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【第2話】再会の夜──445kmの先に待っていた笑顔たち

北へ続く道 ─ 自作キャンピングカーで旅する日々

静かに始まり、北へ続いていく──
自作キャンピングカーと共に過ごす、風と自由の旅の記録。

【第2話/再会の夜】

再会の夜──445kmの先に待っていた笑顔たち

長い道のりの先で、懐かしい笑顔が迎えてくれた。
走り抜けた時間も、乾いた風も、
すべてが“再会”のためにあった気がした。


朝、山口の空は雲ひとつない青だった。
昨日の夜の余韻を少しだけ残したまま、車の外に出る。
頬に触れる風はやわらかく、初夏の匂いが混じっていた。

道の駅 蛍街道西ノ市

みゅうちゃんにごはんをあげ、コーヒーを淹れて、トーストを焼く。
どこへ行っても変わらない“朝の儀式”を終えると、旅人としての一日が始まる。

9時ちょうど。
「道の駅 蛍街道西ノ市」をあとにし、ハンドルを北へ向けた。


今日の目的地は島根県の「道の駅あらエッサ」。
距離にして約300km。私にとってはなかなかのロングドライブだ。

けれど、この日は特別に風が穏やかで、空はどこまでも澄んでいた。
無料の高速道路を走り抜けながら、トンネルをいくつもくぐる。
そのたびに、自動で点くライトの柔らかな光が、旅のリズムを刻んでいく。
誰もいない車内で思わず笑ってしまった。
「こんな小さな便利さが、旅を支えてくれてるんだな」

昼過ぎに立ち寄った「道の駅サンピコごうつ」で、袋麺(ラーメン)の“うまかっちゃん”を作る。
海苔をのせ、卵を落とす。
その香りだけで、家にいるような安心感が湧いてくる。
旅の途中でも、日常のひと口を味わえるというのは、なによりのごちそうだ。

うまかっちゃん

そして15時半、「道の駅あらエッサ」に到着。
予定通り……のはずだったが、空を見上げた瞬間に気持ちが変わった。
青空がまだ高い。風も穏やか。
「もう少し、行けるかもしれない」

道の駅あらエッサ

そんな直感に背中を押されるように、再びハンドルを握った。
目的地を、さらに145km先の「道の駅あゆの里矢田川」に変更する。
LINEで“矢田川組”に連絡を入れると、すぐに「待ってるよ!」と返ってきた。

このメッセージだけで、疲れがすっと抜けた。
旅の仲間たちが待っている場所へ――それだけで、アクセルを踏む足が軽くなる。


夕日が沈みかけたころ、矢田川に到着。
道の駅の灯りの向こうに、笑い声が聞こえる。
駅入り口の扉を開けると、懐かしい顔がずらりと並んでいた。
3月以来の再会。
「おお、なかじさん来たか!」
その一言で、長い一日の疲れがすべて溶けていった。

道の駅あゆの里矢田川

けいたんさんが焼いてくれたのは、分厚いシャトーブリアン。
肉の焼ける音と香りに、みんなの笑顔が重なる。
心筋梗塞から復帰したhekさんの姿もそこにあった。
元気そうな顔に、胸が熱くなる。

「電光掲示板見た?」
駅長の言葉に外へ出ると、掲示板には
『おかえりなさい、なかじさん』
の文字。
思わず笑ってしまった。いや、ちょっと泣きそうだった。
矢田川には、旅人を迎える“温度”がある。


宴は続く。餃子の香り、焼ける鶏肉の音、笑い声、そしてビールの泡。
気づけば夜風が心地よい。
キャンプ場に移動して、焚き火を囲む。

火がパチパチと弾け、オレンジ色の光がみんなの顔を照らす。
空には星が瞬き、森の奥から鹿の気配。
「この瞬間のために旅をしてるんだろうな」
ふと、そんな言葉が浮かぶ。

道の駅あゆの里矢田川(キャンプ場)

夜が更け、焚き火の火が静かに小さくなる。
車に戻るころには、心地よい酔いと、満ち足りた静けさが身体を包んでいた。

キャンピングカーの天井を見上げながら思う。
“再会”というのは、ただの偶然じゃない。
同じ景色をもう一度見たいと思う気持ちが、きっと人を動かしているんだ。


【あとがき】

矢田川は、私にとって特別な場所です。
そこに行けば誰かがいて、笑い声が聞こえる。
旅を続けていると、土地そのものよりも“そこにいる人”に会いたくなる瞬間があります。
この夜はまさにそんな時間でした。


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