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【実演】外国人の患者さんへの説明を、AIにその場で"やさしい英語"にしてもらった

薬局や病院で、英語がメインの患者さんに服薬の説明をする場面。「言いたいことは分かっているのに、英語でうまく、正確に伝えられない」——そんな瞬間はありませんか。

前回は「専門用語の壁」をAIに越えさせました(→ https://note.com/rain_dual_ai/n/n5fad56bc13e5 )。今日は「言語の壁」です。

私は薬剤師です。日本語の服薬説明を、AIに数秒で"やさしい英語"へ書き直させる様子を、実際のBefore→Afterでそのままお見せします。

この記事を読むとわかること

  • なぜ「その場で、正確な英語の説明」は難しいのか

  • 日本語の服薬指示を、AIにやさしい英語へ訳させた実物(Before → After)

  • そのまま真似できる、頼み方の"型"と、渡す前の絶対ルール

なぜ「その場で英語の説明」は難しいのか?

服薬指導で伝えるべきことは、実はけっこう多い。飲む回数、タイミング、日数、飲みきりの指示、そして副作用が出たときの対応。これを正確に、かつ相手に伝わる英語で、その場で組み立てるのは、英語が得意な人でも負担が大きい作業です。

翻訳アプリに丸投げすると、今度は逆に硬すぎたり、大事な「してほしいこと」が抜けたりする。医療の説明で情報が抜けるのは、いちばん困ります。

「正確に」「やさしく」「省かず」。この3つを同時に満たす下訳は、AIが得意なところです。実際にやってみます。

【実演】この日本語の説明を、AIに英語化させてみた

抗菌薬(抗生物質)を初めてお渡しするときの、よくある説明文です。

● Before(日本語の説明)

この抗菌薬を、1日3回、毎食後に飲んでください。5日分あります。途中で症状が良くなっても、最後まで飲みきってください。もし発疹・かゆみ・息苦しさが出たら、すぐに飲むのをやめて、こちらに連絡してください。

「飲みきり」も「副作用が出たときの行動」も入った、中身の詰まった説明です。これをAIに、こう頼みます。

● 私がAIに送った指示

次の服薬説明を、英語が母語の患者さん向けに、やさしい英語(plain English)へ訳してください。
・中学英語レベルの、やさしい言葉で
・飲み方・日数・「飲みきり」・副作用が出たときの行動は、絶対に省かない
・箇条書きで、短く

● After(AIの英訳)

・Take this antibiotic 3 times a day, after each meal (breakfast, lunch, and dinner).
・You have a 5-day supply.
Even if you feel better, keep taking it until it is all finished.
・If you get a rash, itching, or trouble breathing, stop taking it and contact us right away.

日本語で伝えたかった中身が、やさしい英語のまま、ひとつも抜けずに並んでいます。かかった時間は数秒。「飲みきってください(keep taking it until it is all finished)」のような、抜けやすいけれど大事な一文も残っています。

どう頼めば、いい訳が返ってくる?

コツは、丸投げしないこと。上の指示に入れた"型"が効いています。

  1. 誰向けか(英語が母語の患者さん/中学英語レベルで)

  2. やさしい言葉で(plain English、専門用語は避ける)

  3. 省いてはいけない情報を名指しする(飲み方・日数・飲みきり・副作用時の行動)

  4. 形と長さ(箇条書き・短く)

特に3つ目。翻訳ツールに任せると、丁寧に訳そうとして大事な「してほしいこと」がぼやけることがあります。「飲みきり」「副作用が出たらどうするか」は絶対に残す、と名指しで釘を刺す。ここが人間の腕の見せどころです。

渡す前の、絶対ルール

便利ですが、そのまま患者さんに渡してはいけません。3つ守ってください。

① 出す前に、必ず内容を確認する。
AIの訳は"下訳"です。医療の説明として過不足がないか、ニュアンスがずれていないかは、必ず人間が確認する。可能なら英語が得意なスタッフのチェックも。最終的に患者さんに渡す言葉は、確認したものだけにする——この線は絶対です。

② 患者さんの個人情報は入れない。
訳させたいのは「一般的な服薬説明」であって、特定の患者さんの情報ではありません。氏名・ID・具体的な経過などは入力しない。(この線引きは前々回の記事に詳しく → https://note.com/rain_dual_ai/n/n7060b00865ca

③ 「英語=万能」と思い込まない。
日本にいる外国人患者さんの母語は、英語とは限りません。相手にとって英語も第二言語のことは多い。だから訳文は補助と考え、やさしい日本語・口頭・実物(薬の袋を指さす)も併用する。 どの言語で・どのレベルで渡すのが一番伝わるかを選ぶのは、人間の仕事です。

まとめ

「正確に・やさしく・省かず」を、その場で外国語で組み立てる。これは負担の大きい作業です。そこはAIに下訳させて、人間は"省かせない情報の指定"と"最終確認"、そして"どう渡すか"の判断に集中する。そうすると、伝わり方もスピードも上がります。

今日すぐできることは一つだけ。手元の服薬説明を一つ、AIに「中学英語レベルのやさしい英語に。飲み方と副作用は省かないで」と頼んでみてください。 返ってきた文を見れば、使いどころがきっと掴めます。


※本記事は特定の薬剤・治療を説明するものではなく、AIの翻訳機能の使い方を紹介するものです。実際の患者さんへの説明・服薬指導は、必ず有資格者の確認のうえで行ってください。

この記事が「AI、こういう使い方があったか」と思うきっかけになったら嬉しいです。

🧱 壁シリーズ(全5回・無料)をまとめて読む → https://note.com/rain_dual_ai/m/m30e137ca5c75
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