夜店から、いい匂いがする。
(*約2分で読めます)
にゃん吉です。
シロクマ文芸部さんのお題で書きはじめるnote企画に参加させていただきました🐻❄️
書き出しは「夜店から」というお題です🐾
お祭りの夜店の香りから蘇る思い出の話です。
夜店から、いい匂いがする。
たこ焼き、チョコバナナ、イカ焼き。
いろいろな香りが混ざり合う中で、
バターとソースの香りが漂ってくると、
とある思い出が蘇る。
一つ目は、母との思い出。
小学生だった頃、寒い冬の夜、
母とふたりきりでお祭りへ出かけた。
いつもは妹に占領されている母を、
独り占めしてる気分でウキウキしてた。
母は、お祭りで食べ物を買うことは
ほとんどしない人だった。
それなのに、夜店で私がじゃがバターをじっと見つめていると、「半分こしよっか」と買ってくれた。
やったー!とはしゃいだ。
熱々のじゃがいもに、とろけるバター。
川沿いに座って、ふたりでハフハフしながら、
「温まるね」「おいしいね」と笑い合って食べた。
もう一つは、妹との思い出。
高校生だった私と、中学生だった妹。
ふたりだけで夜のお祭りへ出かけた。
夜にふたりだけで出かけるのは初めてだった。
自分のお財布からお金を出し、
好きなものを選んで夜店の食べ物を買う。
それだけで、少し大人になったような気分だった。
ソースの香りに誘われて、
私たちが選んだのは、とん平焼き。
「おいしいね!」
そう言いながら半分ずつ食べた一枚のとん平焼きは、あっという間になくなった。
出かける前、母からは、「夕飯があるんだから、お祭りではあまり食べちゃだめよ」と言われていた。
それなのに私たちは顔を見合わせ、
「もう一つ食べようか」
と頷きあって、もう一枚買ってしまった。
ふたりでいたずらっ子みたいな顔をして、
「おいしいね」と笑いながら食べた。
結局、夕飯はほとんど食べられなくて、
母にはすぐにバレた。
「えっ、とん平焼き2枚も食べたの?」と驚き、
呆れながらも、母はどこか嬉しそうだった。
おいしかったと心に残る料理は、
誰と食べたのか、どんな気持ちで食べたのかという思い出と、いつも結びついている気がする。
毎年、夜店から漂う香りに出会うたび、
私はあの頃の「おいしいね」という声と、
笑顔まで思い出す🕊️
Thank you for reading🌿
にゃん吉
▼同じくシロクマ文芸部さんの企画に参加させていただいた記事です
