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茜色の夜明けに誘われて ― あの頃の音と、里の春へ

桜の季節になると、必ず出掛ける場所があります。
ここの桜を見ないと私の春は終わりません。
というわけで今年も、ほぼ夜中の時間に出発して出掛けてきました。

高速道路を運転しながら、東の空が徐々に明るくなっていくのは私にとって、とても懐かしい光景です。
数十年前の若い頃、一人暮らしをしていた私は渋滞に巻き込まれるのが嫌で、帰省先から自宅に戻るときはいつも夜中の4時くらいに実家を出ていました。
真っ暗な空の下、走り始めると徐々に山の端が明るくなり、闇は紺から紫色に、そして朝は束の間の茜色に染まります。
その爽快感は、長い運転さえも楽しいと思えるほどでした。
そんな時のB.G.M.は、いつもジョージ・ベンソンです。

もう今や、早起きなんてなかなかしないので、ふと昔を思い出して彼の曲を流してみました。
走っていると、やがて空がはっきりとした青空に変化したころには到着です。


桜の名所となる橋はまだ人も少なく、数枚撮らせていただいた後は川沿いの道へ。
8時を過ぎると賑わう景色を今だけ独り占めです。
ちょうど登り始めた朝日が、浅い角度から桜を照らしています。
この照り映える桜の色は、やっぱりこの時間しか見られないよなあと思うと早起きって凄い、たまには早起きしようって思えてくるから不思議です。
今回は写真一枚一枚に、その時の情景に短歌を添えてお届けします。

朝日差す  川辺の花は  茜色 見惚れる景色  早起きの後

風もなく穏やかな川面に、満開の桜が映し出されてため息の出る景色。
まだこの時間は日本人だけの時間…インバウンド客もほとんどおらず、目配せや会釈や、ちょっとした会話なども落ち着いてできるのがいいですね。
8時を過ぎればこの場所はカオスになってしまうので、桜たちにとっても今が一番穏やかな時間帯でしょうか。

朝まだき 川は薄紅 化粧して 映す鏡は 目覚めぬ水面(みなも)


込み合う時間を見計らって、ほぼ人の来ないエリアに突入です。
こちらの桜は、まだ満開には少し時間がかかりそうですが、やはり、うん、「里の春」という感じがして、私はここが好きなんですよね。

はらはらと 花びら舞し 川べりの 朝露濡れし 春の道かな

この辺で、お花見を兼ねた朝ごはんをいただきます。
去年は自作お握りだったんだけど、今年はコンビニお握り。
仕方ない、忙しかったんだもの。
のんびり食べていると、近くに三脚を抱えたカメラマンさんが通りかかります。
「いい場所でお花見してるね~」
「ははは、朝早かったもので…」
「やっぱりこっちがいいよね~、あっちは人が多い」
仰るとおりです…ここは人に疲れた人が来る場所なので、正直言うとあまり知られたくありません。

里の道  夜露の草に  抱(いだ)かれて 君を見つけし それは涙か


ホーホケキョという声が聞こえます。
ウグイスには方言があるらしいとどこかで読んだことがあるのですが、聞こえてくるのは  ♪ ホーホケキョ、ケッキョ ケッキョ ケッキョ… ケキョ?
いやいやいや、もしかして私に何か聞いてます?というくらいの独特のさえずりで、ちょっと笑ってしまいました。
ウグイスは、声はすれども姿は見えずの代表格の野鳥さん。
見つけるのが本当に大変なので、端から探すのを諦めていたんですが、めっちゃ近くで、ずっと鳴いてます。
まぁ、撮れなくて元々…と思いカメラを向けて探してみると…
あら、そんなに近くにいたのね、君、もしかして撮ってほしかったの?と聞きたくなるほどの近さです。
これ、連写じゃなく普通に撮れたので、本当に、私を警戒してなかったんだね。ありがとう。

ホーホケキョ 声はすれども 見つからず されど近くに 君を見つけし

さて、ぼちぼち戻ろうか…と思っていると、また野鳥さんが無防備にちょこちょこと動いているのが見えました。

春来たり ツグミ楽しむ 陽だまりに 旅立ち前の 今は限りと

ツグミちゃんは冬鳥で、5月くらいまでの間で群れを作って渡っていくそうです。
今は北へ帰る準備のため、こうして地面の虫をたくさん食べて体力をつけているんだそうです。
また会おうね、今年の冬に。


私は、花を人に例えるようにして撮っています。
その花が一番美しく、表情豊かに見えるように、何度も何度も調整して撮っていると、あっという間に時間が過ぎます。

一枝の 早咲きにし 薄紅の 頬を染めるか 憂ひも知らず


さて、皆さん、花びらではなく、花ごと地面に落ちているこんな光景を見たことはありませんか?

花落ちて 地面に咲いたか 薄紅の 花に宿るは 露か涙か

犯人は、こいつです!

花落ちて 誰の仕業と 上見れば 花盗人は 君かヒヨドリ!

枝で目隠し線を「自ら」入れるという、犯人の自覚があるヒヨドリ君です。
(ヒヨドリ:「お前の撮り方が悪いからだろ~!」
花の蜜を吸うのはいいのですがメジロと違って体が大きいため、勢い余って花がむしれて落ちちゃうみたいです。
もし地面に咲いたように落ちている花がいたら、頭上のこいつに「めっ!」って怒ってやってくださいね。

花を撮りためているので来週も桜・花をテーマに書くかもしれません。
すみません、しばしおつきあいくださいませ。
 ★続きはこちらです。


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