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なぜAI導入は「PoC止まり」で終わるのか。自社でAIエージェントを2年以上運用してきた私たちの答え

こんにちは。PharmaX取締役CTOで、AI変革支援(AX)事業の責任者を務めている上野です。

2025年3月に「PharmaXはAX事業を始めます」という記事を公開してから約1年半、ありがたいことに多くの企業様からご相談をいただいてきました。

今日はその続報として、AX事業のいまと、自社と支援先で起きている変化をお話ししたいと思います。

この1年半で感じた、AI Nativeに会社・事業を変えることの難しさと楽しさの両方を感じていただければ嬉しいです。

支援開始から数ヶ月、現場で起きている変化

いきなりですが、AX事業で私たちが支援のゴールをどこに置いているかという話から始めさせてください。

一言でいえば、「私たちがいなくても、その会社のAIが回り続ける状態」です。システムを納品しただけでは、ゴールにたどり着いたとは考えてません。

実名や詳しい数値の記載は控えますが、実際の支援先ではこんな変化が起きています。

教育業界のある企業では、授業音声の自動文字起こし・要約を行い、授業直後に均質な報告が自動で作成されるようになりました。

リユースEC・物流の企業では、AIによる検品の自動判定と個品管理で、属人的だった作業が外部委託できる標準業務に変わりました。

中古商用車販売の企業では、書類や写真からのフォーム自動入力と相場データによる仕入れ値の算出で、営業担当が営業そのものに集中できるようになっています。

業界の違う各社ですが、どの現場でも、単にAIツールが入っただけでなく、業務と組織の形まで変わっています。

たしかに、ツールを入れるだけならすぐにできます。ですが、成果が数字に表れ、改善が社内で回り続ける状態までたどり着くのは、決して簡単ではありません。

なぜ多くのAI活用は「導入した」で止まるのか

経営者の方から本当によく伺うのが、「号令もかけた。PoCも研修もコンサルへの発注もやった。それでもROIにつながらない」というお話です。

なぜこれほど多くの会社で同じことが起きるのでしょうか。

結論から言えば、これは構造上の問題だと私たちは考えています。

コンサルは戦略を描いた時点で、SIerはシステムをつくった時点で、研修は教えた時点で、それぞれの仕事が終わってしまいがちです。

その結果、戦略を描く・システムをつくる・現場に定着させるという工程のつなぎ目で頓挫してしまいます。

また、AIエージェントは振る舞いの予測が難しく、ハルシネーション(もっともらしい誤りを出力してしまう現象)への対策や、運用しながらの評価・改善が前提になります。つまり、納品したら終わりというこれまでの開発モデルとは、そもそも相性が良くありません。

私たち自身も、自分たちの事業で同じ壁に先にぶつかり、乗り越えてきました。

私たちは「事業と組織のAI化をやりきった当事者」です

PharmaXは、オンライン薬局「YOJO」を運営するヘルスケア企業です。YOJOではAIエージェントを内製開発し、誤りの許されない医療領域で2年以上、本番運用を続けています。

裏側では100近いプロンプトが稼働しており、顧客対応業務の約90%をAIで自動化し、運用体制は20名弱から2名になりました。

「そこまで自動化して、サービスの質は大丈夫なのか」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実はAI化行って以降、購入率や継続率は劇的に向上しています。対応が速くなり、質も均質になったことで、顧客体験はむしろ良くなりました。

効率と顧客体験の両方を追いかけた結果、50万人規模のサービスを少人数で支える今の体制ができあがりました。

顧客対応の約9割は、エンジニアが現場の薬剤師の声を聞きながら、業務の土台であるアプリケーションの基盤システムそのものをAI前提につくり変えることで実現しました。

2024年の夏頃から基盤システムの抜本的なAI化に着手し、2025年のはじめにはオペレーションの約9割の自動化を実現。その後は半年から1年をかけてクオリティの改善や対応そのもの見直しを行ってきました。

ですが、そこで終わったわけではありません。

残りの1割弱は、現場の薬剤師メンバーが自分たちの手で「人の代わりに画面を操作してオペレーションを行う外付けのAIエージェント」を開発し、自動化を実現しました。
(※ 法的な観点で完全な自動化までは行っておらず、メンバーがチェックする場面もあります。)

