『自分らしく生きたくて、革職人をはじめました。』
〜病と夜の世界を経て、私が「人生」という名の「革」を仕立てる理由〜
-はじめに-:〜“セピア色”の手紙〜
【時間を超えて届ける想い】
「人生の中でのキャリアの限界を、一体誰が決めるのだろう?」
かつての私は、「これからのキャリア」に
激しく葛藤し、暗闇の中で立ち止まっていました。
大学を現役で卒業し、上場企業の正社員として駆け抜けた8年間。そこから病による突然の離職。這い上がるように飛び込んだ、歌舞伎町ホストとしての5年間。
そんな激動の果てに、
私はレザークラフトに出会い、
自身の「人生」を仕立て直した
アマチュア革職人です。
現在は40代、病の治療を続けながら、就労支援事業所で作品を制作・販売しています。
夢は、オリジナルレザーブランドを持つプロの革職人になることです。
あの日、悩み、もがきながらも、私はそこから「新しい一歩」を踏み出しました。
ここに綴る出来事の数々は、そんな私の身に実際に起こった事実であり、
「キャリアを仕立て直す」ための
リアルな挑戦の記録です。
なぜ、一度も書いたことのない初めてのエッセイとして、過去の葛藤を今、わざわざ書き残そうと思ったのか。
理由は、「これから先の未来を生きる私のために、今の私ができる最大の準備」だからです。
これから先、長い人生の中で、私はまた別の壁にぶつかったり、立ち止まったりすることがあるかもしれません。もし未来の私がまた道に迷ったとき、あのとき必死に一歩を踏み出した「過去の私の事実」が、もう一度「未来の自分」の背中をそっと押してくれる、一番の味方になると信じています。
これは、これから先の未来のために、今の私が紡ぐ、「私自身へのエールの手紙」です。
このエッセイを公開することで、自分自身が掲げた「これからのキャリア」に、もう迷わない。「セピア色」に染まった記憶の中にある、今も変わらない鮮やかな想いの色を道標にして、真っ直ぐ突き進むための、「自分への約束」にしたい。
私は未来に向けて、過去の絶望や泥臭い一歩のすべてを「資産」に変えていき、それをもって、人生の中での「これからのキャリア」を仕立てて行きます。
全13章。
少し長いお話になります。
心の「色」を追いながら、
私の「魂のグラデーション」を受け取り、
ぜひあなた自身の「色」を感じながら
読んでいただけたら幸いです。
プロローグ: 〜虚飾の“人工色”〜
【「飾り立てたキャリア」と「偽りの人生」】
精神的な病を患い、あんなに必死にしがみついていた会社を離れざるを得なくなった時、
私が辿り着いたのは夜の街、
歌舞伎町の煌びやかなホストクラブの世界だった。
病の症状の一つで
昼夜が逆転し、世間が動き出す時間に
眠りにつく生活。
私の世界からは一切の光が消えた気がした。
社会のレールから外れてしまった恐怖と、
それでも「生きていかなければならない」という現実の狭間で、
私が辿り着いた夜の街、
ホストクラブの煌びやかな世界。
唯一、この街が私を拾ってくれた。
生きるために、必死だった。
病の影を心の奥に押し隠し、
毎夜、ネオンの光の中でプレイヤーとして
ガムシャラに数字と、実績と、自分自身と戦い続けた。
心身を削りながらも、
そこで私は生き残る為に確かな足跡を残そうともがいていた。
虚飾の「人工色」で塗り固めた様な自分。
そんな狂気とも言える日々の果てに、
私は「レザークラフト」と出会う。
ガタガタと音を立てて
崩れ落ちる様に回っていた私の人生が、
一枚の静かな「革」と向き合った瞬間、
すっと音色を変えた。
正社員としてノルマを追い続けていたあの日々と、
病に苦しみながら退職した後、
それでも
夜の街で必死に実績を追い求めていたあの熱量は、
いつしかプロの革職人になり、
レザークラフトで
「自分の手で理想のブランドを創り上げたい」という、
「人生を賭けて心を燃やす」
確かな情熱へと変わっていった。
ここからは、
一番苦しかったあの頃の話からしようと思う。
この私の記録は、
どこに出口があるかもわからない、
真っ黒なトンネルの中から始まる。
・
・
・
第1章: 〜“黒色”のトンネル〜
【私は今、黒色しか見えない真っ暗な深いトンネルの中にいる】
「人生」って何だろう。
「人」って何だろう。
「生きる」って何だろう。
人は生き抜けば、必ず楽しい事がやって来るのだろうか?
仕事を頑張ってキャリアを積めば、
幸せはやって来るのだろうか?
