【第566回】 Marketing Cloud Next : Buyer Engagement エージェント
2026 年 8 月の新機能リリースで Marketing Cloud Next Advanced Edition 限定で 新しいマーケティング用の AI 機能である Buyer Engagement Agent が登場しました。

Buyer Engagement Agent は、マーケティングで獲得した見込み客に対して Agentforce が自動的にコミュニケーションを行い、ナーチャリング、見込み客の適格性評価(Qualification)、営業担当者とのミーティング予約までを支援する AI エージェントです。
これまでマーケティングでは、キャンペーンを通じて見込み客へメッセージを届け、その反応をもとに営業へ引き渡すという流れが一般的でした。
Buyer Engagement Agent では、その間に Agentforce が入り、キャンペーンによる一方向のコミュニケーションに加えて、見込み客との双方向のやり取りを行えるようになります。見込み客からの反応に対して Agentforce が会話を継続し、興味を育て、営業へ引き渡せる状態まで進めることができます。
つまり、これまでの Service Agent による双方向メールが主に B2C のカスタマーサービスを想定したものであるとすれば、Buyer Engagement Agent は、B2B の見込み客との継続的なコミュニケーションから営業への引き渡しまでを担う、マーケティング向けの対話型エージェントであると言えます。
Buyer Engagement Agent ができること
Buyer Engagement Agent では、以下のような対応を行うことができます。
パーソナライズされたメールの送信
Web チャットを通じた見込み客との会話
見込み客のナーチャリング
見込み客の適格性評価(Qualification)
営業担当者とのミーティング予約
そのため、単純に Web サイトからの問い合わせに回答するだけのエージェントではありません。
マーケティング活動で獲得した見込み客とのコミュニケーションを継続し、営業へ引き渡せる状態まで進めることが、このエージェントの大きな役割となります。
Inbound Lead Generation
Buyer Engagement Agent は、Inbound Lead Generation に対応しています。
Inbound では、Web サイトを訪れた見込み客とのコミュニケーションを Agentforce が担当します。
Web チャットから見込み客を Qualification
例えば、製品に興味を持った見込み客が Web サイトを訪れ、Web チャットを開始した場合、Buyer Engagement Agent は単に質問へ回答するだけでなく、会話を続けながら見込み客のニーズや興味を確認します。
Conversation: Web チャットを通じて見込み客と双方向に会話
Qualification: 会話から見込み客の興味やニーズを確認し、営業対象として適切かを判断
Meeting Booking: 営業担当者との会話へ進む準備ができた場合はミーティングを予約
このように、Web サイトを訪れた見込み客との最初の会話から、営業への引き渡しまでを Agentforce が支援します。
Outbound Lead Nurturing
Buyer Engagement Agent は Inbound だけではなく High-Volume Outbound Lead Nurturing にも対応しています。
こちらでは、マーケティングキャンペーンなどを起点として、多数の見込み客に対するナーチャリングを Agentforce が行います。
メールを「送って終わり」にしない
例えば、マーケティングキャンペーンに反応した見込み客に対して、Agentforce からパーソナライズされたメールを送信します。
従来のようにメールを一方向に配信するだけではなく、見込み客から返信があった場合には Agentforce が応答し、双方向の Agentic Conversation を継続できることが大きな特徴です。
Personalized Email: 見込み客に合わせたメールを送信
Two-Way Conversation: 見込み客からの返信にAgentforceが応答
Nurturing: 質問への回答や継続的なコミュニケーションを通じて興味を育成
Qualification: 営業へつなげるべき見込み客かを判断
Meeting Booking: 適切なタイミングで営業担当者とのミーティングを予約
特に High-Volume とされているように、こうしたコミュニケーションを多数の見込み客に対して個別に行えることが Outbound Lead Nurturing の大きな特徴です。
有効化に必要な設定
Buyer Engagement Agent を有効化する際には、いくつかの関連機能についても設定が必要になります。

