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【連載⑦】マッキンゼー流のロジックで、離職率60%の絶望施設を再生させた話 【第7章】「J-CKP 30」の正体

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https://note.com/ready_turtle5896/n/na69079ef92c8

著:高坂涼介(社会福祉法人いちご会)
介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣表彰及び厚生労働大臣表彰 厚生労働大臣奨励賞受賞・介護労働安定センター理事長表彰 最優秀賞(日本一)受賞

👇前の記事:【連載⑥】第6章:「いい人を、採ってくれた」

「J-CKP 30」の正体

物語を、誰でも回せる型に変える


なぜ、型にするのか

ここまで、1つの法人で起きたことを書いてきた。
80人を歩き、CKPという翻訳術にたどり着き、会議を変え、父と対峙し、採用を設計しなおした。

だが、それだけなら、ただの一施設の体験談で終わる。

「あなただからできたんでしょう」と言われて、終わりだ。

僕が本当に伝えたいのは、体験談ではない。

型だ。

誰が、どの現場でやっても、同じように回る型。

それを、この章でぜんぶ開く。

その型に、名前をつけた。
『J-CKP 30』

最初は、ただの我流だった。

J-CKP 30 を、分解する

「J」は、仁。
人を大切にする、心。

「C・K・P」は、第三章で書いた。
ちょっと・変えて・ぱくる。
一流の理論や他社の知恵を、現場流に翻訳して、すぐ使える形にする変換術だ。

「30」は、第4章の30分会議。
だらだら報告する場を、決める場に変える、時間と決定の規律だ。

そして、最も大事なことを言う。
C も K も P も 30 も、それ単体は、ただの道具だ。

第一章を思い出してほしい。
CKP も30分も持たない、数字だけの「効率のメス」は、初日のLINEの前で、無残に敗けた。

逆に、仁だけあってCKPも規律もなければ、第6章の父がそうだった。
基準のない優しさは、迎えた本人を、いちばん苦しめた。

仁が、CKP と規律に進むべき方向を与える。
CKP と規律が、仁を、現実を動かす力に変える。
どちらが欠けても、組織は灯らない。

J(仁)が、すべてを統べる。
これが、J-CKP 30 の設計思想の、ぜんぶだ。

仁がなければ、CKPは効率のメスになる。

規律がなければ、仁は感情論になる。

この2つが噛み合ったとき、組織は初めて、動き始める。

第1の歯車 『聴く』

仁が最初に手を動かすのは、分析ではない。
傾聴だ。

具体的には、現場の「声にならない声」を、匿名のアンケートで集める。
ここに、勘どころが3つある。

1つ。設問の順番。
最初に「この職場の良いところ」を書かせる。
次に「働きやすいと感じる点」を。
不満と要望を聞くのは、いちばん最後だ。

先に良い点を言葉にしてもらうと、人の防御が下りる。
その状態で初めて、本音の不満が出てくる。

『承認から入って、改善で出る』
この本で何度も出てきた型を、設問の設計そのものに埋め込む。

2つ。配る前に、語る。
アンケート用紙を、黙って配ってはいけない。
配る前に、リーダー自身が、本気で語る。
この職場を、本当に良くしたいんだ、と。

3つ。目的を、置き換える。
「評価のため」でも「不満を集めるため」でもない。

『いい人を採るために、この職場の良いところを教えてほしい』

そう、はっきりアナウンスする。
脅威が消える。
自分の声が、未来の仲間を選ぶことに使われると分かると、人は、正直に書きたくなる。

――――――――――――――――――――

初めてアンケートを配ったのは、2020年6月だった。
「どうせ何も変わらない」という空気は、あった。

わかりきっていた。それが普通だ。

何年も声を上げても何も変わらなかった職場で、突然アンケートを配られても、信じろという方が無理だ。

でも、その空気の中でも、1人だけでも本気で書いてくれる人がいれば、それでいいと思っていた。

全員を変えようとしていなかった。その1人のために、全力でやる。

その積み重ねが、やがて2人になり、5人になり、73人になっていった。

朝礼を止めて、僕は、集まった職員の前に立った。
「みなさんに、1枚書いてもらいたいものがあります」
シーンとなった。

「この職場を、もっと良くしたいんです。正直に言うと、いい人に来てほしいんです。でも、いい人に来てもらうには、この職場の本当のよさを、自分たちが知らないといけない。だから、まず教えてほしいんです。ここの、いいところを」

「書いてもらった内容は、全部、ぼくが読みます。そして、全部に、返事を書きます」

配った後、まだ誰も書いていない。

当然だ。
最初はそういうものだ。

でも、73名が回答してくれた。

意外に出してくれる、という印象だった。

開いてみると、出るわ出るわ、不満の嵐だった。

「上司に言っても無駄」
「言っても解決してくれない」
「頑張っても頑張らなくても給与は一緒」
「評価されているのかわからない」
「リーダーを日中に見ない」
「従業員が疲れきっている」
「笑顔がない」

これは、悪い会社の典型だ。
現在地は、「悪い会社」だった。

でも、73人が声を出してくれた。それ自体が、希望だった。

第2の歯車 『全件、応える』

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