病気と偏見を抱えて、
死ぬより辛い生き方に耐え、
辛い中で生きていく意地なんて、
どうせ自分にはない。
そもそも、なぜ病気になったのだろう。
なぜこんなにも卑屈になったのだろう。
この病は今まで自分を守ってきた心の傷なのだろうか。
それとも甘え、
自分の弱さなのだろうか。
わからない……。
だから、人に聞いてみる。
忙しい中、迷惑だろうから
相談とまではいかないけれど、
話だけでも聞いてもらいたい。
でも一見普通に見えるから、
嫌がられるかもしれない。
思い切って人に聞いてみる。
「病気アピールですか?」
「気合いが足りないだけだよ!」
「何でそんなにネガティブなの?」
周りから人が1人、また1人と離れていく。
自分は何のために生きているのか、
周りが全く見えない。
私は1人、
真っ暗な深い深いトンネルの中にいる。
何も無くて寂しくて、暗い悲しい世界。
いつからこんな所に来たのだろう。
自分に差し伸べる手も出口も見えない。
「真っ黒」な狭い世界…。
第2章 :〜“灰色”の朝〜
【灰色の朝、誰もいない部屋】
-朝七時-
体が鉛のように重くて動かない。
食欲も無い。
眠気もない。
何にも興味が持てない。
不安と恐怖で眠れずに迎えた
明かりの無い閉め切った
「灰色」の朝。
真っ暗闇な部屋の中で
壁の片隅に
もたれかかるように
床にへたり込み、
色んなマイナスな思考だけが
頭の中をぐるぐる繰り返す、絶望と闘う日々。
人に聞いても答えが得られなかった悩みが
また頭の中を駆け回る。
「自分の夢」って何だろう?
って考える。
理想と現実のギャップに耐えきれず、
虚勢を張って
自分を大きく見せるしかなかったあの頃。
「夢」という意味を調べてみる。
結果は
『現実から離れた空想や考え』
それが真実ならば、夢を持っても、
それは実現できない無駄なものなのだろうか。
私は少し考えた。
でも当時の自分には、何も思いつかなかった。
どうして自分の事なのに、わからないのだろう?
今まで、
何故みんな自分の事を分かってくれないのだろう?
と思っていたが、
周りからの偏見ばかり気にするばかりで、
私自身が一番、自分自身の事を
何一つ理解していないのではないか?
そう気づいた瞬間、
ただ悲しかった。
なぜだろう。
込み上げる悲しさの意味もわからない。
「私は何をしているのだろう。」
「私は何がしたかったのだろう。」
「何のために生まれてきたのだろう。」
答えは自分で見つけるしかない?
人を頼ってはいけないのだろうか?
自分だって
どんな辛いことがあったって、
笑っていられる強い人間になりたい。
こんな病気に負けないような、
立派な人間になりたい。
偏見に負けたくない。
理解されづらい病気を患ってたって、強くありたい。
人に褒められなくたって構わない。
素敵な夢を持ちたい。
自分だってみんなと同じ人間じゃないか。
心の中でそう願った。
心で願うだけでは
願いが叶うはずは無いと
分かっているのに…。
-夜八時-
感情や考えや悩みが
同じ場所を何度も何度も
グルグルと回り続けているだけだった。
もう考えるのをやめた。
考えれば考えるほど
辛くなり、自分を苦しめるのなら
いっその事、何も感情を持たず、
植物の様に生きようと思った。
その方が楽なのではないかと感じて。
私は「無」になろうとした。
その時ふと、
会社員時代のキャリアが
活かせるか定かではない
夜の仕事時代の記憶が頭に蘇る。
・
・
・
それは、
店から一歩外に出れば、
現実に引き戻される、容赦のない歌舞伎町の夜明けの光。
雨の中、逃げる様にコンクリートの屋根の下で
始発を待つ人混みに紛れ、
メイクの落ちかけた顔で煙草に火をつける。
人目を避ける様に振り返ると、
ビルの窓ガラスに映ったそれは
虚ろい黄昏れる自分の姿だった。
「大丈夫?」
1人の若い女性が声をかけてきた。
傘もなく、雨に濡れた悲哀感が漂う
その姿は
その人にとって
捨て猫の様に映ったのかもしれない。
その言葉の意味は、
哀れみからなのか、
優しさからなのか、
私には分からなかった。
「大丈夫です。」
人生という迷路に迷い、
本当は心の中では助けを叫び求めていたはずなのに…。
店の外では、
誰も私を「王子様」とは呼ばない、
この街の片隅で…。
・
・
・
倒れ込むように家にたどり着く、
そこは狭くて暗いワンルーム。
鍵を開けても、出迎えるのは冷たい静寂だけ。
