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miciluce
【シロクマ文芸部】猫を飼う|エッセイ
タイトル:猫を飼う、ということの間で
猫を飼う。
その言葉を思い浮かべると、
やわらかい毛並みや、気まぐれな仕草が先に浮かぶ。
一緒に過ごす時間のあたたかさ。
静かな部屋にある、やさしい気配。
ときどき、また飼いたいと思うことがある。
何気ない日常の中に、
もう一度あの存在があったら、と。
でも同時に、別の記憶も浮かぶ。
昔飼っていた猫のこと。
当たり前のようにそこにいて、
当たり前のようにいなくなった日。
あのときの喪失感は、
言葉にしきれないほど大きかった。
部屋の空気が、急に軽くなりすぎて、
何かが抜け落ちたような感覚。
もう二度と、あんな思いはしたくない。
そう思って、
もう飼わないと決めたはずだった。
それでも、ふとした瞬間に、
猫の姿を目で追ってしまう。
動画や、写真や、
すれ違うだけの猫でも。
そのたびに、心のどこかが少しだけ揺れる。
飼いたい気持ちと、
失いたくない気持ち。
どちらも本当で、
どちらも消せない。
だから今は、
その間にいる。
無理に決めなくてもいいのかもしれない。
また出会う日が来るかもしれないし、
来ないかもしれない。
それでも、あの時間があったことは、
変わらずここに残っている。
猫を飼う、ということは、
ただ一緒にいることだけじゃなくて、
その先の別れまで含めて、
受け入れることなのかもしれない。
まだ、その覚悟はできていない。
でも、思い出すたびに、
やさしい気持ちになるのも確かだ。
それだけでも、
今は十分なのだと思う。
了

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