生活習慣病の薬は、「がんばれなかった証」ではありません。
栄養相談をしていると、時々、こんな言葉を聞きます。
「薬を飲むようになったら終わりだなと思って」
「薬だけは飲みたくない」
血糖値が高めの方からも、血圧が高めの方からも、LDLコレステロール値が高めの方からも。
時には、ご本人は「飲んだ方がいいのかもしれない」と思っているのに、周りから「薬を飲むようになったら終わりだよ」などと言われて、迷ってしまう方も少なくありません。
特に、若い方や「生活には気をつけているのに」と感じている方ほど、この言葉を気にされる印象があります。
「こんなに気をつけているのに、どうして数値が下がらないんだろう。」
そう感じるのも無理はありません。
そんなとき、管理栄養士の私は、よくこんなふうにお話ししています。
◯◯さんにとってのお薬は、目が悪い人がメガネをかけるのと似ています。
目が悪い人がメガネをかけるのは、「努力が足りなかったから」ではありませんよね。
「見えにくい」という体の特徴を、メガネという道具で補っているだけです。
コレステロールも血糖値も、体質によって高くなりやすい人がいます。
◯◯さんのように食事や運動をどれだけ整えても、思うように数値が改善しない方はたくさんいらっしゃるのです。
そんなとき、薬は体の仕組みを手助けしてくれる道具です。
だから私は、生活習慣病の薬を「がんばれなかった証」だとは思いません。
そしてもう一つ大切なのは、薬を飲むことの目的です。
これらの薬は、その場の数値を下げることだけが目的ではありません。
将来の動脈硬化を防ぐこと。
心筋梗塞や脳梗塞などのリスク減らすこと。
つまり、「これから先も、自分らしく、すこやかに過ごせる時間を増やすこと」です。
もちろん、食事や運動で改善できる部分があれば、その積み重ねはとても大切です。
でも、お誕生日のケーキや、仕事を頑張った日のちょっとしたおやつ。
そんな小さな楽しみまで、「数値が悪くなるから」と必要以上に我慢し続けなくてもいい、と私は思っています。
必要な方が、メガネをかけるような感覚で医療の力も借りながら、体と上手に付き合っていく。
それもまた、未来の自分を守るための一つの選択ではないでしょうか。
「薬を飲んだら終わり」ではなく、未来の自分を守るための選択。
体と上手に付き合う方法は、人それぞれあっていいのだと思います。
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