LINEの画面には、「もうお金がない」という
お客様からの
短い別れの言葉が残されていた。
手元にあるのは、自分の本名ではない
「源氏名」で稼いだ売上金。
誰の記憶にも、本当の私は存在しない。
「灰色」の朝日が部屋の隅を照らす頃、
私はただ、誰も愛してくれない自分自身を
抱きしめて、
声もなく泣いた。
・
・
・
-朝七時-
そんな過去を思い出しながら、
静かな天井をただただ見つめていた…
自分という存在さえ感じられない
誰もいない部屋の中の片隅で…。
第3章 : 〜“琥珀色”のダンボール〜
【理由なき衝動:すべては琥珀色に輝く段ボールの宝物から始まった】
振り返れば、小さな子どもの頃から、私はモノづくりが大好きだった。
そこに特別な理由など無い。
ゴミとして捨てられる予定だった段ボールや、空の牛乳パック、読み終えた新聞紙。
それらの「ゴミ」と呼ばれている物たちは、
私にとっては
可能性の塊の
「琥珀色」に輝く
とても「素敵な宝物」だった。
それらを集めては、ハサミやノリ、セロハンテープを手に、
思いつくままに、無心で、夢中でワクワクしながら
ひたむきに手を動かしていた。
楽しくて仕方がなかった。
そうして出来上がった自慢の完成品の作品の
数々を両手いっぱいに抱え、
とても幸せな笑顔を浮かべながら
部屋の棚に大切に飾る。
その宝物を満足げに見つめる日々が、
私のクリエイティブの原点だ。
しかし、大人になり、
会社組織の一員として
自分が勝手に決めた枠の中で
キャリアを積み、
結果や成果を出そうと
必死に生きるにつれて、
いつしかそんな純粋な心の震えを忘れていってしまった。
満員電車に揺られ、大きな組織の一員として、
せっかく私を認めて採用していただいた会社で仕事をする日々に、
どこか
「自分らしく生きられていない」
という違和感をずっと抱えていたのだ。
「これが本当に、私の生涯続けたい仕事なのだろうか」と。
自分で志望して就職出来た会社のはずなのに…。
その無理が祟ったのか、
私はやがて重い精神的な病にかかり、
身も心も深い絶望の淵へと突き落されてしまった。
生きる意味さえ見失い、
心は完全に「無」になっていた。
子供の頃に持っていた
輝かせていた希望も
忘れてしまった
人生の最も暗い時期…。
第4章: 〜“赤色”の心〜
【赤く燃えはじめた心:「これからの私」との出会い】
「それまでの仕事もキャリア」もすべて失い、
ただ絶望の中にいた私を
当時必死に支えてくれていた当時の交際相手の彼女が
ある日、外の空気を吸わせようと
買い物がてらに
ホームセンターへ連れ出してくた。
うつ向きながらトボトボと歩きながら
たまたま辿り着いたのは
ハンドメイド用品売り場の一角。
行き着いたそこに広がるレザークラフト用品コーナーで、
私は美しく仕上がったサンプル作品や、
鈍く光る道具の数々を目にした。
鼻をくすぐる、独特の、でもどこか落ち着く革の匂い。
その瞬間、
何も感じなくなっていたはずの私の心が、
確かに動いたのだ。
「やってみたい」
それは、あの幼い頃に、
捨てられるはずの段ボールを前にして湧き上がった、
理由のない純粋な初期衝動、
魂が燃える「赤い」灯火
そのものだった。
当時はお金も底をついており、
道具一式を揃える余裕などなかった。
当然作り方の説明がされた型紙付きの本を
買う余裕もない。
私はその場でレザークラフトの教本を何度も立ち読みし、
頭の中で、オリジナルデザインで
何かを作れないか必死に思い浮かべ考えた。
そして、
手元にある僅かなお金をかき集め、
必要最低限の道具と材料だけを購入したのだ。
帰宅後、私は何かに取り憑かれたかのように、
真っ先に無心で手を動かし始めた。
経験も無く、作り方の知識も、確かな技術も知らないまま。
ただ、あの日の一番純粋だった
子供の頃の自分に戻ったかのような、
激しい「ワクワク」だけを頼りにして。
トントン、と静かな部屋に響く木槌の音。
開いた穴に、一針、一針、ゆっくりと糸を通していく作業。
寝る間も惜しんで、その作業に没頭している間、
あれほど私を苦しめていた
病気の不安やマイナスな思考は、
信じられないくらいに綺麗に消え去っていた。
普段の生活では「できないこと」ばかりに目が向いていたのに、
革に向き合っている時だけは、
「いま、自分の手で少しずつ形が作られている」という確かな手応えを感じられたのだ。
これがこそが