① Turn on Automated Actions
Salesforce レコードのフィールドが変更されたことなどを条件として、見込み客を営業フォロー用の Cadence(ケイデンス)へ自動的に追加・削除できる機能を有効化します。
Cadenceとは、「最初にメールを送る → 数日後に電話する → 反応がなければフォローアップメールを送る」といった、見込み客に対して営業担当者が行う一連のアプローチ手順のことです。
例えば、見込み客が特定の条件を満たした場合に営業フォロー用の Cadence へ自動的に追加したり、対象外になった場合には Cadence から自動的に削除したりできます。
② Turn on Email Productivity
営業担当者が Gmail や Outlook 上で Salesforce の情報を確認しながら、効率的にメール対応できるようにする機能を有効化します。
例えば、メールの送信日時を予約したり、メールをやり取りしている相手に関連する Salesforce のレコードをメール画面と一緒に確認したりできます。
これにより、営業担当者はメールと Salesforce を何度も行き来することなく、見込み客へのフォローアップを行いやすくなります。
なお、これらの Inbox 機能を Gmail や Outlook 上で利用するには、それぞれを Salesforce と連携するための設定が必要です。
③ Turn On Digital Experiences
Buyer Engagement AgentがWebサイトなどのデジタルチャネルを通じて、見込み客とコミュニケーションできるようにするための機能を有効化します。
例えば、Webサイトにチャットを設置し、サイトを訪れた見込み客からの質問にBuyer Engagement Agentが回答するといった、デジタル上でのやり取りを行うために必要となる設定です。
Buyer Engagement AgentではWebチャットを利用したInbound Lead Generationができるため、そのための基盤となる機能の一つです。
④ Turn On Omni-Channel
Webチャットなどから入ってきたConversationを受け取り、適切な対応先へ振り分けるためのOmni-Channelを有効化します。
Omni-Channelは、チャットなどから入ってきた問い合わせやConversationを、Agentや担当者へ適切に割り当てるためのSalesforceの仕組みです。
Buyer Engagement Agentでは、見込み客とのConversationをAgentへ割り当てて対応させるために利用します。
また、AgentがどのようにConversationへ対応しているかをMonitoringするためにも利用されます。
以下 ⑤~⑦ は、対応不要です。自動で実行されます。
⑤ Create Routing Configuration
見込み客から入ってきた Conversation を、どのようなルールで処理・割り当てするかを定義する Routing Configuration を作成します。
Routing とは、簡単に言えば「入ってきた Conversation を適切な対応先へ振り分けること」です。
例えば Web チャットから Conversation が開始された場合、Conversation を Buyer Engagement Agent が対応できるように振り分けるための設定を行います。
Omni-Channel が Conversationを振り分けるための仕組みそのものであるのに対して、Routing Configurationはその振り分け方法を定義する設定と考えると分かりやすいです。
⑥ Create Default Queue and Assign Routing Configuration
Conversationを受け取るためのDefault Queueを作成し、先ほど作成したRouting ConfigurationをそのQueueへ割り当てます。
Queueとは、Conversationなどの対応すべき仕事を、特定の一人へ直接渡す前に受け取る**「共有の受付窓口」**のようなものです。
Buyer Engagement Agentでは、見込み客から入ってきたConversationをこのQueueで受け取り、設定されたRouting Configurationに従って適切に処理できるようにします。
つまり、QueueがConversationを受け取る場所、Routing ConfigurationがそのConversationをどのように振り分けるかを決める設定という関係になります。
⑦ Provide Agent Manager Access
Buyer Engagement Agentを作成・管理するために必要な権限を設定します。
Buyer Engagement AgentのTemplateを使用してAgentを構築するユーザーに、必要なAgent Managerへのアクセス権を付与します。
また、作成したAgentを他のユーザーが利用できるようにするためのアクセス権についても設定します。
つまり、この設定はAgentそのものの動作を設定するものではなく、「誰がBuyer Engagement Agentを作成・管理・利用できるのか」を管理するための権限設定です。
有効化の手順
Buyer Engagement Agent は、Salesforce Go から有効化できます。
1. Salesforce Goで Agentforce for Marketing を検索します。

2. Buyer Engagement の Agent Template を有効化します。

Salesforce パートナーの方が、SDO 組織でお試しで有効化するには、認証済みドメインの登録が必要になります。

3. 有効化が完了したら、下へスクロールして今回の Einstein ユーザーを作成します。

※ ここで設定する名前はやり取りを行うエージェントの苗字と名前です。

4. 続く、以下の 4 つはオプションなので、必要に応じて設定を入れます。
Configure Website for Engagement
Configure Data Library for Your Agent
Configure Conversation Data
Configure a Data Graph

5. 次は、Build and Manage Agents セクション を探して、「Go」をクリックします。

6. すると、Buyer Engagement テンプレート が見つかりますので選択して、先に進みます。

こちらの Agent テンプレートを利用することで、Agent Builder に対して、複雑な設定を持つエージェントを、簡単に作成することができます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
Getting Started
7. まず、上で設定したユーザーが選択されています。下のエージェントの「管理名」を入力して、「言語」を設定します。

