食べ続けるうちに、腸も心も少しずつ慣れていくのかも
こんにちは。
おなか日和主宰、管理栄養士・医学博士のヒロセです。
食物繊維がたっぷりのシリアルや野菜。
腸にはいいとわかっていても、「ちょっと苦手で……」という方も、いらっしゃいますよね。
腸のために、と思って選んだ食べものが、どうしても口に合わない。
それは、決して珍しいことではありません。
でも実は、
食べ続けているうちに、いつの間にか食べられるようになる
そんなことも、少なくありません。
今日は、腸の話として、私自身の小さな思い出をひとつ、聞いていただけたらと思います。
私は20歳のとき、アメリカで1ヶ月ホームステイをしました。
雪の積もる、アメリカ北部の小さな町。
日本人はおろか、アジア人にも会うことはありませんでした。
一緒に暮らしたのは、優しいグランマとグランパ。
3人だけの、静かな毎日です。
朝食は、毎朝オートミールでした。
オートミールに水を注いで、電子レンジでチン。
ふやかしたところに牛乳とチェリー。
甘かったので、たぶん砂糖も入っていたと思います。
それまでオートミールを食べたことがなかった私の口には、
正直、あまり合いませんでした。
でも、典型的な日本人だった私は、言えなかった。
「いらない」とも、「苦手」とも。
グランマは、
「グランパはオートミール嫌いなのよ」と言って、
グランパにはシリアルを出していました。しかも3種類から選べる。
(私もそっちがいい!!)
それは、心の中だけの声でした(笑)。
そうして朝食にオートミールを食べ続けたある日、ふっと、気づきました。
「あれ、普通に食べられてる」
好きになったわけではありません。
でも、最初の頃のように、息を止めて飲み込む感じでもない。
「無理」から「まあ、食べられる」へ。
ほんの小さな変化ですが、確かに、体の中で何かが変わっていました。
1ヶ月経つ頃には、まさかの「おいしいかも」に。
あれから20年が、経ちました。
今でも、あのオートミールの味を、驚くほど鮮明に思い出せます。
雪の朝の静けさ。
ふやかされた温かいオートミールが入った、透明な器。
グランマの後ろ姿。
自分では作らないけれど(笑)、やさしい思い出として残っています。
20年前、田舎の高齢者が「健康のため」に、当たり前のようにオートミールを食べていたアメリカ。
(その反面、たまに頼むデリバリーピザがとにかく大きいのもまた良かった!)
今ならわかります。
オートミールは食物繊維が豊富で、腸にとっては、とてもやさしい食べものです。
「腸、喜んでいるよ!」と、20歳の私に教えてあげたい。
腸も脳も、最初から何でも歓迎してくれるわけではありません。
でも、少しずつ、同じものが届く日が続くと、「これは大丈夫そうだ」と学習していきます。
だから、苦手な食べものがあっても、無理に好きになる必要はありません。
もし、食物繊維の多い食べものが苦手だと感じていたら。
それは、腸がまだ慣れていないだけかもしれません。
「少しなら」
「今日はここまで」
そんな距離感でも、腸はちゃんと受け取ります。
時間をかけて、やさしく付き合っていけば、
ある日ふっと、「あれ、食べられる」に変わることもあります。
腸は、意外と気が長い臓器です。