「これから先の未来の私へと繋がる」
レザークラフトと
「新しい私」との出会いだった。
レザークラフトとの出会いのきっかけをくれ
た当時の彼女の私を見る笑顔が
作業する私の横目に映るのを感じながら…。
第5章: 〜“黄色い”ちゃぶ台〜
【直径60センチの黄色い「ちゃぶ台」から、最高の宝箱へ】
私のレザークラフトの歴史は、
直径60センチの円形の
「小さなちゃぶ台」から始まった。
六畳間にポツンと置かれた
当時の価格で1000円もしない
一つの安い「黄色」のちゃぶ台。
それが、当時の私の全世界であり、
作業テーブルだった。
あの日、ホームセンターから帰宅して、
限られた狭いスペースのテーブルで
指先を痛めながら、
徹夜で初めて仕立て上げたのは
一つの不格好な「IQOSケース」だ。
まるで真四角のくたびれた箱のような形の
不恰好な出来栄えで、
恥ずかしくて
とても人様に見せられる物ではなかった。
でも、
純粋に嬉しかった。
自分で選んだ
挑戦した。
頑張った。
やり切った。
「お金がない」「道具がない」「環境が整ってない」と言い訳を探すのは簡単だったはずだ。
しかし私は、
今ある1000円のちゃぶ台という限られたリソースの中で、まず一歩を踏み出すことを選んだのだ。
知識も技術も経験もゼロの状態から、
泥臭くても自分の手で「最初の一歩」という形を創り出した。
その圧倒的な自発性こそが、
「私のキャリア」を大きく前進させる
「最初のイノベーション」だったのだと今は確信している。
この小さな黄色のちゃぶ台から、
私の未来を仕立てる「最高の宝箱」が、
少しずつ形を変えて生まれようとしていた…。
第6章: 〜“白色”の可能性〜
【初めてのお客様: 〜まっさらな真っ白いキャンバスに描かれた無限の可能性〜】
私がレザークラフトを始めて、
ほんの少しでも自発的に行動できたこと。
何よりもその変化を心の底から喜んでくれたのが、
私の両親だった。
「それなら、私にキーケースを作ってほしいな」
親からの嬉しいリクエストだ。
「親が初めてのお客様」。
それが、私の「初めてのお客様」との出会いだった。
人生でまだ、たった2つ目の作品作り。
まだまだ技術も知識も無いまま、
小さなちゃぶ台の上で徹夜で必死に仕立て上げた
そのキーケースは、
やはり売り物には遠く及ばない、
未熟な出来栄えだった。
けれど、
それを手渡したとき
親は想像以上に喜んでくれたのだった。
「これ、本当にあなたが作ったの? すごいね!ありがとう!」
誰かに支えられてばかりの、
社会のお荷物的な存在だと思い込んでいた自分の手が、
大切な人をこんなにも笑顔にできる。
プレゼントした不格好なキーケースを、
宝物のように愛おしそうに見つめる
両親の笑顔が、今も忘れられない。
これまで何の感情も表に出なくなっていた
私の乾ききった目から
涙が溢れそうになった。
「あぁ、私にも、まだ本当の意味での素敵なものを生み出す力が、誰かを幸せにする力がこんなにも残されているんだ」
その確信が生まれた瞬間、
私の心の中に、
それまでの「絶望の黒」を塗り替えるような、
まっさらな「真っ白い」キャンバスが広がった。
そこには、これからの未来をどうにでも描ける無限の可能性が眠っている気がした。
そして趣味の枠を超えて
「これこそが私の人生をかけた仕事だ。このものづくりを軸に、これからのキャリアをゼロから築いていこう」
という強い誓いが、私の心に深く刻まれた。
これからは、
大切に使われている
プレゼントした革の手作りのキーケースが
私にくれた「真っ白い」キャンバスに
これからの人生を描いていく…。
第7章: 〜“無垢色”の価値〜
【無垢色の輝き:宝箱から生まれた、どんな宝石よりも価値のあるもの】
あの小さなちゃぶ台で作った
最初の手作りのIQOSケースは
今現在も棚の中に眠っている。
技術も知識も経験すら無いけれど、
ただ純粋な初期衝動だけで仕立てた
あの不格好な箱は、
まだ何の色にも染まっていない、
「無垢色の輝き」を放っている。
あの拙い一歩があったからこそ、
両親を笑顔にするキーケースが生まれ、
私の未来は動き出したのだ。
1000円もしなかったあの黄色いちゃぶ台から生まれた革製の手作りのIQOSケースは、
両親を笑顔にする革製の手作りのキーケースが生まれるきっかけになったように、
今や、
「可能性という名の、宝石よりも価値のある宝物」がジャラジャラと飛び出す、
