【読書記録/思考ノート#17】人生を経営学でとにかくなんとかする:山口周『人生の経営戦略』
こんにちは、大沢農園です。
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このnoteは、2026年4月に公務員を辞め親元就農したぼくが、
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曜日ごとに固定テーマで記事を書いていますが、木曜日は【読書記録/思考ノート】として、読んだ本の内容を引用しながら、考えたことなどを記録しています。
前回、山口周さんと深井龍之介さんの共著『人文知は武器になる』(文春新書)のことを取り上げました。
今回は、山口周さんの『人生の経営戦略―自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』(ダイヤモンド社)を取り上げたいと思います。
本書の特徴:人生を「経営」という視点から考えてみる
山口周さんは、電通やボストン コンサルティング グループなどで戦略策定や組織開発などに携わった後、独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活動している方です。経験を活かした深い洞察や考察力は、とても唸らせられるものがあります。
本書の特徴は、「人生」を経営学の考え方で捉えていることです。
ぼくも大学は経済学部でしたし、会計系の学科だったこともあり、経営学・経営戦略については一応授業で勉強したことがあります。しかし、その時には「会社を経営する」という視点を持てなかったこともあり、経営学や経営戦略というと、少し縁遠く、企業が売上や利益を伸ばすためのものというイメージがありました。それらを人生に当てはめてみると、意外なほど多くのことが整理できるというのです。
自分がどこにいるのか。
どこへ向かうのか。
何が強みなのか。
いまの環境に居続けるべきなのか。
それとも別の場所へ移るべきなのか。
人生には、企業経営のように、売上を伸ばし企業を成長させるという明確な「正解」はないのかもしれません。
だからこそ、自分で考え、試し、結果を見ながら方向を修正し、「よりよい人生」を目指していく必要がある。
今回は、その中でも特に印象に残った3つの言葉について考えてみました。
何かをする時に「仮説」だと捉える
私たちは自分が何に夢中になり、どのような強みを持っているかを先見的に知ることができません。つまり、私たちの人生は「膨大な仮説の集合体」としてまずはスタートし、その仮説をひとつひとつ検証し、破棄・修正することでしか前に進んでいけない、ということなのです。であるとすれば「いかに早い段階で仮説を検証し、戦略を修正できるか」が重要な論点となってきます。
最初から「これが自分のやりたいことだ」と分かっている人はかなり少ないはずです。
やってみて初めて向いていることが分かったり、逆に、やってみたからこそ「これは違う」と分かったりする。
それなのに、つい
「自分に向いている仕事は何か」
「本当にやりたいことは何か」
という答えを、行動する前に見つけようとしてしまいます。
でも、本書の考え方では、人生は最初から完成された計画ではありません。むしろ、仮説を立てて実際に動き、その結果を見て修正していくものです。
そう考えると、失敗の意味も変わってきます。
「間違った」「失敗した」のではなく、「ひとつの仮説を検証した」と捉える。
人生を長いプロジェクトとして考え、このくらいの柔軟さを持っていると、必要以上に肩肘を張らなくてもいいのだろうなと思いました。
転職や移住の意思決定に必要なのは「勇気」「度胸」ではない
よく転職や移住に関して「自分には勇気がない」「自分には度胸がない」といったことをいう人がいますが、ライフ・マネジメントにおける意思決定を「勇気」や「度胸」の問題として単純化するべきではありません。ライフ・マネジメントにおける意思決定において、真に問題となるのは「勇気」でも「度胸」でもなく、「自分の居場所の趨勢についてどれだけ論理的に考え抜くか」という「思考の累積量」なのです。
もし、考え抜いた末の結果が「自分の居場所の見通しは暗い」ということであれば、別に勇気や度胸に頼らなくても、人はその場から離脱するためのアクションを取るものです。
何か大きな決断をするとき、「清水の舞台から飛び降りる」という言葉に象徴されるように、「自分に勇気・度胸があるかどうか」で考えてしまいがちです。
転職する勇気がない。
環境を変える度胸がない。
