「髪質改善」という言葉を髪質改善専門美容師の僕があえて使いたくない理由。
髪質改善専門の美容師として仕事をしていると、少し矛盾して聞こえるかもしれませんが、正直なところ最近は「髪質改善」という言葉をあまり使いたくありません。
今日はその理由を、現場に立ち続けている美容師の視点から書いてみます。
「髪質改善」という言葉が、一人歩きしすぎている

日々お問い合わせやご相談を受けている中で強く感じるのが、「髪質改善」というワードの意味が、あまりにも広がりすぎてしまっているということです。
「私も髪質改善しなきゃダメですよね?」
「髪質改善やってない美容室なんですか?」
こうした言葉を聞くたびに、髪質改善が“必須科目”のように扱われている空気を感じます。
中には
「普通のトリートメントじゃ意味がない気がして」
「髪質改善トリートメントをしないと良くならないと思って」
と、少し追い詰められたような感覚で来店される方もいます。
本来は、ただ髪を扱いやすくしたい、きれいに見せたいだけのはずなのに、
・普通の施術
・髪質改善の施術
が完全に別物として切り分けられ、そこに美容師それぞれの考えや正義が重なって、正直かなりカオスな状態だなと感じることが増えました。
以前にもお話しした通り、髪質改善に全美容室で共通の施術というものはありません。
「どんな施術だったら髪質改善で、どんな施術だったら髪質改善ではないか」
などといったことは、その美容室や美容師さんの定義によって決められていくため、共通の基準というものは存在しないのです。
美容師目線で言うと、結局はストレートかトリートメントか

かなりシンプルに整理すると、いわゆる「髪質改善」と呼ばれている施術の多くは、
・髪の形を変えるためのストレート(縮毛矯正)
・それが難しい場合のトリートメント
このどちらかに分類されるケースがほとんどです。
この背景には、SNSの影響が大きいと感じています。
異様なまでにツヤツヤで、サラサラな髪の動画や写真が日常的に流れてくることで、お客様の中の「理想の仕上がり」がどんどん引き上げられている。
ただ、あの質感を“家で簡単に再現する”となると、多くの日本人の髪質では、やはり縮毛矯正などで髪の形そのものを整える必要が出てきます。
「トリートメントでああなりたい」という気持ちは、痛いほど分かります。
でも現実を見ると、トリートメントのビフォーアフター写真や動画の多くは、仕上げにアイロンを使っています。それはきれいに見せる理由もあるけど、成分を定着させる効果があるので、仕上げアイロンが必須なケースが多いです。
つまり、
美容室の仕上がり(成分定着andきれいに見せるためのアイロン)
↓
おうちで一度シャンプーした後の状態
この差が大きくなりやすい。
結果として「トリートメントって持たないですよね」という印象につながってしまうんですよね。
悩みをちゃんと掘り下げると、カットだけで解決することもある

本当に「髪質改善をしなければ…」と思う背景には、
「自分の髪の毛が扱いにくい」「髪の毛がパサつく」といった悩みを改善したいからという理由があるはずです。
そういったお客様が内に秘めている,
・なぜ髪質改善をしなければいけないのか
・なぜ髪質改善をしようと思ったのか
・どんな施術がお好みなのか
というものを、もっともっと掘り下げていくと、傷んでいる部分をカットするだけでも、その方にとっては満足いく施術になってしまうケースもあるなと感じています。
冒頭にお伝えしたように、「髪質改善」と「それ以外の施術」の二択になってしまうと、「早く私も髪質改善の施術に切り替えなきゃ」といった強迫観念が生まれます。
特に要望がないけれども、
「とりあえず通常の施術よりも髪質改善をうたっている美容室に移行しよう」
という理由でご来店される方が多かったりします。
お客様がなぜ髪の毛に悩みを持っているのかを考えたら、もちろんケアは必要ですが、
実際にはカット周期が長すぎ
スタイリングが噛み合ってない
というケースも少なくありません。
あなたの髪、実はスタイリングが前提のヘアスタイルかもしれない

スタイリングについても、何度もお伝えしてきたことですが、
ヘアスタイルによっては「スタイリングありき」で成り立っているものも多いです。
美容師が
「こうやってスタイリングしてくださいね」
と伝えていても、
・時間がない
・道具がない
・うまくできない
こうした理由で実践できず、それが悩みにつながっているケースも珍しくありません。
髪質の問題に見えて、実は生活リズムやスタイリング環境の問題、ということもあります。
デザインを取るか、まとまりを取るか??

もう一つ大事なのが、「何を優先したいか」です。
デザイン性の高いヘアスタイルほど、
・アイロンワーク
・スタイリング剤
はほぼ必須になります。
もはや仕上がりのクオリティは、正直アイロンの入れ方がほとんどを占めます。
多少肌荒れがあっても、メイクが上手ならきれいに見える。
逆に、素肌がきれいでもメイクが雑だと魅力が半減する。
髪も肌も同じで、最後のスタイリングはかなり重要です。

「髪質改善」の言葉に惑わされず、お客様と向き合っていきたい

何年も髪質改善を軸に施術をしてきましたが、今は「髪質改善」という言葉自体が、いろんな思いや意図を背負いすぎていると感じています。
ただ一つ確かなのは、
お客様は髪に悩んで来店されているという事実。
技術は進化し続けています。
でも、それ以上に大切なのは、言葉に引っ張られすぎず、その人の悩みとちゃんと向き合うこと。
僕はこれからも、「髪質改善」という言葉に縛られすぎず、目の前のお客様の髪と、生活と、気持ちに向き合っていきたいと思っています。
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