アサリと豚の「まる」蒸し。父が贈る本気ランチ
【日曜日のキッチン、アサリと格闘する】
せっかくの休日、家族に美味しいものを食べさせたい。そんな思いで買ってきたのは、一パックのアサリ。献立は決まっている。アサリの酒蒸し、そこから広がる旨味を余さずいただくパスタやバゲット……。
しかし、料理はいつも順風満帆とはいかない。いざ作り始めようとしたとき、大きな見落としに気づいた。
「砂抜き、終わってない……」
時計を見れば、すでにお腹を空かせた娘たちの顔が浮かぶ。ここから2〜3時間も待たせるわけにはいかない。そこで急遽、裏ワザの「50℃洗い」を敢行することにした。お風呂より少し熱いお湯にアサリを浸すと、彼らも驚いたのか、一気に砂を吐き出し始める。その隙に、他の食材の準備を進めることにした。
【アサリ、豚肉、そして日本酒「まる」の共演】
今回のアサリは300g。家族4人のメインとしては少し心許ない量だ。そこで冷蔵庫のスタメンである豚モモ肉と玉ねぎに助っ人を頼むことにした。
フライパンに玉ねぎを敷き詰め、その上に豚肉とアサリを重ねる。そして、今日のために用意した日本酒「まる」を贅沢に回し入れる。蓋をして数分。キッチンに広がるのは、磯の香りと、お米のふくよかなお酒の香り。
アサリの口が開いたところで、醤油とバターをひと回し。最後に3個の卵をふんわりと流し込む。アサリのコハク酸、豚肉のイノシン酸、そして玉ねぎの甘みが「まる」によって一つにまとめられていく。
【彩りには、剥きたてのみかんを】
主菜が茶色っぽくなりがちな「男の料理」だからこそ、彩りにも気を配りたい。
箱に山ほどあるみかんを剥き、一房ずつ丁寧に器に盛る。娘たちが食べやすいように、そして食後のお口直しに。冷蔵庫で少し冷やしておけば、立派なデザートだ。
並んだ食卓は、自分でも驚くほど充実したものになった。
「アサリと豚の『まる』蒸し卵とじ丼」。
炊きたての白ごはんに、旨味の塊である汁ごと豪快にかける。
【一口の幸せと、家族の笑顔】
「いただきます」の声とともに、家族で丼をかき込む。
アサリの出汁を吸った玉ねぎが、実は一番の主役かもしれない。娘たちが美味しそうに食べ、食後に冷えたみかんに手を伸ばす姿を見て、砂抜きから始まったドタバタも報われた気がした。
特別な高級食材ではないけれど、手間と工夫でここまで豊かな時間になる。
お酒の「まる」は、料理も、そして休日の家族の時間も、まるく納めてくれた。
さあ、次はメルシャンの白ワインで何を作ろうか。
父のキッチン修行は、これからも続いていく。
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