第1回 フィジカルAIブームに待った!本当に必要なのは「AI人材」ではなく「統合できる人材」である
生成AIの次に来る大きな潮流として、「フィジカルAI」という言葉が注目され始めています。
フィジカルAIとは、単に画面の中で文章を作成したり、画像を生成したりするAIではありません。ロボット、センサー、IoT、カメラ、通信、ネットワーク、クラウド、エッジコンピューティングなどと連携し、現実世界の中で判断し、動き、作業を支援するAIです。
つまり、AIが「考える」だけでなく、現場で「見る」「判断する」「動く」時代が近づいているということです。
この流れ自体は、間違いなく大きな可能性を持っています。人手不足、熟練者不足、現場の高齢化、危険作業の代替、生産性向上など、日本企業が抱える課題を考えれば、フィジカルAIへの期待が高まるのは当然です。
しかし、ここで私はあえて言いたいと思います。
フィジカルAIブームに待った!
なぜなら、日本国内には、フィジカルAIを本当の意味で導入・活用・支援できる人材が、まだ圧倒的に不足しているからです。
AIに詳しい人はいます。ロボットに詳しい人もいます。IoTに詳しい人もいます。通信やネットワークに詳しい人もいます。現場改善に強い人もいます。
しかし、それらを横断的に理解し、企業の経営課題、現場課題、業務プロセス、投資対効果まで含めて、全体最適として設計できる人材はどれほどいるでしょうか。
ここが最大の問題です。
日本のデジタル化は、長い間「個別最適」で進められてきました。部門ごとにシステムを入れる。工程ごとに機械を入れる。現場ごとにツールを入れる。必要になったところだけを部分的に改善する。
その結果、IT、ロボット、IoT、AI、ネットワークがバラバラに存在し、企業全体の生産性向上や新しい価値創造につながらないケースが多く見られます。
これは、これまでのDXでも同じでした。
「システムを入れたが成果が出ない」
「AIを導入したが現場で使われない」
「IoTでデータを取ったが活用できない」
「ロボットを入れたが工程全体が変わらない」
こうした失敗の根本には、技術そのものの問題ではなく、技術を経営と現場に結びつける人材の不足があります。
フィジカルAI時代に必要なのは、単なるAI人材ではありません。単なるロボット技術者でもありません。単なるIT人材でもありません。
必要なのは、現場を理解し、業務を分解し、データの流れを設計し、AI・IoT・ロボット・通信・ネットワークを組み合わせ、企業変革につなげることができる人材です。
まさに、RAPAが育成してきたRAD、RAPのような人材が必要になる時代です。
RADは、ロボティクス・オートメーションを現場改善や業務改善の視点から理解する人材です。RAPは、より上位の立場から、企業の課題を整理し、自動化・省人化・高度化の構想を描き、経営と現場をつなぐ人材です。
フィジカルAIは、技術の流行語ではありません。企業の現場そのものを変える可能性を持った、大きな変革テーマです。
だからこそ、流行に飛びつくだけでは危険です。
ロボットを買えばよい。AIを入れればよい。IoTをつなげばよい。そうした発想では、また同じ失敗を繰り返します。
重要なのは、何を自動化するのか。どこにAIを使うのか。どのデータを取得するのか。どの工程を変えるのか。人の役割をどう再設計するのか。そして、それが企業の成長にどうつながるのか。
この問いに答えられる人材こそが、これからのDX人材です。
フィジカルAI時代は、単なる技術導入の時代ではありません。
技術を統合し、現場を変え、企業を変革できる人材が選ばれる時代です。
この連載では、フィジカルAIブームの本質を見極めながら、なぜ日本企業にはRAD・RAPのような人材が必要なのか、そしてこれからのDX人材はどうあるべきなのかを、全10回にわたって考えていきます。
国内オンリーワン!AI・IoT・ロボティクス・オートメーションの総合DX系資格認定協会グループです。
➡一般社団法人AI・IoT普及推進協会ホームページはこちら
➡一般社団法人ロボティクス・オートメーション普及推進協会ホームページはこちら