Core Messaging & Positioning
8. 次に Buyer Engagement Agent が見込み客とコミュニケーションする際に必要となる、自社の基本情報や訴求ポイントを設定 します。

Company Name: 会社名
Company Description: 自社の事業や提供している製品・サービスなどの概要
Primary Value Proposition: 顧客に提供できる主要な価値や、自社の製品・サービスを選ぶ理由
Key Achievements: 導入実績や成果など、自社の信頼性を伝えるための情報
これらの情報をもとに、Buyer Engagement Agent が自社をどのように説明し、どのような価値を見込み客へ訴求するのかを定義します。
※ Custom Engagement Rules とは
Lead や Contact のレコード情報を条件として、見込み客の属性に応じて Agent のアプローチ方法を変更するためのルール を任意で設定できます。
例えば、役職、業種、その他のレコード情報などを条件として、「この条件に該当する見込み客には、このような内容を重視してコミュニケーションする」といった指示を Agent へ設定できます。(最大 20 ルールまで)
複数の Rule を設定した場合は番号順に評価され、最初に条件へ一致した Rule の Instruction のみが Agent に適用されます。
注意:条件に使用する Field については Agent User に Field-Level Access が必要です。Agent User がアクセスできない Field を条件に使用した場合、その条件は False として扱われます。
Agent Knowledge & Data
9. 次は、Buyer Engagement Agent が見込み客と会話で利用する Knowledge(ナレッジ)と Customer Data(顧客データ)を設定します。

ここでは、大きく分けて ① Data Library と ② Customer Data Grounding の 2 つを設定します。
① Data Library
Buyer Engagement Agent が見込み客からの質問へ正確に回答するために、Agentforce Data Library を Knowledge Source として接続します。
Data Library には、製品情報、FAQ、マニュアル、Web サイトなど、Agent に参照させたい情報を登録できます。
Buyer Engagement Agent は「Answer Question with Knowledge」Actionを使用して Data Library に登録された情報を参照し、その情報を根拠として回答を生成します。
例えば、見込み客から、
「この製品にはどのような機能がありますか?」
「このサービスは ○○ に対応していますか?」
と質問された場合に、Data Library に登録されている製品情報や FAQ などを参照して回答できるようになります。
既存の Data Library がある場合はここで選択し、新しく作成する場合や Data Source を変更する場合は Agentforce Data Library から設定します。
② Customer Data Grounding
Buyer Engagement Agent が見込み客ごとの情報を踏まえてパーソナライズされた会話を行うために、Data Graph を接続します。
Data Graph には、Web サイトを訪問している Visitor の Profile や、これまでの Engagement History など、見込み客についての Customer Data が含まれます。
これを Agent へ接続することで、単に一般的な質問へ回答するだけではなく、「この見込み客が誰なのか」「これまでどのような Engagement があったのか」といった Context を踏まえた会話ができるようになります。
これらの設定により、自社のナレッジに基づいた正確な回答と、Customer Data に基づいたパーソナライズされた会話の両方 を実現できるようになります。
Channel Settings
10. 次は、Buyer Engagement Agent が見込み客とコミュニケーションする際の、チャネルごとの話し方やコミュニケーション方法を設定 します。

