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映画『白痴』 ハラ!モリ!ミフネ!画面が濃い(ネタバレ感想文)

監督:黒澤明/1951年 日

黒澤明41歳頃の作品で、東宝争議をきっかけに設立した同人組織「映画芸術協会」所属として東宝から離れて活動していた時期に松竹で撮った作品。

「フィルムを切るなら縦に切れ!」でおなじみの映画ですね。
いや、「同情するなら金をくれ!」みたいに言ってますが、そういう台詞があるわけではありません。

原作はドストエフスキーで、私は前の週にブレッソンの『白夜』(71年)を偶然観ていたので、2週連続ドストエフスキー。
たぶん今、ドストエフスキーがきてるんだと思うんです(<違います)。

『白夜』は「橋の上で再会約束話」の原点だと私は勝手に思っているのですが、この『白痴』は「知能は足りないけど純真無垢」という「バカピュア物」原点じゃないかな?ドストエフスキーいろいろ原点説。
ロシアには『イワンのばか』ってのがありますが、ロシアにはバカピュア物が多いんですかね?
自分で言っといてナンですが、「バカピュア物」って何だ?
『イワンのばか』は元々民話のようですが、トルストイが作品化したのが1885年。ドストエフスキー『白痴』出版の方が1868年と少し早い。
ところで「アホが見るブタのケツ」って何なんだ?

原節子の黒澤映画出演は『わが青春に悔なし』(1946年)とこれだけじゃないかな?
どうもね、原節子は小津のイメージが強いもんだから松竹のイメージがあるけど、元々は日活や東宝の専属で、この映画の頃はフリーだったんですよね。
こんな怖い原節子を見たのは初めてかも。
そういった意味では、原節子と久我美子が対決するシーンとか、超面白い。

那須妙子(ナスターシャ)と綾子 (アグラーヤ)

30数年ぶりの再鑑賞。以前観たのは、たしか今は無き銀座並木座だったと思うんですが、改めて観たら凄い撮影してるんですね。
あのねえ、窓の外でガチに雪が降ってるの。
これ、後々の黒澤映画でも見られる傾向なんですが、「それ、セットでいいじゃん?」みたいな室内シーンでも、ロケというか現地で撮影している。
『影武者』(80年)だったかな?本当に天守閣の中で撮影してたりとか。
本作なら、雪の降る場所(たぶん北海道)で撮ってるわけですよ。バカじゃねーの?

撮影場所は旧有島武郎邸って話だけど、本当なのかな?
有島武郎と言えば、深作欣二の映画『華の乱』(88年)で松田優作が演じた作家ですね。そして、この映画の白痴=森雅之の父親。

映画の序盤で、写真屋に飾られた原節子の写真を森雅之と三船が見るシーンがあります。

早々に「この女性を巡る三角関係の映画ですよ」宣言をしているシーンなんですが、ガラスに映り込んだ顔の撮影って、この当時かなり大変だったと思うんです。今なら合成しちゃうんでしょうけどね。
カメラが写り込まないように、背景が映りすぎないように、カメラ位置とか光源とか、スタッフは試行錯誤を繰り返しているはず。
何もそんな撮影しなくてもいいのに。バカじゃねーの?

30年前に観た時より愛憎劇としてかなり面白く観たのは事実です。
そして、長尺をカットすることで揉めたというエピソードが有名ですが、改めて観たら、「バカじゃねーの?」みたいな異常な撮影が気になる。凄くてビックリする。何なの?黒澤がバカピュアなの?

(2025.03.16 神保町シアターにて再鑑賞 ★★★★☆)

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