中高年からの筋トレ、最適な「トレーニング量」とは? 最新研究が明かす驚きの事実
前回の記事では、加齢に伴って減りやすい筋肉と、減りにくい筋肉があることをお伝えしました。
では、減りやすい筋肉を守り、取り戻すためには、どれくらいの筋トレが必要なのでしょうか。
「筋トレを始めたいけれど、きつい運動は続けられそうにない」
「毎日のようにジムへ通わないと効果は出ないのでは?」
こうした不安から、最初の一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。特に40代から60代にかけては、仕事や家庭の事情もあり、できるだけ効率よく結果を出したいと考えるものです。
これまで「筋肉をつけるには、たくさんトレーニングしなければならない」という考え方が一般的でした。しかし近年、その常識を見直す研究結果が報告されています。
今回は、最新の研究報告をもとに、「中高年の最適なトレーニングの総負荷量(ボリューム)」についてわかりやすく解説していきます。
◆ 加齢にともない「筋トレの刺激」に鈍感になる?
「健康には自信がある」という方でも、40歳を過ぎると体の中では大きな変化が起きています。
実は、40歳から80歳の間で、日本人の筋肉量は1割以上も減少します。さらに深刻なのが「筋力」で、男性は約42%、女性は約35%も低下し、筋肉量よりもはるかに速いスピードで衰えてしまうのです。
これに対抗する最大の手段が「筋トレ」です。
しかし、ここで問題となるのが「高齢者の筋肉は刺激に反応しにくい」という事実です。これは「同化抵抗性(アナボリック抵抗性)」と呼ばれ、いわば筋肉の成長スイッチが入りにくくなっている状態を指します。
そのため、これまでは「鈍くなったスイッチを入れるには、若者以上にたくさんの運動量(高ボリューム)が必要だ」と考えられてきました。長時間、強い刺激を与え続けなければ効果が出ない――それが、長らく信じられてきた常識だったのです。
◆ 「たくさんトレーニングしないとダメ」説に生じた疑問
「やはり、ハードな運動をしないと意味がないのか……」と諦めるのはまだ早いです。
実は、過去のデータをひも解くと「必ずしもそうとは限らない」という意外な事実が見えてくるのです。
例えば、過去に行われたいくつかの統合的な分析では、「たくさんトレーニングした場合(高ボリューム)」と「少ししかしなかった場合(低ボリューム)」で、筋力や筋肉のサイズアップ効果にほとんど差がなかったという報告があります 。
なぜ、「量は多い方がいい」という説と「少なくても変わらない」という説が食い違っているのでしょうか?
その原因は、参加者の年齢や健康状態がバラバラだったり、「量」の定義が曖昧だったりと、研究によって条件が異なっていたことにあります 。
さらに、「期間」の問題もあります。始めてから20週間以内の「短期」なら少ない運動でも効果が出るけれど、それ以上長く続けるなら、やはり量を増やさないと効果が頭打ちになる(収穫逓減の法則)のではないか?という指摘もあります 。
つまり、これまでは「誰に、どれくらいの期間、どれくらいの量がベストなのか」という確実な答えが出ていなかったのです。
そこで今回、これら全ての疑問に決着をつけるべく、大規模な解析が行われました。
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