Buyer Engagement Agent では ① Web Chat と ② Email それぞれに設定が用意されています。
① Web Chat
Web サイト上で Buyer Engagement Agent が見込み客と会話する際の設定を行います。
Tone
Agent の会話のトーンを設定します。
例えば「Casual」を選択すると、Web チャット上でよりカジュアルなトーンで見込み客とコミュニケーションします。
AI Disclosure
Web チャットで対応している相手が AI Agent であることを、見込み客へ伝えるための内容を設定します。
Return Visitor Recognition
Web サイトへ再訪した見込み客について、過去の Interaction をもとに最初の挨拶や Chat Invitation をパーソナライズします。
例えば、以前 Web サイトを訪問して Agent とやり取りしたことがある見込み客に対して、その Context を踏まえたコミュニケーションを開始できるようになります。
※ この機能を利用するには、前の設定で Data Graph を選択しておく必要があります。
② Email
Buyer Engagement Agent が見込み客へ Email でコミュニケーションする際の設定を行います。
Tone
Agent が作成する Email のトーンを設定します。
Web Chat とは別に設定できるため、例えば Web Chat ではカジュアルに会話し、Email ではよりフォーマルにするといった使い分けができます。
From Name & Address
Buyer Engagement Agent から送信する Email に表示する、送信者名と送信元メールアドレスを設定します。
見込み客には、ここで設定した名前とメールアドレスから Email が届きます。
AI Disclosure
Email の送信者が AI Agent であることを見込み客へ伝えるための内容を設定します。
Email Signature
Buyer Engagement Agent が送信する Email の末尾に表示する署名を設定します。
会社名や連絡先など、Email に共通して表示したい情報を設定できます。
Communication Subscription
Buyer Engagement Agent から Email を送信する際に使用する Communication Subscription(コミュニケーション登録)を選択します。
Communication Subscription は、Marketing Cloud Nextで 「どの種類のコミュニケーションを受け取ることに同意しているか」を管理するための設定 です。
Buyer Engagement Agent が Email で見込み客へアプローチする際にも、ここで選択した Communication Subscription をもとに、対象者の Consent を考慮してコミュニケーションを行います。
Maximum Attempts(Attempts =「回数」)
Buyer Engagement Agent が見込み客へアプローチする 最大回数 を設定します。
例えば「5」に設定した場合、Agent が何度も無制限にフォローアップするのではなく、設定された上限の範囲で見込み客へのアプローチを行います。
Nudge Interval(フロー上は Time between Attempts)
見込み客から反応がない場合に、次のフォローアップ(Nudge)を行うまでの間隔 を設定します。
Nudge とは、まだ返信していない見込み客に対して Agent から再度アプローチし、返信や次の Action を促すためのフォローアップです。
1 回目のメールを送信
→ 反応なし
→ 1 日後に次の Attempt
→ さらに反応なし
→ 1 日後に次の Attempt
※ 何回まで Nudge するかは、Maximum Attempts で決めます。
Maximum Attempts と Nudge Interval を組み合わせることで、「何回まで、どのくらいの間隔で見込み客をフォローするか」をコントロールできます。
ちなみに、設定中、プレビューしながら先に進めますので、安心して設計ができます。

上で作ったプレビューから察するに、もし一定期間メールに返信が無ければ、以下のような内容を自動的に送信するものと思います。これが裏側で自動で行われているとすると、凄すぎますね。
Katherine 様
まだご返信をいただいておりませんでしたので、改めてご連絡いたしました。
医薬品の研究開発において、市場投入までのスピードは製品リリースの成否を左右する重要な要素です。適切なデータ基盤を導入することで、部門間での連携や「サイロ化」の解消が可能になり、意思決定者に重要なインサイトをより迅速に届けることができます。
当社が 95% という高い顧客満足度を維持しているのは、成果に直結するソリューションの提供に注力しているからです。当社のクライアントは、単に優れたインフラを手に入れるだけでなく、競争優位性をも獲得しています。
Southern Research Institute 様の目標達成を当社がどのように支援できるかについて、今週 15 分ほどお話しするお時間をいただけないでしょうか?
AI エージェントより送信
このメールは生成 AI の支援を受けて作成されています。生成 AI は不正確な回答を生成する可能性があるため、内容をよくご確認ください。配信停止をご希望の場合は、「STOP」と返信するか、配信停止用のヘッダー機能をご利用ください。
Lead Capture Settings for Web Chat
11. 次は、Web Chat で Buyer Engagement Agent と会話している Web サイト訪問者から、必要な情報を収集し、Salesforce の Lead または Contact としてレコードを作成するための設定を行います。
オブジェクトの選択
Web Chat で収集した訪問者の情報を、Salesforce のどの Object へ登録するかを ① Lead または ② Contact のラジオボタンから選択します。
Lead: 訪問者を新しい見込み客として Lead に登録
Contact: 訪問者を Contact として登録し、Account の作成または既存 Account との紐付けも行う
① Lead を選択した場合
Lead を選択すると、Lead Creation の設定が表示されます。

Buyer Engagement Agent は Web Chat での会話から必要な情報を収集し、その情報を使用してLeadレコードを自動的に作成します。
作成した Lead の Owner については、Salesforce に設定されているLead Assignment Rules(Leadの割り当てルール)に従って割り当てられます。
② Contact を選択した場合
Contact を選択すると、Contact Creation の設定に切り替わります。

