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「アナログレコードって本当に音が良いの?」 〜 『関ジャム 完全燃 SHOW』 (テレビ朝日) の解説は本当か? (後日譚) 〜 レコーディング・エンジニア Neeraj Khajanchi (ニラジ・カジャンチ) 氏との邂逅 〜

●『関ジャム 完全燃 SHOW【視聴者からの音楽ギモンに答えます!教えて!
  関ジャム先生!】』「アナログレコードって本当に音が良いの?」
 (2019 年11月10日 放送)について感じたこと

 ※ このテーマについては『関ジャム 完全燃 SHOW【弾き語り・実はスゴ
   イ楽器・音楽ギモン…特別編】』(2021 年 5月23日 放送)でも取り
   上げられています

 ※ テレビ朝日系音楽バラエティー番組『関ジャム 完全燃 SHOW』は
   2024 年 4月から番組名を『EIGHT-JAM』(エイトジャム)と改めて
   放送を継続しています


<疑問> 20 kHz 以上の高音域が記録・再生できれば高品位(高忠実度)に
     なるのでしょうか? [27]


 先日、幸いなことに本編「アナログレコードって本当に音が良いの?」 〜 『関ジャム 完全燃 SHOW』 (テレビ朝日) の解説は本当か? (23)でも紹介させて頂いた NK SOUND TOKYO(レコーディング・スタジオ)のオーナーでレコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニアでもある Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏とイベント会場で偶然出会い、意見交換をする機会を得ました。

 Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏は気さくな人柄で誰からも好かれる誠実な人です。身長は 180 cm〜185 cm くらいでしょうか、full-figured person(ふくよかな人)ですが、写真で拝見するよりも締まって見えるのが印象的でした。

 日本語の運用レベルはネイティヴスピーカーと遜色ありません。日本語による意思疎通に支障がなく、スムーズに会話をして意思を伝達することができます。閉場間際のイベント会場で起きた奇跡のような出会いでしたが、折角の機会ですから、いくつか興味を引く話題について質問してみました。

 まずはフリーのエンジニアでありながら、副都心に自前のレコーディング・スタジオ(5つのスタジオ + 6名のエンジニア)を構えることができた理由について尋ねてみました。「投資を募ったのですか?」とお伺いすると「銀行から借り入れもしました。」という回答を得ました。自己資金+借入金で事業資金を調達されたようです。過去の実績が評価されたのでしょう。

 ミキシング・コンソールの主要ベンダーは幾つかあるけれども、Solid State Logic(SSL)ではなく Rupert Neve Designs 5088 を採用した理由についても尋ねました。24 時間稼働のスタジオ運営に必要不可欠な条件の1つはハードウェアベンダーによる手厚いサポート体制ですが、Rupert Neve Designs が導入時は勿論のこと、万全の体制で運用開始後のサポートをすると確約したことが決定打になったそうです。「自分がこの会場にいる間もスタジオはフル稼働しているんだからね。」と語り、説得力のある明確な根拠を提示して、事業センスだけではなく、経営センスも優れていることを窺わせました。Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏は最新の機材やプラグインをいち早く入手して、自己評価(セルフレビュー)することも忘れていません。


NK SOUND TOKYO  世界最大規模の Rupert Neve Designs 5088(導入事例)


  NK SOUND TOKYO : STUDIO TOUR
  Facebook:https://www.facebook.com/studioinjapan/?locale=ja_JP
  X:https://x.com/NKSOUNDTOKYO


 ◎ ニラジ・カジャンチ「プロのバンド・レコーディング全公開」前編
 ◎ ニラジ・カジャンチ「プロのバンド・レコーディング全公開」後編

 ◎ ニラジ・カジャンチの Analog Magic!第1回:Neveマイクプリ編
 ◎ ニラジ・カジャンチの Analog Magic!第2回:Neveイコライザー編

 ◎ ボブ・クリアマウンテン × ニラジ・カジャンチ スペシャル対談〜
   LUSH HUB スペシャル・セミナー <サンレコ>

 ◎ RIRI、SUGIZO、[Alexandros]らを手がけるニラジ・カジャンチの仕事
   術(前編)<音楽ナタリー>

 ◎ RIRI、SUGIZO、[Alexandros]らを手がけるニラジ・カジャンチの仕事
   術(後編)<音楽ナタリー>

 ◎ Days of Delight は Dolby Atmos で聴くジャズを伝えたい。エンジニア
   ニラジ・カジャンチと語る、新技術で増した音楽の楽しさ <Mikiki

