モンゴルの空は果てしなく広かった ⑨
2024/Jul./14 SUN.
ウランバートルのホテルの朝食会場で偶然の再会

アラームをセットした7:10の1時間前に目覚めてしまった。また、お腹が痛いのだ。トイレに行ってから、正露丸を飲む。今回の旅行での正露丸の消費量はハンパない。その後、ベッドの上でウダウダし、アラームがなってから予定通り行動開始。いつもの朝食をいただきに1階へ。ホント、ここのメニューはブレない。
で、この朝食会場に入って、おや、珍しく日本人がいるなと思ったら、知り合いに似ている。まさかとは思いつつ声を掛けてみると、ビックリした事に本人だった。しかも、かれこれ20数年ぶりで、私が若かりし頃、何回か海外旅行を一緒にした先輩だ。こんな所で遭遇するとは。
そこで朝食を同席させていただき、"今回の旅は何日、何処?"という話から、"相変わらず旅行に行ってるの?"という話を懐かしくさせてもらう。ただ、話す事ができたのは20分にも満たず、この後すぐツアーに出発する彼を見送る。いやー、なんの約束もしていないのにモンゴルのとあるホテルの朝食会場で巡り合うって奇跡ありうる??
この偶然の再会に驚きつつ部屋に戻り、昨日の夜手洗いしておいたた洗濯物を取り込み、荷物をまとめる。そして、8:30、4泊もしたこのホテルをチェックアウト。さすが都市でのホテル滞在は快適だった。
世界的に有名な鉄道写真スポット・ホンホルに寄り道
さて、今日からは大都市ウランバートルを離れて自然豊かで、ちょっぴり不便なモンゴルを味わう日々に戻る。このウランバートルからさほど遠くないテレルジという場所が草原リゾートとして人気が高いらしいので、そこに2泊の予定。今日はそのテレルジまでの移動なのだが、せっかくなのでうまく寄り道しながら行こう。

大きなバックパックを背負ってホテル最寄りのバス停に向かう。ここから東行きのM5のバスに乗るが、日曜の朝という事もあってか、バスも道も空いている。そして、グーグルマップで調べておいたとおり、10つ先のバス停で、近郊バスであるX12のマイクロバスに乗り換える。
ちなみに市バスは1人500Tgと格安だが、この近郊バスも1人900Tgと日本円にすれば50円程。この近郊バスでもUmoneyというプリペイドのバスカードが使えるが、もう残高が足りなく、現金は持ち合わせがピッタリないので太っ腹に1000Tgを料金箱に入れる。

マイクロバスはすぐウランバートル市内を抜け、気持ちの良い草原地帯を東へ走る。道路はよく整備されており、日本の郊外みたいな雰囲気。ガラ空きの車内にものんびりした雰囲気が漂っている。このバスの終点はホンホル(英語:Honhor、モンゴル語:хонхор)という集落の中である。幹線道路から少し離れた田舎の集落だが、なんでもここは世界中の鉄道写真家がこぞって訪れる有名な鉄道写真スポットという話を聞いて、ここに寄り道することにした。
9:43、その終点でマイクロバスを降りて、集落の中を通り抜けると鉄道線路にあたる。するとちょうど上りの旅客列車が来た。その写真を撮ってから、線路沿いに南西に向かう。すると川にぶつかった。だが、橋が無い。乗用車でも簡単に渡河できそうな水量の川だが、こっちは人。このまま突っ込む訳に行かず、靴と靴下を脱いで、パンツの裾をまくってワイルドに渡る。が、この川の水が半端なく冷たい。

そして更に南西へしばらく道なりに進み坂を登る。すると、この丘の中腹からホルホンの街と鉄路を見下ろせるため、ここでしばし列車を待ちながら休憩。
だいぶ待って、11:00過ぎにウランバートル方面からの下りの貨物列車が見え始めた。坂道を登って来る方向なので動きはゆっくりであり、緑の草原の中に見事なカーブを描いて走って来る。なんだかここから見ていると箱庭みたいな世界だ。

更に場所を移動。キレイなお花が群生する地帯を歩いて行くと、もう完全にハイキング気分だ。そして、なるべく高い所からここを見下ろしたいので、岩山の中腹まで上る。ここからは有名なΩカーブが見えるのだが、超広角の16mmのレンズでも入り切らないスケール。ちょうどそこに中国方面からの貨物列車が来た。日本では考えられないような超大編成で、このカーブを見事になぞる。
昨日、ウランバートル鉄道駅で確認した限り、列車の本数は僅かしかなかったが、それは旅客用の話で、貨物列車はそれなりの本数が走っている様だ。

