デザイナーなしでAIに画像を作らせるとき、先に渡すのは3つ
AIに画像の案を頼むと、初稿はすぐ出ます。決まらないのは、そのあとです。
配信用のバナー、SNSの告知画像、チラシの表紙。デザイナーに頼まず自分で作る人ほど、AIに直しを何度出しても「なんか違う」が続きます。私も、あるクライアントの配信用画像で、1日に11通の差し戻しを打ちました。あとで並べ直して分かったのは、AIの腕の問題ではなく、私が渡していなかった前提が原因だったことです。
今日は、その失敗から決めた「頼む前に渡す3つ」と、デザイナーがいなくても自分で仕上げるまでの手順を書きます。私の差し戻しは、途中で具体例として出します。
はじめましての方向けに一行だけ。私はエンジニアではない会社員で、そのかたわら一人でデジタルマーケティングの事業を運営しています。AIで実務を仕組み化する中で分かったことを書いています。
決まらない原因は、文言ではなく見え方にあります
まず、私の11通を数えた結果です。
文言に触れた差し戻しは、3通だけでした。配信の場面ではいらない「無料」の文字を外す。配信の順番が変わったので言い回しを見直す。「今夜」という語を残すかどうか。この3つです。
残る8通は、文言に一切触れていません。全部、見え方への注文でした。
4案が並んだ画面を見て、私はこう返しています。
「4つ目は正直なぜ突然カレンダー?となるので却下」
付箋、チェックカード、タイマー、カレンダー。文言は同じで、絵だけが違う4案です。このとき私の頭には「配信の画面で目にとまる小物」という基準があったのに、AIには渡していませんでした。だからAIは、文言に合いそうな小物を手当たり次第に出してきます。却下は、AIの間違いというより、私が基準を後出しした結果でした。
差し戻しの途中で、自分でもそう書いています。
「現状の課題は内容というよりはデザイン部分になります。」
文言は先に渡していた。見え方は、案を見てから後出しで返していた。 決まらない往復の正体は、ここでした。
色は、AIが目で拾って書いていました
もう一つの失敗は、色です。
何度直しても、色だけが少しずつ外れ続けました。「色もこれであってますか?確認してください。」と聞いて、返ってきたのがこの一文です。
「v4以降ずっと私の指定が間違っていました。目視で拾った値をそのまま指定していたのが原因です。」
案を書くAIは、ブランドの実物の画面を測らずに、見た目で色の値を書いていました。描く側には、その値がそのまま指定として渡ります。私は画面を見て違和感はあったのに、「測って」とは一度も言っていません。
参考探しをAIに任せた結果も、同じ場所に戻ってきました。
「結局いちばん精度の高い参考は、りょうさんが既に共有していた他社の実物でした。」
外のギャラリーを探させても収穫はなく、答えは最初から私の手元にありました。AIに足りなかったのは腕ではなく、実物を基準にすることでした。
頼む前に渡すのは、この3つです
失敗を裏返すと、渡すものは3つに決まります。
1つ目は、決まった文言です。 文言が決まっていないうちに絵を頼むと、文言と見え方の直しが混ざって往復が伸びます。決まっていなければ、文言だけを先に往復して固めます。絵はそのあとです。
2つ目は、見え方の実物を1枚です。 自分が以前作って反応がよかったもの、自分が良いと思った他社のもの、載せる先の画面のスクリーンショット。どれでも構いません。AIに探させるより、自分の手元にある1枚のほうが精度は高い、というのが私の実測です。
3つ目は、実物から測った色とサイズです。 色は見た目で書かせません。実物の画像から色の値を取って渡すか、AIに「実物から測った値を使って」と一言添えます。サイズは、載せる先が公開している画像の仕様に合わせます。
提供元の公式ドキュメントにも、AIは優秀だが自分たちの慣習や文脈を知らない新入社員だと思って、望むことを正確に説明するほど結果が良くなる、という趣旨の一文があります(出典:Anthropic「Prompting best practices」)。私が渡していなかった文脈が、この3つでした。
直しは、見え方の言葉で返します
3つを渡しても、直しはゼロにはなりません。減らせるのは往復の回数です。
私の8通の見え方の注文は、並べると8種類に分かれました。主役(何に目がいくか)。連想(何を思い出させるか)。ボタンらしさ。文字の大きさと置き場所。背景の扱い。イラストか写真か。写真の入れ方。境目の形。
「なんか違う」を、この項目のどれかに置き換えて返すと、1往復で直ります。「付箋に目がいかない」は主役の話、「アンケート用紙を思い出させる」は連想の話です。項目で言えば、AIは直す場所を探さずに済みます。
案は、方向違いで3つ出させて、それぞれ何が違うかを一行で説明させます。似た案が3つ並ぶと選べません。方向が違えば、どれを軸にするかが決まります。
デザイナーがいなくても、ここまでで仕上がります
私の場合、この案はデザイナーに正式発注する前の下書きでした。AIと方向を詰めて、人との往復は最後の1回に残す形です。
ただ、デザイナーに頼まず自分で仕上げる人のほうが多いと思います。その場合も、順番は同じです。違うのは最後の確認だけで、次の4つを見てから使います。
AIが作った写真や人物は、そのまま使わない。 仮の素材と考えて、自分の写真か、使用条件の分かる素材に差し替える
文字は、実物の画面で読む。 生成画像の文字は崩れることがあるので、文字だけ自分で載せ直すのが確実
色は、渡した値と一致しているかを測る。 見た目で判断すると、私と同じ外れ方をする
サイズは、載せる先の仕様で確認する。 配信先やSNSごとに推奨サイズが公開されている
この4つを通れば、デザイナーがいなくても配信に出せる状態になります。
今日からできること
AIに画像の案を頼むとき、最初の一通をこの形にしてみてください。
添付の実物1枚を、見え方の基準にしてください。文言は次の3行で固定です。色は実物の画面から測った値を使い、目視で決めないでください。サイズは○○×○○です。案は3方向、それぞれ何が違うかを一行ずつ説明してください。
例を渡すことについては、公式ドキュメントも、出力の形・トーン・構造を導くうえで最も確実な方法の一つだとしています(出典:Anthropic「Prompting best practices」)。
私も2週間後、別の案件では順番を変えました。参考の実物を先に1枚渡してから、「これを参考に別案を」と頼んでいます。
まとめ
AIの画像案が決まらないのは、文言より見え方の前提を渡していないから。私の差し戻し11通のうち、8通は見え方の注文だった
頼む前に渡すのは3つ。決まった文言、見え方の実物1枚、実物から測った色とサイズ
直しは見え方の8項目の言葉で返す。自分で仕上げるなら、生成した写真は使わず、文字・色・サイズを実物で確認する
AIの案が決まらないときに先に見直すのは、案の出来より、実物を渡したかどうかです。
このnoteでは、エンジニアではない私が、一人のマーケ事業をAIで仕組み化する中で分かったことを書いています。AIの初稿は速いのに確認で仕事が終わらない、という話も書いています。気になった方は読んでもらえたら嬉しいです。