 ◎ IK Multimedia × UNIVERSAL AUDIOで組む “手が届く” イマーシブ環境
   by ニラジ・カジャンチ 〜サンレコフェス 2023 セミナー〜


 ◎ Khajanchi(ニラジ カジャンチ)Pro Tools | HDX ビデオ1
   エンジニアになるまで <Avid Japan

 ◎ Khajanchi(ニラジ カジャンチ)Pro Tools | HDX ビデオ2
   Pro Tools | HDXを使い始めて <Avid Japan

 ◎ Khajanchi(ニラジ カジャンチ)Pro Tools | HDX ビデオ3
   Pro Tool | HDXとPlugins <Avid Japan

 ◎ ニラジ カジャンチ Pro Tools | HDX ビデオ4 僕の持ち運びシステム
   と活動 <Avid Japan


 ◎ Ensemble Special Session Vol 5: 第ニ部 セッション 1/3APOGEE
 ◎ Ensemble Special Session Vol 6: 第ニ部 セッション 2/3APOGEE
 ◎ Ensemble Special Session Vol 7: 第ニ部 セッション 3/3APOGEE

 ◎ Triad-Orbit PROfile - Neeraj Khajanchi NK SOUND TOKYO(英語)


 ◎ 塩田浩 VS ニラジカジャンチ ~SOUND TALK
   (塩田浩:マスタリング・エンジニア)

 ◎ わーだーさんのスタジオ訪問記 〜NK SOUND TOKYO編〜【ニラジ・
   カジャンチ Neeraj khajanchi】

 ◎【NK SOUND TOKYO再び】例のアレ、買ったの私です【Shadow Hills
   Mastering Comp シャドウヒルズ ニラジ・カジャンチ Neeraj Khajanchi
   スタジオ


 スタジオ備品の Fazioli(ファツィオリ・ピアノフォルティ)のピアノを調律しているのは日本人ですか?とも尋ねてみました。一般的にはファツィオリジャパン株式会社(日本総代理店)に配属された専門の調律師(西欧人)による整備が推奨されており、そうすることが望ましいと提案されているけれども、諸般の事情により Steinway & Sons(スタインウェイ&サンズ)のピアノの調律を依頼している日本人の調律師に研修に行ってもらい、Fazioli(ファツィオリ・ピアノフォルティ)の整備もお願いしているそうです。

 Fazioli(ファツィオリ・ピアノフォルティ)のピアノは音響工学に基づいた精密な機構設計により、工学的に倍音が管理されています。(1)豊かなハーモニクス(倍音)、(2)長いサステイン(持続音)、(3)広大なダイナミックレンジ(表現の幅)、(4)明るく芳醇で豊かな響き、という個性で差別化を図り、競争優位性を確立していますが、これらの特徴は長い弦と優れた饗板素材(イタリア北部の Val di Fiemme[フィエンメの森]産のスプルース)、独自の三層饗板(特許技術)により実現されています。

 弦の共鳴部分(複スケール)の長さを調整できるシステム(独自技術)を備えたモデルをラインアップしていることもあり、音の深みと響きの持続性(サステイン)を維持しながら、全音域でクリアな音色を実現するためには、豊かで複雑なハーモニクス(倍音)を適切にコントロールして、楽器全体の響きのバランスを整える必要があります。そのため、倍音構成を考慮した繊細で正確な音程合わせ(調律)ができる、高度な技術と経験、卓越した聴力を備えた調律師が求められるのです。

 ファツィオリジャパン株式会社(日本総代理店)の技術部長である越智 晃氏がコンサートチューナーも努められていることは広く知られていますが、Fazioli(ファツィオリ・ピアノフォルティ)の創業者(現社長)Paolo Fazioli(パオロ・ファツィオリ)氏は「100 万人に一人の耳を持つ調律師」と評して、越智 晃氏に全幅の信頼を寄せています。