Lead の場合と同様に、Buyer Engagement Agent がWeb Chatで必要な情報を収集し、その情報を使用してContactレコードを自動的に作成します。
さらに、Contact を選択した場合には Account Fields の設定も表示されます。
Salesforce では Contact を Account が関連付けて管理されるため、Buyer Engagement Agent が Contact を作成する際には、Account も新しく作成するか、既存の Account へ Contact を紐付けます。
Account についても、Agent が訪問者との会話から収集する Field や Default Value を設定できます。
必要に応じて、この Account の作成・紐付け処理を Flow Builder で調整することも可能です。
Agent Collected Data について
Lead、Contact、Account のレコード作成に必要な情報について、どの Field の値を Buyer Engagement Agent から訪問者へ質問するかを設定します。
各 Field の「Ask Agent to Collect?」を設定することで、Agent が会話の中でその情報を収集するかを指定できます。
Agent から質問して取得しない情報については、必要に応じて Default Value を設定してレコード作成時に使用できます。リードのステータスなど

How the Agent Asks These Questions
必要な情報を Agent がどのように質問するかについて、2 つの方法から選択できます。
All at once: 必要な情報をまとめて質問
One at a time: 必要な情報を一つずつ会話形式で質問
One-Time Password(OTP)Authentication
レコードを作成する前に、Email を使用した One-Time Password(OTP)による本人確認を行うこともできます。
訪問者の Email アドレスへ One-Time Password を送信して認証することで、本人確認を行ったうえで Lead または Contact を作成できます。

このように Buyer Engagement Agent では、Web Chat で単に見込み客と会話するだけではなく、会話から必要な情報を収集し、Lead として登録するか、Contact および Account として登録するかまで設定できるようになっています。
考慮事項
今回の Lead Capture Settings for Web Chat では、Buyer Engagement Agent が会話から Lead / Contact を自動作成します。そのため、上で作成した Agent User 自身に、作成するレコードで利用可能な Record Type が必要になります。
Qualification Settings
12. Buyer Engagement Agent が見込み客との会話を通じて、その見込み客が営業対象としてどの程度有望なのかを評価(Qualification)するための設定です。

この機能はオプションとなっており、Qualification Status を有効化すると、Agent が見込み客との会話の中で必要な質問を行い、その回答や収集した情報をもとに評価します。
有効化すると、Buyer Engagement Agent は主に以下を行います。
Qualification に必要な情報を収集: あらかじめ指定した評価項目について、Agent が見込み客へ質問し、必要な情報や Insight を収集します。
Rating を更新: 評価結果をもとに、対象レコードに Rating Field がある場合は、その値を更新します。
有望な見込み客に Task を作成: 高い評価となった見込み客については、営業担当者などが評価内容を確認できるように Task を作成します。
つまり、単に Agent が見込み客と会話するだけではなく、会話から営業に必要な情報を聞き出し、「この見込み客を優先的にフォローすべきか」を評価して Sales へつなげるための機能です。
Sales Handoff Settings
13. Buyer Engagement Agent とのコミュニケーションを通じて有望になった見込み客を 営業担当者へどのように引き渡すか(Handoff)を設定します。

ここでは、営業担当者との Meeting Booking や、Web Chat 終了後も Email でコミュニケーションを継続するための設定を行います。
Meeting Booking
Buyer Engagement Agentが、見込み客との会話から営業担当者とのミーティングを予約できるようにする機能です。
有効化すると、チャネルをまたいで共通のMeeting Bookingルールを利用できます。
Default Meeting Assignee
ミーティングを割り当てる営業担当者を指定します。
「Record Owner」を選択した場合は、そのLeadやContactを担当しているSalesforceのRecord Ownerとのミーティングを予約します。
Meeting Title
予約されるミーティングのタイトルを設定します。
例:Buyer Engagement Agent - Product Consultation
Meeting Duration
ミーティングの時間を設定します。例えば「30 minutes」を選択すると、30分のミーティングとして空き時間を探して予約します。
Fallback Meeting Assignee
Default Meeting Assigneeでミーティングを予約できない場合に備えて、代わりにミーティングを担当するユーザーを指定します。
これにより、例えばRecord Ownerに予約可能な時間がない場合でも、別の担当者とのミーティングを提案できるようにします。
今回 Meeting Booking で重要なのは単なるメール送信ではなく、そのユーザーのカレンダーの空き時間を Agent が確認して、ミーティングを予約できる状態にすることですので、Email / Calendar の接続を行う必要があります。


