとき二人が同じ場所にいて、示し合わせてスマホを操作していることを千佳は想像もしていなかった。

二年三組、四十五名のうち、物故者五名。住所が不明でハガキが出せなかった者が三名。
残り三十七名にハガキを出し、あて所に尋ね当たりません、と戻って来たのが二枚あった。
三十五名のもとにハガキが届いたはずだが、グループLINEに辿り着いてくれたのは三十一名だった。
あとの四名に対して、別のアプローチをするべきかどうかで淳と千佳は少し議論になった。淳はしてみようといい、千佳は止めておこうといい、意見を求めた小山からは、僕には判断しかねると返事が来た。
淳は最後には千佳の考えに肯った。

六十九年の人生をそれぞれが過ごしてたどり着いた今、他人には想像しきれないそれぞれの現実に向き合っての、それぞれの判断を尊重しようというのが議論の末の結論だった。

三十一名全員が賛意を表明してくれていた。
病気療養中なので参加不可、あるいは、妻の介護中で残念ながら出かけられないという返事もあったが、自分は参加できないがクラス会開催には賛成、と彼らは伝えてくれていた。
みんな、ありがとう。
スマホの画面に向かって淳が叫んだ。

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