魔法の「宝箱(希望)」へと
姿を変えた。
なぜならそれは、
世間のトレンドや正解に縛られず、
泥臭くても自分の手で「らしさ」を形にする事が出来るという、
人生を再生させるための確かな希望が詰まっていたからである。
あの狭いテーブルの上から
勇気を出して
最初の一歩を踏み出して、
自分の心に素直に「らしさ」を形にしてきた
無垢な原体験があるからこそ、
私は今も、変化を恐れずに多様なデザインのレザークラフトに挑み、
「人生への挑戦」を続けられている。
今も大切にしまってある
「無垢色の輝き」を放つ
あの宝箱に照らされながら…。
第8章: 〜“漆黒”の原点〜
【決して染まらない核心を持つ漆黒色の私の原点:「自分らしくあり続ける」という偉業】
アメリカの思想家、
ラルフ・ワルド・エマーソンはこんな言葉を残している。
『絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。それがもっとも素晴らしい偉業である』
私はこの名言が大好きだ。
会社員時代に読んだ書籍の中の一つに
書かれていた記憶がある。
当時は自分の心にあまり刺さらなかった
この言葉こそが、
今の私のモノづくりの原動力の一つであり、
私が「これからのキャリア」で最も大切にしたい軸である。
私たちが生きる現代は、
常に「正解」や「トレンド」、
そして画一的な「働き方」を求めてくる。
しかし、人間の魅力や「自分らしさ」とは、
決して一つの型に収まるものではないはずだ。
シックで落ち着いた気分の日もあれば、
少しエッジの効いた冒険をしたくなる日もある。
その多面さ、揺らぎこそが、
自分らしさという唯一無二の存在の輝きだと思う。
だからこそ、私が作りたいブランドは、
一つの決まったデザインスタイルに留まらない。
ミニマル、モダン、クラシック、あるいはアヴァンギャルド──。
変化を恐れず、多様なデザインの革小物を仕立てる。
それは、ただ流行を追いかけることではない。
私のものづくりとは、
「職人の感性×飽くなきイノベーションで、手にする人に驚きと感動を生み続ける」
事への挑戦だからである。
一つの正解に安住せず、
伝統の技法に
自分らしい革新(イノベーション)を掛け合わせる。
そうして生まれた作品が、
手にした人の「その時のらしさ」に
どこまでも寄り添い、
日常に小さな驚きを届ける。
それこそが、私の目指す職人としての姿だ。
会社員時代のように、
どれだけ周囲に合わせ、環境と調和したとしても、
心の最深部にある
「これだけは譲れない」
という絶対的な核心だけは、
この先、
何者からであっても
他のどんな色にも染めさせない。
それは、暗闇の果てに見つけた、
私だけの「漆黒色の原点」だ。
「伝統的な職人」という既存の型に守られる現状維持を否定し、
時代が変わっても、
自分というフィルターを通すことで常に新しい価値を放ち続けたい。
それが「自分らしくあり続ける」という偉業に繋がると信じて...。
第9章: 〜“補色”の座右の銘〜
【補色のグラデーションという名の「本当の名前」】
私が大切にしている座右の銘に
私の本名の由来と思われる四字熟語がある。
「外寛内明(がいかんないめい)」
という言葉だ。
外見はどんなに自由なデザインであっても
穏やかで美しく、
使う人の日常に寛大に寄り添うこと(外寛)。
内面は自分自身を深く省みて明晰であり、
職人としての確かな技術と知恵を、
頑なまでに注ぎ込んで
心を込めて作ること(内明)。
この二つの姿勢は、
一見すると正反対のようでありながら、
お互いを最も鮮やかに引き立て合う
「補色」のような関係にある。
私はこの座右の銘を改めて胸に刻み、
日々の作品作り、
そして周りの人々との接し方に
深く落とし込んでいる。
だからこそ、
私の手から生まれる
一見バラバラに見える作品たちの、
多様な表情の裏側には、
すべて「不変の仕立ての美」という
共通の遺伝子が息づいている。
外側の自由な遊び心と、
内側の実直な職人魂。
その二つが美しいグラデーションを描いて
溶け合う作品。
それこそが、
私の目指すものづくりの真髄だ。
変化を楽しみ、自らをアップデートし続けること。
それこそが、
私の「新しいものづくり」であり、
「これからのキャリア」を形成していく上での、
揺るぎない姿勢である。
「補色」のグラデーション、