十分に大陸鉄道を堪能したら、ホンホルの街まで戻らねばならないが、大きなバッグパックを背負ってかなりの距離を歩いてここまで来た。戻るのは大変だな、と思ってトボトボ未舗装路を歩いていたら、横を走る1台の車が止まり、"乗ってくか?"と声を掛けられた。では、遠慮せずに乗せてもらおう。ちょうど今日は日曜日だからか、この辺りでデーキャンプを楽しんでいる人が多く、車の行き来がそれなりにあるのである。
私を拾ってくれたおばちゃんは、少し英語が話せる。なんでも息子が東京の大学に行ってるんだとか。そして、親切にも幹線道路の交差点まで送ってくれた。お礼に少しばかりのお金を渡そうとしたが受け取ってもらえなかった。とにかく、ありがとう。
S字カーブを走る列車を観ながらサンドイッチのランチ
この街道沿いにはガソリンスタンドやスーパーなどもあり少し賑わっている。ここからウランバートル市内方面に100メートルくらい行った所に、"S-Cafe & Food"というおしゃれなカフェがあるらしいので、ランチをしに行ってみるが、残念ながらCLOSEDと書かれている。ナーダム休みか…このカフェからはその名の通りS字を描く線路と列車を一望しながら食事ができるという事で楽しみにしていたのに残念。

ただ、この隣にコンビニエンスストアのCUがある。ここでサンドイッチとコーラを購入し、何故だかここにはイートインコーナーが無かったので、外で食べる。購入したアメリカンなサンドイッチは期待にそぐわず美味しい。やはり乳製品であるチーズが美味いのか。そして、ここはほぼS-Cafeと同じ位置なので、S字を描きながらゆっくりとこの坂を行き来する貨物列車を見ることができる。

ここで上下2本の貨物列車を見、(乗ってないが、)十分にモンゴルの鉄道を満喫した、と思い、写真撮影を終えた所、それを待っていたかのように、隣に止まっていたレンジローバーのおじさんおばさんが、"乗っていくか?"と声を掛けてくれた。では、またまたお言葉に甘え、遠慮なく隣町のナライハ(英語: Nalaikh、モンゴル語:Нарайха)まで乗っけてってもらおう。こちらがお願いしていないのに助けてくれるのはモンゴル人の優しさか、それとも大きなバッグパックを背負って歩いているので不憫に思われるのか。英語がうまいこのおじさんと、少しだけ日本語ができるおばさん。で、"この後、どうするの?"と聞かれたので、"ナライハの街で白タクを捕まえるつもり"と答えると、"ボラれるといけないから、俺が代わりに交渉してやる。"と、ナライハの街に着いたらその交渉役まで買って出てくれた。
白タクでチンギス・ハーン騎馬像テーマパークへ
このナライハからは今日の目的地のテレルジまでのバスに乗り継げるのだが、その前にまた寄り道をするのである。ここから東に30kmくらい離れた所にエレデネ村があり、そこには巨大なチンギス・ハーン銅像がある。ただ、そこまでは公共交通機関がないので、このナライハから自力で行くには白タクに頼らねばならないのである。ちなみにモンゴルでは白タクはイリーガルではなく、正規タクシーは少ないため、地元民にもよく利用されている。
で、ナライハに着いたら、早速このおじさんが白タクドライバーを見つけ交渉してくれたのだが、その結果、おじさんをもってしてもその場所への往復と1時間待ちで60,000Tg。あら、期待の逆。それは高い。そこで私が直に交渉に臨み、おじさんは通訳してくれる形で50,000Tgで合意した。ホントだったらもっと粘りたかったのだが、おじさんにここまでしてくれたので妥協だ。で、このおじさんおばさんとは、ここでサヨナラ。優しい方たちだった。ありがとう。

