妻のひと言はクセになる
家の中でたまに息ができなくなる。笑い過ぎてだ。
これまで息子の言動に振り回されながらも、ニヤリと幸せを感じる、そんなエピソードを書いてきた。だが、ニヤリを超える大笑い、息ができなくなるほどの爆笑をもたらすのは、いつも妻のひと言だ。
根っからの関西人である妻は、関東生活が10年近くなった今も、バリバリの関西弁を操っている。その関西魂は、アウェイの場でも健在だ。
以前、児童館で暴れ回る長男に対し、圧力満点の関西弁で応戦していたところ、それまで関西出身を隠していた別のママから「実は私もなんです。カッコいいですね!」と声をかけられたそう。今ではママ友だ。
ただ、性格としては引っ込み思案で、前に前にタイプではない。圧力満点の関西弁も、教育上仕方なく発されたものである。
私が好きなのは、全てをひっくり返すような、妻の唐突なひと言。そんな妻のひと言はnoteでもいくつか紹介した。
「視力が落ちたかも」と呟いた私に「じゃあ、私についてこられへんようになるやん」と、突然の突き離すひと言。そもそも私は普段から妻の後ろをついて歩いてはいない。
関東への引越しが決まり、故郷を離れ新たな地へ降り立ってすぐ「マックあるやん」と思わぬ適応力を見せたり。新幹線に乗り込むまで「マクド」と言っていたはずだ。
その度に声を出して笑う私を見て、少し恥ずかしそうに赤面しながら、つられて笑い出す、そんな瞬間が私は好きなのだ。
では最後に、かれこれ10年以上経った今もなお、私が擦り続けている妻のひと言を味わってもらいたい。
あれはまだ結婚する前だ。妻の誕生日旅行を企画した。かなりの大金をはたき、所謂ハイクラスの旅館を予約済。妻には内緒である。
プラン通りに観光地散策、モノづくり体験を終え、着々とフィナーレに向かっていく誕生日旅行。サプライズの行方にドキドキしながら、私はハンドルを握っていた。
そして、陽が落ちはじめ、あたりが薄暗くなった頃、待ちに待った旅館に到着。ライトアップされたその佇まいは、まさにハイクラス。
「バリ荘厳やん!」
妻だ。ハイクラスの旅館をものの見事にひと言で表現する『荘厳』。そこに『バリ』を足すそのセンス。圧巻だった。
爆笑の熱が冷めやらぬまま、2人揃って顔を綻ばせ、女将さんに迎え入れられたあの瞬間。そして、その瞬間を思い出し爆笑する今の瞬間。大好きだ。そんな瞬間を生み出し続ける、妻のひと言は、もうやめられない。
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