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腸町だより:蜜=短鎖脂肪酸。誰が作るかより大事なこと

<今日の腸町メモ>
蜜は、誰が作るかより「ちゃんと生まれているか」。
どんな食物繊維も、誰かのごちそう。


こんにちは、あなたの腸町、腸内会長のフローリです。
今日も、あなたの腸をそっと思い出す時間を。

最近よく聞く腸活ワード、「短鎖脂肪酸」。
これは、腸町(ちょうまち)の花たちがつくる“蜜”のことで、
酢酸・プロピオン酸・酪酸といった種類があります。

ではさっそく、腸町の広場で行われている「蜜づくりの様子」をのぞいてみましょう。

これから登場するカタカナの名前の菌たちは、
あなたの腸町で、蜜=短鎖脂肪酸をつくる住人たちです。
名前は気にしなくて大丈夫。それぞれの声だけ聞いてみてくださいね。


「よし、今日もいい香りだな!」

胸を張ったのは、バクテロイデス。
「俺たちはプロピオン酸づくりが得意。

食物繊維をもらうと、
町のエネルギーを支える蜜ができるんだ」


「でもさ」
と、ルミノコッカスが花びらを揺らします。

「あなたたち、
プロピオン酸“だけ”を作ってるわけじゃないわよね?」

「……まあな」
バクテロイデスは少し照れくさそうに答えました。
「俺たちは酢酸も作れるんだ。
ちなみに酢酸は、お酢の匂いだぜ」


その横で、
プレボテラが食物繊維のかごを抱えて言います。

「僕はね、
プロピオン酸そのものより、
その材料(コハク酸)を用意する役。
みんなで使ってもらえたら、それでいいんだ」

「助かる!」
と、バクテロイデス。


そこへ、杖をトントン鳴らしながら、
博士フィーカリバクテリウムがやってきました。

「わしは酪酸づくりが得意じゃ。
腸の壁を支える、町の土台づくり担当じゃな」

「(腐った)バターみたいな匂いのやつですね」
と、ビフィドバクテリウムがにやり。


博士は、広場をぐるりと見渡して言いました。

「さて、ここからが大事なところじゃ。

人それぞれ、花畑の顔ぶれは違って当然。
しかし、腸町で生まれる蜜――
酢酸・プロピオン酸・酪酸の割合は、
だいたい同じところに落ち着くんじゃ。

「えっ、そうなの?」
と、花たちがざわめきます。


「だからのう」
博士は続けます。

「“酪酸を増やしたいからこの花を増やそう”
“プロピオン酸のためにあの花を選ぼう”
と、神経質にならんでええ。

大事なのは、誰がいるかより、
町全体がちゃんと回って、人間さんがすこやかか
じゃ」


するとブラウティアが手を挙げました。

「だって腸町には、
僕たち以外にもたくさんの仲間が住んでいるもんね。
だから、どんな食物繊維も、
きっと誰かのごちそうになっているってことだよね」

広場は、
「それなら気が楽だね」
「それならできそう!」
という声で、またにぎやかになりました。


短鎖脂肪酸。
お酢やチーズやバターを思わせる香りが、実は腸町の中でも生まれているのです。
台所の食材と腸町の蜜がつながっているなんて、ちょっと不思議な話ですね。

<管理栄養士の補足メモ>
健康習慣として「お酢を取り入れる」ことは、よく知られていますね。
ただし、食卓でとるお酢(酢酸)は、腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸を直接増やすものではありません。胃や小腸で吸収・代謝されるため、腸町の花たちのごちそうになるわけではないのです。

一方で、食事と一緒にお酢を使うことで、食後血糖の上昇をゆるやかにする可能性が、複数の研究で示唆されています。
多くの研究では、液体の酢を10〜30mLほど、食事と合わせて使う方法が用いられています。

ドレッシングや酢の物、スープへのひとさじなど、料理に自然に取り入れるのが続けやすい方法。
ただし効果には個人差があるため、胃が弱い方は少量から試してみましょう。

お酢は腸町の蜜を増やす魔法ではありませんが、食事全体を整える小さな工夫として取り入れる、そんな距離感がおすすめです。

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