【第25話】滝上の朝──光が戻り、空気がほどける時間
北へ続く道 ─ 自作キャンピングカーで旅する日々
静かに続いていく──
旅の空気と光の温度で紡ぐ、日々の小さな物語。
【第25話/渓谷に広がる青空と、あたたかな再会の輪】
滝上の朝──光が戻り、空気がほどける時間
夜の冷えを越えた渓谷に、はっきりとした光が戻ってくる。
空気がゆっくりほどけ、今日という一日が輪郭を持ちはじめた。
朝7時6分。カーテンの隙間から、
はっきりとした青が差し込んでくる。
昨日の冷たい空気が嘘のように消え、
渓谷はやさしい光に包まれていた。
温度計は車内22.7℃。外気温もすでに20℃を超え、
身体が自然と緩んでいくのがわかる。
まずは、みゅうちゃんの朝ごはん。
昨日の強張った空気とは違い、
今日はどこか穏やかな気配をまとっている。
外に出ると、驚くほどの暖かさ。
「昨日の寒さはどこへ行ったんだろう」
と思わず口にしてしまうほどだ。
奥に見えるフレグランスハウスの可愛らしい建物が、
この場所のやさしい表情をより引き立てている。
コーヒーを淹れ、トーストと豆乳ゼリーの朝ごはん。
車内で食べるいつもの朝食も、
窓越しの青空のおかげで少し特別に感じられた。

朝食後は、昨日のブログを書き上げる。
9時30分に投稿を終え、続けてSNSも更新。
その後は動画を流しながら、
何もしない時間を少しだけ楽しむ。
トイレへ行った帰り、フロント周りの汚れが目に留まり、
ウェットティッシュで軽く拭いていると、
管理人さんが声をかけてくれた。
短い立ち話でも、
この場所の空気が人を柔らかくしてくれるのを感じる。
12時12分。お昼は素麺と焼きおにぎりをひとつ。
さっぱりとした味が、暖かくなり始めた昼にちょうどいい。

食後は炊事棟でしばらく談笑し、
キャンピングカーへ戻って少しだけPC作業。
車内温度は30℃に近づき、
迷わず冷房を入れて、そのまま昼寝へ。
目を覚ましたのは15時半過ぎ。
メルマガを作成し、今日の仕事もひと段落。
16時41分、晩ごはんは豚キムチ。
これでキムチも、豚バラも、ピーマンも使い切り。
一つの区切りのような食卓になる。
炊事棟では、村上さんが豚まんを蒸していた。
その湯気の向こうに、新しい車が滑り込んでくる。
常連の玉廣さんが到着。
フェリーで小樽に上がり、札幌を経てここまで来たという。
2023年以来の再会に、自然と笑顔が重なった。
一度キャンピングカーへ戻り、
焼酎(さつま黒島美人)のロックを手に再び炊事棟へ。
話が弾むうちに焼酎は空になり、
今度はバーボン、
そして玉廣さんが買ってきてくれたG7スパークリング。
「ポンッ」という軽やかな音が、
この日の締めくくりを合図するようだった。

20時ごろ、おひらき。
外へ出ると、渓谷の上に月が静かに浮かんでいた。
昼の暖かさがまだわずかに残る空気。
それでも夜はきちんと冷えてきて、
季節の境目を思い出させる。
キャンピングカーへ戻り、
少しだけ動画を眺めてからベッドへ。
今日も、少し飲みすぎたかもしれない。
それでも、この場所で交わした笑顔や言葉が、
心の奥をじんわりと温めてくれていた。

【あとがき】
滝上渓谷公園キャンプ場は、
天気ひとつでまったく違う表情を見せる。
昨日の冷え込みも、今日の陽だまりも、
どちらもこの場所の一部なのだと思う。
再会はいつも不思議だ。
時間が空いていても、
同じ場所に立てば自然と会話が続いていく。
旅先での人との縁は、
距離よりも“空気”でつながっている気がする。
青空、渓谷、笑い声、そして夜の月。
今日という一日は、
静かだけれど確かに豊かな時間だった。
また明日も、この続きを歩いていこう。
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