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junsus79
【#風まかせ文芸部:宿題の山】万年遅刻の先輩へ
今年もここへ来る季節になった。
田んぼしかないこの町の少し外れに、先輩のお墓はあった。
「本当に人が歩ける暑さなのかなぁ、これ」
誰に聞いてもらうでもなく、あまりの暑さに文句を言う。
墓石を軽くスポンジでこすり、桶の水をかけ、途中のコンビニで買った仏花を、花筒に合わせてポッキリと折る。本当は先輩の好きなきのこの山も置いてあげたかったけれど、最近はクマが出るらしく、食べ物はすんません。
昔出かけた先のお土産物屋さんで買った、良い匂いのするお線香に、火をつける。この香りは、何というのだろう。先輩はこれを「ばあちゃんちの匂い」と喜んで言っていた。まさかこんなに早く使うことになるとは。
周りでは、セミが元気よく鳴いている。
今は、夏の盛りだ。
「また、来年も来ます。その頃には、ちゃんと卒業して就職もしてます。多分。」
先輩みたいに、面白い卒業論文書きます。就職出来るか心配だけど、きっと好きな仕事に就けるよう頑張ります。
先輩、まだまだ分からないことだらけです。
またここに来て、お線香あげて、お花を供えて。
酔っ払って、僕が必ず建築士になるって言った時、どうして笑ってくれたんやろね。
宿題の山です、相変わらず。
最後にもう一度小さく手を合わせ、振り返らずにお寺を出た。
相変わらず、周りは田んぼだらけだった。
★風まかせ文芸部 お題「宿題の山」です。
初参加でした。ありがとうございました。
