プロが検証!NanoBanana・Flux.1 Kontext・Qwen-Image-Edit の建築ビズにおけるマイルストーンをAI漫画で案内|建築ビジュアルCG × AI活用法㊶

こんにちは、STUDIO55技術統括の入江です。
Nano Banana、Flux.1 Kontext、Qwen-Image-Edit は、今を代表する編集機能型 AIモデルです。
かつて生成AI は結果が不安定で “ガチャ” と揶揄されることもありました。それが、いまやユーザーの意図を反映しながら操作できる段階へと進化しました。これにより、AI編集の実用化 が現実味を帯び、プロユースを意識した使い分けが重要なテーマ となりつつあります。

とはいえ、多くの人が「AIは数が多すぎて分からない」と感じるのも事実です。AI を実務で活かすためには、これらの数あるモデルの把握と、その特質から適材適所で選択する視点が欠かせません。

今回は、AIで制作したマンガも交えながら、3つのモデル──Nano Banana、Flux.1 Kontext、Qwen-Image-Edit──を比較検証した内容をご紹介します。
特に建築ビジュアル制作における活用のヒントとして、少しでもお役に立てば幸いです。
👑『Nano Banana』AI編集の王道スタイル
今年8月末に正式公開された「Gemini2.5 Flash Image(通称:Nano Banana)」は、リリース以降、変わらぬ注目を集め続けています。

Flux.1 Kontext や Qwen Image も 編集系AI として大きな話題を集めてきましたが、Nano Banana はそれらのモデルとは何が違うのでしょう?




Nano Banana は 軽量で誰でも扱える手軽さがあり、生成スピードや操作の簡潔さが際立っています。その意味で、「もっとも理想とするAIの編集スタイル」を提供することに成功したモデルと言えます。

📊実例検証1.
例えば、ソファなどのテキスタイルを別のイメージに変えたいといった場合があります。
画像にあるソファを、左上のテキスタイルパターンにしたいとします。

これまでの制作現場では、このような作業は、Photoshopで対応した内容です。このような作業こそ、AI が得意とするものだと誰もが思うことでしょう。

・リファレンス画像からの生成
下の画像は、Flux.1 Kontext で編集した生成画像です。

生成画像は「さすがFlux.1」と言える美しいビジュアルに仕上がっています。ただし、テキスタイルパターンが大きく、元画像より彩度も高めです。さらに、アングルがわずかに変化しており、細かい点ですがソファの形状にも微妙な違いが見られます。

その意味で、"指定" に対して「忠実」とは言い難い結果 です。
建築やインテリア関係のビジュアル制作では、何より「形状維持」が命題になるため、アングル変更が得意な Flux.1 Kontex では、細かな注意がより必要となるケースが想定されます。

この内容からすると、クライアントチェックは必至ですね(苦笑)。
それに対し、Nano Banana で生成した結果がこちらです。

テキスタイルのパターンの大きさも適当で、落ち着きのあるカラートーンで参考画像に近いイメージで再現されています。
先ほどの Flux.1 Kontext と比較して、 "無難" な印象であるのが分かります。

アングルやソファ形状についても、元画像を維持しており、目立った問題がありません。


ちなみにですが、Flux.1 Kontext で、柄のリピートを増やして反映させたい場合については、リファレンス画像を倍に加工して、プロンプトで「倍にリピート」することを明示します。
"sofa with dense floral pattern, small repeated flowers, intricate botanical design, detailed fabric texture, fine pattern scale"


そうすることで、柄のリピートコントロールは可能です。
Qwen-Image-Edit では、リファレンス画像(参考画像)を使った生成や編集には基本的に対応しません。そのため、形状やアングルが変わってしまいます。

Qwen Image Edit は、他に秀でた "超弩級 AI" と称される LLMベースで、テキスト生成が得意なジャンルとなります。
・テキストからの生成
では、Qwen Image Edit も得意とする、テキストプロンプト編集の比較です。
ファブリックテクスチャを、ブラックレザーに変換します。
"Change the sofa fabric color to black leather"
Qwen Image の編集生成が下の画像です。

微妙に元画像とアングルが変わっていますが、先ほどの参考画像からの生成に比較して、格段に高い性能を示します。

Flux.1 Kontext の生成です。

Flux.1 Kontext では、ほぼアングルが固定されないと思っておいた方が良さそうですね。

Nano Banana がこちら。

驚くほど元画像の維持力(形状維持)が高いのが分かります。
テキストからの素材変更では、日差しの植栽の影まで反映されています。

ただ、ブラックレザーの表現としては、素材感がやや劣る印象です。
Nano Banana は全般的に高い編集能力を持ちますが、テキストプロンプトからの色味素材の変更では、とくに他の AIと比べて「色かぶり(Color Cast)」が目立ちます。
"グレーカラー" を指示した例も、合わせてご覧ください。
"Change the sofa fabric color to gray"
Nano Banana で表現された "グレー" はこのような感じです。

Flux.1 Kontext がこちら。

Qwen Image です。


(中央)NanoBanana
(右)QwenImage
Nano Banana だけが、ニュートラルなグレーが意図せず緑黄方向にシフトする特徴があります。

(中央)NanoBanana
(右)Qwen Image
ちなみに、マンセルカラーで色番指定しても、正確に反映するまではいたりませんでした。
このような特徴を把握しておくと、何を使う際に、どのようなワークフローになるか、あるいは、クライアントに対してどのような事前コメントが必要になるかも想定できるでしょう。
📊実例検証2.
建築画像の夜景や夕景ではどうでしょう?
CG制作で建築の昼景画像を制作した後、追加で「夜景もお願いします」と言われるケースがあります。