私の本当の名前に魂を宿して…。
第10章: 〜“マゼンタ色”の私〜
【 放たれる「マゼンタカラー」:「自分自身をブランドへ」】
「多様性」という流行りの言葉とも違う。
ただの「わがまま」とも違う。
既成概念の枠にはまらない、
すべてを超えた、
本当の意味で
自由な世界。
そこでは
他人の決めた「正解」や、
誰かが作った「仕事の枠」に
自分を無理に合わせる必要なんて
どこにもない。
色彩の世界において、
「マゼンタ」は不思議な色だ。
光の三原色(赤・緑・青)を
どのように混ぜ合わせても、
「マゼンタ」の波長は作れない。
それは科学的な光の波長としては存在せず、
人間の脳だけが知覚できる
「奇跡の色」らしい。
他のどんな色にも依存しない、
独立した絶対的な色。
私も、
この「マゼンタカラー」のようでありたい。
誰かの真似ではなく、
自分自身の内側から湧き出る
「ピュアな衝動」や「独自の視点」
だけを頼りに、自分の世界を染めていく。
他人に合わせる妥協は「0」、
自分を貫く覚悟は「100」。
そんな圧倒的な
「0:100のエネルギー」を放ちながら、
私は、「これからのキャリア」形成において、
「自分自身をブランドへ」
と変えていく。
それはまるで
革を自らの手で染色していくように。
そして、
私が仕立てる革製品の一つひとつに、
会社員の頃の葛藤も、
病のこれまでの傷跡も、
夜の街での熱量も、
すべてを注ぎ込む。
製品を売るのではない、
私という生き様そのものをブランドにするのだ。
他人に人生のハンドルを握らせてはいけない。
自分自身が、自分という物語の、
唯一無二の主人公なのだから。
「奇跡の色」を身に纏って…。
第11章: 〜“青色”の闘志〜
【時代とキャリアへの挑戦:冷静な闘志の青を灯す】
今、時代は大きく変わってきている。
手軽に、そして誰もが世界に向けて挑戦できるようになった。
それをすでに可能にしているのが、
いつでも、どこでも、つながれる、
情報技術。
インターネットを介した現代のオンライン販売システムやSNSを利用したマーケティング等だ。
デジタル情報革命により、
「人、物、金」に「情報」が加わったのがもう昔の話になり、
近年はAIの発展も著しい。
AIという画期的な「テクノロジー」の登場が引き金となって、
これまでにないビジネスの変革(DX)が可能になったように、
この進化し続ける「テクノロジー」という名の
青き翼があるからこそ、
私のような個人であっても、
アトリエの小さな机から
日本中、
そして世界中のお客様と地続きで繋がることができるのだ。
かつて組織に馴染めず、
病を患い、
すべてを失った私。
しかし今の私は、
ただ闇雲に突き進むだけの人間ではない。
現代の「高度なテクノロジー」の各リテラシーを持って冷静に活用し、
そこに自分の原点である
「泥臭いものづくりのイノベーション」
を掛け合わせる。
頭には冷静な「青い闘志」を灯し、
手にする人の日常に
「驚きと感動を生み続ける」こと。
これこそが、
私がこの「令和の時代」に、
自分の足でしっかりと立って体現したい
「これからのキャリア」への挑戦なのだ。
「青色」の闘志を灯して…。
第12章: 〜“多色”のキャリア〜
【これから自分で創り出していく経験が織りなす多色のキャリアを積む為に】
「希望」のきっかけをくれた
当時の交際相手のように、
今度は自分が
誰かの何かの
きっかけになりたい。
初めて作った
不格好な作品が
私に「可能性」をくれたように、
今度は私の作品で、
一人でも多くの人を
笑顔にするお手伝いがしたい。
あの日、
両親へキーケースをプレゼントしたときの
「嬉しそうな笑顔」を、
私は一生忘れない。
作り手の自分と、
使い手のどこかの誰かが、
ともに喜び、
幸せな笑顔になれるような、
そんな生き方ができる仕事を私は全うする。
「新しいキャリア」を始めるにあたって、
年齢なんて関係ない。
遅いスタートだから挑戦してはいけないなんて限界を、
一体誰が決めるのだろう。
そんな馬鹿な事を決める
法律も無いはずだ。
諦める必要なんて、どこにもないのだ。
過去がどうであれ、
年齢がいくつであれ、
「ここから先、自分がどう生きていくか」
という未来の選択肢は、
すべての人に平等に開かれているはずだ。
その希望を、手にするか、しないか。
その希望を胸に、動くか、動かないか。
すべては、自分次第だ。
