横スクロールシューティングは多重スクロールを頑張ると敵や敵弾の視認性がずいぶん悪化するという話
古代祐三さんが作曲・制作指揮のearthion(アーシオン)という横スクロールシューティングのPC版が遂にリリースされました。
なお、家庭用ゲーム機版は若干遅れる形でリリースとなります。
steamでのユーザーレビューを拝見しましたが、概ね好評です。
ただし「二面は敵弾が見にくい」という苦言をしている人が複数います。
ユーザーレビューでは「画面が明るいから」という事でそれが起きているように感じているようですが、実際は「多重スクロールのせいで前景の敵や敵弾に意識が集中できないようになってしまっている」が正解なのです。
これは、横スクロールシューティングをある程度の数作ってきた人達でないと気づけないゲーム制作のノウハウの一つなのです。
5分くらいからステージ二になります。
雲海が手前と奥で何段階も分かれてスクロールしていきます。
(だいたい六重スクロール?)
プログラム的には「ラスター単位でのスクロール速度の違い」とスプライトの併用によってこれを実装している感じです。
メガドライブやPCエンジンの横スクロールシューティングはこういう手法で多重スクロールをしているのがわりとありました。
この多重スクロールですが、映像的には美しいものの、「人間の意識が背景に引き付けられてしまう」という難点が発生してしまうのです。
特に一定の速度でスクロールがずっと続く横スクロールシューティングでそれが顕著に起きます。
そのため、本来は前景を飛んでいる敵や敵弾に意識を集中しないといけないのに、遠景の方の雲の動きに時々意識が持っていかれてしまい、気づいたら敵や敵弾に被弾してしまっているという風になっているのです。
この失敗はメガドライブのグレイランサーというシューティングの一面でも同じように起きてしまっています。
動画の5分目あたりから一面。
グレイランサーの一面は隕石が多重スクロールしながら流れていく映像的には美しいステージです。
でも、この飛び続ける隕石に人間の意識が時々持っていかれてしまい、一面はプレイしていると知らないうちに敵や敵弾に当たってしまう事が多いのです。
ボス戦が特にやっかいな事に。
最近はシューティングゲームが3Dグラフィックで作られる事が多いのですが、「3Dグラフィックの縦や横スクロールシューティングは敵弾の視認性が悪い」と感じている人が多いでしょう。
これも同じ原理で「背景の滑らかな多重スクロールに人間の意識が持っていかれやすい」からなのです。
・多重スクロールの段数を減らすと意識が前景に集中できるようになる
「多重スクロールを頑張ると意識が背景に持っていかれる」という問題は、その多重スクロールの段数を減らす事で緩和できます。
アーシオンも、ゲームオプションなどで二面の多重スクロールの段数を減らすのをON・OFFする機能をアップデートで追加し、ONの場合は背景の雲海は三段くらいの多重スクロールで流していくようにするとか。
デフォルトではステージ二は背景が六段階の多重スクロールをしていますが、これが遠方の方はもう速度を同じにして三段階くらいにすると、「背景に意識が持っていかれる」というのがずいぶんと緩和されるようになります。
実際に開発者の方はテストをしてみると、その明らかな違いにすぐ気づけるでしょう。
ゲーム制作では、こういう風に「何作か作っていると気づける特殊なノウハウ」というのがあります。
今回の話は横スクロールシューティングを何作か作っていた人ならいつかの段階で気づく事になるノウハウの一つと言えます。