そのような場合、CGでは ライティングの再設定 から始まり、レンダリングのかけ直し、さらには レタッチ作業 と、それなりの工数がかかります。

ライティングの細かい指定がない限り、このようなシーンの変更作業だけであれば、AI を使うのがもっとも有効です。

・外観の時間帯変更

Flux.1 Kontext で、上の建築画像を各時間帯で表現した例がこちらです。

Qwen Image の例。

Nano Banana の例。

それぞれにクォリティの差があるのが分かるかと思います。
やはり 最も印象が良いのは Nano Banana です。独自のクオリティが際立ち、他の AI モデルとはひと味違うテイストを共通して示しています。

Nano Banan の生成では、"夜景あるある" の 光跡(light trail)表現等、全体に画の華やかさがあります。

・内観の時間帯変更
外観に対し、内観(インテリア)の夜景はどうでしょう?

このインテリア画像を夜景にして、比較します。

Using the provided image of a modern living room, transform the scene into nighttime. Keep all furniture, plants, and their arrangement exactly the same. The room should be softly illuminated with warm ambient indirect lighting, creating a calm and relaxing atmosphere. Outside the windows, show a detailed city night view with glowing lights and subtle reflections. The overall color tone should emphasize warm hues for a cozy feel. The image must remain photorealistic, suitable for social media presentation, with a natural and soft rendering.



何故か Nano Banana 以外の AIモデルでは、インテリアシーンの夜景変更は暗くなりすぎる傾向があります。
このような特徴は、意外なところで出てくるものなので、「できる」と思い込まずに、あくまで事前に確認して認識しておくことをオススメします。


・建築外観のリファレンス画像合成
外観ファサードの参考画像からの編集で確認します。
※Qwen Image は除外。
こちらの特徴的なファサードデザインの画像をリファレンスとして、リミックスします。



Flux.1 Kontext は、指示内容をそのまま端的に反映します。一方、Nano Banana は、リアリティを維持しながら柔軟なアレンジを加えるのが特徴です。
別素材パターンです。



建築外観ファサードの意匠出しは、比較的 Flux.1 Kontext が検討材料になりそうです。
🏛️建築への活用法について

X発信の Nano Banana の活用例のひとつに、画像から特定の建築をアイソメ風の3Dモデルに変換する手法があります。
前にもご紹介しましたが、次のような生成例です。
・画像から建築を抜き出す

・画像から立面図を生成
さらに、立面図のような2D表現に生成する使い方もあります。

これらの表現は、建築ビジュアル分野において十分応用可能なアイデアです。Nano Banana の登場以前には考えられなかった発想であり、その革新性には大きな驚きを覚えました。

・Flux.1 Kontext
同じことを Flux.1 Kontext でやると、こんな感じです。

・Qwen Image
Qwen Image では、このように生成ができます。

比較して分かるように、プロンプトで "等角投影法(アイソメ)" を指示しても、Nano Banana ほどの再現性はいずれも見られません。
建築そのものを抜き出すことはできるのですが、周辺建物まで生成されていたり、建築セオリーにはない解釈が加わっていたりするため、逆に Nano Banana の優秀さを実感 させられます。
Flux.1 Kontext では特に、建物を抜き出すアングルが 元画像に左右されやすい傾向があるように見られます。



2D図面(立面)の生成は、このようになります。
・Flux.1 Kontext

"2D図面風" に生成はされますが、かなり適当な内容で、どう見ても画像にある建築の立面形状ではありません。
・Qwen Image

Qwen Image では、そもそも 2D図面の表現は無理なようです。4方向からアングルを出してくれていますが、同じものがダブっていたりと、かなり適当な形でしかありません。
これらの比較検証でも、Nano Banana の性能の高さを再確認します。

・プレゼンテーションボード生成
こちらの画像をベースにして色々とやってみましょう。

先ず、プレゼンテーションボードの要素をいっきに取り出してみましょう。


・外観から内観生成
この外観画像から、インテリア画像を生成することもできます。
先ずは、白い建物のオフィス空間イメージです。

次に、左側の黒い外壁のマンション部のインテリア空間イメージ。

・クォリティの調整
元画像が暗いので、クォリティを調整してみます。

日差しが当たって建物が目立つようになり、かぶっていた電線も消えました。
・インテリアのプレゼンボード
合わせて、内観でも使用が工夫できます。
先ほどのようなプレゼンボードの生成です。

・家具だけ抜き出し
画像にあるL字のソファだけ、抜き出します。

・家具の入れ替え
ペンダントライトを別のクリスタルランプのデザインに変更。


さらに、ラグマットも別タイプに変更してみます。


このように、家具の入れ替えが可能ですので、一般的にも、引っ越しや自宅の模様替え等で気軽に活用ができますよね!








🔍各AIモデルの詳細について🤖
今回比較した各AIモデルの詳細解説については、以下の記事をご覧ください。開発の背景を押さえておくことで、「AIの使い分け」の方向性がより明確になるはずです。

新たな画像生成AI「Seedream 4.0」については、またの機会にご紹介します!