私は、その希望を自分の手にしっかりと掴み取った。
これまでのすべての経験を、
病の「灰色」も、
夜の「ネオン」も、
革職人としての「赤」く燃える情熱も、
すべてを織り交ぜた
「多色のキャリア」
として積み上げていくために、
私はこれからも
前に向かって動き続ける。
自ら創り出した人生から生まれる
経験いう名の
「多色」を織り上げて…。
第13章: 〜“虹色”のトンネル〜
【私は今、輝く虹色のトンネルの中にいる】
子どもの頃の純粋なワクワクと、
あの日の小さなちゃぶ台の上で掴み取った、
技術と情熱、夢と希望。
現実から離れた空想を「夢」と呼ぶのなら、
私はその夢を
「外寛内明」の精神に乗せて、
この手で現実の形にしてみせる。
決められた枠組みや
既存のルールに自分を当てはめようと
必死にもがき、
挫折した会社組織での経験。
夜の街のビルの下で雨の中、
人生の行く末に黄昏れていた時代もあった。
そして私は、
「自分自身をブランドへ」
と高めるために、
一つの決断をした。
「会社の看板に頼りきった名前」でもなく、
夜の街で名乗っていた「作り上げた人格の源氏名」でもなく、
「自分自身の本当の意味での名前」で生きていく、
という「道を選択した」のだ。
-朝七時-
狭い作業部屋の扉を開ければ、
朝の光が
何枚もの牛革の銀面を
優しく照らし出す。
部屋を満たすのは、
渋くて、どこか懐かしい、
本物の革の匂い。
カッターの刃を新しく替え、
定規をあてて、
一太刀ごとに息を詰める。
かつて誰かの機嫌を窺い、
言葉を選び、
虚勢を張る時、
口元を隠していた指先は今、
ただ愚直に、一枚の素材と向き合っている。
革を裁断し、一針ずつ糸で引き締めていく。
そこにはかつて、
ひたむきに働きながらも自分自身を切り売りしながら自分を見失ってしまった会社員時代。
嘘で編み上げた夜の時間。
そして病に怯えていた日々。
あの苦しかった時間は、もうどこにもない。
しかし今の私は確信している。
あの時代があったからこそ、
私は
「与えられた環境に従うだけのキャリア」
に終止符を打ち、
自らリスクを取って新しい価値を創り出す、
「人生のオーナーシップ」
を握ることができたのだと。
私は自分が信じる「ものづくり」の世界で、
自分の足で立って生きていこうと、
今日もアトリエの机に向かっている。
これからも自分の感性にまっすぐ響く、
自分だけの「らしさ」を見つけるために。
今、私は希望に満ち溢れた未来へ向かう、
輝くトンネルの中にいる。
可能性に満ち溢れた、明るい世界。
このトンネルを抜けた先には、
次は「どんなワクワク」が待っているのだろう。
「これからのキャリア」
を自らの手で仕立てながら、
私は進む。
希望という名の
「虹のトンネル」を、
力強く駆け抜けて。
-おわりに-: 〜“薄紫色”の夜明け〜
【「これからのキャリア」を考える、あなたと自分自身に届けるメッセージ
〜「これからのキャリア」を仕立てる夜明けの薄紫色の光あふれる未来〜】
暗闇の中にいた私に
レザークラフトが
「生きる希望」をくれたように、
私の作った革小物が、
あなたの日常の中で
「自分らしくいるためのお守り」
のような存在になれるよう、
私はこれからも精進を続けていく。
かつて受けた偏見や冷たい言葉を憎むのではなく、
いつでも笑っていられる強さを持って。
私の作ったレザーアイテムを手にした方の毎日に、
ほんの少しの安心と、
自分らしく
一緒に成長し合い、育っていく喜びを届けられたなら、
これ以上の幸せはない。
まだブランドとしてのホームページも、
販売できるような商品も完成してはいない。
今はただ、
小さなアトリエの机の上で、
理想の形を追い求めて型紙を作り、
試作を繰り返す毎日だ。
既存の会社組織の枠から飛び出した私は今、
ゼロから自分の足で立ち上がったばかりの
「挑戦者」である。
しかし、
過去の絶望も、
あの1000円のちゃぶ台での泥臭い一歩も、
すべてが今の職人としてのエネルギーという名の「資産」に変わっている。
過去の自分や、これまでの仕事を否定せず、
そのすべてのグラデーションを抱えて未来へ進むこと。
それこそが、
私の「これからのキャリア」だ。
決して、志は小さくない。
泥臭く一歩ずつ、
しかし圧倒的な熱量を持って、
いつか自分の作ったブランドを
「世界のトップ企業が目指すような、唯一無二の輝きを持つブランド」