Web-to-Email Handoff
Web Chatで見込み客との会話が終了してもMeeting Bookingに至らなかった場合に、Emailへチャネルを切り替えてEngagementを継続する機能です。
有効化すると、次の設定が追加されます。
Wait Time Before Handoff
Agent が見込み客に Meeting Link を案内してから、Lead Nurturing Agent へ引き渡すまでの待機時間を設定します。
つまり、Meeting Link を提示してすぐに Email でフォローするのではなく、一定時間は見込み客が Meeting を予約するのを待ちます。その時間内に予約されなかった場合、Lead Nurturing Agent へ Handoff し、その後は Email でフォローアップを継続します。
Review and Activate
14. 最後に全体をレビューして、エージェントを有効化します。

有効化されたことを確認しました。

Web Chat の設定
15. エージェントを開いて、新しいバージョンを作成します。

16. Connections から Add connections を選択します。

17. Enhanced Chat v2 をエージェントに追加します。

18. 新しいチャネルを追加します。

19. チャネル名 と API 参照名、そして設定する Web サイトのドメイン、Fallback Queue を入力して、新しいチャネルを作成します。
※ Fallback Queue は存在していなければ適当に作成してください。

もしあなたの環境が古い SDO であれば IP アドレス制限が入っている可能性がありますので、こちらの手順で IP アドレスの範囲を削除してください。
20. アクションボタンから、サイト上のプレビューを開きます。

21. 初めての Buyer Engagement Agent が立ち上がりました。

Buyer Engagement Agent との実際の会話
22. 設定が完了したので、実際に Web Chat から Buyer Engagement Agent と会話してみます。
今回は、データセンターの刷新を検討している見込み客として会話を開始し、最終的に Sales との Meeting Booking まで進めてみました。
① 会話を開始
Buyer Engagement Agent
Hi there! I'm an AI sales assistant here to help with questions, product information, or scheduling time with a sales representative.
日本語訳:こんにちは!私は AI 営業アシスタントです。ご質問への回答、製品情報のご案内、営業担当者とのミーティング予約などをお手伝いします。
Visitor
Hi, I'm interested in your products and would like to learn more.
日本語訳:こんにちは。御社の製品に興味があり、詳しく知りたいです。
Buyer Engagement Agent
RBA Company specializes in IT solutions and services, with a focus on advanced hardware and comprehensive services for managing data centers. We help businesses optimize their operations and drive innovation through reliable technology and support.
Are you currently exploring solutions for your IT infrastructure or data center needs?
日本語訳:RBA Company は IT ソリューションおよびサービスを専門としており、高度なハードウェアやデータセンター管理のための包括的なサービスを提供しています。信頼性の高いテクノロジーとサポートを通じて、企業の業務最適化とイノベーションを支援しています。
現在、IT インフラやデータセンターに関するソリューションを検討されていますか?
② Salesへの相談を希望
Visitor
Yes, we're planning to upgrade our data center infrastructure soon, and we'd like to discuss our requirements with your sales team.
日本語訳: はい。近いうちにデータセンターインフラのアップグレードを計画しており、要件について営業チームと相談したいと考えています。
すると、Buyer Engagement Agent が Sales へつなぐために必要な情報を聞いてきました。
Buyer Engagement Agent
To connect you with our sales team to discuss your data center infrastructure upgrade, I’ll need a few details:
・ First and last name
・ Company name
・ Email address
日本語訳: データセンターインフラのアップグレードについて営業チームへおつなぎするため、以下の情報を教えてください。
・ 氏名
・ 会社名
・ メールアドレス
ここでは、Lead Capture Settings で設定した情報を Agent が会話の中で収集しています。
③ Lead 情報を収集
Visitor
My name is John Smith. I work for ABC Technologies. My email address is [email address].
日本語訳:John Smith です。ABC Technologies に勤務しています。メールアドレスは [email address] です。
基本情報を取得すると、今度は Agent が Qualification のための質問を始めました。
Buyer Engagement Agent
Thanks for sharing your details, John. To help our team understand your situation better, could you tell me a bit about what’s driving your need to upgrade your data center now and what you hope to achieve with this project? Only share what you’re comfortable with.
日本語訳:情報を共有いただきありがとうございます、John さん。状況をよりよく理解するために、なぜ今データセンターをアップグレードする必要があるのか、また、このプロジェクトで何を実現したいと考えているのか教えていただけますか?差し支えない範囲でお聞かせください。
④ Qualification
Visitor
Our current data center infrastructure is aging, and we're starting to see reliability and performance issues. We're planning to upgrade it within the next few months. Our main goals are to improve reliability, reduce operational costs, and support future growth.
日本語訳:現在のデータセンターインフラが老朽化しており、信頼性やパフォーマンスに問題が出始めています。今後数か月以内にアップグレードする予定です。主な目的は、信頼性の向上、運用コストの削減、そして将来の成長への対応です。
さらに Agent から Qualification のための質問が続きます。
Buyer Engagement Agent
It makes sense that reliability and performance issues would prompt an upgrade—those can have a big impact on day-to-day operations.
To make sure we connect you with the right expert, could you share:
- Your role at ABC Technologies
- Roughly what your annual revenue or revenue goal is
日本語訳: 信頼性やパフォーマンスの問題をきっかけにアップグレードを検討されるのはもっともです。こうした問題は日々の業務にも大きな影響を与える可能性があります。適切な担当者へおつなぎするため、以下について教えてください。
・ ABC Technologies での役職
・ おおよその年間売上高、または売上目標
Visitor
I'm the IT Director at ABC Technologies, and our annual revenue is approximately $50 million.
日本語訳:ABC Technologies で IT Director を務めています。年間売上高は約 5,000 万ドルです。
⑤ Meeting Booking へ
必要な情報を収集すると、Buyer Engagement Agent から Meeting Booking が提示されました。
Buyer Engagement Agent
Thank you for providing all the details, John.
Schedule A Meeting
If you have any other questions or need more information about our products or services, just let me know.
日本語訳:必要な情報をご提供いただきありがとうございます、John さん。
ミーティングを予約する
その他にご質問がある場合や、製品・サービスについてさらに詳しい情報が必要な場合は、お知らせください。
このように、今回は単に Web Chat で質問へ回答するだけではなく、
Web Chat で会話 → Lead 情報を収集 → ニーズを確認 → Qualification → Meeting Booking
まで、Buyer Engagement Agent が一連の会話の中で進めてくれました。
特に興味深いのは、最初から Meeting Booking を直接指示したわけではなく、見込み客との会話から必要な情報を収集し、Qualification を行ったうえで Sales との Meeting Booking へつなげている点です。
これは Buyer Engagement Agent の役割である Nurture → Qualify → Meeting Booking → Sales Handoff を非常に分かりやすく確認できる例だと思います。

