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第二十五話 海|新しい春

第三章 ユウ先輩編
第二十五話 「海」


BBQが終わると、
宿から歩いてすぐの海へ
みんなで向かった。


砂浜に着くと、
ユリが真っ先にサンダルを脱いだ。

「ねぇ!海入ろー!」

ナナも続いて、
私もサンダルを脱いだ。

最初は、
足だけ入るつもりだった。

「冷たっ。」

「気持ちいいね!」

波が来るたびに、
三人で逃げたり、
水をかけ合ったり。

気づけば、
服まで結構濡れていた。

「もうどうでもいっか。」

ナナが笑う。

「帰りどうするの?」

そう言いながら、
私も笑った。

少し離れたところでは、
先輩たちも海に入っていた。

その中に、
ユウ先輩を見つけた。

ハヤト先輩が、
ユウ先輩に思いきり水をかける。

「冷たっ。」

ユウ先輩が笑いながら、
すぐにやり返した。

「おい、やめろって!」

そう言いながら、
ハヤト先輩も笑っている。

そのうち二人とも本気になって、
バシャバシャ水をかけ合っていた。

ユウ先輩が、
あんなふうにはしゃいでいるのを
初めて見た。

いつもは、
何を考えているのか分からなくて、
どこか落ち着いて見えるのに。

今は、
子どもみたいに笑っている。

なんか、いいな。
可愛い。

落ち着いていて、
かっこいいと思うことは
今までにもあったけど、

こういう無邪気なユウ先輩も、
好きだなと思った。



「リオー!」

名前を呼ばれて、
ユウ先輩の方を見る。

「何ですか?」

「ぼーっとしてるとやられるよ。」

そう言った直後、
ユウ先輩が私に水をかけた。

「ちょっと!」

笑っているユウ先輩を見て、
私も水をすくってかけ返す。

「うわ、冷た。」

「先輩が先にやったんですよー。」

「そんな本気でかけてないって。」

「同じくらいです。」

「絶対違う。」

ユウ先輩が笑う。
私も笑った。


「リオ、こっち!」

ナナに呼ばれて、
また三人で波打ち際を走る。

そのあとも、
みんなで水をかけ合ったり、
写真を撮ったり。

海にいるだけで、
なんだか楽しかった。

しばらくして、
ユリとナナと砂浜に座る。

「疲れたー。」

ナナが砂の上に寝転がる。

「まだ一日目だよ。」

「体力もたなーい。」

二人と話しながら、
海を見る。

ユウ先輩は、
まだハヤト先輩たちと遊んでいた。

また何かされて、
大きな声で笑っている。

あんなふうに笑うんだ。

サークルで話しているときとは、
ちょっと違う。

BBQでは、
料理をすることを知った。

海では、
子どもみたいにはしゃぐことを知った。

まだ合宿が始まって
一日も経っていないのに、
知らなかったユウ先輩を、
もう二つも知った。

もっと知りたいと思っていたから、
嬉しい。

でも困ったことに、

知るたびに、
また好きになっていた。

第二十六話へ続く



私の高校生の頃の恋は
こちらから🌸


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