乗り込んだ白タクでナライハの街を出て、草原を東へと走る。思ったより結構距離があり、進むこと約30分。ほんと何にも無い草原に銀色に輝く巨大な像が見えてきた。
ここはチンギス・ハーンゆかりの場所らしく、2008年に完成した"チンギス・ハーン騎馬像テーマパーク"となっている。と、言っても、将来は何か拡張されるのかもしれないが、現在あるのはこの像だけである。ただ、聳える騎馬像はとにかく巨大で、周りに比較する建物は何も無いのだが、半端ない大きさなのがわかる。なんでも台座も含めて全高約40mもあるらしく世界最大級との事。確かにこんなでっかい像は今まで見たことがない。銀色に輝くステンレス鋼のチンギス・ハーンは遥か遠くを見つめている。見据えるのは遠い異国の地か、はたまた遥か先の未来か。かつてユーラシア大陸の約半分を占めるモンゴル帝国の礎を築いた英雄らしい姿だ。

白タクには駐車場で待っていてもらい、その像へと階段を上って円形の台座まで近付く。近いと思ったそこは、あまりにも巨大な像とだだっ広い草原が錯覚を生むのか遠い。
駐車場も混んでいたが、台座となる館内に入るとチケット売り場も結構混んでいる。ようやく20,000Tgでチケットを購入し、館内に入ると大きな吹き抜けのホールがあり、そこには何の謂れか知らないが牛100頭分の革を使って作られたという世界最大の巨大なブーツが展示されている。また、その横にはチンギス・ハーンの家系の肖像画の展示もある。

その裏にあるエレベーターと階段を使って上がれば、周囲の雄大な景色を一望できる馬の鬣の所まで行ける。が、そこは広くはなく、今日の多数の観光客ですごい混雑。写真を撮るのも一苦労だ。ここから見える四方八方は、どちらを見ても大平原の景色で素晴らしいが、なんといってもこの巨大なチンギス・ハーンの大迫力のご尊顔を間近で拝めることができるのが凄い。

約束どおり、1時間きっかりで待ってくれていた白タクの元へと戻り、再びナライハの街まで送ってもらう。そして代金を払いつつ、この白タクに明後日の空港までの足をお願いしてみよう。
このドライバー、モンゴル語オンリーなのだが、事前に用意しておいたモンゴル語の会話集でなんとか伝わったよう。ただし、ちゃんと伝わっていないと困るのは私なので、確認すべく勝手に人のスマホにグーグルマップとグーグル翻訳をインストールしてコミュニケーションを試みる。一方、おじさんは娘さんにコールしたあげく、自宅から彼女らを呼び出し大騒ぎ。が、しっかり伝わっているようで大丈夫な様だ。ただ、念のために、電話番号だけは控えさせてもらう。
今夜からの宿泊地テレルジへ移動
では、ここから今夜の宿泊地であるテレルジ(英語:Terelj、モンゴル語:Тэрэлж)までの移動だ。このナライハからテルレジまでは乗り合いマイクロバスがあるらしいので、この白タクのおじさんにその乗り場まで連れてってもらうが、意外とこの街は広く、バス乗り場が幾つかあるらしい。最初、このドライバーに連れられて行ったバスターミナルに対し、ドライバーのお嬢さんが調べてくれたのは別の場所で歴史ある建物の前にあるバス停。で、そこに移動して、念のために、横で待っていた青年に聞くと、"テレルジ行きはここじゃない"と3ブロック程離れた小さなモールの前の駐車場まで案内してくれた。みんな親切なんだが、どれが本当の情報だかわからない。

事前調べによると、ここからの乗り合いマイクロバスはおよそ2時間毎に出ており、次は18:00のはずなので1時間強、ここの階段に座って待つ。ただ、その18:00過ぎてもマイクロバスが現れる気配はなく、15分経ち座っていた階段から立ち上がってバッグパックを背負ったところで一人のおじさんが声を掛けてきた。どうやら、彼も白タクドライバーで、テレルジまでの料金は10,000Tgという。安いから、まぁイイか。ただ、このおじさんは私以外の他の人にも声を掛けており、結局、子供入れて6人が1台のプリウスに乗り込むこととなり、窮屈な体勢のままナライハの街を出発。