 Fazioli(ファツィオリ・ピアノフォルティ)のピアノは、通常よりも長い弦を高張力で張っているため、チューニングピンが非常に固く、調律が難しいと言われています。「ピアノのベルカント」と称される響きの特性を活かすために、ペダリングに特別な調整が必要になる場合もあるようです。

 Fazioli(ファツィオリ・ピアノフォルティ)のピアノはコンサートグランドピアノの標準になっている Steinway & Sons(スタインウェイ&サンズ)の美学(明るく澄んだ音色、煌めく倍音、低音の重厚な響き、豊かな音量)と競合しない、別の選択肢(可能性を広げる存在)でもありますが、鍵盤のストロークが短くて、タッチは軽く、鋭敏に反応するため、慣れていないピアニストが演奏すると鋭角的で粒立ちが強い音になるようです。また、新興メーカーらしく設計変更が頻繁に行われるため、出荷時期によりタッチや音色が変わるとも言われます。

 レコーディング・スタジオのブースを音響的に隔離するのではなく、可動式の隔壁を設置して、音が漏れるように工夫されている点(30 dB 程度のアイソレーション)についても質問してみました。筆者が「一発録り」に近い手法で収録するアプローチに共感していると伝えると「僕はジャズの録音もするからね。」、「でも修正を希望するお客さんもいるから…。」と語り、自然な音場を実現するメリットは大きいけれども、必ずしも顧客の要望に答えられる手法ではないことを指摘されました。

 本編でも触れたハイレゾの功罪と Hypersonic effect(ハイパーソニック・エフェクト)の実効性についても議論しました。

 Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏はリボンマイクも使用されるそうですが、NEUMANN(ノイマン)U67、U47 といったビンテージマイクの活用については否定的です。一般に高く評価される特徴的な音色を嫌っているわけではなく、ノイズが加算されることを問題視するのです。これはハイレゾ対応マイクロホンについても言えることであり、100 kHz まで収録可能なマイクロホンを使用すると高周波ノイズが加算されて音声品質が低下します。Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏は「ノイズが酷いので(レコーディングの現場で)ハイレゾ対応のマイクは絶対に使用しない。」と明言しておられました。


NEUMANN(ノイマン)U 67 Set

 NEUMANN(ノイマン)U 67 Set … オリジナル仕様で再生産された U67


 本編「アナログレコードって本当に音が良いの?」 〜 『関ジャム 完全燃 SHOW』 (テレビ朝日) の解説は本当か? (15)でも触れていますが、 Technical Audio Devices(TAD)のエンジニアが表明したスピーカーシステムの開発方針についても話が及び、地上デジタル放送・BS デジタル放送の音声出力が 18 kHz〜20.25 kHz でカットオフされる現状を踏まえて、ハイレゾで収録することの意義についても尋ねてみたのですが、Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏の回答は「18 kHz でカットオフされたとしても、ハイレゾという体(てい)でリリースしたい。」と明快でした。

 つまり、データの完全性を担保することよりも、ミキシング、マスタリングで音決めされたクオリティを毀損(きそん)することなくリリースすることが重要であり、Hypersonic effect(ハイパーソニック・エフェクト)の実効性に関する哲学的な議論は無用な空論であると判断されているわけです。

 それから『もし、Rudy Van Gelder が生きていたら?』というアプローチでレコーディングに臨んでいるとも語っておられました。

 「でも、彼はマイクを(ピアノのサウンドホールに)突っ込んでしまうからなぁ…。」と筆者が指摘すると Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏は、複数の無用なマイクを立てて、実働するマイクを特定できないように偽装していた逸話があり、秘密主義でレコーディング・テクニックは非公開であったことに言及されました。

 これは筆者の解釈ですが、メソッドは独特だけれども、その独自性は革新的で優れており、新しい視点を提供した実績を高く評価しているわけです。技術を超えた個性を表現することの難しさを知っているからこその Respect(リスペクト)であり、レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニアもまた、表現者の立場で音楽と対峙しているということです。