Schedule A Meeting をクリックすることで、予約画面に遷移しますので、ミーティングを予約することが可能です。

また、先ほどのやり取りでリードキャプチャ機能も働いていますので、リードとしても獲得できていることを確認します。

Marketing Mail の設定
23. 続いて、Marketing Mail のチャネルを作成します。Agent Builder でエージェントを開いて、Marketing Email の Settings で「新しいチャネル」をクリックします。

24. ここで遷移する先は、Authenticated From Addresses です。双方向メール設定は Authenticated From Addresses 単位で設定するので、正しいです。設定する「送信元アドレス」を選択します。

注意:従来型の双方向メールを設定している場合は、一つの送信元アドレスに 2 つのエージェントは設定できないので、専用の送信元アドレスを用意してください。
25. Agent Conversational Messaging の構成を開始します。

26. オムニチャネルルーティング設定は、以下で設定します。
Routing Type:Agentforce Service Agent
Agent:Buyer Engagement Agent
Fallback Queue:Buyer Engagement Agent(← ここは任意のもの)

27. 設定後に、チャネルを有効化します。

28. 有効化を確認します。

この設定は非常に外れやすいです。接続したかどうかの目安としては、この送信元アドレスの Capabilities が Outbound and Conversational(送信と会話)になることです。

29. Agent Builder で Marketing Email の Settings を確認して、チャネルとして接続されていることも確認します。

設定としては以上です。
Forward to Agent 入りフローの作成と送信
30. 続いて、双方向メールを行うために、Forward to Agent アクション入りのフローを作成します。

※ Forward to Agent アクションでは以下の設定が必要です
Select Mode
Manage Replies・・・返信が無い場合に、Wait Until Event の待機期間が終ったらエージェント側から会話を開始する
Initial Conversation・・・必ず顧客が会話を開始する
31. コンテンツは以下のようなものを用意しました。返信も促しています。
Subject: Planning a Data Center Upgrade?
Hi {!$unifiedIndividual.ssot__FirstName__c},
I’m reaching out from RBA Company.
We help businesses modernize their data center infrastructure to improve reliability, reduce operational costs, and support future growth.
Are you currently considering any upgrades or improvements to your data center infrastructure?
If so, simply reply to this email and tell me a little about your plans. I’d be happy to see how we might be able to help.
Best regards,
RBA Company

