見出し画像

【医療―教育連携シリーズ③】学校と医療がつながると、子どもの支援はこう変わります 

私はスクールカウンセラーとして学校現場に入っています。
また、普段は医療機関でお子さんの検査やカウンセリング、
学校や関係機関との連携学校を担当しています。

そうした学校と医療とのはざまでさまざまな悩みを抱えて
きたことはこれまでの記事でまとめました。


今回の記事では、

医療と学校との連携で
どれだけお子さんの支援が変わるか
をまとめていきたいと思います。


尚、連携については全てのケースで行っている訳ではなく、

保護者とお子さん自身から希望が上がった場合
②服薬などの他に環境調整が必要だと判断されたうち、
 病院から保護者とお子さんにその旨を伝えて同意が得られた場合

に限られます。

医療にも学校にも守秘義務がある

ので、
すべてのケースで連携が取れるわけではありません。
それでも私が勤めている病院の場合、

8~9割のお子さん・保護者さまが
医療ー教育の連携を希望されている

印象です。

それでは、さっそく見ていきましょう!

(以下は全て私が勤めている病院の話ですので、
一般的で無いところも多々あります。予めご了承ください。)


①家庭を中継せずに病院と学校が協働できる


コレ、意外と保護者さんからのニーズが多く聞かれます。

親も仕事があり、
日々生じる出来事に
すべて対応できるわけではありません。

保護者を中継して医療と学校が連携しようとすると、
ものすごい負担が保護者にかかります。

そこで、
ちょっとしたトラブルがあった時の環境配慮などを、

直接担任と心理士でやりとり
(だいたい1回5~10分程度の電話で)

できるようにしています。

細々とした相談が増えそうであれば、
当該校担当のスクールカウンセラーに
医療と学校との中継として入っていただく
形をとったりします。

この場合、

病院はスクールカウンセラーが
悩んだり困った際のバックアップに入る

スタンスとなります。

②スクールソーシャルワーカー(SSW)がアウトリーチ


当院に医療とSSWのダブルワークをしている
精神保健福祉士がいるため、
担当地区内で要請があればSSWとしてアウトリーチしています。

SSWは

福祉制度の活用や
医療と行政・教育とのつなぎ

などで大活躍しています。
私も日頃から多くのケースを
精神保健福祉士とやり取りしています。

家族ぐるみで付き合いもある頼れる仲間の一人です♪

③担当者会議への参加


個別支援計画のすり合わせや
トラブル時の対応など、
支援者同士(学校と放デイなど)が
集まって行うミーティング(担当者会議)に
出席し、

服薬状況や病院としての支援方針の共有

をしています。

その他、
各場面で方針がズレて家庭が混乱したり、
学校ー家庭で上手く足並みが揃わない場合に

第三者として間を取り持つ形で医療が介入

するケースもあります。

④検査結果を伝える際の担任同席


とくに保護者の方から希望がある場合、
検査結果をお伝えする時に担任の先生に同席していただき、

その場で

配慮すべき点や伸ばしていきたい能力などを共有

しています。

それを踏まえて、
担任の先生から教室で出来ることと
出来ないことを上げていただき、

現実的にどのような配慮が可能か

をその場でやりとりしています。

⑤当事者不在カウンセリング


通常カウンセリングは
お子さん本人(以下、当事者)
に対して行ないます。

でも、
スクールカウンセリング場面では
不登校のお子さんの保護者面接など、
当事者がいないまま進行する
カウンセリングの形態が存在します。

これは児童思春期外来でも起こり得ることであり、
実際に

「子どもが通院拒否したので親だけ来ました」

あるいは

「子どもが『自分は何も悪いところが無いから
病院には行きたくない』と言っています」

のようなパターンがたびたびあります。

学校では不安で教室に入れない。
同級生とも会えない。

朝ちょっとの間だけ親付き添いで登校し、
昇降口で担任と軽く会話して帰宅するような
限られた担任ー生徒の関係。

こういう場合、
病院でアセスメントを行なって
担任と協働していくことが突破口になったりします。

例えば、
お子さんが好きでよく見ているアニメの話を
保護者さんから聞くことができれば、

それだけで介入できる場合もあります

もしそうした話が聞けた場合、
心理士から担任の先生に対し

「生徒さんと話が出来そうな時に、

好きなアニメの話題

を振ってみてください。
そして、

そのアニメの登場人物で一番臆病なキャラクター

あるいは

自分に自信が持てずにいるキャラクター
(ドラえもんでいえばのび太くん的な)

を聞いてみてください

と伝えます。
そして、

「キャラクターの名前が聞けたら、生徒さんに

『もしかしたら、○○くん(さん)も不安な時に、
(そのキャラクターの名前)が背中についているのかもね』

と伝えてみてください。
そして、
お子さんの背中についているそのキャラクターが

出てきやすい時間帯や場所

逆に

出てきにくい時間帯や場所、

はあるのか、生徒さんに聞いてみてください」

と伝えたりします。
いわゆる『問題の外在化』というテクニックですね。

表面上はアニメに関する単なる雑談ですが、
裏の意味として

生徒さんが不安になりやすい傾向やその対策、
解決像についての内容が埋め込まれた心理療法的な雑談

を担任と生徒さんの間で行ってもらうよう
促すことができます。

このようにして直接お子さんが病院に来れない場合でも、

あらゆる資源を利用して間接的に介入

していくことが可能になります。

まさに医療と学校との連携によって
垣根を飛び越える多層的なアプローチができるのです。

⑥受験時の合理的配慮を共同で考える


以下の表は公立高校入試時の
神経発達症(ASD,LD,ADHD)に適用された合理的配慮の前例・実績です。

事前に病院にご相談いただくことで、
お子さんに必要な配慮をしっかりとキープした状態で
受験に臨むことができるようになります。

お子さんにとって必要な配慮は、
遠慮せずに申請していきましょう。

受験時の合理的配慮一覧


⑦病院から進学先への「合理的配慮事項説明書」の配布


無事に受験も突破して、いよいよ4月から高校入学。
でも、慣れ親しんだ担任の先生もいないし、
上手く環境調整ができるか不安‥。

そんな時、病院で希望がある場合に行なっているのが、
この

「合理的配慮事項説明書」

の配布。

これまでの検査から分かっている
「あった方が良いサポート内容」を心理士がまとめて、
入学前にご家族にお渡ししています。

一口に
「情報を視覚化するのが効果的」
といっても、

文字情報を視覚化すればよいのか
絵・図などで視覚化すればよいのか

お子さんにとって様々です。
中学校の先生とも協力し合いながら、

学校現場からの申し送り

地域からの申し送り

の2つを併せられるよう協働しています。

まとめ

効果的な医療―教育連携ができると、
これまでに無かった柔軟な介入ができるようになります。
もちろん、支援方針は一人ひとりオーダーメイドですので、
上記の例が当てはまらない場合も多くあります。

それでも、
全く異なる職種が協働して模索していくこと自体が、
状況に変化をもたらすきっかけになっていくと考えています。

シリーズを最後までお読みいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!