乗り合いプリウスは山の方に進む。この辺りは草原というより、山ガチで左右に広がる緑の山は結構急な斜面。木もあり、なんだか"アルプスの少女ハイジ"に出てきそうな風景だ。所々にゲルがあるのがモンゴルらしいが、あれは生活用ではなくリゾート用だろう。そして、週末だからか川沿いでデーキャンプを楽しんでいるファミリー、若者グループも多い。
で、しばらくすると、このテレルジのシンボルである亀石(英語:Turtle Rock、モンゴル語:Мэлхий хад)への交差点に差し掛かったので、"ここで曲って"とお願いすると、車はこの幹線道路上に止まり、"ほら、あそこに亀石が見えてる。すぐだよ!"と降ろされてしまった。
仕方なく、ここからホコリっぽい未舗装路を歩く。亀石は、その名の通り亀の様に見える岩なのだが、ハラホリンで見たそれとは異なり、なんと高さ15mもある自然の巨石。このため、前方に見えていても、歩いても歩いてもなかなか近付かない。ここを大きなバックパックを背負って歩くのは辛い。10,000Tgも払ったんだから、せめて、この距離くらい送ってよ。
緑豊かなテレルジの宿泊施設にチェックイン
今夜から2泊する予定の宿はこのテレルジのランドマーク・亀石の前という場所だけで選んだCamping Turtle Rock。事前のAgodaを通してのやりとりでは、亀石の横にあるレストランに来てくれと言われていたので、そのレストランに入り従業員に声を掛けると、彼女がマネージャーだった。支払いはありがたいことに、後払いで良いと言ってくれたのでそうさせてもらう。その後は日本語堪能なスタッフが、"お困り事はないですか?"と聞いてくれるので諸々、確認しておく。

そして、部屋を案内してもらうべくレストラン棟の裏手に入ると、20基程のゲルが立ち並んでいる。そう、今回予約してあるのがゲルでの宿泊。もちろんこの1つを独占できるプライベート仕様。ただ、ここは少々お高くキャッシュバック込でも1泊45ドルもするのだが、それはほぼこのロケーション代で、ハラホリンで宿泊したゲルとほぼ同じ大きさ、内容。ベッドは2つだが、一番奥には机と椅子が置いてある。確かにこれらはあったほうが便利。また、薪ストーブも中央に置かれているが、煙突は繋がっておらず、ここでもこの時期は不要な様だ。
ゲルの中に荷物を置き、疲れたので少しゆっくりしたいところだが、マネージャーの口ぶりだと、夕食をレストランで食べるならとっとと食べて欲しいようだった。確かにもう20:00近いもんな。
そこで、荷を解いたら、ストアが併設してあるレストラン棟へと戻る。そこにはモンゴル語オンリーのメニューがあるが、聞いてみたところ、ここに書いてある物はもうほとんど無いというので、"炒飯は作れないか?"と聞くと、"出来る"と言う。では、それをお願いする。

しばらくして出てきた物は、炒飯だけで十分だったのだが、気を利かせてか、牛肉炒めも横に添えられていた。しかも圧倒的にそっちのポーションの方が多く、相変わらずシンプルな味付けで、これと言った感想はない。ここで食べている人は私一人のみで、他に客は誰もいない。基本、ここは観光客向けのお昼のレストランで、ここで夕食を摂る人はほとんどおらず、今晩はスタッフが私だけのために残って待ってくれているようなので、プレッシャーを受けて慌てて食べる。
更には"シャワーはいつ浴びる?"と聞かれる。ん、自由でないのか??ここでもプレッシャーを感じ"21:00"と答えてしまったので、食後、一旦ゲルに戻りシャワーを浴びる準備をしてから再び、レストラン棟へと戻る。こうしてレストラン棟とゲルの間を何回か往復していると大した距離ではないが、面倒臭くなってくる。
で、シャワールームを案内してもらうとなぜ"何時から?"と聞かれたのか謎が解けた。レストラン棟2階の案内されたその場所は、いわゆるホテルの普通の客室で、そこのバスルームを共用として貸し出しているのである。これだとその時間帯は一人が占有してしまう形になる。そこにはバスタオルと1回きりのシャンプーだけは用意してあるのでそれらを使わせてもらう。今日も大分砂埃を被ったので、気持ち良かった。ただ、なんか、人の部屋のシャワーを使わせてもらった気分で少し不思議な感覚だった。

さて、大自然に戻ってきたので、暗くなれば星空を期待したいところ。ただ、今日は午後からずっと曇空。先程、シャワーを浴びに行く際に、山の上にキレイな夕焼けが見えたが、それは一部で、やはり雲は多目。念のために、完全に暗くなった22:00と23:00に外へ出て星チェックをするが、完全に曇っているので諦め。23:00過ぎに消灯。