失敗するのが怖い。
もちろん、意思決定する際、最後の最後に少しの勇気も必要でしょう。ただ、本書では、その前段階にある「どれだけ考えたのか」に焦点を当てています。
たしかに、「今の環境が嫌だ」と何となく思っているだけだと、なかなか動けません。
しかし、
「このまま5年、10年続けたらどうなるのか」
「別の選択肢を取ったらどうなるのか」
「失うものと得られるものは何なのか」
と、「現状認識」(=外的環境、内的環境、意思決定)について徹底的に考え把握し、少しずつ判断材料が増やしていけば、自ずと取るべき行動が見えてくるのでしょう。
そして十分に考えた検討した結果、「このままではいけない」と納得できれば、行動することは単なる勢いではなくなります。
本書を読む前は、大きな決断やリスクの大きいチャレンジほど、勇気を出して飛び込むものだと思っていました。
でも、本当はその前に何度も考える必要がある。
「勇気がないから動けない」と考えるのではなく、「まだ考え切れていないのではないか」と自分に問い直す。
これは、今後何かに迷ったときにも使える視点だと思います。
「打率」よりも「打席数」を増やしていく
長打と凡打の確率が同じであり、長打が大きなリターンを持続的に生み出すのに対して、凡打が些細なロスを一時的に生み出すだけなのであれば、リターンを最大化するためには「とにかく打席の数を増やす」が合理的な戦略ということになります。つまり、人生の経営戦略において重要なKPIは「打率」ではなく「打席数」なのだ、ということです。
このnote記事にしてもそうですが、何か作品を作ろうとする時、どうしても「成功率」を気になってしまいます。
失敗しない仕事を選びたい。
成功する可能性が高いことをしたい。
周囲から見て恥ずかしくない結果を出したい。
でも、人生のすべてを事前に予測することはできません。
自分では「よく書けた!」と思った記事が全然読まれない。自分ではこんなもんでもいいかと、力を抜いた記事の反応がよかったり。
つまり、出したものの反応や出来栄えというものを、自分ではコントロールすることはできません。
なので、「時間をかけて一発で成功すること」よりも、「挑戦する回数を増やすこと」のほうが合理的です。
もちろん、何でも考えずにやればいいという話ではありません。大きな損失につながる挑戦や、リスクの高い行動、社会規範を逸脱したような行動は避ける必要があります。
ただ、小さなコストで試せることなら、失敗を恐れて動かないよりも、実際に打席に立ったほうがいい。そして、打席に立たなければ「自分には何が向いているのか」も分かりません。
最初の「人生は膨大な仮説の集合体」という話ともつながっています。仮説を検証するためには、実際に行動する必要がある。
人生の結果をすべてコントロールすることはできません。
自分でコントロールできる「打席数」を増やしていく。
そう考えると、少し失敗することが怖くなくなります。
人生の経営者は、自分自身
本書で強く述べられているのは、経営戦略の考え方をもって「人生を自分で動かしていく」ということです。
最初から正解を知ろうとするより、「仮説の検証」だと捉える。
大きな決断をするときは、勇気よりも徹底的な現状分析。
そして、失敗を恐れて立ち止まるより、リスクを管理しながら打席数を増やしていく。
人生には、会社の経営ほど明確な数字はありません。それでも「仮説」「戦略」「KPI」といった考え方を持ち込むことで、自分の人生を少し客観的に眺められるようになります。
「この選択は正しかったのか」と過去を振り返るだけではなく、「この選択から何が分かったのか」「次はどう修正するのか」と考える。そうやって少しずつ戦略を変えながら、自分の人生を経営していく。
「正解が分からないからこそ、自分で考えて、試して、修正していこう」と背中を押してくれる本なのだと思いました。
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【執筆:大沢農園】
38歳・元学校事務。
公務員を辞め、親元就農という形で農業の世界に入りました。
FP資格と約20年の投資経験活かし、畑のこと、働き方、お金のこと、本から学んだことを綴り、
「これからの生き方」を模索しながら発信しています。
stand.fmによる朗読公開も始めています!
月曜日更新の農業週報や、文学・詩の朗読もしていくつもりですので、気軽な気持ちでお聴きいただければと思います。
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