 Rudy Van Gelder(ルディ・ヴァン・ゲルダー、米、1924 年 - 2016 年)氏が最新技術(Immersive Audio:3D[3次元]オーディオ)を駆使して Jazz(ジャズ)の演奏を録音したらどうなるか? これはレコーディング・エンジニアであれば、誰しも一度は夢想することではないでしょうか。

 ところで、TV アニメ『カウボーイビバップ(Cowboy Bebop)』(制作:サンライズ、1998 年)のオープニングを観れば、モチーフが Sonny ClarkCool Struttin´』(1958 年)のジャケット写真であることに気づきます。

 音楽を担当された 菅野よう子 氏がレコーディング・エンジニアに Rudy Van Gelder(ルディ・ヴァン・ゲルダー、米、1924 年 - 2016 年)氏を起用したことも、かねてより有名な逸話になっています。

 現在ではスタンダード・ナンバーになっている『Tank!』(TV アニメ「カウボーイビバップ(Cowboy Bebop)」OP テーマ)が Bebop(ビバップ)の系譜であることに異論はないでしょう。クラシック畑出身で Jazz(ジャズ)を聴いたことがなかった 菅野よう子 氏の Bebop(ビバップ)講師を務められたのは 渡辺信一郎 監督であり、菅野よう子 というフィルターを通して再定義された Bebop(ビバップ)が『Tank!』なのです。

 現在、Phonograph record(フォノグラフレコード)で聴ける Modern Jazz(モダン・ジャズ)のサウンドは Rudy Van Gelder(ルディ・ヴァン・ゲルダー、米、1924 年 - 2016 年)氏が雛形(ひながた)を創ったといっても過言ではありません。生演奏の Jazz(ジャズ)と電気を通した Jazz(ジャズ)のサウンドは全く別物であり、単純に ”原音再生” などという理屈は通らない別世界のクリエイティブです。

 筆者が今でも思い出すのは JBL Everest DD55000(スピーカーシステム、1985 年 - 1995 年)+ Mark Levinson ML-6(モノーラル構成のプリアンプ、1979 年)+ Mark Levinson No20L(モノーラル構成のパワーアンプ、1986 年)を駆使して再生された Count Basie Orchestra(カウント・ベイシー・オーケストラ)のスタジオ録音、Count Basie Big Band『Farmer's Market Barbecue』トラック1「Way Out Basie」(1982 年)の圧倒的な実在感です。


Mark Levinson ML-6(モノーラル構成のプリアンプ、1979 年)

写真は Audio Dripper TOKYO-KOFU(ウェブサイト)より転載(色調補正済み)


 それはもう半端ではない迫力で、楽団員の表情や着座位置が分かるくらい立体的な高解像度のサウンドと一体感のある重厚なソノリティはコンプレッションドライバーユニットを搭載したフロア型のスピーカーシステム(3 Way)を基軸とするハイエンドオーディオ機器でなければ実現できない高密度のテクスチャーでした。Mark Levinson ML-6(モノーラル構成のプリアンプ、1979 年)の存在価値を再認識させる体験であり、どこまでも冷静に沸騰して、リニアに音圧が上昇する Mark Levinson No20L(モノーラル構成のパワーアンプ、1986 年)のパワーハンドリングも特筆に値するものです。

 この機会にドライブ系を固定したまま JBL 2416H を搭載したスピーカーシステム(2 Way)に変更したセットで Rudy Van Gelder(ルディ・ヴァン・ゲルダー、米、1924 年 - 2016 年)氏が録音した定番の Sonny Rollins『Saxophone Colossus』トラック1「St. Thomas」(モノーラル録音、1956 年)も試聴したのですが、弾力的で乾いたサウンドは正に咆哮(ほうこう)であり、言い知れぬ凄みが感じられました。

 生演奏では絶対にあり得ない「キレ」のあるソリッドなサウンドと圧倒的な空間描写に衝撃を受けたわけですが、これは楽器の演奏経験がある人であれば、すんなり腑に落ちるリアリズムでしょう。

 筆者は現代の Rudy Van Gelder(ルディ・ヴァン・ゲルダー、米、1924 年 - 2016 年)を目指すという Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏の高邁(こうまい)な姿勢に畏敬の念を抱くと同時に意義深い目標を掲げておられることにポジティブな感情を持ちました。今後も優れた業績を残されることを期待しております。