エンジニアではない薬剤師たちが「ここは自分で自動化できそうだ」と手を動かし始め、CTOの私や社内の殆どのエンジニアメンバーがAX事業の立ち上げに奔走している間に、残った大部分を自動化してくれました。

ある時から「あ、これはもう私たちの手を離れ始めているな」と驚いたのを覚えています。

つまり、変わったのはシステムだけではありません。

現場メンバー一人ひとりの仕事の進め方の土台、いわば"組織のOS"(その上であらゆる業務が動く、仕事の進め方の土台のようなものです)のようなものまで入れ替わったのです。

もちろん、ここに至る道は決して平坦ではありませんでした。
ハルシネーションをどう抑えるのか、従来のKPIでは捉えきれないAIの品質をどう評価するのか、そして何より、薬剤師のような専門職までがAIを使いこなす組織にどう変わっていくのか、悩みは尽きませんでした。

やりきってみて、システムと組織の両方を変えてはじめて成果が出るのだと実感しました。

現在は、AIプロダクト開発の知見をもとに調剤薬局向けのAIエージェントも製品化し、大手調剤薬局様にご導入いただいています。

調剤薬局向けにもAIエージェントを開発・提供中

またエンジニア組織としてもFindy Team+ Award 2024に選出いただいたときと比較しても、開発スピードは3倍以上になりました。

ちなみに、この過程で溜まった評価・改善の泥臭い知見は、『LLMアプリケーション評価駆動開発』(翔泳社、2026年9月24日発売)という書籍にまとめました。

現在Amazonで予約受付中ですので、ご興味のある方は是非ご覧いただければ幸いです。

LLMアプリケーション評価駆動開発


AIを語れる会社はたくさんありますが、自社で実証し、製品化し、その知見で他業界のご支援までしてきた会社は、まだそう多くないはずです。
そこが私たちの一番の違いだと自負しています。 

「車」と「ドライバー」の両方を変える

では、具体的に何をするのでしょうか。AX事業の支援は2本柱です。

AX事業の支援の2本柱

1つ目は、AI実装支援です。

経営課題の整理とROI設計から、AIの振る舞い設計・技術選定、プロトタイプ検証、本番運用後の評価・改善までを一気通貫で担います。

そして、現場での実装・導入の学びを経営判断にフィードバックすることで、AI戦略をアップデートし続けます。

2つ目は、組織変革(AI人材・業務改革)です。

研修・ワークショップから業務フローの再設計、AI推進チームの組成までお手伝いし、学んだことが実際の成果につながるまで伴走します。プログラムや伴走支援は、あくまでその会社の状況に合わせて設計します。

両方を掲げているのには私たちなりの考えがあります。

このAI時代にどれだけ優れた基盤が与えられても、その基盤の上に乗る人が使いこなせなければ目的地にはたどり着きません。

Claude CodeやCodexのような汎用的なAIエージェントがどれだけ優れても、事業や業務をAI化出来ていない会社がほとんどなことがその証拠です。

PharmaXで起きたことも、まさに仕組みと人の両面の変化でした。組織のOSが抜本的にAI Nativeに変わってはじめて、1人あたりの売上・利益の向上という成果につながり、人の役割は「業務オペレーション」から「判断と目的地の設定」へと変わっていくのです。

進め方は3段階です。まず無料相談で課題を壁打ちし、次に研修やPoCで小さく試し、手応えを確認してから本格支援へ進みます。

ゴールは冒頭に書いたとおり、「私たちがいなくても、AIが回り続ける状態」です。自社でさまざまなAIエージェントを内製化して自走していただくことを、むしろ前提にしています。

まずは壁打ちから

私はこれまで、登壇や執筆など知見を発信する機会を数多くいただいてきました。

ただ、AX事業で私がやりたいのは、語ることより現場に入ることです。

「うちの業務は本当にAI化できるのか」「PoCから先に進めない」といったモヤモヤを抱えている段階からぜひお気軽に壁打ちさせてください。

この壁打ちの時間を、私は毎回楽しみにしています。ご相談を無料にしているのは、みなさんから伺う課題そのものが、私たちのサービスを磨く一次情報になるからです。

AI活用に取り組む企業様の参考になれば嬉しいです。
AX事業の詳細・無料相談は、こちらからご覧ください。

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