【第49話】東大沼の朝──濡れた静けさ
北へ続く道 ─ 自作キャンピングカーで旅する日々
静かに続いていく──
旅の空気と、光と温度で紡ぐ日々の記録。
【第49話/雲の切れ目に腰を下ろす】
東大沼の朝──濡れた静けさ
雨は止んでいるが、まだ終わった感じもしない。
空気のほうが、先に様子を見ている。
昨晩は、東大沼キャンプ場にお世話になった。
キャンピングカーでの車中泊。
7時2分。目を覚ますと、
窓の外は明るいが、空は白く曖昧だった。
温度計を見る。
車内は24℃、外は22.5℃。
夜の名残がそのまま残っている。
みゅうちゃんが足元で待っている。
先に器を置くと、静かに食べ始めた。
コーヒーを淹れ、トーストと豆乳ゼリー。
カップから湯気が上がっているあいだ、
聞こえるのは鳥の声と、
濡れた地面を踏む足音くらいだった。

傘を持って歩いた先で、
予報どおり雨が落ちてきた。
慌てるほどでもなく車内に戻り、
画面をつけて少しだけ動画を流す。
そのまま、朝の時間が静かにほどけていった。
9時37分。
大島さんとハーフゼロさんに声をかけて、
エンジンをかける。
まだ眠っている車もあり、
起こさずに森を抜けた。
寄り道はせず、
曲がるたびに景色だけが入れ替わる。

海に着くまで──雲の高さ
11時58分。寿都浜中野営場に着く。
海は見えるが、色は控えめだった。
雲が低く、光が届く位置を探している。

昼は昨夜の残りと、うまかっちゃん。
器がまだ温かいうちに片づけ、
車内でノートPCを開く。
作業をしているうちに、
午後の時間はそのまま車内に留まっていた。
13時56分。ふと気づくと、
空に青が戻っていた。
雲は西に残り、
距離を保ったまま動かない。
少し横になると、
みゅうちゃんがそっと近くに来て、
影がひとつ増えた。
様子を確かめるように一度目を開けて、
また閉じる。
16時すぎ。起き上がり、文章を整え、
冷房を切る。
窓を開けると風が入り、空気が変わった。
車の影に椅子を置くと、
日向と日陰の境目がちょうどよかった。

火を囲む──色が沈むまで
17時9分。雲が太陽を隠し、海のほうへ歩く。
波の音が一定の間隔で届く。
ときどき光が差し、
そのたび向きを変える。
ゼロさんからの連絡をきっかけに、
テーブルとコンロを出す。
準備は多くない。
18時10分。海を背に、
ゼロさんとグラスを合わせ、火を入れる。
肉の音が落ち着くころ、牡蠣に替える。
網の上で殻が開き、空が赤くなる。
色はそれ以上深まらず、そこで止まった。

車内の夜──灯りを落とす
片づけて、場所を移す。
20時37分。車内で続きを始めると、
みゅうちゃんはあちこちで丸くなり、
誰の邪魔もしない位置を選んでいる。
0時。一本が空き、
ゼロさんが持ってきていた焼酎がなくなり、
別の瓶を開ける。
話題は戻ったり離れたりを繰り返す。

1時半すぎ。椅子を戻し、
灯りを落とす。
あとがき
雲の下を走り、
雲の切れ目で腰を下ろした一日だった。
決めたことは多くない。
今日はここまでにする、
という線を引いただけ。
海と火と風が、
それぞれ別の速さで動いていた。
その混ざり方を、
車内まで持ち帰ったような気がする。
次のことは、起きてから考える。
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