 立ち話はこの辺りで時間切れとなり「これから人に会う約束がある。」ということで、Neeraj Khajanchi(ニラジ・カジャンチ)氏は閉場を知らせるアナウンスが流れる会場をゆったりと後にされました。初対面にもかかわらず、丁寧かつ真摯に質問に答えてくださったご厚意に感謝すると共に身の引き締まる思いがした邂逅(かいこう)でした。

 ちなみに NK SOUND TOKYO(レコーディング・スタジオ)では、原則としてスタジオの内覧はしておらず、また、スタッフの募集もしていないそうですから、どうかご迷惑にならないようにお願い申し上げます。


◎ MUSIC FACTORY TOKYO SPECIAL INTERVIEW VOL.016-1
  ニラジ・カジャンチが明かす、アメリカと日本のエンジニアリングの違い
  「エンジニアの立場がとても不明瞭になっている」(前編

◎ MUSIC FACTORY TOKYO SPECIAL INTERVIEW VOL.016-2
  「若い世代にはもっとアグレッシブになって欲しい」ニラジ・カジャンチ
  が若手エンジニアに望むこととは?(後編


アニメーション映画『楽園追放 Expelled from Paradise』
Angela Balzac(アンジェラ・バルザック)の等身大フィギュア

撮影地:新宿バルト9(9F) 撮影日:2014/11/27(木)
撮影機材:Nikon D40 + AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm f3.5-5.6G II


アニメーション映画『楽園追放』 公式サイト

Angela Balzac(アンジェラ・バルザック)
CV:釘宮 理恵(くぎみや りえ)

   ※ 釘宮 理恵 Talent Profile で提供されているボイスサンプルのうち
     アイドルマスター(水瀬 伊織)に相当するのは「セリフ⑤」

   … 電脳空間「ディーヴァ」の保安局に所属する捜査官。遺伝子情報
  から生成された仮の肉体「マテリアルボディ」(16歳くらいの身体)
  で地上に降り立ち、ディーヴァにクラッキングをする「フロンティア
  セッター」の所在を捜索する


 Nikon D40 の CCD センサー(APS-C:600 万画素)は低照度に弱く、フォーカス時にトラベリングが頻発する。また、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm f3.5-5.6G II は VR 搭載レンズよりも「キレ」のある描写になるが、低照度の屋内撮影では手ブレとの戦いになる。D40 の感度設定は ISO 800 が許容範囲の上限であり、低照度の環境では実用性に乏しい。また、それ以上の高感度設定はノイズが著しく増大するため使いたくない。上記の作例は ISO 200 で撮影している。新宿バルト9(9 F)のシネマロビーはダウンライトや間接照明が主体の暗い空間で撮影には苦労した

 Angela Balzac(アンジェラ・バルザック)の腹部の位置に見える赤い輝点は CCD センサーのホットピクセルである。新品を購入したのだが、いつの間にか撮像素子が損傷を受けていた。こればかりは運命であり、避けようがない。サービスセンターでピクセルマッピング(輝点補正)を依頼すると D40 の中古品の販売価格を超える技術料が発生するし、そもそもサポート対象外の旧製品だから CCD センサーの換装はできない

 上記の作例では、右目にフォーカスしているのだが、微妙に前ピンになっている。奇跡的に手ブレは防止できているものの、D40 は3点測距なのでフォーカスロック後に構図を決めることになる。そのため、注意深くパン(もしくはチルト)をしても微妙にズレが生じるのである。光学式ファインダーの精度は高くないし、視野率が低い(上下左右とも 95%)ので水平を出すのも容易ではない。視認で確定した水平と出力結果が一致しないことも多い。CCD センサーの取り付け位置の修正を依頼するユーザーもいるが、程度問題であり根本的な解決には至らないだろう

 Nikon D40 が玄人好みの銘機と評価されるのは、性能や機能で劣るエントリーモデルの欠点をカバーする撮影技術が要求されること、その特性から MF(マニュアルフォーカシング)のオールドレンズなどを装着したスナップカメラに最適化されることが多いからだろう。上手く使えば上位機種を凌駕する性能を秘めていることは、上記の作例を見ても明らかである


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