にまで育ててみせる。
それが実現できる根拠は、どこにも無い。
しかし今の私は、誇りを持って、
自分の言葉でそう言い切ることができる。
夢を掴む為の志を掲げるにあたって、
実現できる根拠など必要無い。
今私にあるのは、
過去から現在までに積み重ねてきた人生から生まれた
力強いエネルギーという「資産」と
ふと自分の手を見た時に映る
指にできたタコや傷、こびりついた染料が証明する、
私が重ねてきた確かな時間だけ。
それを持って、
これから先も
「人生を自らの手で仕立てて行く」
という決意だけだ。
夜の仕事の時のように、
誰かの「王子様」という配役を演じるのは
もう降りた。
けれど、この小さな革小物たちにとって、
私はたった一人の「創造主」だ。
-夜八時-
道具を丁寧にオイルで拭い、
机の上に一列に並べる。
「自分で選び、自分で生み出し、自分で責任を持つ。」
この不器用で、愛おしい作業の日常が、
私の「これからのキャリア」になると
心から信じている。
昔より増えた指にできたタコや、こびりついた染料と、
「昔より減った指の傷」が証明する、
私が重ねてきた確かな時間。
自ら掲げた大きな夢を胸に、
自信と誇りを持って、
私は今日もアトリエの机に向かっている。
窓の外には、静かに暮れていく街並みが広がっている。
指先についた染料の汚れを愛おしく眺めながら、
私は今、本当の意味で
自分らしく生きている実感を噛みしめ、
この世界に、深く、深く、足跡を刻んでいる。
「自分らしく生きたくて」一歩を踏み出した。
これからが
私の仕立て直した
「これからのキャリア」
の物語の始まりだ。
「薄紫色」の光に照らされた未来へ向かう夜明け。
革の匂いと、本当の私と共に。
エピローグ: 〜“透明色”に輝く人生〜
【曇りのない透明な輝きを放つ「人生」
〜傷跡さえも、「これからのキャリア」の味わいに〜】
あれから、少しだけ時間が流れた……。
私は今、
NPO法人が運営する福祉施設、
就労支援事業所という場所にいる。
そこで販売してくださっている私の作品には、
少しずつ、けれど確かに、
私の作った革製品を愛してくれる
お客様が増えてきている。
何年か前に、
小さなコインケースを買ってくださったお客様から、
福祉施設越しに一つのメッセージが届いた。
『毎日大切に使っています。少し傷もつきましたが、とてもいい色に育ってきました。』
そのとき見せていただいた写真に写る
キャメル色の小さなコインケースは、
私が仕立てたあのときよりも
深く、艶やかな飴色に変化していた。
「ああ、そういう事か」
と思った。
傷つくことは、決して終わりではない。
病を患ったことも、
会社員時代に自分を見失ったことも、
夜の街でもがいたことも、
すべては私という人間が、
これから深く、美しい色にエイジング(経年変化)していくための
大切なプロセスだったのだ。
-朝七時-
今日も私は作業部屋の扉を開ける。
私の愛用する道具と、
優しく香る本物の革の匂いが、
私を温かく迎え入れてくれる。
かつての私は、
傷だらけになった自分の過去を、
ただ消し去りたい黒歴史だと否定していた。
けれど、まだまだ自称アマチュアではあるが、
革職人となった今は違う。
革という素材は、生きている頃についた傷やシワを「トラ」や「ナチュラルマーク」と呼び、
「唯一無二の個性」として愛される。
さらに、使い込むほどに深みが増す
「経年変化」という美しい魔法を持っている。
私の過去も、きっと同じだ。
自分を見失った会社員時代も、
病の苦しみも、
夜の世界で必死にもがいた経験も、
何ひとつ、無駄なことなんてなかった。
あのすべての傷跡こそが、
私という人間を内側から輝かせる、
かけがえのない天然の素材だったのだ。
だから私は、過去の自分をもう否定しない。
誰の物差しでもない、自分らしい歩みで、
本当の自分と向き合っていく。
この人生の傷跡さえも、
私だけの唯一無二の「味」に変えて、
「これからのキャリア」を仕立てていく。
自分らしく生きたくて、
私は、革職人をはじめた。
私の夢である、新しいブランドへの扉は今、
静かに、
けれど確かに開かれ始めている。
それは、
曇りのない「透明な輝き」を放つ「本物のキャリア」と、「真実の人生」
私は生きている。
人生の中での
「これからのキャリア」に向かって。
自分らしく!
〜人生という名の物語は、これからも続いていく〜
