シャーレの中の宇宙~瑠璃の宝石 第4話~
瑠璃の宝石第4話の感想です。今回は、これまでとは一転、研究室で顕微鏡を覗いてサファイアを探すという地味な話です。しかし、地味な回でも重要な話がたくさん盛り込まれていました。
毎回思うのですが、凪のキャラクターが本当によくできていると思います。瑠璃に対する指導的役割はもちろんのこと、物語のナビゲーターとしての役割も担っています。
今回も、凪は様々な場面で、優しくそして時に厳しく瑠璃を導きます。そして、鉱物学の知識を活かした彼女の言葉は、単なる解説に留まらず、瑠璃の心に深く響きます。
瑠璃は、川砂の採取に出かける前、今までは山に行って広いところで探していたのに、狭いところを覗くだけでは、ワクワク感がないと言っていました。そう言う瑠璃に凪は、こう語りかけます。
「(シャーレの中は)狭く切り取られているかもしれないが、砂の中に見える世界は広い。本当に広いぞ。」
しかし、採取した川砂をシャーレに取り、顕微鏡を覗いて小さなサファイアを探すという地味で単純な作業に、瑠璃はすぐに音を上げてしまいます。その時、凪は川砂の奥深さを語り始めます。
「この砂はどこから運ばれてきたと思う? 石は動く。全て上流から運ばれて来たものだ。そのひと粒ひと粒はもともと山にあった石。本来、山に入り歩き回ってはじめて目にできるひと粒だ。」
「つまり川砂には理論上、山の石がすべて含まれていることになる。山でいくら採集をしても、すべての石を把握することは難しい。だがこのシャーレの中では、それが可能になっているんだ。」
「一見狭く感じても、そこには現実以上に広い世界が見えているんだよ。」
「たったひと粒でいい。見つけられたら、その先の本当の産地に行くための大きな足がかりになってくれるんだよ。」
瑠璃は凪にそう説明され、顕微鏡で砂粒を覗きながら、シャーレの中は本当に広いのかもしれないと思いを新たにします。
凪はそれだけでなく、鉱物採集に関する「科学的アプローチ」の重要性について話します。
川砂の中からサファイアを見つけて瑠璃は喜び、産地を探しに行こうと言いますが、凪はこのまま川砂の調査を続けようと言います。
「川砂の場合は、サファイアの産地となる山を目指し、川を逆に辿る。まずは存在を確認しつつ、上流を目指す。分岐点では両方を確認。そして、どこかでこれ以上上流では見つからなかったとなれば、産地はこの間にあるという予測が立てられる。すると歩いて探す範囲は、かなり絞ることができる。しかも、この方法は常に目標を補足しながら産地を目指せる。採集、観察、検証を繰り返し、正しい道をたどる。科学的アプローチだ。」
「(この方法は)確信を持って動けるからミスが少ない。私は川砂(の調査)の方を勧める。」
凪の明快な説明に納得した瑠璃は、川砂の調査を続け、必ずサファイアの産地を見つけ出すと決意します。
しかし、瑠璃は根気のいる作業に幾度となく挫折しかけます。そして、楽をしたい一心で、川の合流地点では、サファイアが見つかった方だけ調査すればよいではないか、と主張します。しかし凪は、「ないなら、ないと確認する必要がある」と言って、満面の笑みで擦り寄る瑠璃の提案を、逆ににっこりと微笑んで「だめだ」と一蹴します。当然の返答ですが、凪の科学者としての矜持が垣間見えます。この二人のやり取りは、コミカルで非常に面白いです。
そんな中、瑠璃も成長した一面を見せます。伊万里に「(凪さんも私も)どっちも楽しようと行っているだけなのに何が違うんだろう」と疑問を投げかけます。すると伊万里から「余分な仕事だけを減らす荒砥先輩と必要な仕事まで減らす瑠璃ちゃん。荒砥先輩が言っていることは効率化、瑠璃ちゃんが言っていることは、手抜き?」と核心を突かれてしまいます。さらに「砂の観察を効率化したいなら、砂のことをもっと理解してみたらどうかな。」と諭されます。
そう言われ、顕微鏡で砂を覗いていた瑠璃は、磁鉄鉱が多く含まれていることに気づきます。そして、磁石を使って砂の中から磁鉄鉱を取り除くことを思い立ち、わずかながら砂を減らすことに成功します。これには凪からも「何度もやる作業では大きな差だ。この方法は毎回続けよう。」とお褒めの言葉を預かります。
こうしてみると、凪は瑠璃をやる気にさせる術に長けています。一方、瑠璃も大学という一歩先の世界を知ることにより、大きな成長を遂げていきます。
今週の鉱物は「タングステン」です。タングステンは、元素記号W、原子番号74、金属の一種で、周期表の「遷移金属」に分類されます。
主な特徴としては、とても重い金属で、鉄の約1.7倍の重さがあり、密度は金やウランに近いくらい大きいです。融点が非常に高く、金属の中で一番高い融点(約3,422℃)を持っています。だから熱にとても強いです。単体では少しもろいですが、炭素と結びついた「炭化タングステン」にすると非常に硬く、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。
主な用途としは、白熱電球のフィラメント(熱に強いので昔から使われてきた)、切削工具やドリルの刃(炭化タングステンとして)、軍事用途(弾芯、装甲貫徹弾など。重くて硬い特性を活用)、電気接点や電子部品(高温や高電流に耐えるため)などがあります。
名前の由来は、スウェーデン語で「重い石」を意味する言葉から名付けられました。
タングステンは、自然界では純粋な金属として産出せず、鉱石の形で見つかります。代表的なのは、灰重石(scheelite, CaWO₄)で白や黄色の結晶で、紫外線を当てると青白く光ります(蛍光性)。世界中のタングステン資源の重要な鉱石です。
鉄マンガン重石(wolframite, (Fe,Mn)WO₄)は、黒っぽい重たい鉱石で、「ウォルフラム(W)」という元素記号の由来になった鉱石です。
こうした鉱石から化学的に精製して金属タングステンを取り出します。
現在、タングステンは 中国が世界最大の生産国 です。世界シェアの約8割を占めています。ロシア、ポルトガル、ボリビア、オーストリア、ベトナム、ルワンダなどです。特に中国の「灰重石(CaWO₄)」や「鉄マンガン重石((Fe,Mn)WO₄)」鉱床は世界的に有名です。
日本でもタングステン鉱床は発見され、かつては採掘も行われていました。
代表的なのは、岐阜県の神岡鉱山で、灰重石を産出し戦前から戦後にかけて重要な供給源でした。大分県の尾平鉱山(おびらこうざん)は銀・鉛とともにタングステン鉱も産出していました。
しかし日本の鉱山は資源量が限られており、現在はほとんど閉山しています。そのため、タングステンは 輸入依存(ほぼ中国)となっています。
以上、瑠璃の宝石第4話の感想でした。今回、瀬戸硝子がクラスメイトとしてセリフ無しで数回登場していました。最初見たときは全く意識していなかったのですが、改めて見返してこんなに登場していたのだと驚きました。メインキャラクターの一人なので当然なのですが、この「鉱物少女」が瑠璃にとって大切な友人となっていきます。それでは、また次回。
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