32. 先ほどリードキャプチャ機能で獲得したリードに対して、送信を行います。以下の通り、メールが届きました。

メールでの会話を試す
33. それでは、以下を返信で返します。

Visitor
Hi,
Thanks for reaching out. We’re actually planning to upgrade our data center infrastructure within the next few months. Our current environment is aging, and we’re starting to experience reliability and performance issues.
We’d like to improve reliability, reduce operational costs, and support future growth. I’d be interested in discussing our requirements with your sales team.
Best,
John
日本語訳:こんにちは。
ご連絡ありがとうございます。実は、私たちは今後数か月以内にデータセンターのインフラをアップグレードする予定です。現在の環境は老朽化しており、信頼性やパフォーマンスに関する問題が発生し始めています。
信頼性の向上、運用コストの削減、そして将来の成長への対応を実現したいと考えています。ぜひ、私たちの要件について営業チームの方とお話しできればと思います。
よろしくお願いいたします。
John
34. すると、フローの待機が解除されて、Forward to Agent アクションへ到達します。

35. すると、エージェントからメールも届きました。

Buyer Engagement Agent
Hi John,
Managing a complex data center environment while keeping operations reliable and scalable is no small task. IT leaders in your position are constantly balancing uptime, performance, and cost efficiency.
RBA Company specializes in hardware and services designed specifically for data center management. We've helped organizations like a major retail chain transform their infrastructure, driving a 30% sales increase and 25% improvement in customer retention through our solutions.
Our approach combines cutting-edge technology with proven implementation strategies that deliver measurable results.
Is improving your data center infrastructure a current priority?
日本語訳:こんにちは、John さん。
複雑なデータセンター環境を管理しながら、運用の信頼性と拡張性を維持することは簡単ではありません。John さんのような IT リーダーは、常に稼働率、パフォーマンス、コスト効率のバランスを取る必要があります。
RBA Company は、データセンター管理に特化したハードウェアとサービスを提供しています。これまで、大手小売チェーンなどの企業のインフラ変革を支援し、当社のソリューションを通じて、売上 30% 増加、顧客維持率 25% 向上といった成果につなげてきました。
当社のアプローチでは、最先端のテクノロジーと実績のある導入戦略を組み合わせ、測定可能な成果を実現します。
データセンターインフラの改善は、現在の優先事項でしょうか?
36. ここで数日返信を放置すると、1 日一回リマインドが送信されます。これは、今回 見込み客から反応がない場合に、次のフォローアップ(Nudge)を行うまでの間隔を 1 日と設定しているためです。見込み客へアプローチする 最大回数 も、今回は 5 回としているので 5 日間は続くものと思います。

Tips:この送信タイミングに関しては読めずに、夜間に送信されていますので、「特定の時間まで待機」のオプションを利用して、例えば、朝 10:00 頃に送信をするとかした方がよいかもです。
Buyer Engagement Agent 自体の管理画面
最後に、Buyer Engagement Agent 自体の管理画面は以下になります。こちらもバージョン管理されています。

https://[mydomain].lightning.force.com/lightning/page/agentforce/guidedConfigAgent Builder 側ではチャネルの設定などを行いますが、こちらでは、主にその Agent の動きを制御しているものと思われ、こちらもバージョン管理されており、一部の設定を除き、設定に更新をかけて再アクティベートすることもできます。
いかがでしたでしょうか。
これまでさまざまな Agent を作成してきましたが、Buyer Engagement Agent は、その中でも特に設定難易度が高い Agent だと感じました。
Marketing Cloud Next だけの知識ではなく、Agentforce、Omni-Channel、Routing、Queue、権限、Data Graph、Lead Capture、inbox 機能など、Salesforce Platform のさまざまな機能や設定が関係してきます。
そのため、今回のような専用の設定ガイドが用意されている理由もよく分かります。 これを一から自分で設定するとなると、かなり大変です。
私自身も途中でいくつか設定につまずきましたが、一つずつ確認していくことで、何とかリリースまで進められそうです。
Buyer Engagement Agent は、見込み客との双方向の Agentic Conversation を通じて、Nurture → Qualify → Meeting Booking → Sales Pipeline までをつなげる Agent です。
気軽に始められるほど設定は簡単ではありませんが、マーケティングとセールスの間を Agentforce でつなぐ非常に興味深い機能だと思いました。
今回は以上です。
