小学生年代のシステム論
「システムは何がいいのでしょうか?」
「3-3-1と2-4-1どちらがいいです?」
よく聞かれる質問だ。
今日は、U-12年代のシステム選びについて、自分なりの考え方を書いてみたい。
選ぶ基準は「今、目の前にいる子たち」
システムを選ぶとき、僕が一番見ているのは、今目の前のテーブルの上にある「タレント性」だ。性格、プレーの特徴、得意なこと。それを見て、その代の選手たちに一番合う形を考える。
だから配置は毎年変わる。
U-12でよく使われるシステムには、3-3-1、2-3-2、2-4-1、3-2-2などがある。わからない場合は3-3-1が主流だが、これは「このシステムが正解」という話ではない。あくまで、その年その年の選手構成を見て決めているだけの話だ。
たとえば、ボールを奪って味方につなげられる子が1人、性格的に諦めず自陣ゴールまで必ず戻ってくる子が1人。この2つのタイプがそれぞれ1人ずついると、小学生年代の守備は、余程の強豪と当たらなければこの2枚でやっていける。
大事なのは、この2枚の使い方だ。「ただのディフェンス」として固定してしまうのではなく、11人制でいうところの「ボランチ」だと捉えて指導している。守備専門というより、攻守の中心として動ける選手として育てておくと、上のカテゴリーに上がったときに必ず生きてくる。
守備が嫌だ、という子にも「いや、ボランチだぞー楽しいぞー」と言うことも。
そして、この2枚(センターバック)が決まれば、残りの5人は中盤と前線で自由に組み合わせを試すことができる。真ん中さえ責任感のある子で固めておけば、右や左のポジションの選手が多少入れ替わっても、チームが大きく崩れることはない。結果として、より多くの選手にいろいろなポジションを経験させられるし、試合に出場する機会も全員に作りやすくなる。
ちなみに、センターバックと中盤の真ん中に置く選手を選ぶときの、僕なりの秘訣がある。それは、「敵が一番嫌がる子」を置くということだ。うまい子、目立つ子ではなく、相手にとって一番プレーしづらい子。この基準で中心を固めると、周りの選手が入れ替わってもチームの芯がぶれない。
もちろん、その代にこの2枚がそろわないこともある。奪って繋げる子はいても、最後まで戻ってくる粘り強さを持った子がいない、というケースもある。そういうときは無理に2枚で回そうとせず、3バックにしてしまえばいい。人数を1枚増やせば、それぞれの選手にかかる守備の負担は減る。システムは、選手のタレントに合わせて変えるものであって、選手をシステムに合わせて無理やり当てはめるものではない。
一番よくない指導は、「配置の押し付け」
ここからは、システムそのものより、システムの「使い方」について、現場でよく見かける良くない例を紹介したい。
「お前はディフェンスなのになんでそんなに上がってるんだ!」 「フォワードだろ!その位置はおかしいだろ!」
こういうコーチングを、これまで何度も耳にしてきた。決めたポジション、決めた配置を、選手に厳格に守らせようとするやり方だ。正直に言うと、これはもう野球の指導に近い。守備位置が決まっていて、そこから動いてはいけない競技のやり方を、サッカーに持ち込んでしまっている。
そういう指導者は、はっきり言って、もうこの年代の指導からは離れた方がいいと思っている。
サッカーは自由だ。ポジションレスでいい
サッカーというスポーツの本質は、自由なところにある。ディフェンスの選手が攻め上がってもいいし、フォワードの選手が下がってボールを受けに来てもいい。ポジションは目安であって、檻ではない。判断も、決断も、本来は選手自身がその場でするものだ。
もちろん、判断を選手に委ねれば、当然ミスも増える。上がった選手の裏を突かれることもあるし、判断を誤ってボールを失うこともある。でも、それでいい。プロの試合でさえ、判断ミスは何度も起きている。ミスをした選手を責めて自由を奪うより、失点したら点を取り返せばいい、というくらいのスタンスで、僕は選手たちを見ている。
システムは「型」であって、「檻」ではない
システムというのは、あくまで大まかな配置の目安であり、選手の判断を縛るための型ではない。U-12の年代でシステムを選ぶときに一番大事にしたいのは、「このシステムなら勝てる」という発想よりも、「このシステムなら、この子たちが自由に判断しながらプレーできる」という視点だと思っている。
システムを決めた後も、そこに選手を無理やり押し込めるのではなく、その中でどれだけ自由に判断させてあげられるか。指導者の役目は、配置を守らせることではなく、その自由を守ってあげることだと考えている。
